第一章「相沢聡子との命」 |
誰からも相手にされない男、鵜杉洋太はついにその存在感のなさを何をしても無視されるレベルにまで高めてしまった。それを逆手にとって鵜杉のエロ活動は続く……。
駅で一暴れした鵜杉は、次に電車に乗って(電車内でも、ささやかなセクハラを敢行して楽しんだ)近場の小都市へとやってきた。 「電車は人の出入りも激しくて、あわただしくていけないな……」 通勤ラッシュがいささか引いた平日の街を、王のように威風堂々と散策する鵜杉。 落ち着いた場所がないかと考えていると、ふと書店が目に入った。 最近は引き篭りぎみでネット書店を利用することが多かったが、この店は前に何度か来たことがある。 鵜杉の好みは、派手系よりも大人しめの清潔感のある女性だ。書店だったら、そういう女性に当たる率も多いだろう。 なにより、ゆっくりと物色できるのがいい……本でなく女を。 けっこう広めの店内を見回すと、まだ平日の午前中ということもあって来客も少なく閑散とした静けさが漂っている。 「前に、可愛い店員がいたんだがなあ」 どうやら、今日は見当たらないようだ。設置されているベンチに座り、手持ちぶたさに店内を眺めている。 活動しすぎて、少し疲れた。普段の引きこもりっぷりを考えれば、ここで少しやすんでもいいかもしれない。時間はいくらでもあるのだ。 鵜杉がそう想って寝そべろうとした、そのときだった。 とんでもない巨乳の女が入店してきたのだ。黒髪に黒いワンピース、二十代前半といったところであろうか、ちょっと肌が奇麗で清潔感のあるところを除けば整ってはいるものの特徴の薄い顔立ちだが、その第一印象を裏切るかのように飛び出した双乳はアンバランスなインパクトを与えている。ロケットおっぱいと呼ぶに相応しい見事な張りだ。最近の婦女子は、まったく発育が良くてけしからん! 「よし、この女にきめた!」 そう大きく宣言した。当然店内の誰もが反応しない、やると決まったからには休んでいる暇はない。鵜杉は早速とりかかることにした。 入店した巨乳女は入り口近くで雑誌を読み始めたので、無造作に持っているかばんを取り上げて女の情報を得ることにする。 免許証から、相沢聡子二十二歳だと分かった。仕事は推察するしかないが、仕事関係のものをなにももってないことと平日の昼間に本屋にくることをみて、学生か家事手伝いのようなものではないだろうか。 携帯の登録を調べると、男性名がたったの二名。彼氏がいるにしても、いないにしても真面目な子なのだろう推察。 「いまどき、関心な子だねえ」 そう近所のおばちゃんっぽい口調で褒めてみたが、当然のように反応がない。 やっぱり、何度無視されてもちょっとショックではあるが、おかげでこれから楽しい事が出来ると思い直せば、気にもならない。 早速、耳たぶを舐めてみることにした。 まえから、こういう変態行為をしてみたかったのだ。女性のやや厚い耳たぶは、薄毛が生えており、滑らかな肌をしている。それを自分の舌で汚し、甘噛みしてみる。 味は――夏の暑さのせいで薄っすら汗をかいてるせいもあるが、ただ塩味がするだけだ。特に体臭が臭うとか、逆に甘いとかそういうことはない。 本屋で女性に対してそういう変態行動に及んでいるというのは、結構楽しいものだ。執拗に舐めきっていると、塩味もなくなって、唾液と彼女の耳の味がいりまじった形容しがたい味になってきた。 悪くはないのだ、むしろいい。このまま、ちゅぱちゅぱと耳を舐め続けるのも、面白いだろう。 「んぅ……ふん……」 女性のほうは、声ならぬ声をあげながら雑誌を見つめている。見つめているのだが、さっきから全然読めていない。耳の感触が気になって、それでもそれを気にするわけにもいかず煩悶しているようだ。 そりゃ、知らん男に耳を舐められたら、性感というよりも、くすぐったいような気持ち悪さが先をつくだろう。ただ、彼女はそれを意識してはいけないから、余計にむずがゆい気持ちになるのだろう。 涎でベトベトになる耳から垂れた鵜杉の涎は、スーと首筋から聡子の豊かな胸元へと吸い込まれていく。それがまた、自分がかく汗が流れていったのとは違う感じをもたらせているらしい。 義務的に雑誌を読み終わると、聡子は実用書のコーナーにふらふらと歩いていった。そのあとをふらふらと、鵜杉も続く。新しいメモ帳やら手帳やらが置いてあるところをちょっと冷やかしたあと、聡子は目的の料理に関する本を物色し始める。 そんな聡子は、耳だけが唾液でドロドロなのだが本人も、周りの人も当然気にしないのだった。 そんな聡子を眺めて、鵜杉は容易に手を出さない。朝に女子高生で抜いているので、すこし冷静になって物事を考えられるようになったというのもある。もちろん、引きこもりの性欲はとどまるところを知らないが、切迫したものはまだない。 考えてみれば、女性と一緒に肌も触れ合うような距離で一緒にいるということが、引きこもり青年、鵜杉洋太の人生にこれまでなかったことだ。 「聡子さん……」 「んっ……」 胸をかき抱くようにして、静かに抱きしめてみる。暖かいと鵜杉は想う。そんな鵜杉に反応を示さず、料理の本をパラパラと見ている聡子は、でもその実は意識してないわけではなくて、意識してない振りをしているという微妙な感じであることに少し頭が冷えた鵜杉は気がついた。 無視されていると憤った気持ちが氷解していく、この力は無視されているという悪意ではなく、もしかしたら恵まれない鵜杉に与えられた世界の善意かもしれなかった。 こうやって公衆の面前で、聡子の名を呼びながら、かき抱くことができる。まるで、恋人のように。 無視されるぐらいなんだろう、いつも一人だった鵜杉にとって、彼女とこうしていられることは、とても暖かくて、嬉しいことなのだ。 「んぅ……んっ……」 聡子の服の袖から手をいれて、静かに胸を揉むようにする鵜杉は、自分は愛に目覚めてしまったのかもしれないと感じていた。こうやって、行きずりの場所で悪戯をするようにではなくて。 一人の男として、聡子のような、こう暖かで好感が持てる女性をゆっくりと抱きたいと想ったのだ。 それを、鵜杉は愛を称しているが当然のことながら、される側にとっては一方的な害意以外の何物でもないことは、鵜杉には分からない。そして、そういう一方的な愛情を抱かれている聡子も、そのことには気がつかないという悲しさがあった。 髪に深く顔を埋めて、その香りを嗅ぐ鵜杉。甘いような、香ばしいような。趣味がいい香水だと思う。ほのかにシャンプーの香りもする。 嗅がれ、舐められ、嬲られる。そのようなことをされながらも、聡子はなにも抵抗することができずに、ただされるがままだった。 それは聡子が息も絶え絶えになりながら、料理の本を選び終えた三十分もの間続いた。ようやく、聡子は本を選んでレジへとそれを持っていった。 何食わぬ顔で、それを購入して店を出る聡子の隣に、鵜杉はいた。 聡子の小さくて可愛らしい手を繋いで、聡子に引っ張られるようにして、初夏の街を進む。 聡子はどこに行くつもりだろう。鵜杉は、時間もあるし行き先を彼女にまかせ、絡ませた手を汗でべっちょりとさせながら、街の商店街を進んだ。 「手を引いてあるくなんて、恋人同士みたいだね」 そう、鵜杉が声をかけても聡子は答えるわけもない。 恋人同士が一緒に歩いているというより、聞き分けのない犬に引っ張られて右往左往しているという感じに、ちぐはぐな動きで二人は進む。 結局、聡子はその後近くのスーパーにより、買い物を済ませて近くのマンションに帰った。 「家が近くだったのはラッキーだったなあ」 聡子が鍵を開けると、隙間から強引に押し開けて自分も入ってしまう。 聡子は、それに気がつかぬようにして、やや夏の暑さに負けたように疲れて――本当は道々で手を引っ張られたり、買い物の途中で鵜杉に悪戯されたりした心底の気疲れなのだが――緩慢な動きでスーパーの買い物袋をバックをどしりと限界に置くと、とぼとぼと家に入って冷蔵庫を開けて麦茶を飲み干した。 一人暮らしなので台所と寝室、二部屋の簡素な部屋だ。女の子らしいピンクを基調とした家具は、持ち主と同じように控えめでゆったりとした空気を漂わせ、部屋の小ささを感じさせない。 ベットが広めに取ってある、とりあえず鵜杉も疲れたのでドカンとベットに飛び乗ると、そこで横になりながら聡子の様子を見守ることにした。 聡子は、麦茶を飲み干して一息つくと。バックを所定の位置に片付けてからぽんとテレビの上に料理の本を乗せた。そして、買ってきた食材を冷蔵庫の中にしまうと、今度は本格的にソファーに座ってテレビを見始めた。 もちろん、鵜杉が居ないということになっているからのリラックスである。それを見ている鵜杉も、最初は女の子の一人暮らしというのを楽しく見ていた。洗濯物を取り込みながら、夕日をみてしばらくぼっとしたりとか、大学か仕事か分からないがなにやら勉強のようなことを台所の机で片付けてる真面目な聡子の横顔とか。 一種、そういう恋人気分を高めてみようというのが鵜杉の想いだった。 鵜杉一流の妄想力のおかげで、こうやって長く同棲しているカップル的な、なにかそういう空気を身に纏い始めた鵜杉。もちろん、一方的に勝手な話であるが。 お風呂のお湯を張りながら、ぼけっとテレビを見ている聡子の後ろから手を回して抱き付いて聡子の豊か過ぎるバストを嬲ったりして、楽しく遊んだ。 鵜杉が不思議に想ったのは、性欲を滾らせて襲うのと違って、こうしていると不思議と無理やりやりたいとか、とにかく射精したいというあの強い欲求が沸きあがってこない。いや、それはわきあがってくるのだが、いまのこのいい雰囲気を持続させたいような、そういう不思議な気持ちに獣欲が抑えられるということである。 女性と付き合ったこともない鵜杉だ、こういう感じというのは、初体験で面白かった。ああ、お風呂に行くんだなと想ったとき、これで自然に聡子の身体が見れるなと想った。 それにしてもマンションのバスルームは小さい。ユニットバスでだから、自然と外で脱ぐことになる。だから、お湯が小さい湯船一杯になるのにあわせて、聡子が薄紅色のそろいの下着を脱いで一糸纏わぬ姿になったときも、鵜杉は見ていた。 その豊か過ぎるバストを、必死になって石鹸でこねくり回しているときも、楽しげにトイレに座りながらカーテンを開けて見ていたのだ。 時々洗うのを手伝ってやったりして。 だが油断して、シャワーをぶっかけられたときはビビッタた。 聡子が、寝巻きに着替えて長い髪を乾かしている間に、鵜杉もシャワーを浴びてしまった。カラスの行水の鵜杉が風呂からあがって、勝手にタオルも使って風呂からあがってきたときも、まだ髪を乾かしてブローしてる聡子の背中が、これからやるぞという恋人同士みたいでいいなと鵜杉は想った。 まあ、そういうのはドラマで見ただけのイメージなのだが、きっとこういう感じで正しいんだろう。トレンディードラマのタレントになった感じで、パックとかいろいろお肌の手入れをしている聡子を見ながら、これもまた勝手に出してきた麦茶をワインのようにくねらせて飲みつつ、気分を出して聡子がベットに入るのを待った。 性欲は高まる一方だったが、不思議と待つのは悪い気分ではなかった。 深夜、聡子はうるさいテレビを消すと、ぱっと立ち上がってベットの前まで来て。そして、止まった。明らかに、ベットの真ん中に寝そべっている鵜杉に対して、困惑しているような顔。 「あっもしかしてぼくに、気がついた!?」 そう鵜杉は想ったが、そうではなかったようだ。 意味はなかったのだろうか、それともあったのだろうか。困ったような悲しいようなそういう表情をふっと聡子は見せて、そしてふぅと息をついて諦めたように、パチンと電気を消して、鵜杉が居る寝床に入った。 鵜杉は、聡子の入る寝床を空けてやりながら、少し複雑な気持ちだった。闇の中をまさぐって、聡子の豊か過ぎる胸や、太ももや尻をゆっくりとなでさするが抵抗はない。そうして、やがて聡子はスースーと寝息を立ててしまった。 「…………」 鵜杉はしばらく静かに身体をさすっていたが、意を決したように電気をつけてベットに戻った。そして、寝ている聡子の服を全て脱がせて、一気にオマンコにむしゃぶりついた。 突然の刺激に身体をピクつかせる聡子。だが、彼女は眠っているとなれば、眠り続けなければならない。 「結構……毛が多いな。あと、やっぱ濡れてるもんなんだな」 今日一日やり続けた一連の愛撫のせいか、わりとしっとりと聡子のオマンコは濡れていた。あと、聡子の名誉のためにいっておけばオマンコから尻にかけてまでの聡子の毛は、成人女性では薄いほうだ。 ちゃんと手入れもしてあるから、これ以上毛を剃ってたら剃毛プレイである。毛が多いななんて、女性にいうのものではないが、そういう酷く失礼なことを言われて愛撫されることにも聡子は反応できないのだ。 「うぅ……っ」 明らかに開きかけている眼をまぶたで押えて、必死に寝続ける聡子。それに関係なく、オマンコを手で開く嬲る、舌で味わう。やりたい放題の鵜杉だった。 こうして、濡れそぼった女のアソコを目の前にすれば、やはり体臭が薄い聡子でも、女の味はするし、身体の芯が熱くなるような鵜杉のなかの獣が目覚めるのに時間はかからなかった。 鵜杉は、こうやってちゃんとセックスするのは初めてだったが、ビデオでの知識もあるし、ゴムさえつけてなければ、初めての男でもこすりつけているうちに入るものだ。ましてや、鵜杉も聡子もお互い肉体的には成熟した成人。 あせるように、濡れそぼったオマンコにこすり付けて鵜杉が挿入――童貞を喪失することにそれほど時間は要らなかった。 滾る思いをおさえて、しっかりとくわえ込んでくれたオマンコのなかで、鵜杉は快楽におぼれる。 セックスは最高のコミュニケーションといわれるが、そのコミュニケーションをまったくしてこなかった鵜杉にとって、この接合は刺激が強すぎた。入れるだけで、頭が沸騰しそうになる。実際入れただけでちょっと、精液が漏れたかもしれない。 しっかりと、腰を密着させると、今度は聡子の人並みはずれたでかいオッパイを楽しむことに集中する。ちゅぱちゅぱと、左右平等に吸って揉んでしているうちに、聡子の大きめの乳頭はピンと立つ。 悲しいのは、そんな状態でも息も絶え絶えに、寝た振りをしている聡子であろう。 自分の成熟した女性器が、見知らぬ男の男性器を迎え入れてしまうという嫌悪感を感じることすら出来ず、それを無視しようという意識の働きに、結果としてしっかりと抵抗なく、鵜杉のものをくわえ込んで気持ちよくセックスしてしまうということなのだ。 「あぁ……あぁ! ふっ……ふぅ……いぁ!」 意識すらしない相手だから、オナニーをしている以下である。それなのに、身体は執拗に嬲られ、ほてり、身体は素直な反応をしてしまうのだ。だから、寝た振りをしている聡子は、寝た振りをしているという形以外は、素直に快楽を受け入れてしまう。 鵜杉は、もうこれでもかこれでもかと必死になって腰を振るう。開けた目を、たまに気がついたように閉じる以外は、聡子もアンアンとそれに答えて素直に気をやってしまう。 「あぁ……あぁ!」 さすがのことに、聡子の目も開く。 「聡子、聡子いいよう!」 聡子の導きにあわせて、波打つようになんどかドンドン! そう強く腰をうちつけたときに、鵜杉に限界が来た。あとはダムが崩壊するような長い長い放出である。
ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!!
ゴムなどつけているわけもなく、中出しされた精液はドクドクと聡子の子宮へと流れ込んでいく。 聡子が鵜杉の存在を無視することができても。聡子の奥底で生まれ出た今月の卵は、流れ込む精液を、元気に飛び跳ねるおたまじゃくしたちを無視することなどできずに、きっと受精してしまうに違いない。 そういうことを本能的に感じさせる大きな波に身を委ねて、汗を全身に浮かべて聡子と鵜杉はお互いに身を寄せ合って一つの生き物のようになった。 その夜、鵜杉はそのままもう一度して、寝入ってしまった。起きたときは、自分は裸のままだったが初夏の暖かい季節なので、風邪を引くことなどはなかった。 昨晩のことなど、何事もなかったようにいつのまにか寝巻きを着て朝ごはんを食べている聡子から目玉焼きを奪って食べてから、鵜杉も服を来て外に出た。 早朝の朝日が、なぜか黄色くて大きすぎて、深い感動を覚えつつ、聡子のマンションから階段を伝って外へと降りていく。 朝焼けの街を軽快に歩きながら、もし二人の間に子供が生まれたら、やはり子供も無視されるのだろうか、確かめてみようと鵜杉は考えた。 だから、鵜杉が気が向いたときに何度も、聡子は見知らぬ男と同衾を強いられることになる。 やがて聡子は、その都度される中出しだけは無視できずに、望まぬ命を身に宿してしまうことになるのだった。
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序章「相手にされない男」 |
誰からも注目されない少年が居た。鵜杉洋太という名前があったが、その名を呼ばれることは少なかった。目の前に来て、あるいは名簿でその名前を認めて始めて「あっ、お前居たのか」と言われることが多かった。 誰にも気が付いてもらえないほど、存在感が薄かったその少年は近所の高校に進学した。そこで、存在感のなさはどんどん酷くなった。やがて、学校からも消えるが誰も気が付かない。 鵜杉自身もひと寂しいときもあるが、人との関わり合いがもともと苦手だし、誰にもなにも気づかれないというのは気楽でもある。学校に行っても行かなくても、何も言われないということが分かって、登校することも辞めた。親は気が付いた時には居なかった。もともと、そんなものが居たかどうかすら記憶は定かではない。多分親らしきものから、微々たる生活費が振り込まれ、それで引きこもっている日々。 お金さえあれば、人と会わなくても生活していける世の中になっていたのだ。そんな世界で、鵜杉はその存在感のなさを研ぎ澄ませていった。やがてそこに居たとしても、鵜杉の存在は世の中から完全に黙殺されるようになった。 鵜杉がそのことに気が付いたのは、近くのコンビニに行くようになってからだ。たいていは自販機を相手に済ませるのだが、人に会わない夜中にたまにコンビニにいくこともある。 ここでも無言で、ただお金と商品の交換が行われるのだが、その日はその交換さえも行われなくなったのだ。商品がレジに置かれると、店員はあたりを見回して不思議そうに商品をまた棚に戻す。 鵜杉が同じことを繰り返すと、また同じように店員は戻す。新手の苛めかとも思ったが、店員がそんなことをする理由が思い付かない。 しょうがなく、他の店にいってみるが結果は同じだった。ためしに商品をもって外に持ち出してみる……何も言われなかった。ついに、世界は鵜杉の行動自体も無視しはじめたのだった。 好都合と考えることもできるだろう、だが鵜杉はさすがに納得できなくて次の日は早起きしてみた。朝の日を浴びながら町の中心部に向う。 通行人は誰一人鵜杉を気にしない。鵜杉の存在を無視して前から突っ込んできたりするするので、よけるのに必死だった。 普段は温厚なほうな鵜杉も、だんだんむかついて来た。鵜杉は通行人を男を殴り飛ばしてみた。男は綺麗に弧を描くように吹き飛んだが、腫れた頬を押さえて目に涙を滲ませながら、立ち上がり小さく呻いて……また歩き始める。 今度は、OL風の通行人を抱きしめて胸を揉んでみたが、女は前に進めないのを不思議そうにしているだけだった。離すと、何ごともなかったように歩き始めた。 周りの通行人もこの現象について一切無視をする。これで鵜杉は確信した、この世界は完全に鵜杉を無視することに決めたのだと。それならば、こっちだって考えがある。
鵜杉は、この状況を利用することにした。縦横無尽に人の群れをかき分ける。目の前の男を叩きつけて突き飛ばし、女の胸を揉むように押さえつけて、鵜杉は突き進んでいく。ふつふつと爽快感が湧き上がってくる。 鵜杉は、もう人におびえることはないのだ。彼らと自分は、同じ世界に居て関係ないものになったのだから。 やがて成り行きで駅についたので駅の構内に入っていく。もちろん切符なんて買わない。そんなこと誰も気にしないからだ。 駅のプラットホームに降り立った鵜杉は、あたりを舐めつけるような視線で物色する。 「あいつだ、あいつにきめた」 鵜杉の目の前にはベンチに坐っている一人の女子高生がいた。ちょっとぽっちゃりなのが好みの別れるところだが、形のよいせり出したオッパイに、ふくよかな腰つきは魅力的だ。 顔は鵜杉が少し好きな十代後半のタレントに似ていて可愛い感じだ。何が楽しいのか知らないが、箸が転がってもおかしい年頃特有の笑いを浮かべている。この世に、悲惨なことなどないという感じに。
鵜杉はその女子校生から鞄をとりあげて物色する。生徒手帳から名前はすぐ判明する「秋野真由子ちゃんか……可愛らしい名前だねぇ」 もちろん、真由子は一切それにたいして反応しない。鞄を投げ捨てると、拾おうとする真由子。鵜杉はそこを抱き留めてキスをした。 「ううん……」キスというよりは、口の舐めまわすような濃厚な口付けだ。明らかに迷惑そうな顔つきの真由子。 まったく何も感じないというわけではないらしい。いったん離すと、真由子は鞄を拾い上げてもとの位置にもどり平静を装っている。
短いスカートを押し上げて見る。真由子は真っ赤になり、押し上げられたスカートを必死になって下に引っ張り返す。 「どうも反応の仕方にばらつきがあるようだな」 一人ごちて鵜杉はそういうと、スカートの中に手を突っ込みパンティーを下ろしにかかった。ごわごわの子供くさいパンツだった。色が白でないのが救いだが、真由子はこんどはパンティーを両手で引っ張り返そうとするが坐りながらの無理な体勢なので、力に負けて剥ぎ取られてしまった。 公衆の面前で、若い女の子のパンツが剥ぎ取られたというのに、周りはみんな無関心である。
真由子のパンツを奪ってしまうと、ポケットにすばやくしまい込む鵜杉。真由子はそれを手で追ったが、ポケットに入ると同時に諦めてスカートを下ろして手を置いた。 手が小さく強ばっているが、またも何もなかったかのように笑顔である。 「ふーむ、ポケットに入れてしまえば元に戻せないんだな」 同じ要領でブラジャー(これも、あまりセンスのよいものではなかった)を剥ぎ取ってしまう。
こんどは、制服の下から手を入れて直に胸を揉んでみる。抵抗は……ない。元の体勢であるかぎり、抵抗はできないらしい。 少し芯のある形のよい胸を、執拗に、徹底的に、揉みしだく。 「痛い……」 真由子からが漏れる。どうやら乱暴すぎたらしい。ゆっくりと、乳を振り絞るように周辺から頂点にかけて絞ってみる。 「あっ……」 乳頭が立ってきたようだ。 鵜杉は顔をつっこんで、吸ってみる。 「いい乳だ、CかDカップってとこか」 無抵抗なことをいいことに鵜杉は真由子の身体を嬲り続けた。
胸を嬲るのも飽きたのでこんどは下へ。足を押し開き、スカートに顔を突っ込むようにして秘部を観察する。 「よし抵抗しない……なるほど未経験ではないようだ」 先ほどの愛撫がきいたのか、濡れているように見える。勝手なことをいい鵜杉は真由子のオマンコに手を……足を固く閉じられてガードされてしまった。 「なるほど、もとの形なら抵抗できるのか。」 それでも、もう鵜杉も限界にきていた。実は、勃起しまくっていたのだ。どう始末するか、このままむりやりやってしまってもいいのだが……鵜杉も下を脱ぎ、勃起したチンポをその足の隙間からオマンコに差し入れようとしてみた。素股にもちこめればとおもったが、やはり相手が坐ってる状態では無理っぽい。
上の口を使いたい所だが、まだ安全かどうかわからない。ディープキスには成功したものの、もしかしたらわざとらしくチンコを噛まれるかもしれないと思えば恐くてできない。 「そうだ、パイずりをためしてみるか」 わざと聞こえるようにいってみるが、当然のように無視だ。いい度胸である、おもむろに真由子のふくよかな双球を掴むと鵜杉は逸物を挟んでしごき始めた。 駅のホームのど真ん中で、坐っているノーパンノーブラ女子校生相手にパイずり……夢のような光景だ。もともと限界だった鵜杉は力を込めてしごく。きめ細やかな真由子の肌は、吸い付くように逸物を絶頂へと導く、このまま胸と顔めがけて発射してやってもいいのだが……どうせなら
絶頂に達した鵜杉。 「ほれ、おれの精子を受けて妊娠しろよ!」 そうでっかい声でさけぶと、無抵抗の真由子のスカートをめくり、精液がいまにもでそうな逸物を無理やり股の間に差し込んで、爆発させた!
ドピュドピュドピュ!
股の部分に無残にも広がっていく精液、やはり体勢に無理があったので膣口まではとどかなかったが、まだ汚されていない外陰部の襞の感触を味わいながらの射精に、鵜杉は満足した。 股の間にたまった精液、久しぶりだったのでたくさんでた。 「おい、このままだと妊娠しちまうかもよ?」 まあ、膣の入り口に精液がたまったぐらいでその可能性は極めて低いのだが、どういう反応をしめすか気になる。
やはりもはや半笑いといっていい感じの引きつった笑顔で無視を決め込むかとおもったら、やはり精液を流し込まれた膣が気持ち悪いのかもじもじしはじめた。 そして、おもむろに立ち上がるとトイレへと向けて歩き始めた。 「なるほど、トイレにいっておしっこでもして自然な形で洗浄するわけか」 ふとももから滴れている子種が、卑猥でいいが少々もったいないなと鵜杉は想う。
うしろからおっかけて、指でオマンコのなかに精液を指しいれてやった。 そのたびに「ぐ!」とか「ぎゃ!」とかいって速度をあげる真由子が滑稽だ。 もちろん、周りの客はみんな無視をきめこんでいるやりたいほうだいだ。 女子トイレの個室へと駆け込む真由子を追っていっしょになかへ、滑り込みセーフだった。 必死にかぎをかけているが、まあ締め出されたところで上から敷居を乗り越えるだけだったけどな。
ジャーー、こんな時にも消音に勤めるのが滑稽だ。水を流しながらおしっこをする真由子。 鵜杉はおもわず、その黄金水の吹き出る泉に口をつけていた。ゴクゴクゴク、しょっぱい味の真由子の小水を飲み干していく。 それほど多量ではないが、辛くて喉が焼ける様だ。小便など、もちろん飲む趣味はなかったんだが、思わず勢いでなんでもやってみようと思ってしまったのだ。 意外に、いけるものだと思ってしまった。新しい趣味に加わりそうな気がする。そんな鵜杉の変態行動も気にせずに、オマンコを必死かつ丁寧に洗浄している真由子。 いい表情だとおもい、顔をあげて立ちまくってるチンポを口につっこんでやることにした。 噛まれるかなと少し警戒して、先に口に指をつっこんでズポズポしてやるが、抵抗はない。 身体のほうも、力をこめて触れてやると力が抜けるようになるので口内もいっしょなのだろう。大丈夫だと判断した。のどの奥まで一物をつっこんで……。 「小便を返してやるよ!」 おもむろに、鵜杉も小便を開始した。 「げふぉ、ごふぉ……ゴクゴクゴク……うぅ……」 顔が上をむいているので、むせながら仕方なく飲み干すしかない。せっかくのいいシチュエーションだ。 こいつを公衆便所にしてやるという欲望に耐え切れず、興奮して人間便所にしてしまった。おしっこを飲み、また口から垂れて制服にまで濡れてしまっている。ちょっと酷かっただろうか。それでも、まだ興奮が冷めやらなかったので。 「舐めろよ」 そういう無茶な注文をつけてみるが、四肢の力ががぬけきっているだけで真由子からは反応がない。しかたなく口の粘膜になんどもつっこんで快楽をえることにした。 「フェラチオ……いやイマラチオというのかな、いいものだな」 喉の粘膜にこすり付けるようにやるのは、実にいい気分だった。そうやってしばらくピストンしていると、すぐ絶頂に達したので我慢せずに射精。
ドピュドピュドピュ!
ゲホゲホと咳き込みながらも、抗うことが出来ずに鵜杉の精液は真由子の食道から胃にかけてを汚していく。二発抜いて満足したので、真由子はこれで解放してやることにした。なあに、またやりたくなれば、そこらで好きなのを拾えばいい。 鵜杉洋太は、生きているか死んでいるかわからないような自分の人生が、急に輝きだしたように感じていた。
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十三章下 |
「ルシフィア……俺はいまからお前を抱く」 「そんな……こんな場所でですか」 そう、幸助が言った瞬間にもうルシフィアは下着姿になっていた。服はどこかに飛び散ってしまったようだ。そう彼女の視覚からは、そう見えるのだが時間停止能力で脱がされているのである。 「それで、お前を楽にしてやるよ」 「わかりました」 ルシフィアは観念した。彼女は、いまだに幸助以外であるなら他者の思惟を探れるので、この付近に二人以外はいないとわかったからだ。そうして、いまの幸助に逆らえるわけもないので、人が居ないことにほっとしてもいる。初めて男に抱かれる場所が、屋上とは。彼女には、呆れるような気持ちもあったが、自分にはふさわしい気もした。 ルシフィアはいつも、ここから人々を見下していたのだから。 「可愛い下着をはいているのだな」 「いわないでください」 レースをあしらった高級そうな下着だが、色はシンプルな純白で肌も白いルシフィアには、よく似合ってもいる。下着の上からも、スラッとしているわりに豊かなバストや腰つきを眺めることができる。ルシフィアの肌は、当たり前なのだが日本人の肌色とは違っていて、まだ誰も踏みしめていない初雪のように白かった。 産毛までもがさらっとしていて、まるで陶器に触れたときのような滑らかな冷たさを感じるのだが。少し触っていると、その部分がほんのりと火照って熱を持っていくのを感じる。 幸助は下着を脱がさずに、しばらくそうやって抱きしめながら彼女の抱き心地をかみ締めるようにしていた。 「綺麗な肌だな……」 「それなりに、気をつけて手入れはしてますから」 混血種は美形が生まれやすいというが、ルシフィアは、だとしても群を抜いた容姿をしている。日本人である佐上の血を受け継いではいるが、宣教師の娘だったという母方の血のほうが彼女には強く出ているようだ。人の心が読める彼女であるので、自分の容姿に対する賞賛は耳を塞いでも聞こえてくる。自分が美人であるという意識は当然ながらあった。 だが、それを誇る気にはなれない。それどころか、ルシフィアが見目麗しい少女であったせいで、いったいどれだけの数の男に想像の中で手酷く犯されていたことだろう。多感な時期を迎えていた少女にとって、それは地獄というほかなかった。知りたくもないことを知ってしまう、自分の読心の力をどれほど呪ったことか。 そうして、近い親類にまで、それをやられたときにルシフィアの心は少し壊れてしまった。人に自分が美しく見えるということは、読心術と一緒で彼女にとっては酷い桎梏なのだ。だから、自分の容姿を褒められるのは、嬉しくはない。 「自分の容姿が嫌いなのか」 「……そうですね、好きではありません」 「使わないからだとおもうぞ」 「そのわりには、さっきから撫で回すだけで何もしてくれませんね……もう、たくさん他の女性を抱いているのでしょう」 そうなのだ、幸助は白人美人を目の前にしてちょっと気後れしていた。髪は梳くたびに軌跡が見えるように光っているし、美しすぎる相貌を目の前にしていると、そんなつもりはなくても、触れて汚してしまうのがもったいないように思えてしまう。 「お前は、特別だからな……」 「肌や髪の色が違うからですか……すいません。私は日本人のつもりなんですけど、遺伝ばかりはどうしようもないですので」 そういわれて、そういう気後れもあるのかと思った。そんなつもりはなくても、人間初めて手をつけるものというのは、躊躇ができてしまうのだろう。 「いや、同じ女だろう。それは、変わりはないさ」 そういって、ブラを背中からはずすようにしてやる。触り心地が上質な素材だろうと、ブラのダブルホック自体は別に変わらないようで、すぐにはずせた。やはり、日焼けは一切していない白いおっぱいが露出した。乳首が、申し訳ないほどに淡くピンクに染まっているように見えた。 こういういやらしい部分までもが、神々しいとはな。少し笑えてしまった。 幸助はそうして覚悟を決めると、乳頭に武者ぶりついていった。ピンクの控えめな乳頭を強くひねり上げるように、弄る。汚してしまえばいいのだ、一度手をつけてしまえばあとは気後れなど関係ない。 「うっ……」 「痛いか」 「少し刺激が、強すぎたみたい」 「そうか、もう少しやさしくする」 そうやって、今度は首筋からゆっくりと舌を這わせるようにして肌を唾液で汚していく。幸助の舌が通った部分だけは、もう踏み鳴らされた雪のように、自分のものになっていくという実感を味わうことができた。 「くすぐったいですね、それに……」 「んっ」 「こうやって口で言わないと分からないって言うのはやっぱり不便ですね」 「するときに、そんな感想を漏らすか」 チュパっと吸い付くようにしてやると、乳頭が早くも立ち始めた。こうして自分で弄っていても、いやらしいというより、美しいと思える曲線。感度も反応は悪くない。 「すいません、雰囲気がでませんか」 「こんな場所でやり始めてる俺がいうことではないがな」 そういって、柔らかい唇を吸うように口付ける。 「あっ……」 「んっ」 「すいません、初めてでしたので」 「そうか、すぐになれる」 慣れてもらわなければ困る。幸助がこの濡れ場にあっても、執拗に自分の冷静さを保とうとしているのは、やるべきことがあるからなのだ。じっくりと、心を込めてルシフィアを愛撫する。いろいろと文句をいうわりに、ルシフィアは撫でられて結構まんざらでもないようだった。 「さてと……」 「いっ」 下着ごしに太ももの間に手を差し入れる。 「少しは濡れてきたかな」 「……恥ずかしいものですね」 「いやか」 「いえ、続けてください」 幸助は腰に手をかけるようにして、下着に手をかける。さすがにシルクで出来た下着は、肌を滑るようにするりと脱げる。ルシフィアは抵抗はしなかったものの、何故かとっても真っ赤になって顔をうつむいている。 「どうした……」 「はっ、恥ずかしいんですよ!」 そうかと幸助は気づく。時間停止で犯したり、もう半ばレイプ同然でしか女を抱いたことのない幸助なので、そういう心の機微がわからなかった。これで恥ずかしがるなら下の毛も金髪なんだなと幸助は思ったが、それはいわないほうがいいようだ。 「もうしばらく、辛抱してくれよ」 「はいっ……」 ルシフィアは立ったまま俯いて、じっとしている。かがんで股の付け根をいたぶっている幸助は、何故かとても悪いことをしている気持ちだった。白くて美しいものだからかな、だからそれを汚すのは心が痛むものなのか。 ただ、ルシフィアは眉を伏せて、じっと耐えているようだった。幸助にふっと、弱気が走る。ここまでしておいて、躊躇は許されるものではない。やりきること、湿り気は十分とはいえない。 その柔らかい肉を、味わうようにして舌を這わせていく。手で弄るのがためらわれたので、舌で弄るように仄かににじみ出る汁を味わう。この味は人種に大差ないようだった、同じ胸が熱くなるような深みのある女の味がする。舐めれば、舐めるほどに湧き出てくる女の身体はまったくよく出来ている。 「ふう……」 「うっ……」 前戯はやり始めるときりがない。これぐらいにして置こう。さて、ここからだな。そうして、幸助は心に決める。 わざと時間を停止させて、幸助は服を剥ぎ取る。ルシフィアには、一瞬で服が脱げたように見えた。簡単にやっているようで、時間停止にはいちいち体力を使うのだが、行為に至るまでの雰囲気をそがないためだけに、幸助はそれをやるのだ。今回は能力を使い切る気持ちでやる、まず一回完全にルシフィアを落としてしまわないことには、幸助の考えてることはうまくいかない。 「ふっ……いくぞルシフィア」 幸助が軽く、腰に手を回して胸に手を触れただけで、ルシフィアは強い快楽を感じて腰が抜けてしまった。 「ひゃああ……なっ、何したんですか」 「いいだろう、時間を止めている間にだいぶ愛撫してやったのを一気に感じるのは」 時間停止というのは、こういう使い方もできる。 「立ってられないです」 フェンスに手をついて、何とか持ちこたえようとするルシフィア。それに構わずに、幸助は勃起したものをルシフィアの濡れた女性器にこすりあわせるようにする。徐々に、閉じていた肉門が押し分けられるようにして開かれる。 「痛いのはきっと、最初だけだからな」 「覚悟はできてますから……」 ザクッと、腰を突き上げるようにして幸助は挿入した。ほとんど抵抗もなく、幸助のものはメリメリとめり込んでいって、処女膜は裂けた。一瞬、中に強い痛みを感じたが、それもすぐに快楽に変わる。 「どうだ……」 「痛いけど……ジンジンしてるけど、なんかへんな感じです」 「まだ、足りないのか……じゃあこれならどうだ」 「あっ……なんか!」 ルシフィアは、感じたことのない快楽に身体がはじけるようになって、ついにフェンスにからめていた手を離してしまった。がくっと、幸助に抱きかかえられるようにして身体を支えられる。 抱きしめられるように、腰を突き上げられて、ルシフィアは快楽で頭が真っ白になった。 「さすがに、これだけやればいったか……」 「あっ……あっ!!」 「時間停止はこういう使い方もできるんだ、停止した世界で破瓜の血も痛みもなるべく取り除いてやったんだよ、代わりに俺はかなり時間を消費したがそれだけの甲斐はあったか」 「うっ……あっ……ありがとうございます」 「俺が出来る気遣いはこの程度のことだ」 あとは、幸助はもう動いている世界で行為に没頭する。かなり体力を消耗して、停止した世界で休憩も挟んでのことだ。強い刺激に射精しなかったのは、幸助がセックス自体に手馴れてきたというのが大きい。 なるべく、ルシフィアには連続して快楽を与えなければならない。せめて、まともな思考ができないぐらいには。打ち砕いてやらなければことはなせない。 強い快楽に打ち震えるように、すでにルシフィアはまともに声も出せずに幸助に抱きかかえられるようにして打ち震えている。 ドンッと強く腰を打ち付けてやって、幸助は中に射精した。 「あっ……いま中に」 「そうだな、だが一発では終わらんよ」 我慢に我慢を重ねた、射精であったので打ち上げるようにドピュドピュと射精してもそれで萎えることはない。むしろ射精の瞬間の強い快楽よりも、長いことやっている中で射精し終わったあとに陰茎に感じる鈍い快楽が、幸助にとっては気持ちがいい。 「あっ……またっ!」 そういうと、ピクピクと痙攣してルシフィアはまた力が抜けた。こうなってしまえば、可愛らしいものだった。 「そろそろいいかな、マサキ出てきてもいいぞ」 「……まっ魔王! 力がはいらなっ……見ないで!」 安西マサキは、静かに隠れて二人の交合を見ていたのだ。すでに彼も痛いほどに興奮している。「女は国産にかぎる」じゃなかったかと突っ込みたいのだが、まあ他の人のセックスを覗き見ての興奮は別腹なのであろう。 ルシフィアは、マサキにも封鬼の守りがかかっていたので、思考を読めずにそこにいることに気がつかなかったのだ。そうして、この瞬間に彼女は幸助の心だけではなく、マサキの心も読めなくなっていることに気がついたのである。 「ルシフィア……君には、マサキくんも受け入れてもらわなければならないからな」 「幸助さんだけじゃなくて、魔王の心まで私は読めなくなっていたなんて……ううっ、全部見られて……こんな恥辱……です!」 マサキは静かに近づいてきて、黙って立ち尽くしている。いつもは状況を主導する彼だが、ここは幸助に任せようと思っているのだ。 「ちなみに、ルシフィアが読めないのは俺とマサキの心だけだ。封鬼の能力者がいたんだがな、マサキがその能力者から能力を奪い去ってくれたんだぞ」 幸助は、平賀芽衣子がとは絶対にいわない。それを言うとルシフィアは芽衣子を殺すかもしれないからだ。「念のために」で人を殺せる人間というのが存在するというのを幸助は知ったから。その相手は、他ならぬ芽衣子だというのが皮肉なのだが。マサキが、芽衣子を抑えられるというのなら、それを信じて幸助は万が一にもルシフィアに手出しさせるわけにはいかない。それが、幸助の友情だ。 「魔王が……信じられないです。せっかくの私に対する対処法なんですよ」 ルシフィアは、マサキを自己の快楽のためにしか動かない小人と見ている。それは決して間違いというわけではないのだが。 「信じてくれなくて結構だが、別にお前のためにやったわけではない……幸助くんに敵対しそうになったから消しただけだ」 「魔王、あなたにとってはいい手駒になったのではないですか」 「数ある手駒と、唯一の友達……どっちを取るかなど考えるまでもない」 そう、マサキは力強く答える。その言葉の響きに、なぜかルシフィアは納得したようだった。心を読まなくても、彼女には理解できることがある。それは孤独という慣れ親しんだ感情。マサキが孤独のなかで、幸助にだけ縋りついたというのなら、それはまったく自分と同じで、愚かで憎らしい男だと思うがそれだけには同情できた。 もちろん、マサキはそんな同情をされていたと知ったら怒るだろう。最低の環境から這い上がってきたマサキの絶望と、恵まれた環境にあるルシフィアの歪んだ選民意識を同じ孤独としてしまうのは余りにも酷いからだ。生まれから、環境から、まったくそりが合わない二人であって、自分の戦力を削りたくないという打算さえなければ、幸助のことがなくてもいずれはぶつかり合っていたに違いない。 そうして、そういう木と竹というまったく材質の違うものをつなげようというのが幸助なのだから、こういう場所を求めたわけだ。すでに、マサキは幸助の意思であるならと積極的な休戦に同意している。 そうして、ルシフィアもまたこうまでされては、認めざるを得なかったのだが……。
「というわけで、後ろからマサキが犯すから」 「ちょっと……まってください!」 ルシフィアが慌てて遮る。なんでそれが、こういうことになるのか理解できない。 「んっ、いやちゃんと時間停止で処理するから痛くないよ」 「いやっ、私は幸助さんのためなら魔王との休戦には同意しますけど」 「むしろ、ちゃんとやれば気持ちいいと思うよ」 「いやっ……だから協力してもいいですけど、そうじゃなくてそれは駄目です!」 「言葉だけじゃなあ、君は体感的にマサキを嫌ってるみたいだし、こうやって示すほうがわかりやすい」 「駄目! 駄目! もう見られてただけでも恥ずかしいのに、おねがいですから……」 こうして、幸助に抱きつくように身体を押し当ててマサキから身体を隠すしかないルシフィアなのだ。後ろからって、3Pということなのだろうか。経験のないルシフィアだが、彼女は人の思念が読めるので性知識はものすごい量がある。当然、どうやるかもどうなるかも具体的に理解していたが、実際に目の前にそれを出されると合意できるわけがない。 そうルシフィアが思考したとき、また自分の中でムクムクと幸助のものが広がっていって強く突き上げられたのを感じた。そう、思った瞬間に快楽の中に快楽が爆発した。もう上限がないと思っていた快楽の、壁が突き破られてさらに頭を真っ白に染め上げる。 「ふぁぁぁあああ」 という、声を自分があげたかどうかも分からない。ただ、ルシフィアはもうその段階で自分の持ち上げられている身体の重みすら感じなくなっていた。身体の何億という細胞の全てが快楽に打ち震える。 「どうだ……女性は限界がないというから十回ぐらいやってみたんだが」 返答はなかった。ルシフィアはまったく四肢の力を抜ききって、たまに身体を痙攣させているだけだった。目はうつろで、あらゆる苦悶から解放されたようにほうけていた。口は半開きで、涎が少し垂れていた。それが可哀想で、涎を舐め取るようにして幸助は口を重ねてやる。 それすらも、いまのルシフィアには快楽に変換されるようで、どうしようもなかった。人の感じるオーガニズムのちょうど限界ラインを飛んでいるのだ。恥ずかしいとか、嫌だとか、駄目だとか、人間的な思考ができるところにもはやいない。ただ、喜びに打ち震えながら、快楽の大波が去ってくれるのを祈って待つしかなかった。 「マサキ、準備は整えてあるから、挿入できるぞ」 それは、やはり時間停止させてやったのだろう。幸助が、ルシフィアの白いお尻をマサキに差し出すように抱え込むと、桃色の肛門が姿を現した。日本人とは違う、薄い色素だからその排便のための穴は、まるで開きかけた蕾のようにマサキには見えた。 マサキには否やはない。ズボンとパンツを下ろして、自分の勃起したものを押し込むようにする。幸助の完全なアシストがあるからだろう、経験もないはずのそこは見事に幸助ののものを、メリメリと飲み込んでいった。 「どうだ?」 幸助が聞く。ルシフィアは「うっ……うううっ」とうなり始めたので、きっと新しい快楽の波に耐えるのに精一杯なのだろう。マサキ自分にへの問いかけだと気がついて、慌てて答える。 「ああっ、いい具合だ。ぼくはアヌスはあまりやらないんだが、意外に具合がいいものなんだな」 「そうだろう、といっても俺もそんなに経験ないんだが」 「少なくとも、お互いに3Pは始めての経験だろうな」 「ははっ、違いない」 そういって、談笑する二人にようやく意識を取り戻したルシフィアが叫ぶ。 「私を……私を挟んでおかしな会話しないでくださいぃ! ああっ!」 ルシフィアはなんとかそれだけ叫んだのだが、まだ足りなかったのかと、後ろと、前からまるでおしくら饅頭のように自分の穴をごりごりとこすられて、またルシフィアは大きく目を見開いた、呼吸が止まった。死んだかと思ったが、その代わりに心がどこかに吹き飛んだ。 自分をもう止めておくことが出来ない。頭の片隅の消えかかっているルシフィアの理性は、せめて、気絶できればと思ったが、快楽も苦痛もあまりにも強すぎると逆に気絶することができないものなのだ。むき出しの神経を、グリグリと擦られるような残酷な快楽、脳の芯が膨張していまにも爆発しそうな悦楽に、ルシフィアはもう考えるのを諦めた。 あとは、動きが止まったときはまるで笛のようにヒューヒューと息をして、動いたときは「ああっ」とか「ううっ」とか、唸るだけの生き物に成り下がってしまう。頭ではなく、子宮と内臓と穴が身体を動かしているような生き物に。 これまで、保っていたいろんな拘りが次々と、この真っ白な快楽で吹き飛んでしまうのを感じていた。身体に覆っていた自分の殻を割って、飛び出してしまいそうな意識の広がりを感じて。その中では、すでにそれが快楽という知覚もなかった。ルシフィアは潮騒に遊ばれるように、ただ自由に宙を舞う。 「わるい、ちょっと早いんだがもう射精してしまいそうだ」 「いやっ……俺は時間止めて調整してるから、実はもう何度も出してるんだ」 「ううっ……ほんとに無理だ」 「こっちはそっちのタイミングにあわせるぞ」 「お尻の中に出してしまっていいのか」 「いや……もうルシフィアに聞いても反応ないと思うぞ」 「すまん、そろそろ」 「よし、こっちもいく!」 すでに息も絶え絶えのルシフィアの中に、前から後ろから奥深く突き刺さっている陰茎がぷっくりと膨れると、その瞬間にドクンッ!と彼女の奥に向かって、液体が噴出された。マサキは、初めての射精で、幸助は何度目かの射精だった。直腸に吐き出された精液はドロドロと、ルシフィアの中の内臓を駆け上っていく。そして、幸助の出したものはさらにルシフィアの子宮めがけて、駄目押しのように白濁液を吐き出した。 マサキと幸助はルシフィアの裸体をぐっと、押し付けるように抱きすくめたのだが、それでも射精の瞬間に感じ取ったのかフルフルと打ち震えて、彼女の身体は必死に抑えてないと、どこかに吹き飛んでいきそうだった。 三人が動じにふぅーと息を吐く。特に幸助の疲労の度合いは激しく、限界に近かったがそれでも一人でルシフィアの身体を持ち上げるようにする。それを見届けてマサキは、自分の物を菊の門から引き抜く。肛門は遮るものもなく、テラテラと光るその穴からドロドロとマサキの出したザーメンがコンクリートの上に流れ落ちていった。 マサキは、ズボンをあげて、どこから取り出したのか、タオルケットを何枚も引いていく。ここに降ろせということなのだろう。友人の準備の良さに感謝しつつ、ぐったりとしたルシフィアの身体をようやくに降ろすと、そのまま自分も倒れていきそうな身体を、持ち直した。幸助が何回も出して、ルシフィアの股からどこまで溢れ出ている混合液を見つめながら、よくこんなに出したなと自分でも呆れる。 気を持ち直して立ち上がろうとすると、幸助は頭の焦点がずれたように一瞬、クラッとふらついた。正直限界……。 「ははっ……無理しすぎだよ幸助くん」 そういって、持ってきたタオルを差し出す。幸助の身体は、もう汗まみれだった。一体どれほどの時間を使ってやったのだろう、たぶんこの一時間ぐらいの間で、幸助は一日以上の時間を費やしたのだろう。そうマサキは幸助の身体から立ち上る湯気を見ながら、推測していた。 「タオルまだあるか……ルシフィアの身体も拭いてやりたい」 「ああ、まだあるから置いておく」 「準備がいいんだな」 「いや、ぼくはこういう学校でも、機会はたくさんあるからな」 「はは、盛んなことだな」 「お互いさまだろう……シャワーを使うなら、体育館のほうを今日は使えるように話をつけておくからな」 「ああ、何から何まですまない」 「じゃあ、俺は行く。充分な仕返しをさせてもらったのはいいが、いまルシフィアが正気を取り戻したら、ぼくはなにされるかわからないからな」 「すまない、大丈夫なように話しはつけておくから……またな」 マサキは、去っていく。もちろん、万が一にも屋上に人が入らないように差配だけはしておくことも忘れないのは、神経質なマサキらしい。 幸助も疲れきって、ルシフィアの横にどっかりと身を横たえてしまう。そうしてしばらく横で、荒い息を吐いているルシフィアの身体を大きなバスタオルで拭くようにしながら、いつのまにか幸助も意識が遠のいて行きそうになる。幸助が、横に寝ていて感じる生きている女性の鼓動と暖かさは、ルシフィアが感じたような自分を見失いそうな強い快楽ではなくて、もっと穏やかで優しい感触で。 学校の屋上からふと見上げた空は、どこまでも広くて青くて、どこからか初夏の生い茂る青葉の香りが流れてきた。そよそよと爽やかに吹き通っていく風は、火照った身体を冷ましてくれる。幸助は、しばらく。あるいはこのまま永遠に、気持ちよい気だるさに包まれていたい気持ちだった。
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十二章下 |
欲望に憑かれるようにして、何度目かの限界に陥って、ベットで倒れるように寝ていた幸助は、ある朝起きたときに、自分がとても爽やかな気持ちに包まれていることに気がついた。朝日は、暖かく幸助を照らしていたけれど、きっとそれよりも強い力で幸助は光を放っていると感じられた。幸助の身体の内側から、自信と力が湧き上がっていく。とても、満たされた心地よい気持ちだった。 朝起きたときの気だるさはなく、母が作ったいつものいい加減な朝食もとても美味いものに感じられた。朝の見慣れた街は、美しかった。澄んだ空気を吸い込んで、幸助は自分の世界が完全なものになったことを知ったのだった。
それは、幸助が聖人になってしまったとか、女を犯すのを止めたとか、そういうことではない。幸助は別に変わらなかった。電車を一本分早めに登校して、教室の人はまだまばらだった。 「おはよー、こんなにはやく珍しいわね」 入り口近くの席にいた菜摘に声をかけられた。手には、花瓶を持っている。 「おはよう、松井。花の水変えなんかやってんの」 「わたし級長だからね……毎日やってるの」 そう口癖のようにいって菜摘、自嘲したように微笑む。そういえばこいつは、厄介ごとを押し付けられる性格だったなあと幸助は思い出す。なんとはなしに、菜摘が水をかえて黒板をチェックして、「よし」とか呟いているのを目で追っている。 あいかわらず、すぐ揺れるでかい胸だなあと思うと、幸助はムクムクと性欲が起き上がってくるのを感じてゆっくりと時間を止めた。 菜摘の耳には、深紅の催眠イヤリングが輝いている。つまり幸助の所有物であるということ。カバンからローションを取り出すと、菜摘をとりあえず一番近くの机に腰掛けるようにさせて、上から服を剥き始めた。 「あいかわらず、色気のない下着つけてるよな」 まるで、幸助の母親がつけているようなゴワゴワの生地のブラにパンツである。色はいつも真っ白だった。超高校生級のバストサイズを誇る菜摘であるから、選択の余地が少ないのは分かる。 だが、もう少しなんとかしたらいいんじゃないかというのが幸助の思いだった。彼氏じゃないから、忠告してやることすらできないわけだが。いや、いっそなんかの拍子に見えたことにしてでも、強引に忠告してやるか。 そんなことを、下着を脱がすときには考えるのだが、もうその邪魔者を取り払ってしまえば幸助は中身にしか興味がなかった。あいかわらず、柔らかそうで大きなプリンのようなバストであるし、腰つきも実にいやらしくていい。中身がよければ、入れ物などどうだっていいだろうと、下着を乱雑に投げ捨てる。 戯れに、大きすぎる太ももを押し広げて股をひと舐めしている。 「すこししょっぱいかな……」 朝の味というのは、また違うものなのだろうか。悪いことはないし、菜摘は幸助しか知らないのだから、汚いものだとは思わない。ただ、前戯するのは面倒だし、まだこなれていないこともあるから、ローションをぶち込むことにした。タラタラと垂れるローションは菜摘の女性器を奥まで濡らし、机にじわりと広がった。 「これ、誰の机だったかな……まあ後で拭けばいいや」 なんのためらいも迷いもなく、ズブッと一刺しで幸助は挿入する。朝のチンポは勃起していて、とても鋭く尖った刃のような切れ味。ぐぐっと、菜摘の中を拡張するように押し上げていく。 ローションはすでにタップリかかっているので潤滑は十分、あとはなじませるように浅く、深く、浅く、深く。角度をかえながら、押し広げていくだけだ。菜摘を味わうのは三度目になる。やや堅いが、すでにその肉襞はこなれを見せてきて味わい深い。 もともと、女の膣はセックスできるようにできているのだ。そうして、男は突くためにそれが突いている。だからいまの幸助には、早朝の教室で同級生を犯しているといういまのありえないことが、ごく自然な行為に思えてしまってしかたがない。 朝のセックスは、頭にツンとくるような刺激で、いまだ完全に覚醒していなかった幸助の意識を強い快楽で揺さぶるようにして、覚醒させる。目が覚めた幸助は、目の前の蕩けるようなおっぱいを左右に持て遊び、その特徴的な乳頭を乱暴にこすり挙げて楽しむ。乳頭がピコンとその存在を誇示するころには、菜摘の吐息にも甘いものが混じり始めていた。 「気持ちいいんだろうな」 そういう幸助の問いにも、「ふっう……」という吐息でしか答えられない。顔はさっきの黒板を見上げた「よし」という少し満足げな表情のままで、目を見開いたままの菜摘というのがすこし異様で、いつもなら目は伏せてやるのだが、今日はそのままで犯していた。 時間を止めたセックスという独特な空気にも、幸助は楽しみを見出し始めているのだ。口を塞ぐようにして、深いキスをするとオマンコも反応して幸助の物をしめあげた。可愛いものだった。 唾液を舐め取るようにして、さらに口内を舌で陵辱する。そうしながらも、腰はまるで別の生き物のように強く強く打ち付けるのを止めない。幸助は荒行のような繰り返しのセックスの生活で、その技術も向上したようだった。 肩を抱くようにして、ぐぐっと抱きしめると幸助の堅い胸にあたって、ぐにょりと巨大なボールのような菜摘のやわらかい脂肪の塊が歪んだ。そろそろ、出してしまおう。 「こんだけやったら、松井も妊娠するかな」 別に幸助には、こだわりはない。妊娠させるのは少し可哀想とか、まずいとかそういう気持ちもあるが、そんなことも何とかできてしまうはずだ。問題ない、よし今日も中で出そう。 腰を強く強く押し付けて、本能の趣くままに夜の間にたまった精液を発射してしまう。それは包み込むような菜摘の柔らかい肉襞の奥で、ドクンッ! ドクンッ!とまるで鼓動のような音を立てて、飛び出していく。 当然飛び出したものは、他に逃げ場もなく菜摘の子宮奥深くに飛び込んでいった。危険な日なら妊娠してしまうかもしれない、それを菜摘は知覚することすらできない。 「はー出た、妊娠したらごめんな」 そういいながらも、幸助は菜摘が自分の子供を孕んだら、この柔らかいおっぱいがどういう風になって、母乳をひねり出すのかと想像して楽しむのだった。
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十一章下 |
時間は動き始めた。だが身動きのできない弥生はその体勢で何も知らずに、眠っている。ゆっくりと、興奮に勃起した一物を弥生の膣口付近へとすり合わせるように、近づけていく幸助。 (いよいよか……何回、如月先生でオナニーしたかわからんからな) オナニーのネタにした率では、クラスの生徒と教師を全部含めても弥生がトップだろう。弥生が時折感じさせる殻に閉じ込められたような淫靡さには、そういう幸助ぐらいの年齢の男を引きつけるフェロモンのようなものがあるのだ。 いよいよ夢が実現できるという、感慨深い気持ちのなかで、ニュプりと音を立てて腰を沈めていく。 妄想を現実にする、確かな弥生の肉の感触を楽しむ。 弥生の膣は、ローションでべとべとにされていて、入り口は緩やかに幸助のものを飲み込み、中は程よい肉襞の締まりで幸助の気持ちを高めていく。 「いいな……」 まあ、男性経験はそこそこあるのだろう。ギュッギュと音を立てて、拘束されて身動きできない弥生の身体を弄っていく。その形の良い胸も、細い腰も今は幸助の手の中。好きなように弄り、好きなように陵辱する。 「ふっ……ふっ……」 まだ、弥生は意識が覚醒していないらしく、息が漏れるだけだ。それに構わずに胸を舐め、乳頭を立たせ腰を振って、突き上げていく幸助。気づかれるためにやっているのだ。寝ていても、オマンコは感じるらしくギュッギュっと腰の動きにあわせて締め付けてくる。 幸助は強い刺激を求めて、浅く深く角度をかえて突き続けていく。弥生がどこらへんで感じるか反応を見たり、肉襞の柔軟さを確かめるために腰の動きを変えてみるなどの変化もつける、なかなか手馴れてきたものだ。
どんな夢を見ているのだろう、気持ちよさそうに顔を赤くしていた弥生の身体が突然にビクッ! と反応した。 「ふっ……ぐっ……ぐっう!」 目を覚まして、起き上がりたかったのかもしれない、身体はゴムの弾力によって八方から押さえつけられている。弥生の身体が、そのままの体勢で自分の身体を押さえつけることになってしまっている。そのゴムの先は、ベットをぐるりと回して固定してあるので、身体ごと飛び上がることも不可能。 「ぐっ……うっ……!?」 起き上がることもできず、目も見えずにただ自分の胸が知らない男の舌にしゃぶられて、オマンコは自由に使われている。これほどの現実的な悪夢はない。 「ぅうぃ」 弥生は「なに?」と叫びたかったのだ。なに、なんなの、これはなに、わたしはなに、どうして、どうして、こんなこんなことするの、あなたはだれなの、わたしはどうなっちゃったの。いま、どうなっているの……起き抜けの弥生の頭を様々な想いが混沌と錯綜する。 夢なの? 夢じゃない!? 寝起きのだるい身体が、いやおうなく競りあがってくる無理やりな快楽に、翻弄されて、弥生の意識は混濁の度合いを深めていく。 そんな、様子を楽しみながら幸助はさらに勃起したものを漲らせて、弥生の奥の感覚を楽しむ。そのプニプニとした肉の壁を、押し広げるようにして突き上げていく。そのたびに弥生の身体は快楽の痙攣に引きつるのだ。 (ローションってなんか好きになれなかったけど、使ってみると便利で楽で、気持ちがいいものだな) 弥生の女ざかりの身体は、ただ快楽を追求したプレイを味わうにはもってこいのものだ。ぐっと、乳首をつままれて、また弥生の身体がはぜた。 抵抗しようという、弥生の身体の動きは、身体を重ね粘膜を密着させている幸助にも響いてくる。いや、そういうよりはもう股間にダイレクトに快楽として伝わってくるのだ。 弥生の、困惑、絶望、そして高まりを股間で感じながら先走り汁をドバドバと流して幸助は無言でピストンを繰りかえす。そのときの幸助の気持ちを言葉に現すなら。 (きもち……気持ちぇええ!) そう、いうしかなかったし、ただそれだけのことだった。組み伏せている弥生の都合など、幸助には知ったこっちゃなかった。 自分の快楽を押し付けるだけなのだ。 腰を、どん! と叩きつけるようにして幸助は身体を震わせて欲望を吐き出す。
ドピュ! ドピュ! ドピュ! ドピュー!
熱い飛まつ。
それを自分の最奥に受けた弥生は、久しぶりに感じたそれを理解した。 「うっ! うっ!!」 中で出したの! といいたかったのだ。 その絶望、ありえないことだった。 弥生が何をしたというのだろう、ただ自分の部屋で寝ていただけだ。それなのに、こうして急に視野を奪われて、身体の自由まで奪われて、知らない男に中出しされている。弥生の悪夢で、それは地獄だった。 中に出されたということが分かってから、弥生の頭はそのショックでガンガンと鳴って、もうわけが分からなくなった。記憶が混濁する。 すでに、抵抗を止めた弥生を、快楽に打ち落とされたのだと勘違いして、さらに幸助は邪悪な笑みを浮かべて、ピストンの速度を速めて二発目を出そうとしている。 抜かずに二発、さすがは高校生の体力。 心はどうあれ、弥生の身体はそれに反応して高まっていく。弥生の身体がピンッ!とまたはねた。 そこへ、幸助は尻の筋肉をギュギュっとすぼめるようにして、腰を痙攣させるような勢いで打ち付けると、二発目の射精をまた弥生の中にぶちかました。 「うっ……うぅぅう!!」
ドピュドピュ! ドピュドピュドピュ!
拘束具を噛み切ってしまいたいような、悲しみ。弥生は、また一発目にも増して、激しいい勢いで流れ込む精液に中で出されたことを悟ると、抵抗を完全に諦めて、思考を止めた。 それは、幸助の完全なる勝利といえた。粘膜から伝わる、弥生の堪忍を美酒を味わうようにして一物で嘗め尽くす。そうして、たっぷりと欲望を吐き出した一物を抜きさる。すると、接合部からはドロドロと欲望の塊が流れ出してきた。ゴボッゴボッっと……いったい幸助はどれだけ出したというのだろうか。 弥生の涙を止めなく流れて溢れた。それは目隠しを越えて溢れだす、まるで膣から垂れ流す精液と同じように、止めなく。深い悲しみと嗚咽。 ただ、弥生は悪夢の終わりを祈った。
だが、弥生の地獄はこれだけでは終わらない。すでに、息も根も絶え果てようとしている弥生の尻に生えているアナルビーズのヒモの先を力強く握ると、ギュッと引っ張った。 「うぅ!!」
弥生の弛緩した身体が、また緊張に震える。そこで弥生ははじめて、お尻の穴に、強烈な異物感を感じたのだ。まるで、排便に向けて律動するようなそれは、挿入されたときは時間を止められていたからとはいえ、とてつもない驚きと嫌悪を持って弥生を攻め立てる。 幸助が、ヒモをさらに力を込めて引くと、プツ! っと音を立ててアナルビーズが一つ抜け落ちた。
「ヒッ!」
声にならないような甲高い叫びを、弥生はあげた。弥生は、排便してしまったと一瞬思ったのだった。そうして、それとは違うのはすぐ分かった。自分の意志で出しているのではないのだ、そのお尻の穴に無数にある塊は、目の前にいる男の意志で抜き取られていると分かったからだ。 弥生はこんなもの、入れられた覚えもない。 寝ているときに入れられたのだろうか。それとも、やっぱり夢なのか。悪い夢なら早く覚めて……そう弥生は、自分を拘束する金具を握りしめるようにして、力なく何かに祈るだけだった。 もう意識は混濁して疲弊して、ただ急速だけを求めているのに、残酷なお尻の中の玉たちは、弥生に休むことを許さない。 ブッ! ブッ! ブツ! 肛門から次々と抜けていく玉が弥生を刺激して、ググッと広げるたびに排便のようなの原始的な快楽を感じて、弥生は嗚咽した。 「うっ……うっうっ」 電撃にも似た強烈な快楽と、身体を弄ばれる苦痛。あがったりおちたり、波に翻弄されたままで、弥生はついに限界を迎えて、意識を軽く飛ばす。その間にも、ブツ! ブツ!っとアナルからは、玉が抜けていく。 (これで、止めだ!) 幸助は、勢いよく体重をかけてビーズを全て引き抜いた。お腹に残っていた五つのビーズが一気に飛び出した。ブツブツブツブツブツッ!!!
「うっ……うっうっうっうっうっ!!」 弥生はしゃくりあげるように息をつまらせると。身体を痙攣させて意識を飛ばす。 可愛い顔を悲惨にゆがめて、口は半開きに涎が垂れ下がっていた。 弥生のお腹はグルグルと鳴り響き、直腸を激しく刺激されたせいか、やがて耐え切れずに……
「プー!」
ラッパが鳴ったように、恥ずかしいおならを鳴らした。 そのような最低の醜態を晒したショックだったのだろうか、猿轡を噛んでいた口をだらしなく弛緩させ、弥生は涎を垂らしながら、完全に意識を喪失したのだった。
それから、幸助は結構大変だった。弥生が完全に意識を失って、また寝息を立て始めたのを確かめると、時間を止めて全ての後片付けをした。子宮にまで入りこんでしまった精液はともかくとして、肛門と膣の周りはとりあえずきっちり洗浄と消毒をしておく。 道具も持ち帰ってから、いちいちの洗浄が必要なのだが、その面倒をこなすだけの満足感はある。そうして、満足して幸助は弥生のマンションを後にしたのだった。
次の日の朝。
朝のホームルームから、弥生は明らかに目を腫らしていて、泣いたあとが見て取れた。目に光がなく、暗い顔を沈めるようにして、ぼぉーと遠くを見ている。 いったい昨晩の出来事をどう考えたのだろう、夢だと思ってくれたらいいのにと考えたが、それはさすがに無理があるか。 弥生は、学校にちゃんと登校しただけ偉かったのだろう。 (恨むなら、個人情報管理がなってない学校事務を恨んでよね) 幸助は、時折足もとをふらつかせている弥生に、深い罪悪感を感じながらも、そんな勝手なことを考えるのだった。
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十章下 |
マサキの腕のなかで、芽衣子は泣きじゃくっていた。 芽衣子は、するりとパンツを剥ぎ取られて、その可愛らしいあそこがむき出しになっていても抵抗はしない。それでも、とにかく分別もなく泣きじゃくっている。 「泣くなよ……」 マサキはなさけなくいった、ただでさえ小学生に見える容姿なのだ。泣きじゃくられて幼さが強調されては、裸で抱き合っても、とても起つものではない。芽衣子は十八歳以上なのだ、都条例的にもぜんぜんオッケーなのだと自分に言い聞かせても、罪悪感は消えてくれないのでマサキは泣き止むまで撫で続けることにした。 「うぐっ……だってっ……だって」 ようやく言葉らしいものを発するようになってきたので、説得をしようと思って、それも止めた。こういうときに、理屈をいってもしかたがないことをマサキはすでに知っている。相手の心に響けばなんでもいいのだ、だから素直にいま思っていることを言う。 「あのな、芽衣子……ぼくは催眠にかかってない相手を抱くのは初めてなんだよ」 「うぐっ?」 「ぼくは怖いんだよ……初めてだから、芽衣子が嫌がってたら怖くて抱けないんだ」 「……うぎゅ」 だからとりあえずそのグチュグチュになった顔を何とかしろと、涙と鼻をやさしく拭いてやるマサキ。 「芽衣子は、ぼくのこと好きか」 「うぐ」 泣きやんで、芽衣子ははっきりと頷く。 「人を信じるって怖いよな、だけどぼくは芽衣子を好きだし、お前のいう好きも信じるからちゃんと抱くよ」 「……うん」 よくわからないが、泣きじゃくっているうちに、芽衣子の覚悟は決まったらしい。 「ぼくは、友人として富坂幸助を信じているんだ。だから、幸助くんを信じているぼくを芽衣子にも信じて欲しい」 「…………わかりました」 諦めたように、芽衣子はマサキをギュッと抱きしめて身体をこすり付けた。余りにも拙い愛撫ではあった。それでも、届かない思いを伝えるには役に立つ。 芽衣子が嬉しかったのは、たぶん好きだといわれたから。その言葉が嘘でも良かった、もうそんなことは関係なかった。自分はちゃんとマサキが好きで、彼のことを信じているのだから。芽衣子はそう思って、なんで自分が悲しかったかようやくわかった。富坂幸助を助けるための、その間に合わせに抱かれるなら、そんな自分は可哀想で嫌だなと思って泣いただけだったのだ。 マサキは、あらためてマジマジと芽衣子を見つめて、口付けをした。 「可愛いよ、芽衣子」 こんなときでなければ、死ぬほど気恥ずかしい言葉。そんなことを恥ずかしげもなく言ってしまえる人間になったのだなとマサキは心の中で強く自嘲する。それでもそう言いきってしまえば、それはそれで楽しいのも事実だった。 「うれしい……私こんな身体だから。一生、誰にも愛されないと思ってた」 結局のところ、それが巫女の修行へと芽衣子を駆り立てる原因となり、それが好意を持ったマサキの役に立つと知って、人を殺すところまで行き着いてしまったのだ。行動として昇華された女の情念というのは恐ろしいもので。 マサキはもう一度、今度は深く芽衣子に口付けして、舌を絡めるように舐め取ってやって、そういう怖い情念を受け止めるだけの覚悟はした。 催眠をかけていれば、遊びで抱ける。でも、今の芽衣子を抱くというのは、芽衣子の十八年の思いを抱いてやるということで、それはマサキにも重たくのしかかるものだ。身体はこんなに軽いのに。 マサキは、そうやって自分の上に芽衣子を抱き寄せて、首筋を舐め取るように少しずつ下にへと舌を伸ばしていく。 「あっ……」 芽衣子の身体は小さくて綺麗だ。舐めてしまおうと思えば、身体中だってすぐ嘗め尽くしてしまえるほどに。このまま食べてしまいたい、芽衣子の小さい乳頭に吸い付いたときマサキはそう思った。 「んっ……」 どうすればよいか分からない芽衣子はされるがままに、それでも言葉にならない思いを力に込めて、幸助に擦り寄るのだった。 「そんなところ……舐めないで」 「でもちゃんとしとかないと、初めては痛いからな」 もう縦筋としか見えないオマンコを舐めてなんとかできるかどうか、真剣に目測するマサキ。実はマサキは、本当の小学生も抱いたことはある。普通に犯罪者であるが、そのときの経験が生きてきそうだ。ヘタな小学六年生よりも、芽衣子のものはなかなか手ごわそうである。 マサキのモノのサイズがそれほど大きくないのが救いであろう。あとは。それこそ自然の力に祈るしかない。人間の機能はセックスできるようになっているのだと信じる。マサキが年少を相手にしてやっていたときの経験であるが、ゴムつきだと入らないと思った膣でも、生でこすりつけるようにしていると、何故かうまく入ってしまったこともあったのだ。 そこらへんは、生殖にかける人の絶え間なき努力が何とかしてくれると考えるマサキである。一度、なんとか入り込んでしまえば、あとは少しずつでも広げていければいい。 そんなことを考えながら、舐め続けているうちに準備は整った。芽衣子のアソコは、本当に味がほとんどない。とろみが出てきているので、愛液も分泌されているのだろうが、本当に愛液かと疑うぐらいに、水の味しかしないのだった。 しょんべん臭いガキというが、愛液の匂いがなければ普通は汚いことだが女性器はそういう器官なので、小水の匂いがするものだ。それもまったく無味無臭となれば、芽衣子は身体から純水しか出さないといわれても信じてしまいそうだ。 もともとが普通の生き物の括りからは埒外の女なのであろう、なにせ鬼を見分ける特別な力を持っていて、ただこの穴にマサキが欲望をねじ込んでしまえば、それを失うというのだから。特異のモノと、かかわること。宿命というものがあるなら、それがマサキの宿命であるのかもしれない。 芽衣子はすごく痛がるだろうか、すでに勃起して剥けている亀頭を芽衣子の割れ目に押し当てている。通常は催眠をかけて痛みを軽減させてやるし、戯れにわざと痛ませてもそれは催眠のコントロールの中のことで、すべてはどうとでもなるという自信の中のことだ。不安で、自信がなくて、芽衣子の硬く閉じた股の付け根を見つめながら、マサキの心は揺らぎ腰は止まる。 マサキの手がギュッと握られた。指を絡めるように、左手を右手で握り締めてくる。マサキの不安が伝わってしまったのだろう、まだ涙も乾ききっていないのに、笑顔ですら浮かべてマサキを見上げてくる。芽衣子は思いのほか穏やかな顔をしていた。 「痛くしても大丈夫……私が嫌なのは能力がなくなるだけ。それに本当は、私のほうが二歳も年上なんだよ」 そうなのだ、肉体はどうあれ、芽衣子の心と経験は十八歳なのだ。人は長じるにつれ、人生の痛みを知り強くなっていく。芽衣子の白い肌は、熱く上気して桃色に染まっていた。汗の玉が、表面ではじけるように浮いているのをマサキは舐め取る。 「んっ……」 マサキが触れたり舐めたりするたびに、熱い吐息を吐き出す芽衣子。胸が膨らみかけだって、十分なエロス。マサキを興奮させるには足る。挿入できるだけの堅さも角度も、十分すぎるほどだ。すでに射精できるぐらいに、痛いほどにマサキは勃起している。 「じゃあ、入れる」 「来て」 差し込んでみると、あっけないほどに亀頭を飲み込んでいく。あっ……これいけるとマサキが思った瞬間に、ググッと締め付けられてマサキは前にも後ろにも動けなくなる。 「これは……」 「うっ……入った?」 マサキが普段味わっている、ざらざらとした膣の肉壁の感触ではない、まるでツルツルに剃りあげられた脇の隙間に挿入しているみたいな、ただ吸い付くような粘膜と粘膜の絡み合い。なんだこれ、膣の中に到達していないってことだろうか。 そうして、入り口にぷっくりとはまり込んだ、亀頭であったがそれから先に至る圧力が強すぎて、一歩も前に進めないでいるマサキ。 「まだ、ちょっとしか入ってない……進むと痛いかも」 「たぶん一気にやってくれたほうがいい……痛くてもいいから」 そんなことはマサキも分かっている。やるときは、ひと思いにやってしまったほうがいいに決まっている。それでも、抵抗が強すぎて、マサキは進めない。たぶん……ぼくはこれ以上進んでしまうのが怖いんだとマサキは思った。 安西マサキ、高校一年生にして経験数はすでに百人以上。しかしそのスキルは、すべて催眠によって精神をコントロールしたあとの性交であった。多重に自己催眠をかけて、自分の精神を鍛え上げてきたマサキであっても、初めてはやはり怖い。その相手が、壊れてしまいそうなほど繊細な身体の芽衣子であれば、なおのことである。 「いくよ……」 「うん」 言わないほうがよかっただろうか、やっぱり芽衣子も身構えてしまって、痛みを覚悟した膣がギリギリとマサキのものを締め上げてくる。そのたびに強い刺激に襲われて、マサキのものが締め上げられて、このまま射精しそうだった。 一回出してしまえば、そういう思いもマサキによぎった。それでも、たった半分を埋めただけで、射精してしまえばせっかく覚悟を決めている芽衣子に申し訳がない。刺激に呼応するように、ドロドロと潤滑油の先走り液を吐き出し続けている鍛え上げられたマサキの亀頭だけが頼りだった。たぶん、ゴムと生で挿入のしやすさが違うのはこの違いなのだろう。ゴムの潤滑油は、無限に湧き出る天然の先走り液には勝てないのだ。 ググッと腰を押し付けるようにして、ほんの数ミリ進むだけでも「グッ! グッ!」と音が聞こえるぐらいに、お互いに衝撃が走る。それは痛みなどというものではなくて、身体の神経を通る電流のようなもので、そのたびに芽衣子の小さな身体が震えた。 マサキはただ芽衣子を押さえつけるようにして進む。熱くて堅い扉、その扉を叩き続けるマサキの息子が、もう駄目だと音をあげて射精してしまいそうになったとき、メリメリと音を立てて奥が開きだしてきた。さらに、力を込めて開いていく。 「うぐぐぐっ……」 辛そうに、芽衣子が声をあげる。一瞬、止まったがすぐに動くマサキ。目を合わせただけで、芽衣子が大丈夫だとわかったからだ。最後にぐっと力を込めて……芽衣子のトンネルの開通工事は成功した……。 初めて男を受け入れる、膣のざらざらとした感じがマサキの亀頭から陰茎にかけてを祝福するように優しく包み込んでくれる。すでに、接合部からは鮮血が流れ出していた。 「最後まで入ったよ」 「うん……ありがとう」 痛みにこらえながらも、芽衣子は礼をいった。処女を奪われて、礼を言われるのはおかしいのだが、マサキも難工事だったし、まあいいかと思う。 「ごめん……もう限界だから」 「中にちゃんと、出してね」 それだけいうと、痛みに力尽きたのか芽衣子はくたっとなった。それを抱きしめるようにして、マサキはさっきから堰き止め続けていた欲望を吐き出す。狭すぎる、膣内に全てを押し流すようなドクッ! ドクッ! と高い粘性をもった液体が流れ込んでいく。 中に出された精子たちの出口は、芽衣子の小さな子宮の中にしかなかった。マサキは止めとばかりに、腰を押し付けて、芽衣子の中に自分の精液を全て吐き出していった。これで、巫女としての芽衣子は汚し尽くされたのだった。 ドロリと引き抜くと、信じられないぐらいの量が流れ出てくる。鮮血も混じっていたが、我慢しすぎたマサキが射精しすぎたのだろう、どこまでもどこまでも精液があふれ出てくる。 「あっ……でちゃう」 気だるげに、芽衣子は股を押さえた。マサキの上で立ち上がっただけで、芽衣子の股からはドロドロと精液が流れ続けて、マサキの腹に落ちていった。マサキが、それに慌てて手元のティッシュで拭く。もう少し汚れてしまったが、布団がドロドロになってしまうのはまずい。 「ほんとに……処女がやぶれたんだよな」 精液をあらかた、出し切ってしまった芽衣子の股は、先ほど自分のもので突き破ってやったと思ったのに、まだ仄かに桃色にそまった縦筋のままで、外陰唇もクリトリスもまったく外から見えない。 マサキが不安になるのもしかたがない。 「大丈夫……だと思う。いや、大丈夫じゃないんだけど、やっぱり痛かったから」 「そうか……」 また、小さい芽衣子はマサキの上に乗るようにしてマサキに口付けた。今度は稚拙ながらに、芽衣子から舌を絡めてくる。なかなか、適応力が高い。賢い少女だなと考えて、中身は年上だからだと思ってマサキは思わず頬が緩む。 結局、処女性というのは身体ではなく心の中の問題なのだろう。とりあえず、気だるい空気を楽しんでからティッシュであらかた拭いた。お風呂に入っていくかと言われて、それは断ってマサキは帰ることにした。そうしたいのはやまやまだが、たぶんマサキが出てくるのを誰かが待っている予感が強くしていたのだ。 「一回じゃなくて、たくさんしてほしい」 マサキが帰るので、寂しがってそんなことをいう芽衣子が可愛かった。 「うん、芽衣子はもうぼくの女になったんだから、これから何度だってしてやる。とりあえず痛みが引いてから近いうちにな」 そうやって、頭を撫でてやるとくすぐったそうに、はにかむ。それを見て、やっぱり年上にはまったく見えないなとマサキは感じてしまうのだった。
マサキが神社の境内から出ると、どこからともなく現れた佐藤理沙がそっと寄り添ってきた。気配もなく現れても、きっと待っているのだろうと分かっていたからマサキは驚きもしない。 彼女の、富坂幸助を監視する役割もとりあえず終了である。きっと、芽衣子との交渉が失敗した場合を考えて、待機していたのだろう。「余計な心配を」とマサキは思ってしまうが、希がマサキの命令に絶対服従なのとは対照的に、理沙はマサキの意に反してでもマサキを助けようとする傾向があった。 「平賀芽衣子……説得できたんなら、抱く必要はありませんでしたよね」 マサキは、ぶすっとした様子で返答する。 「芽衣子は、封鬼の巫女だという意識が強すぎた。だから抱いてやって解放してやるしかなかったんだ」 「抱きたかっただけじゃないんですか」 「うるさい……」 「ロリコン」 「あのなあ……」 ここで怒ったら図星になってしまうので、マサキは無理に笑う。 「フフッ、冗談です。でもそろそろ監視役なんて端役割り当ててないで、もっと私を上手く使いこなしてくださいね」 「……この一件が終了したら」 「期待しています……あと」 「なんだ、何か他にあったのか」 予想外のことがあったかと身構えるマサキ。 「……円藤や、鳥取の家ばかりじゃなくて、たまには私の家にも寄ってくださいね」 そういってマサキと腕を組んで、微笑を浮かべてしなを作る理沙は、やっぱり注意したのに漆黒のゴスロリ服のままであった。気配を消すのが達人的に上手いからいいようなものの。あいかわらず、ありえない厚底ブーツ。こんな下駄みたいなので、どうやって気配や足音を消すのか、教えて欲しいものだ。 理沙に家まで引きづられるように歩きながら、そういえば、また家族が増えるんだよなあ。回していけるかなあと、いまさらながらに不安がよぎるマサキは幸助の心配をしている場合ではなかった。 いや、幸助のことは心配する必要なんかないんだと思い直す。あいつは、あいつの道できっと勝ってくれる。そう信じることだ。
友達を信じる、そう芽衣子に誓ったマサキであるのだから。
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九章下 |
「やはり……菜摘も処女か」 処女膜をたくさんやぶってきたので、それぐらいの見分けはつくようになってきている幸助。十七歳といえば、女としては熟れだしてきてもいいぐらいの年齢だ。これだけエロい身体をしているのに、ビラビラもまだ外に出し切っていないというのは、自分でもそんなにやっていないということなのだろう。 正直、セックスするだけならこなれたオマンコのほうが男も気持ちがいい。個人差もあるが、未通の女の子をやるというのは気を使うのだ。鉄の処女といえばいいのだろうか、ただ挿入するだけですごく大変な娘も経験してきている。 「なるべく、こなしてはやるつもりなんだが」 そういって、股に手を這わすようにしてやる。体毛もさらりとしていて薄い、さらりとした感覚。膨らんだ太ももを超えて、触れたそこは冷たくツルリとしていた。しばらく、無言で押し上げるようにして刺激する。 「暖めてやらないとな……」 幸助が強く触ったその場所が、熱をもったように熱くなっていく。 少しずつ、少しずつ湿り気が強くなってくる。淫靡な匂いが仄かに化学室に漂う。 あとは、舌先で最初は優しく、次第に強さを増して花弁を押し開くように舐め上げる。やはり、濃い女の味がする。菜摘は、まだ目覚めてないだけで、いい女になれる素質を内に有している。 そんな身体は、押し開けば押し開くごとに、甘い味がにじみ出てくるものだ。夢中になって菜摘の中を舐めあげているうちに、蕩けるように熱く濃厚な愛液を垂らすほどに出してきた。まるで、これまで溜まってきたものが全て堰を切って流れ出すようで、舐めても舐めても切がないように思えた。 そうして、飽きずに無限に思える舐め続けるとき、菜摘の荒い息が途切れて、何の前触れもなく身体が震えて、上半身が机にがくっと落ちて。ガクガクと腰を振るわせた。 プシューーー! と、幸助の顔に熱い飛まつが飛び散る。 「なんだこれ……」 呆然と、その飛まつをうける。おしっこではない。急に菜摘が、愛液をスプレーのように発射しだしたのだ。なんだこれ、なんだこれである。 ごくまれに、絶頂に達すると泡を吹くということがあるが、それがまさにこれであった。当然、始めてみた幸助は呆然とするしかない。 飛んだ分も、一通り舐め終えると……幸助はたちあがる。菜摘は、上体を机に押し付けるようにして、目を瞑って顔を真っ赤にして何かに耐えるような表情をしていた。少しくちから涎すら垂らしている。その苦悶の顔は、完全にイッてしまっていることを示している。 まだ、射精してもいないのだが、幸助はそれを見ただけでなにか満ち足りたような気持ちになった。そうして、面白いことを思いついたというように、近くの雑巾で床を拭いて後始末を片付けると、下着は戻さずにただ菜摘の上着のボタンだけ止めて、時間を戻す。 「……かける」 次第に戻る時間、その間に少しはなれて自分も用具を両手に持って、アリバイをつくっておいた。一瞬にして、姿勢が机につっぷしたようになったとしか思えない菜摘は、どうしたんだろうと自分の身体を起こした。 そうして、次の瞬間に自分の身体の異変に気がついた。身体がとても熱いのだ。そして、スカートの下がスースーする。 「うそ……なんで」 下着がなかった。スカートが長くて幸助には気づかれないとは思うが、ついついスカートを押さえ込んでしまう菜摘である。その衝撃で、ブラを嵌めてない柔らかすぎる胸がブルルンと震えて、メガネがずり落ちた。 「あれ……松井さんどうしたの」 そういいながら、机二つ分離れたところにわざとらしく用具を置いて振り返る幸助。計算どおりに、菜摘は困惑気味に二三歩後ろに下がってから。 「なんでも……なんでもない!」 なんでもないわけがない、後ろに下がった衝撃でまた胸がプルルンと左右に揺れまくってブラジャーもつけてないことに気がついたようだった。菜摘が自分の胸をみると、大きい乳頭がなぜかありありと勃起して、少し濡れ気味にシャツに張り付いていた。 「あっ……うっ……」 それを、思わず両手で押さえこむ菜摘。ただ、それだけで身体がビクンッと震えるほどの快楽に襲われる。いったい自分は、どうなってしまったのかという疑問を解決するまえに、菜摘にとっては目の前の幸助にどう対処するかのほうが問題だった。 幸助は、わざと何も分からないという振りでゆっくりと近づいていく。 「ほんとに、どうしたの」 そういって、幸助は、自分の身体を隠すようにしゃがみ込んでしまった菜摘に手を伸ばして肩を触る。少し触れただけで、ビクッと身体が震えた。 「ほんとに、なんでもっ……ないから」 こういう反応は、止まった世界では味わえないなあと幸助は心の中でほくそ笑む。 「そんなこといってもさ」 肩を抱くようにして、背中をさすってやる。 「だっ……だめ!」 触るたびに、菜摘の身体はビクビクと震える。一度絶頂を迎えているので、多分感じやすくなっているのだろう。ここらへんは、時間を動かして女性を抱いたことがないので幸助には未経験のゾーンである。 「ほんとに大丈夫……」 そういいながら、身体をさする幸助。はっと気がついたら、大胆に触りすぎてしまっていた。これじゃあ、セクハラ親父だなと幸助は呆れる。時間停止になれすぎて、こういうときの女性への距離感というのが、おかしくなってしまったようだ。 「平気……だから」 菜摘の声が震えている。身体の振るえが顕著になり、頬はすでに真っ赤になっている。明らかにやりすぎ、調子に乗りすぎ、時間が止まってない世界では、幸助はただの高校生に過ぎないのに。 それにこのままだと、幸助の我慢がもたない。菜摘の意識があるときに犯してしまえば、幸助は立派なレイプ犯である。 だから幸助は、菜摘から離れて落ち着くのを少し待った。 「ううっん……」 そんなうなり声をあげながらも、菜摘は起き上がった。ブラがないので、真っ赤になりながら、ゆれる胸を必死に押さえている。見つめている幸助の視線に気がついて、走りさろうとする、その拍子にゆれる乳を見ながら、幸助は時間を止める。
「なかなか、楽しませてもらったけど……どうせ、このまま逃げるつもりだったんだろうねえ」 まあ、突然わけのわからない状態に追い込まれて、その場からとりあえず逃げ去るという菜摘の判断は間違っては居ないだろう。どこだって、やれるのだが化学室でやるのがいいとおもった幸助は逃がさなかったわけである。 さて、すでに硬く勃起したものをどうするか。とりあえず、机に身体を押し倒すようにして、先ほどつけなおしたボタンをまたはずしていく。慌しいことだが脱がす過程というのも、大事なのだ。 ぼろっと、乳が文字通りに零れだす。それを手で転がすようにしてスカートをめくると、すでに濡れ濡れに濡れそぼったオマンコがそこにはあった。これならとりあえず挿入はできそうだ。厚い太ももを押し開くようにして、腰を押し当てると正常位の体勢。 いくらすでに雌の匂いをさせているとはいえ、男を知らぬ、女性器に幸助のものは辛かろう。ぐぐっと足を全力でひらいて、オマンコも開かせると腰を押し付けるようにして、一気に押し込んだ。 「きつい……」 腰を上下させるようにして、なるべく一気に押し込むようにする。こんな強引なやりかた、本当に意識があったとしたら叫び声をあげるほど痛いであろう。 相手が止まっているから、乱暴にしたっていいわけである。 普段こんなに、乱暴にはしないのだが、なぜか妙に興奮した幸助は今日はこうしたかったから、相手に配慮もなしにやってやったのだ。亀頭のふくらみが、食いちぎられるぐらいの勢いで締め付けてくる。 それもそのはずである、押し切った勢いで菜摘の処女膜はのび千切られて接合部からは早くも血が出始めている。それにもかまわず、幸助は息を荒げながら、菜摘の勃起した乳頭にむしゃぶりついて腰を一心不乱にふりくる。 ここ最近では、こんなに早く来たことがないぐらいという早くて激しい射精欲が、幸助の腰から睾丸にかけてグルグルと鳴り出した。 「出してしまうか……」 菜摘の太ももを両手で抱えるようにして、さらに腰を密着させる。すでに一番奥深くに幸助のものは刺さってる。 「おい、いいか松井! このままだと中に出しちゃうぞ!」 時間が止まっているから菜摘に抵抗できるわけがない。 「いいんだな……出すぞ!」 そういって、幸助はそのまま腰を密着させたまま、頭を抱え込むようにして深く菜摘の口にディープキスをして、舌を絡めて垂れ下がってくる唾液を舐め取るようにした。それが契機になって、幸助の射精欲が限界ラインをこえた。 肉襞の中に深く突き刺さった、幸助の肉棒が律動する。睾丸から、亀頭にかけて、亀頭から密着した子宮口へと、余すところなく精液が吐き出された。 たっぷりとした、粘性をもった液体を始めて奥に受けて、びっくりしたように菜摘の中が震えて、ギュッギュと締まった。それがさらに、ドクドクッと幸助の一物を刺激して、さらに中に押し出されるようにドピュドピュドロドロと流れ込んでいく。 幸助は、菜摘の身体を、ドン! ドン! と二回押し上げるようにして、たっぷりと精液を最後の一滴まで残らず、中に放出していった。 「ふぅ……」 菜摘を抱きしめながら、満足のひと時に浸る。ゆっくりと引き抜くと、菜摘の愛液と破瓜の血とドロドロの精液が入り混じったピンク色の液体が、ドロリと化学室の黒い机の上に垂れ下がっていた。 薬品の匂いがしていた化学室は、すでにいやらしい匂いが充満している。 「窓でも開けておけば、ごまかせるか」 万が一、匂いに気がついた生徒がいたとしても、まさか高校生が「先生、なんかセックスしたっぽい匂いがします」とはいえまい。心配はないだろう。 「わりと、今回のは満足いく射精だったな」 途中で時間を動かして遊ぶのは、けっこういいアイディアかもしれない。松井菜摘に例の催眠アクセサリーをつけてやると、一応軽く身体をふき取ってやってから下着も元通りに戻してやった。 そうして、時間を戻す。
「あれ……」 菜摘は、なぜ走り去ろうとしていたのに、机に座っているのか分からない。 「大丈夫、気分悪そうだったけど保健室いく?」 「ううん、ぜんぜん平気……どうしたんだろうね」 そういって、おかしそうに笑った。いまの菜摘には、どうして自分が走り出して逃げようとしたのかも分からない。身体の変調にも、破瓜の痛みにも気がつかない。ぜんぜんなにも、おかしいことなどないのだ。 「準備終わったから、手伝ってくれてサンキュー」 「ううん、別についでだったから……お昼食堂でしょ、一緒に行こうか」 「ああ、そうだね」 そういいながら、前よりも少し距離感を縮めて二人は化学室を去っていくのだった。いいアイディアも浮かんだから、これは午後からは忙しくなりそうだと、幸助は有頂天になっていた。
だからなのだろうか、二人が去っていく姿を三階から屋上に繋がる階段の渡り廊下に隠れるようにして、平賀芽衣子が息を潜めて一部始終を監視していることに、幸助はまったく気がつかなかった。
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八章下 |
「えっと……取り込み中のところすまないんだが」 いつのまにか、マサキと希の二人が部屋に入ってきていた。 そこに、座っている幸助と体操服を持ち上げて、ブラを降ろして乳をむき出しにしている望、誤解するなというのが無理な光景である。 「うぁ! マサキくん、違うんだ……これは」 「ああ、分かってるよ。望……悪ふざけが過ぎるだろ、幸助くんになら全部話してもいいとはいったが、誰もそこまでやれとはいってないぞ」 そういって、呆れた顔で望に注意するマサキ。姉の希は妹の奇行には慣れっこらしくいつもの無表情を保って立っているだけだった。 「ごめんなさい、マサキ兄ちゃん。ほら、みんなに秘密にしてるとかって、結構ストレス溜まるんだよね。こういう機会少ないから、こうすっごくはっちゃけちゃったというか……富坂さんやさしそうだし、ちょっといいかなーとか」 「じゃあ、もう幸助くんにもらってもらうか……お前」 「うそー、いやー、冗談だから! 女の子を孕ませて捨てるとかマサキ兄ちゃんそんな鬼畜じゃないよね?」 そういいながらも、口調に余裕がある望。全部冗談なのだろう、幸助はもう流されるままに翻弄されるしかない、まあマサキファミリーに関わると、いつものことだが。 マサキは、「ふぅー」と深い深いため息をつくと、幸助に向かって謝る。 「すまんな、いつものことなんだよ。姉はちゃんとしてるんだが、妹のほうはちょっと性格に問題があってな。育った環境が問題あったのかもしれん」 「マサキ兄ちゃん、酷いよそんな私を困った娘みたいに!」 「お前が困った娘以外のいったいなんなんだよ……」 「困った娘ほど、可愛いとか……いうよね?」 「もう話が進まないから、お前は黙ってろ」 幸助はもう呆然と見ているしかない。それでも、とりあえず誤解はされてないみたいだし、何か言おうと思って、幸助はついこんなことを言ってしまった。 「えっと、マサキくん……とりあえず、おつかれ」 そうやっていってしまうと、マサキと望がすごい形相で幸助を振り返って「だめぇ!」という顔をしたが遅かったようだ。 幸助の「おつかれ」という台詞を聞き終えた瞬間、さっきから部屋の入り口に立っていた希の顔が無表情のままに急速に真っ赤になっていった……と幸助が思った瞬間に、扉が粉砕して爆散していた。 あっ!と思った瞬間に、すでに希の姿は見えなくなっている。ものすごいスピードで知覚できなかったが、たぶん扉を蹴り破るかして飛び出て行ったのだろうと思われた。 あとには、飛び散った扉の欠片が舞うなかで、客間に三人が取り残されているだけだ。 「あの……俺なにか悪いこといったかな」 そう幸助が聞くと、二人が「うんうん」とうなずく。 「駄目だよ……富坂さん、お姉ちゃんにあんな匂わすようなこといったら。やってるときは注意散漫になるけど、それ以外のときはすごく鋭いって教えたでしょ!」 いや、そんなこと教わった覚えが幸助にはないのだが。 「お前らが覗いてるのぼくは気がついてたけどな。別にぼくは気にならんけど、希にばれないかとハラハラしたよ。幸助くん、希は妹と違ってとてもいい娘なんだが恥ずかしがり方とかの感情表現が少しだけ極端でな……扉で済んでよかったよ。覗いてたのがばれたりしたら、たぶん幸助くんの身体が、あの扉みたいになるから気をつけてくれ」 気がつかないうちに、幸助はものすごく危ない橋を渡らされていたらしい。 「マサキ兄ちゃん酷いよ、また地味に私の中傷を会話に織り交ぜてたでしょ。扉の修理はまた道場の経費で落ちるだろうけど、何かあるたびにお姉ちゃんは家を破壊するし……後片付けする私がいなかったら円藤家は家庭崩壊なんだからね」 「はいはい、オマエイイコイイコ……」 「感情がすごくこもってない!」 なんだかんだで、幸助がなんでこの家に来たのかもうわけが分からなくなってきた。とりあえず、望が扉の破片を片付けるというので、また奥座敷に通されて抹茶をいただく。マサキの入れてくれる香り高い抹茶を飲んでいるとほっとする。 なにか腹立ち紛れに、希が道場のほうにまでいって暴れたらしくて、道場が大騒ぎになっていたが、とりあえず幸助には関係なので放っておくことにした。いつものことらしく、ゆったりとした着崩した着物姿のマサキも、泰然自若とお茶を点てている。 「それで……催眠アクセサリーはうまくいったんだな」 「ああ、あれは使える。使い方も身に付けられたと思う」 「そうか……」 マサキはゆっくりと茶器を置き、抹茶を啜りながら悠然と微笑む。 「マサキには、感謝している。ルシフィアはあいかわらずだが、心は読み取られなくなったし、後始末も簡単にできるようになった、すでに外堀は埋められたと思う」 「焦らなくてもいいさ、いまはとにかく力を使いまくることで心を鍛えるしかない。限界を決めるのは能力ではなくて、それを扱う自分の心だということを覚えておけよ」 マサキが遠い瞳で見つめるのは、かつて自分が通ってきた道行き。 「ああ……肝に銘じておく」 「また来てくれ、まだ相談しなければいけないこともある。少なくとも、ルシフィアに対峙する前には必ずな……」 「出来るだけ早く、マサキが学校に戻れるように力を尽くすよ」 「フフッ……焦る必要はないのだが、たしかに学校に行けないと時間があまりすぎてちょっと困ってはいるんだよ」 「なにか、俺で役立てることはあるか」 「いや……そういうことじゃなくて暇すぎて家族がまた増えてしまいそうでな」 そうやって、着物の懐に片手を入れたままで茶を啜り、底知れぬ笑みを浮かべる畏友は、やはり幸助にはとても大きな男にみえるのだった。
幸助が帰ったあと、しばらくマサキは目を瞑り、黙考していた。そこに、ガラリと窓が開いて、庭から漆黒のゴシックロリータ姿の少女が入ってきた。一応、靴は脱いでから入るところあたりが折り目正しいが、黒ゴスロリに黒ニーソは、純日本家屋に恐ろしく不釣合いだといいきれる。 「富坂先輩の成長を急がせなくてよかったのですか」 「理沙か……幸助くんの護衛はどうした」 「自宅に帰るコースですから、平賀神社のほうには近づかないでしょう。今日の平賀芽衣子は神社で手伝いですから、もう監視は必要なしです」 少し不機嫌そうに佐藤理沙は答える。 「そうか、お前がそう判断するなら……」 「富坂先輩の成長を急がせなくてよかったのですか」 はい、大事なことなので理沙さん二度言いました。 話が長くなりそうなので、理沙のためにお茶を点て始めたマサキ。理沙はちょこんと前に、正座したので飲むには飲むのだろう。 「急がせたら育つものも育たないだろ……平賀芽衣子は気がつき始めているが、間に合わなかったら、ぼくが抑えて見せるよ」 「いい手駒になりそうな人材を潰してですか。正直、愚手としか思えません。そんなことなら、最初から平賀芽衣子と富坂幸助を接触させるべきではなかった」 自分の差配を愚手といわれては、さすがにマサキもムッとする。 「理沙……お前いうようになったな」 「私……こんな《監視役》みたいなのじゃなくて《策士志望》ですもん。アルジェ先生が暇なときに『マサキにそのうち必要になるからな』って言われて直々に『天才の一歩手前ぐらいになる軍師促成栽培コース』を受講しましたから」 自分の師匠の名前を出されると、マサキも分が悪いようだった。 「なんだ……その怪しげなコースは。悪かったよ、つまらない端役を割り当てて。でもいま幸助くんに気が付かれずに守れるのは理沙だけなんだからさ」 そうなのだ、幸助にはある程度気配を察知する力があるから、礼法を覚えた理沙でないと尾行しながらの護衛は無理だ。 「明らかに人材不足ですよね」 そういいながら理沙は、ずずーとお茶を啜りながら、非難げな目を向ける。 「分かった人材不足は、そのうちなんとかする」 「……鳥取家の人間を使えば」 理沙がそう小さく呟いただけで、さっきからやりこめられていたマサキから表情が消えた。 「あそこはぼくの自宅に近すぎる……後継者育成機関にするっていっただろ」 マサキがそう口にするだけで、ピリピリと空気が冷え切った。そんな雰囲気に威圧される理沙ではなかったが、マサキの気持ちには配慮はする。 「甘すぎ……甘すぎですよ。やっぱり、貴方は盤上の王がお似合いです。《指し手役》は私に任せてくださいね」 そういって、理沙は立ち上がって座っているマサキを抱きすくめるようにして、軽く接吻した。そうしてから理沙は、小さく口をあけてマサキの舌を自分の舌の先で転がすようにして舐める。お互いに抹茶を飲んでいたので、渋い味しかしなかった。 「んっ……そうやって、ぼくも手の中で転がしてやろうっていうのだろう理沙は」 理沙から口を離してそういうと、マサキは自嘲するように苦い笑いを浮かべる。本当は理沙の手の中で、ではなくて。アルジェ先生の手の内で、いまも自分は踊っているのではないかと疑ってしまったからだ。一人立ちできたと確信できる今でも、その疑念は拭えない。いや、拭ってしまってはいけない。 「あなたのためになるなら、迷わずにそうします」 そうやってマサキを抱きしめながら、熱っぽく見つめてくる理沙の目に嘘はなかった。でも、この娘の心を一度壊して、新しく創り直したのがアルジェ・ハイゼンベルグであるから。この娘の中にどんな爆弾を仕掛けていてもおかしくはない。 これが「信頼はしても、信用はしない」ってやつか。そうマサキは思考して。そして、その言葉すらマサキに教えたのはアルジェ先生だと気がついて、我ながら難儀なものだなとマサキは、口を拭った。 ぬぐった手ぬぐいに、理沙のつけている真っ黒い口紅がべっとりとついていた。マサキは、理沙にいざなわれながら、とりあえず《監視役》をさせるときはもうちょっと目立たない格好をするように注意しようと思うのだった。あと……黒ゴスロリは抱くときに、とても脱がせにくいから。
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七章下 |
マサキから与えられた、この催眠アクセサリーの効果を、幸助は山本姉妹で試してみることにした。ちょうど休日、時間を止めて、マンションに入ると姉妹はちゃんといた。 「せっかくの休みなのに……さみしいことだね」 自分のことを差し置いて、そんなことをいう幸助。ただ男っけがないのは幸助としては安心できる。とりあえず、小さなイヤリングの形状をした催眠アクセサリーを二人の耳に付けてみた。 一度、つければつけることを意識せずに付け続けるというのだが。 「とりあえず……時間を動かしてみるか」 幸助は、いつもの巨大なぬいぐるみの影にうずもれるようにして、隠れる。机に向かって勉強しているらしい、山本佐知にとても近い。様子がよくわかっていいのだが、いつでも時間が止められるという幸助でなければ、怖くて居られないような場所だ。 時間を動かし始めると、シャツにデニムだけというラフな格好の佐知は、ゆっくりと動き始めた。むき出しになっている腕からは、健康的な小麦色の肌がのぞく。いくら発展途上の胸とはいえ、ブラすらつけてないのはどうだろう。薄いシャツから、完全に乳頭が浮き上がってみる。 室内だからいいのか、客でも来たらどうするつもりだ。そんな馬鹿なことを考えながら幸助は息を潜めた。特に、イヤリングをつけたことによって変化はない。勉強に集中しているようで、時々小さく呻いて考え込んでいる。ルビーのような赤いイヤリングは、佐知の赤みがかかった焼けた短髪に良く似合っている。 「佐知、休みなのに精が出るわね……」 姉の麻美がコーヒーを持って佐知の机まできた、ぴっちりとした赤いスーツにタイトなスカートから、むき出しの太ももが覗くというセクシーな女性にしかできない、かっこいい服装なのだが、何故かその上にピンクのエプロンをつけるという台無しな格好をしている。料理でもしていたのか、それならスーツの上着ぐらい脱げと幸助は思う。外なのか中なのかはっきりしてほしいが、そんなチグハグな服装もスタイルのいい麻美が着ると、なぜか魅力的なものに見えるから不思議だ。 「姉さんこそ、デートはどうしたの」 そうやって佐知がいうと、麻美は舌をちろっと出してばつが悪そうな顔をした。 「あんまりつまんない男だったから、逃げてきちゃったわよ……私はあれだわ、いまは休男期なのかも。いまは男はいらないってね」 「なにそれ……まあ、姉さんはモテるからなあ」 そうやって、変な格好の姉のスタイルを羨ましそうに見る佐知。 「あんただって、可愛いじゃない。なんか急に女らしくなってきたし、あんたも彼氏でもできたんじゃない」 そうやって勘ぐる麻美。 「まさか……そんなの居ないよ」 「あはっ、結構本気で言ってみたのに、はずれちゃったか。コーヒー冷めないうちに飲んでね、それにもうすぐテストなんでしょ、たくさん勉強しないと私みたいになっちゃうわよ」 「アハッ……姉さんみたいになれるなら、喜んで勉強放棄するんだけどなあ」 そういって、佐知は控えめに笑った。彼女は、女性的な姉といつも自分を比べて、せめて勉強や運動ぐらいと、がんばっている。姉は姉で、自分にないものをたくさん持っている妹をひそかに羨んでいるのだが、二人のそんなかみ合わないところが姉妹の関係を上手くいかせているのかもしれなかった。
「……わる」 時間を止める幸助。とりあえず、催眠装置の効果を確かめてみることにしよう。佐知を抱えるようにして、ベットに運ぶ。佐知は、身体が軽いので運びやすい。短いジーンズと白いゴワゴワした子供っぽいパンツを脱がして、下半身をむき出しにする。 運動で引き締まった太もも、その先にある女性器はいまだに無垢なものであったが、何度も幸助が犯したことによって、ようやくこなれてきている。ゆっくりとそれに舌を這わせるようにして下準備していく。 「あいかわらず……爽やかな味だな」 オマンコに爽やかというのはおかしい表現だが、ちょっと酸味があって口の中が爽やかになるようなそんな味がする。成長途上で、過剰気味に運動しているせいか、それとも体質によるものなのか。 女性によって、味が違うというのも、幸助は最近になって気がついた。佐知のまだこなれきっていない小さな穴を、味わうようにして舐め取っていく。佐知の呼吸がすぐ荒くなって、熱い息を吐き出した。 若いせいもあるのだろうが、これで、佐知は性的な刺激に弱くて意外に濡れやすいのだ。舌がざわざわとして、幸助を興奮させる液体が次々とにじみ出てくる。吸えば吸うほどに、奥から次々と尽きせぬ泉のようで、女性の身体というのは不思議なものだ。 幸助の口元がドロドロになるぐらい濡れきったところで、すでに勃起しているじぶんのものを、そこに這わせるようにして挿入していく。佐知の穴は、幸助が最初から少しずつ少しずつ広げてきたものだ。自分の形にぴったりと合うように締め付けてくる、細い襞の中へぷっくらと膨れ上がった自分の物を押し込んでいく。 「あいかわず、締め付けがきついな……」 最近、ようやく一番奥まで入るようになったのだ。佐知の穴はもうジュルジュルになっているのだが、それでもいっぱいに突き入れると、まるで食いちぎられるような勢いで締め付けてくる。これは、佐知でないと味わえない感覚だが、きつすぎてすぐ射精してしまいそうに頭が熱くなる。 気をそらすように、幸助は佐知の乾いた唇に舐めるように吸い付いていく。まるで口の中を陵辱するように、舌を激しく絡めて唾液を交換する。時間が止まっていても、佐知の呼吸は激しくなっている。鼓動を感じる、幸助の腕の中でちゃんと佐知は感じて生きている。 シャツをもちあげるようにして、佐知のおっぱいを出す。薄い胸だが、触ってみるときちんと柔らかい。小さい乳頭でも、吸い上げるときちんとピクピクと痙攣して気持ちよがる。 「んっ……」 佐知から色っぽい息が漏れた。声を出しても、意識を取り戻すわけではないことはこれまでの経験で分かっている。止まった世界で、意識をもって活動できるのは幸助だけなのだ。ただ、幸助によってもたらされた刺激までがないことになってしまうわけではないということ。 佐知とするまでは、大きい胸ばかりに女性を感じて、貧乳なんてと思っていた幸助だが。薄い胸には、薄い胸なりの良さがあるといまは感じていた。刺激がダイレクトに伝わるし、自分の手でもいいように感じさせることができる。 「可愛いな佐知の胸は……」 結局のところ、佐知が可愛いだけなのかもしれない。ベットでの佐知は、抱く前に見ていたより何倍も可愛いと思う。最近、どんどん可愛らしさを増していくようなのだ。それは、近くに居る姉も感じたらしくて可愛くなったとはいっていたが。 佐知の肌は、健康的な小麦色をしている。ただ、日に焼けても黒みを増すだけでその瑞々しさまでは喪われているわけではないようだ。佐知の短い髪を撫でてやる、すこし乾いていてそよぐようで。それが心地よく感じる。 幸助に何度も何度も蕩けさせられて、身体中を弄られて、それでもどこか佐知は爽やかで健康的な、少女らしさを喪っては居ない。だから幸助は、佐知を抱くたびにスッっとする気持ちよさがある。 正常位で身体を押し付けるようにして抱きしめると、ビクッビクッと佐知の身体が震えた。佐知の目がトロンとして、黒目が増していく。イッてしまったのだ。時間停止の世界で、佐知に抵抗はないから、その身体はただ快楽を貪るためだけに動く。口が半開きになるが、それをだらしないものだとは思わない。 涎を、舐めるようにしてもう一度佐知に深い口付けをして口の中のものを吸う。深く淫蕩で、それでいて爽やかで。幸助も限界を感じて、腰の動きを早めていく。 「佐知……いくぞ」 「んっんっ……はっ……」 佐知は、またガクンッと身体を振るわせた。キュッキューと佐知の肉襞が、幸助のものを吸い上げるようにして痙攣する。 「出る……」 幸助は、ドピュドピピュ! とためらわずに佐知の中に欲望を吐き出していく。 幸助には、まるで自分の一物が別の生き物になってしまったよう感じた。ドクドクと佐知の中で鼓動するのが分かる。佐知のオマンコも、また別の生き物のように幸助の粘液をたっぷりと吸い上げていく。 性器はきっと、独立した生き物なのだ。子種を吐き出して、精を受けて妊娠するためだけの機関。その快楽に引きずられるようにして、幸助は今日も佐知の中に精液をたっぷりと吐き出した。 「ふぅ……」 さすがに、幸助も息をつく。佐知に与える最初の射精は、いつも長いものになるからだ。時間停止しているのでわからないが、たぶん一時間はたっているだろう。佐知を抱きしめて、抜かずにゆっくりとベットに寝そべる。すこし休憩だ。
しばらく、まどろみを楽しんでいた幸助であったが、立ち上がって佐知を下半身むき出しのままに、勉強机の前に戻して座らせる。下着とデニムはベットに置かれたままである。当然のごとく、その横には姉の麻美がいて佐知のほうを見ている。これは、実験にはちょうどいい環境だ。 「……かける」 時間を元に戻す。佐知は、先ほどの性的刺激の余波が冷めやらないのか、顔を赤くして熱っぽい息を吐きながらも、参考書に向かっている。 「馬鹿なこといってないで勉強しなさいよねー」 「んっ……うん、お姉ちゃん」 麻美は、自分の妹が上半身のシャツは先ほどのプレイで汗をかいて張り付いているし、下はむき出しになって股間から精液を少しずつ垂れ流しているという状況なのにもかかわらず、それに気がつかない様子で話しかけている。佐知も同様のようだ。 どうやら、マサキからもらった催眠アクセサリーの効果は完璧といっていいようだった。 麻美は、もう少し勉強の様子を見ていると、邪魔になるといけないからといってリビングへと降りていった。 佐知は、本当に気がついていないのだろうか、前にもまして勉強に集中している様子である。幸助は、少し観察して効果のほどは確かめられたと思った。だが、ここまできて麻美のほうはやらないという手もないだろう。 時間を止めて、リビングへと降りていく。リビングにはいないので、キッチンのほうを覗いてみるとやはりそこに麻美はいた。パスタと軽い添え物を作っているようだった。時間的には遅い昼食といったところだろうか。 たぶん、麻美は昼を食べるつもりでデートとやらにいって、それでご飯も食べずに帰ってきてしまったのだろう。どんだけつまらない男だったのか知らないが、ご飯も食べないで速攻で帰るとか相手の男が少し可哀想な気がした。 まあ、それもしかたがないかもしれない。赤いスーツをぴったりと着た、スタイルの良い肢体の麻美はどこからどうみても大人のいい女なのだから。ピンクでフリルのついたエプロンをつけてスープをかき回していなければであるが。 「どっちかにすればいいのにな」 可愛い格好か、かっこいい格好か、どっちかにすればいいのに。チグハグな格好が、まるで変なプレイみたいなことになっている。とりあえず、太ももに張り付いた短いスカートをたくしあげるとエンジ色の透け透けなパンツが出てきた。 「うあー色っぽい」 こんなパンツはいて、タイトなスカートで見えたらどうするつもりなんだろう。 「まあ、見えたらラッキーってことか」 可愛くても、かっこよくてもいいが、色気の塊のような女であることに代わりはない。山本麻美二十四歳、女の一つの盛りの季節がそこにはあった。後ろから、あえてパンツの股に擦り付けるようにして、腰を動かす。 「ああっ……この感触もなかなかいいな」 足をもっと広げて、後ろから突き上げてみる。パンツ越しなので、さらりとした感触が楽しめる。滑るような素材で、たぶんシルクかなにかだ。濡れそぼった幸助の亀頭を爽やかな感触で包み込んでくれるようだった。 幸助は、悪戯心を感じてパンツはそのままにして犯すことにした。さっと手でめくると薄いパンツはいとも簡単に麻美の肉襞を露呈させる。そこに、さっきセックスでたっぷりと濡れた亀頭を押し付けていく。 さすがにまったく濡れていないオマンコにするりと入ることはない。それでも、強引に入り口からこすり付けていくようにして押し込んでいく。幸助のほうがタップリと濡れていたからだろう、何回か突き上げるとにゅるりと奥まで入っていった。さすがに、濡れていない肉襞にピストンはきついのでそのまま入れたまま、濡れる前の襞の感触を楽しむようにした。 前から、まだ皮の向けていないクリトリスをこするようにして刺激する。 「んっ……ふっあ」 真っ赤な口紅を塗りつけた、小さい口をあけて熱い息を吐き出す麻美。高い声の佐知とちがって、麻美のトーンは少し低くてうちにこもるような声である。それが、隠微なアダルトさを幸助に感じさせる。 下の肉襞も、やはり佐知とは違う。それなりに広さも容量もあって、濡れてない状態で突き入れても受け入れる余地があった。締め付けは佐知のほうが高かったが、それは別にガバガバというわけではなくて、麻美の肉の柔軟さなのだろう。 後ろから、服越しに柔らかい胸を揉むようにしていると、少しずつだが麻美のオマンコも濡れだしてきた。まったくタイプが違うようにみえても、やはり姉妹だ。濡れやすいのは家系のようである。 胸を向くのは面倒くさいし、スーツが駄目になっても可哀想なので、尻を触ることにした。麻美は、胸もいいが尻のむっちり感やボリュームも素晴らしい。ムチムチで、しかも垂れていない尻から太ももにかけてのラインは、これ自体が自然が生み出した芸術のように思える。 日の当たる場所になんか出たことがないというぐらいに、白くて滑らかなお尻。麻美は、他の男ともセックスしたりするのだろうか。デートに出ているぐらいだから、逆にいま彼氏はいないのだろうが、それでもこれだけいい女だから他の男がほっておくはずもない。そう考えると、嫉妬を感じて幸助は突き上げる勢いを強くする。 「んっふっ!」 突き上げるたびに、きゅっと締め付けて前かがみになって息を荒げる麻美。幸助はそんなことにも構わずに、腰を回すように突き上げてじわじわと愛液を出してきた、肉襞の感触を楽しむようにしてピストンを繰り替えす。 さっき一発だしておいたから、結構無理が効く。他の男ともやってんのかな、やってないのかな。そんなことを麻美の白い尻を見ながら考えていると気持ちが高まってきて、幸助は思わず麻美の尻を軽く叩いてしまった。 血管が透けて見えるんじゃないかというぐらいの白い肌である。幸助が叩いたところが、少し赤くなってしまう。それを見て、またムラムラと興奮する。 麻美を覗き込むように顔を見る。きっと楽しく料理していたのだろう、笑顔のままで熱い息を吐いている麻美を犯す。 「なあっ……麻美、妊娠してくれよ」 あえて乱暴な言葉をつかって、麻美を攻め立てる。静まり返ってる時間、止まっている麻美はただ、それには答えずに笑顔で息を吐いてうつむいているだけだ。こういうのも悪くはない。 高校生で同級生の佐知は正直、孕ませてしまうのが可哀想な気がしている。普通に同級生としてクラスにいるんだし、最近よく話すようにもなっている。それでも、獣性にまかせて犯しているわけだが。 それにくらべて、麻美のこなれた身体なら、むしろ孕ませてしまうのが自然だろう。付き合いの多いらしい麻美を自分のものにするには、むしろ妊娠させてしまったほうがいい。そう考えているから、幸助はいつも麻美のほうに多く出してしまうのだ。 「出るぞ、妊娠しろよ……」 そうやっていいながら、下からグインッと腰を突き上げて射精する。麻美の子宮口にドピュドピュと白濁液がふりかかっていく。麻美の中で、ドクドクと自分の白い欲望の塊を吐き出してしまうと、麻美の腹を撫で回しながら、幸助は満足するのだった。 「今日はこのぐらいに、しておくかな」 催眠装置がこっちにも働いているか一応テストをしておかなければならない、手元にあった小さなビンがちょうど良かったので、するりと麻美の愛液と精液でいりまじったドロドロのオマンコの中に挿入する。 「おー、落ちない」 中々の締め付けである、香辛料かなにかが入ったビンを逆向きに差し込んでも、くわえ込んで落とさないのだ。見事であった。 スカートをたくし上げられて、パンツをめくられて、そこにビンを差し込まれて料理している麻美の光景は、幸助の征服感を満足させるものだ。部屋の影に隠れるようにして、時間を元にもどす。 「あとは……あれ」 体勢がちょっと前かがみになっていたのは気になったのだろう。自分の位置とかは性的なものとは関係ないので感知できるようだ。気を取り直したように、スープをゆっくりとかきまぜて、とろみをつける作業に戻る麻美。 もちろん股からは精液を垂れ流して、ビンをくわえ込んでいるままだ。すこし息が荒いのは、オマンコに堅いものが挟まっているからだろう。それは性的なものなので、麻美は感知できないでいるというわけだ。 「ふぅ……よし、これで完成っと」 パスタを茹で上げて、湯切りして皿に盛り付けた拍子に、股間に刺さっていたビンが抜けて、下に落ちてごろりと転がる。 「あら……どうしたのかしら」 スカートはまだめくれあがっていたままだが、下に落ちたビンに気がついたらしく持ち上げて、不思議そうに見つめている。 「落としたのかな……なんか濡れてる」 フキンで綺麗にふき取ると、麻美は料理にもどった。完璧に大丈夫そうだ、幸助はこのままこっそりと音を立てないで外に出る。この装置を使えば、もっといろいろ遊びができそうだ。山本姉妹の自宅からの帰り道、幸助はいろいろと期待を膨らませながら思案するのだった。
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六章下 |
「うっ……んぐっ!」 そんなふうに、自分の無力さをかみ締めていたところだったので、いきなり小さい手で後ろから羽交い絞めにされて、何かを叫ぼうと思って口をあけたところに放り込まれて飲み込んでしまったのはしょうがなかっただろう。 薬か何かかを飲んだときのように、球状の小さな粒が喉を嚥下していくのがわかる。 叫ぶのも忘れて、幸助は座り込んでしまった。 「すいません、毒じゃないですからしっかり飲んでください」 「飲んじゃった……なんか飲んじゃったよ」 幸助なみだ目。喉の奥まで手を突っ込まれたのだから当たり前だ。 「緊急事態につき、誠に失礼いたしました」 小さい子供が、見上げている。白衣に緋袴という異様な装束、巫女さんが着るような衣装をした小学生の女の子……が何故ここに。 そう思考してすぐに彼女は子供ではないと分かる。なぜなら幸助は彼女を知っているのだから。目を白黒させて口つぐんでいる幸助に向かって申し訳なさそうに話しかけてくる声も、妹的容姿、妹的な声であり、今にも「お兄ちゃん」とか言いそうだったが。当然、言うわけもなかった。 「私は、特進科三年の平賀芽衣子といいます」 「……名前は、知ってるよ」 巫女服の女の子というだけで、この学校には一人しかいない。魔王以上に有名人だ。幸助も去年、彼女が文化祭のときに体育館で祝詞を踊っているのを見た。いまは高三になっている、平賀芽衣子は吾妻坂市の西山に社がある平賀神社の一人娘だ。 社といっても、小さい森程度なのだが。そこには晩年に日本中を旅行して、旅先で没したという江戸中期の天才発明家、平賀源内の墓がある。 平賀神社は、彼を祭って建立されたという触れ込みの神社で、一応地元の学問の神様になっている。幸助も、受験前に行ったことがある。受験祈願のお守りと一緒に、源内まんじゅうとかも販売している、なんか宗教施設としての重みに欠ける神社だった。 ただ芽衣子が有名なのは近所の神社の娘であるということではなくて、この小学生に見える百五十センチに満たない小さな体格である。いや、体格だけではなくて、もう見た目がそのまま女子小学生なのだが。なんでも、噂に聞いたところ事故か何かで成長がそこで止まってしまったらしい。 小人症というのか、生まれつきそういう子供っぽくみえる大人を幸助も見たことがあるが、芽衣子はさらに稀なケースで、事故による後天的な脳機能の異変で成長が止まってしまったそうなのだ。 クリクリとした大きな瞳に、少女らしい光沢のある肌は、そういう病気というよりは女子小学生がそのまま高校に来ていると思いたいぐらいだ。 それにしても、彼女は本当に不老なのだろうか。その場合人間としての寿命はどうなるのか。興味は尽きないところなのだが、本人としてはこの体格でずっとやってきて苦労もあったのだろう、親しくもないのに聞けるような話ではない。 いくら家業が神社だからといって、巫女服を着用して校内をうろうろするなど許されないはずなのだが、黙認されていた。教師からはマサキ以上の特別扱いを受けている少女。彼女は、それもしょうがないかと幸助が見ても思ってしまうほどの可憐さを持っている。 明るく朗らかな性格で、小学校高学年の可愛い女の子にしか見えないのだから学内でも人気も高い。もちろん主に小動物的な意味であるが、一部の男子にはもっと特殊な需要もあるかもしれない。 特進科だから学業のほうも問題ないのだろう。だからこそ、多少の奇矯な服装や行動は、教師からは放置されているのかもしれない。普通科の不良たちもマサキがなんとかするまで放置だったし、いまさらながらこの学校の教師たちはいい加減というしかない。
「とにかく、時間がありませんので説明だけ先に。今飲ませたのは、封鬼の守りです。佐上ルシフィアの能力を減じさせる効果があります」 「そんな妙なものを……あっ、そうか、だから君だけはここに隠れていてもルシフィアに思考を読まれて見つからなかったのか」 もう急な展開にも、いい加減慣れてきた幸助だ。理解も早い。 「そうです、彼女の読心術は鬼の力です。そして、うちは元々陰陽師ですから。鬼を完全に封じるのは難しいにしても、減退させることはできます」 「ふむ……」 また、唐突で意外な展開だったが、ルシフィアの読心術を潜り抜けてみせたことで、幸助はその言葉を信じざるを得ないところだ。彼女がいうには、ルシフィアの能力というのは、鬼の力だという。だったら、幸助の時間を止められる能力も鬼なのか。 「いま、守りで奴の読心術を妨害できているのは私とマサキ様と、あなただけです。これ以上範囲を広げると、ばれてしまいますから。これはマサキ様に言わせると情報戦なのだそうです。鬼にばれたら、こっちが逆にやられてしまいます。私も高三で退学にさせられるとか、親が泣きますからね」 そういって子供らしくはにかむ。さっきルシフィアがいってた退学うんぬんの話も、隠れてちゃっかりと聞いていたらしい。 「ちょっとまってくれ」 幸助は、聞きたいことがたくさんあった。次々と新しい事実を出されて、思考も混乱の極みに達している。 「もう私は行きます。長居はするなというマサキ様の指示でした。もし聞きたいことがあるなら、神社まで来てください。あそこなら鬼の力も通用しませんから」 そういって、呼び止めるまもなく給水塔の裏に消えていった。あそこからどうやって帰るんだ……幸助が気になって追いかけると、給水塔の裏の側面に縄梯子がかけられて、三年の教室に降り立った芽衣子が、窓から縄梯子を回収しているところだった。 「なるほど……ああいう風にすれば、別に側面を登らなくても給水塔の裏に出られるわけか」 たぶん希もあそこから来たのだろう。いきなり、三年の教室から縄梯子で屋上に上がっていく二人を見て上級生たちが騒がないのはおかしいのだが。マサキが事前に催眠で違和感を感じさせなかったのかもしれない。そう考えれば、この事態はマサキにとっては予想外ではなくて想定内なのか。 この展開は、マサキの策なのだろうか。 とにかく、幸助は大人しく自分の教室に戻ることにした。自分がどう動くのかも決めかねたままで、この事態の急変は厄介すぎる。
「どうしたの、顔真っ青だよ」 「ああ……もう、どうしていいかわからなくてな」 自分の席にへたり込んだ幸助に、隣の美世がパタパタと下敷きで風を送ってくれる。ああっ、この娘は和むなあ。 「悩み事なら、この美世さんが聞いてあげようじゃないか」 そういって、楽しげに覗きこんでくる。そういえばこいつは人の厄介ごとに首を突っ込むのが趣味だったんだな。ある意味、美世の存在自体が幸助の悩みの一つなのだが、ぼかして聞いてみることにした。他者のアイディアも欲しい。 「もう、話が込み合いすぎて説明のしようがないんだが……自分のせいで起こった。友達と知り合いの喧嘩を止めたいんだよ」 そう、普通科に陣取っているマサキたちと、特進科のルシフィアが衝突してしまったのは、こっち側に居る幸助が、その微妙なバランスを崩してしまったからだ。自分のせいと言ってしまってもいい、幸助は責任を感じて何とかしたいと思うのだ。それだけは、混乱した頭でも分かる。 「うーん、それは難しい問題だね。『奴との戯事はやめろ』って間に飛び込むとか?」 「それ……恋人が死ぬうえに片方が宿敵になるフラグだろ」 美世に相談とか、我ながら弱っているなと幸助は思う。 「じゃあ、ウォークマンのボリュームを上げて部屋の片隅に蹲ってるとか」 「それもバットエンドじゃん……」 突っ込む気にもなれない。ただ、幸助は美世と話していると不思議と少し心が落ち着いてくる。 「じゃあ、『生きろ!』ってギアスかけてみるとか」 「おまえ……伏字なしで堂々とそんなこと言うなよっ!」 「じゃあ……」 美世は、著作権とかない幸せな世界に生きているらしかった。羨ましい限りだが、このまま続けさせると、この娘は何を言い出すか分からない。某企業の法務部とか、ジャスダックとか、いまは誰がどこで聞いているか分からない時代だ。 いろいろ怖かったので続けようとする美世を口を押さえてさえぎる。 「いや……ありがとう。参考になった」 「また、つまらない相談を解決してしまった……」 そう満足げに呟きながら、無邪気に笑っている美世が本当に羨ましい。この娘は何も知らないのだ、彼女だけはせめてそのままでいて欲しい。幸助は立ち上がる、いま彼に動く理由があるとすれば、せめてその程度のこと。時間を止めれば、まだ間に合うかもしれない。 「……わる」 急速に、音を失っていく世界。慌てずに、だが迅速に。世界が止まりきるのすら待たずに、幸助は駆け出していた。マサキとルシフィアがぶつかるとしたら、やはり普通科と特進科の中間地点……食堂あたりに違いない。
しかし、幸助は間に合わなかった。 駆けつけた、食堂近くの通路に複数の人影。 その真ん中で、マサキがぐったりと倒れていたのが見えた。
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五章下 |
ルシフィアに言われたことで、幸助は肩を怒らすようにしてここまできてみたが、こういう雰囲気に呑まれてしまって、なんだか肩の力が抜けてしまった。 「昼食がまだなら、一緒にどうだね」 手をあげて、そういうマサキに頷くしかない。 席につくと、きちんとメイド服の女の子が椅子を引いてくれる。 「ああっ……ありがとう……えっと」 「一年の佐藤理沙ですわ、富坂先輩」 そういえば、そんな名前だったか。 素直に席に座ると、白いナプキンが渡された。目の前に居るのに、音と気配がまったくない……マサキが面白がって気配を消して幸助に近づいてくることがあるのだが、それのパワーアップバージョンみたいな。ナプキンというのは、どうやって使うんだろう。汚れないようにするためのものだから、とりあえず膝に引けばいいんだろうか。 テーブルマナーが分からない幸助がキョロキョロしているうちに、メイドの娘はトレイから食器を取り出して、置いていく。スプーンとフォーク多すぎだろう。 「まっ……マジに前菜からか」 学校で、食器に盛られたサラダを食べることになるとは思わなかった。その間にも、理沙はスープを携帯コンロで温めている。学校で勝手に携帯火器もまずいとは思ったが、いちいちマサキたちに突っ込むのも疲れてきた。どうせみんなスルーしてるのだから気にしたら負けだ。 「食器は外側から使うんだよ……まあ適当でいいぞ。本当のマナーは食事を楽しむことだからな」 そういって手を広げて、いつもの鷹揚な感じを出すマサキに幸助もほっとする。 しかし、すぐさま理沙が横に居て耳元に口付けをするように何かをささやいた。さっとマサキの顔に影が走る。 「理沙は……仕える側にも最低限の礼節を求めるそうだ。面倒をかけてすまないが、なるべく食器を触れあわさずに、音を立てないように」 そういってマサキもまた居住まいを正したので、仕方なく幸助もシャキっとしなければならない。料理は普通においしかったのだが、微妙な空気のままで言葉少なく食事を終えた。 食事中、暇だったのでマサキと理沙の主従の関係を観察してみる。食器とこわごわと扱うスプーンやフォークが触れてしまって、軽く音をたてるたびに理沙に軽く睨まれながらだが。 幸助が見るところ、マサキは多くの女子を従えているように見える。だが、それはよく見ると、マサキの周りの女子は、自分のスタイルというか方針はきちんと守っていて、実はマサキのほうがそれに配慮して合わせているところがある。 マサキは、戯れに帝王学のようなものを幸助に話すときがある。主従のバランス、安定した支配のためには強引に押さえつけてはいけないというのだ。ルシフィアはマサキは人の心を操る力を持つといっていた。それなら、同じように人にはない能力を持っているのに、状況を完全にコントロールできているマサキと、力に振り回されている自分の違いはなんなのか。 それは、先天的に力を授かったものと、後天的に力を使いこなそうと努力し続けてきた人間の違いかもしれない。ルシフィアは、マサキを小人といった。だが、その友人すらも偉大なものに見えている幸助はもっと小さいじゃないか。
「佐上ルシフィアか……こっちを見ているな」 マサキは、そんな幸助の黙考を見通すように呟いた。幸助が壁側を見ているので、マサキは食堂の中心を見ている。そう指摘されて、初めてルシフィアの視線が背中に張り付いていることに気がついた。幸助は、気配を感じるのが得意だ。知っている人間が、こっちを観察している視線ならば察知することができると思っていたのに、言われるまでまったく気がつかなかった。 ルシフィアの視線を感じたときは、それは彼女が、ただ分かるように見ていただけで、気配を殺すことも出来るのかもしれない。あいかわらず、良いように遊ばれているというわけだ。 「マサキくんは、ルシフィアと知り合いなのか」 幸助が尋ねると、マサキは面白がるように笑った。 「ルシフィアと知り合いらしいのは、君じゃないのかな。ぼくは女とウナギは国産に限るとおもっているから、いくら美人でも海外産は好かないよ」 「そういう話ではないんだけど……」 そういって暗い顔をする幸助を、マサキは面白いものを見たように覗き込む。友達に覗きこまれているのはいいのだが、何故か隣に立っている理沙も一緒に幸助を覗き込んでいて、そうやって上目遣いをされるとなんかこうとても幼く見えて、幸助をさらに落ち着かない気分にさせた。 「ルシフィアは、読唇術を使うな」 顔を近づけて、マサキにぼそっと言われた言葉に、幸助の身体が可哀想なほど跳ね上がる。 「そんな、人の心が……読める人間なんて、いるわけにないだろ」 声が恐ろしいほど震えている。ルシフィアは、いまも二人の心を読んでいるはずだ、幸助がばらしたとなったら、どんな報復を受けるか分かったものではない。 「読心術……いや、幸助くん。違う、読唇だよ読唇、心じゃなくて唇のほう」 「読唇?」 「そう、ほらよくスパイ小説とかであるだろ相手の唇を読んで喋っている内容を聞き取る能力だよ」 「ああ……なんでそう思ったんだ」 「本当は、いま幸助くんが考えているみたいに読心術だと思ったんだがな、まあ完全に人の心を読めるなんて魔法があるわけはない」 「そっ……そうだな」 そうだ、そう考えるのが常識というものだ。 「ただ、それに似て非なるものならばある。異常に発達した視力などの五感によって、唇の動きだけでなく表情や動作で周りの人間の全ての情報を読み取ってしまう人間というのがたまにいるんだよ」 「ふむ……」 よく考えてみれば、ルシフィアは全てが分かるように見せかけただけで、そういう完全でない力の可能性だってある。そして、幸助よりは何倍も狡知に長けるマサキが彼女の力をその程度と見積もっているということ。 「そういう特別な人間は、たとえば預言者とか占い師とかになって、大統領のプレーンになって国を動かしてるような奴もいるそうだぞ」 「それはすげえな」 マサキが面白い冗談を言ったように笑ったので、幸助もつられて笑う。高校生の男の子は、そういう大きな法螺話が大好きだ。違いがあるとすれば、二人とも本当にそういう特別な能力を持っているということだけ。 「まあ……だからできれば、敵に回したくはないんだけどな」 そういってマサキは、真面目な顔をして声を潜める。もしかすると、マサキのほうが正しいのかもしれない。ルシフィアのいう読心術も、完全な力があるわけではなくてどこか穴が開いているかもしれない。そういう小さな可能性だけは心にとどめておこうと思った。 「ああっ……ルシフィアは別に俺の敵じゃないからな」 それだけは友達にいっておこうと、幸助は強調しておいた。自分の友達が、ルシフィアと争われると幸助は困るのだ。 「それは、本当かな……」 マサキは、静かに確認する。それはいいのだが、横で理沙も真面目そうな顔で一緒の動作をするので、幸助は噴出してしまう。表情の乏しい女の子だと思ったけど、結構面白い娘なのかもしれない。 「うはっ……ははっ、本当、本当だよ。だから大丈夫、心配してくれてありがとう」 「うむ、安心した。彼女に対する、君の反応がおかしいから脅されてでもいるんじゃないかと思ってたんだ。だが困ったらいつでも言えよ。あの女だけじゃなくて、ぼくたちにだって特別な力はある。そうだ、いまから見せてやろう……」 それは、人の心を操る力というやつだろうか。とりあえず「目を瞑れ」と言われたので目を閉じた。何かされるんじゃないかとか、心配はしない、幸助は友達を信用している。安心に眼を閉じて、幸助の世界が暗闇に覆われる。 「幸助くんは、妙に気配に鋭いところがあるよな」 そうやって、マサキは静かに声をかける。目を瞑っていても、幸助には分かる。目の前のテーブルにマサキは座っている、隣に理沙が立っている。 「ああ……」 たしかにそうだ、こうやって目を瞑っていても幸助の耳には食堂の喧騒が聞こえ、どのテーブルにどれだけの人が据わっていて、誰が歩き回っているかなんとなく分かる。 きちんと意識さえすれば、目で見なくても、いま後ろのテーブルで、たくさんの友達に囲まれて談笑しているルシフィアの姿だって手に取るように把握できる。 「じゃあ、ぼくたちの姿はわかるか」 そういった途端に、マサキと理沙の気配が消えた。 怖くなって、思わず目をあけると、何の感覚もなかったのに。目の前に理沙がいて、その細い腕がテーブルナイフを幸助の喉に突き当てていた。 「うあぁ!!」 思わず、仰け反ろうとしたら後ろにマサキがいて幸助を羽交い絞めにしていた。さっきまで何の感覚もなかったのに、がっちりと関節を固められている。 「ふふっ、こういうわけだよ」 「なんだこれ、暗殺拳か、何か……?」 幸助の頬をダラダラと伝う冷や汗を、ナイフを机に置いた理沙がさっとナプキンで拭いてくれる。 「実はな、これは西洋で発達した礼法ってやつでな」 「礼法?」 「まあ簡単に言うと、宮中とかでメイドや執事が音を立てないように床を歩いたりする技術だ、理沙が好きで覚えたんだが」 「ふむ……」 ただの使用人の作法も、うまく使うとこんな暗殺拳みたいになるってことか。 「だから……んがっ」 マサキが言おうとする口を、後ろから理沙がナプキンで押さえた。おいおい、それは幸助の汗を拭いたナプキンなんですけど……理沙さん? 「だから……富坂先輩もきちんとテーブルマナーを覚えてくださいってことです。さっきの食事の仕方では、合格点はあげられません」 笑顔でたしなめられてしまった。とても小柄な理沙なのでやっぱり迫力不足。幸助が椅子に座っていても見上げなくていい目線だから。でも、素直に謝ったほうがよさそうだ。またナイフを喉につきつけられても嫌だから。 マサキが言いたいことは言われなくても、幸助にはわかった。何度も言われていることだから。 だからルシフィアにも対抗できると、困ったら自分を頼れといいたいんだ。この周りの評判は最悪だけど、本当はすごく気のいい男は。そういってくれる友達が一人いるだけで、もう幸助はルシフィアに負けていないのかもしれない。きっとそのような思考もトレースしているであろう彼女の意図など、もう気になりはしない。だから、先ほどまで感じていた憤りがスッと消えた。
そうしてまた、学校帰りに山本姉妹のところに通う。通い妻というのは聞いたことがあるが、通い夫というのもあるのだろうか。佐知と麻美の、一番奥をこするようにして、欲望のたぎりを吐き出すだけで、何かこう頭の芯が真っ白に漂白されて、憤りがすべて抜け出てしまう快楽。 中で出すのはいい加減やばいと思いつつも、その快楽は自分で止められるものではない。
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四章下 |
ようやく放課後、美世に挨拶だけしてすぐさま帰宅する。今日は一緒に帰るとは言ってこなかったので、心配は昨日だけのことだったのだろう。少しほっとしたような、残念なような。校舎から出て、ふと視線を感じて屋上を見上げるとルシフィアが居るのが遠目に見えた。 「あいつは、あそこが所定位置なのかな……」 距離が遠いので表情までは見えないが、視線を感じたということは、やはりこっちを見ているのだろう。ためしに頭のなかで「バイバイ」と思考してみると、なんかものすごい勢いで両手を振っているのが見えた。 「なるほど、この距離でも相手の思考が分かるわけか」 どれぐらいの距離まで可能なのかは分からないが、この分では学校の中でのことなら彼女は全て分かるのだろう。やっぱり、学校の中では駄目だな。お楽しみは学校の外でということだ。
駅で電車を待っていると、女の子に声をかけられた。 ちょっと日に焼けて赤茶けた感じの焼けた髪に、健康的な小麦色の肌。やや胸は発展途上で残念な感じではあるが、スラッとしたタイプで顔も整ってるし、明るい活発な雰囲気。同じクラスの山本佐知だった。 「富坂くんじゃん、そういやさー君、お昼休みに希と話してたでしょ?」 「えっ……えっ、ああ、うん」 同級生が居るなとは思ってたんだが、美世以外の女子に声を駆けられるとは思ってもいなかった。時間停止の初めての日のあれがなければ、名前も記憶してなかったと思う。相手は、ちゃんと幸助の名前を覚えていたらしい。普通はクラスメイトの名前ぐらいは覚えているものなのかもしれない。 「私も陸上部なんだよね、部活の後輩だからさ。どういう関係なのかなと思って」 「ああっ……友達の知り合いって感じかな」 「そうなんだ、いやぁーあの娘、悪い子じゃないんだけど寡黙っていうか、余計なこと話さない子だし。それに、男にあの娘から話しかけてるの珍しいなと思って」 そういって、興味深げにこっちを見てくる。そうか、もしかしたら希の男友達じゃないかと思ったのかもしれない。 友達というのは含みをもった言葉で、本当の友達ならありえるが、ボーイフレンドとしてならあんな美人と凡庸な幸助は釣り合いが取れているとは言いがたい。だがそれが、逆に興味を引いたのかもしれない。 結局、佐知とは同じ方向の電車に乗ることになり、話していた手前一緒にいることになって手持ち無沙汰でもあるので幸助からも聞いてみた。 「今日は陸上の練習はないの?」 「あっ、うん部活も休みの日はあるよ。それでも、候補選手の希とかは自主練してるだろうけどね。私はスポーツ推薦使えるほどできないから……まあ勉強も頑張らないといけないわけでね」 そういって、小さく舌を出して笑う。特進科の授業についていきながら、運動部も両立するというのは口で言うほど簡単なことではないだろう。勉強する時間も限られてくるわけで、偉いなと思う。 今日も飯野駅で途中下車する幸助であったのだが、佐知も一緒に降りてきた。 「あっ……」 「あれ、富坂くんも飯野だっけ?」 「いやっ、俺はちょっと用事があって途中下車」 「ふーん、私の家ここのマンションだからさ」 まさか、飯野で降りるとは思わなかった。少し運命的なものを感じる。幸助は、しばらく飯野を自分のテリトリーにしようと考えていたのだから。 そうして、山本佐知がそこに住んでいるというのなら、それはもう幸助のテリトリーの中にいるということなのだ。 駅前で「じゃね」と別れる。警戒もなく、佐知は歩き出していく。少し距離を置いて、後ろからついていく幸助。まるでストーカーだ。 もちろん無理はするつもりはなかった、むしろちょっとした遊び。運試しをしてみたい気持ちといったらいいか。正直なところ同級生を襲う対象にするというのは幸助にとっても、多少の罪悪感もあったから。 マンションは駅前からすぐだった。入り口は透明の二重扉になっている、最近は警備が厳しいのだ、佐知が入り口に入ったところで時間を止める。郵便受けで確認したら、山本は一軒しかなかった。五階だ。そうして、そのまま回り込んで外の非常階段から五階に入れてしまう。 五階の通路の影で、時間を元に戻した。やがてエレベーターで佐知が自宅前にやってくる。鍵を開けたところで、また時間を止めてみる。別に計ったわけでもないのに、見事なタイミングで、ちょうど扉を開けて入ろうとするところだった。 「これは、しょうがないよな」 運命なら、逆らうべきではないのだろう。幸助の自分勝手な言い分だが、佐知はそういう運命だった、ということなのだ。 ためらわずに、マンションの部屋の中に入っていく。 「もしかすると、佐知は一人暮らしなのか……」 一人では大きすぎる、家族で暮らすには少し小さすぎる3LDK。一階に、結構高級そうなソファーと、でかい薄型テレビが鎮座している。シンプルだが、柔らかい色彩の壁紙。高校生の女の子の部屋とは思えない、とても落ち着いた雰囲気だった。 二階は、ロフトになっており、でかいベット鎮座しているのでそこが佐知の寝室らしかった。 「うわ……けっこう意外」 一人で寝るには、大きすぎるダブルベットだが男と同棲でもしてるんじゃないかと疑う必要はないかもしれない。その約半分を熊やライオンなどのぬいぐるみの小山が占拠していたからだ。女の子の部屋にぬいぐるみがあるのはおかしいことではないが、大小あわせて百体近くあるのはちょっと買いすぎじゃないだろうか。なぜかぬいぐるみはそのほとんどが大きな猛獣系で、そこらへんが佐知らしさなのかもしれない。 そのぬいぐるみの間にすっぽりとはまり込むようにして隠れてみる。 「あー、けっこういい塩梅だなこれは」 ぬいぐるみが肌に触れる感覚は、けっこうサワサワして心地がいいものだった。もしかすると、こういう用途で造られてるのか抱き枕みたいな感じで。佐知もこうやって寝ているのかもしれない。そう思うとなんとなくいい香りがするような気がした。 「かける……」 時を戻す。 「あー疲れたなあ、もう」 そんなこと言いながら、何故かロフトに上がってきてベットの目の前まで来る。やばい気が付かれたかと一瞬思ったが、そうではないらしい。鼻歌を歌いながら、わざわざ幸助の目と鼻の先で着替えを始める。 薄紅色のスカーフに淡いグレイの制服、進学校だからしょうがないのだが、あまり女子にデザインの評判がよろしくないそれを、ぱっぱと脱いでベットに放り投げる。 下着姿になって、ベットに寝そべった。佐知の頭の位置が、もう思いっきり幸助の隣にある。佐知は、ただだるくて寝そべっただけなのだが、それに無言の圧力を感じて幸助は力を発動。 「……わる」 時間停止、止まったのを確認してからゴソゴソとぬいぐるみのなかから姿を現す幸助であった。 目の前には、下着姿の佐知。 「スポーツブラ……ってやつか」 幸助は目を疑った。高校にもなって、青いスポブラって。小学生がつけるものじゃないのか。 「まあ、おっぱいも小学生サイズだしな」 佐知は、辛うじてAカップであった。ある意味、希少価値といえた。ショーツも青いスプライトの入った軽くて子供っぽいものである。ただ焼けた小麦色の肌はテラテラと輝いていて、魅惑的過ぎた。ほとんど、意識せずに魅力のないブラとショーツを剥ぎ取っていく。 それは幸助にとってとても自然な行為のように思えた、幸運の女神に背中を押されるようにしてここまできたのだから。そうして、自分だけが許されている時の止まった世界の万能感が罪悪感や抵抗を完全にねじ伏せてしまい、幸助の欲望を加速する。 気がつくと、つい力を込めて佐知の身体を抱きしめてしまっていることに気がついた。慌てて、手を離す。あたりまえだが、佐知は大人しいものだった。痛みも感じないのだから。髪を撫でる、まるで太陽に触っているような、暖かく思ったよりもサラサラとした軽い頭髪。 「悪くはないな……いや、いい」 佐知の身体は幸助より、小柄で抱きやすい。その上で、適度に筋肉もついて引き締まっていて、ちゃんと女の子の柔らかさを十分に感じさせる。張り詰めた弓のような、しなやかな身体だった。 十七歳の少女の身体。砂糖を焦がしたような香りが、佐知から漂ってくる。カルメラ色に日焼けした肌はどこを触っても滑らかでそれが幸助を夢中にさせる。 気がつくと、小さい胸を揉みしだき、身体全体を嘗め回す勢いで舐めまくっていた。小さい胸に、申し訳ない程度に張り付いている乳輪も嘗め回す。 「はあっ……」 立ち上がった乳頭に噛み付くように吸い付くと、佐知は小さく声をあげた。 面白いようにピクッ!っと震えて、幸助の身体がこわばる。 暫しの沈黙、裸の佐知を抱いたままで、固まる。 「怖いなっ……ふぅ……」 時間は止まったままだ。安心する。前にもこれぐらいの声がでることはあったじゃないか。きっと、声ぐらいは出るのだろう。佐知は、意識を取り戻したわけではない。こちらを認識しているわけではない。落ち着け幸助。 少し頭が冷えた幸助は、自分も制服を脱いで裸になる。自分の全身で、佐知を感じる。佐知の身体を確かめるように、全身に触れていく。 痛いほどに勃起したものを佐知の身体に、こすり付ける。 「どうなんだろうな」 佐知は性経験があるのだろうか。あるとないとでは、大変さが全然違うはずだ。 さっき乱暴にはずした青いスポブラが目に入る。 「これはないよなあ……どう考えても」 ベットに身体を押し上げて、股を開くようにして佐知のオマンコを覗き込む。産毛のような薄い陰毛に、ほとんど縦スジを押し開いていくと、薄いピンクの肉襞が覗く。そうして、その奥。 指で触るのも可哀想なぐらい儚いものであったので、そっと舌で押し開いていく。ちょっと苦い味がする。口当たりは悪くない。まるで、バターを舐め取る犬のように一心不乱に舌でなめまわして押し開いていく。 処女を知らない幸助にも分かるぐらいに、それは未通であった。本当に自分の屹立したものを受け入れられるのか不安になるぐらいに。 それでも、やっぱり高校二年生だ。舐めて舐めて、むき出しになったクリトリスを舌で弄んでいるうちに、佐知の穴は少しずつ開き始めてくる。少しずつ、奥まで舌を入れられるようになってきた。 最初苦かった味は、次第に甘酸っぱい独特な味が染み出してくる。舌に、肉襞を絡めるようにして、さらに奥へ奥へと挿し開いていく。 「これだけ濡れれば……いいかなあ」 血が出るかも知れないと思った幸助は、佐知のお尻の下にバスタオルを引いて準備完了だ。幸助のものも準備完了しすぎて、もうすぐに射精してしまいそうだ。 腰を押し付けて、強引に押し込んでいく。 佐知の処女膜は、メリメリと音を立てるように押し開かれる。 「いっ……」 佐知の目から、涙が一粒こぼれた。苦悶の表情を浮かべて呻く、余りにも締め付けがきつすぎて、それに幸助が気づくことはなかった。 「これはっ……なんというかきついな」 気持ちよくはあった、むしろこなれたオマンコよりも締め付けは厳しくまるで隙間なくぴったりと幸助のモノの形に広がっていく。 「ふぅ……」 ようやく、一番奥まで挿し入れることができた。ここまで入れるので、一汗である。 スッと、接合部から血が一筋流れる。破瓜の血というものだ。 痛みに顔が歪んでいるだけで、少し痛みに呻くだけで、積極的な反応はなにもないので、処女に対する配慮もなにもない。 処女のこなれていない膣をえぐるように、押して引いて押して引く。ただ、自分の快楽のために、腰を振るだけのことだ。 「うっ……そろそろ出る」 ドロドロと、なんの容赦もためらいもなく、同級生の膣の中にたっぷりと白濁液を吐き出して、汚し回ったのだ。本能の趣くままの暴挙だった、乱暴だった、乱暴すぎた。 幸助はいささかの興奮状態にあるとはいえ、いくらなんでも昨日まで童貞だったような男が出来る所業ではない。 ドクドクと、自分の遺伝子を佐知の中に吐き出してしまってすっきりしたあとで、少し頭が冷静になる。 自分でも、なぜここまでひどいことがやれてしまうのか不思議だった。しかも相手は行きずりの女じゃないのだ、同級生なのだ。俺は良心が傷つかないのかと自問する。答えはない。 しいてある、タオルを取って、接合部から流れてくる自分の精液と処女の鮮血と愛液が交じり合ったピンク色の粘液をふき取っていく。 「これは、ちょっと後始末しないといけないかな」 とりあえず、痕跡がなるべく残らないようにオマンコの中を部屋にあった麺棒などで掃除する。とりあえず、当面わからなければいいやって程度に。 濡れタオルで、一応汗もぬぐってやると、佐知に下着を着せる。自分も服を着てまたぬいぐるみの山の中に隠れる。 「かける……」 どうなるか、観察しようと思ったのだ。無数のぬいぐるみにまぎれて、疲労感に少しぐったりとしながら、観察する。 「あっ……わたし」 なるべく元の位置にもどしたつもりだったのだが、まるで気を取り戻したように声をあげて身を起こそうとする佐知であったが。 「……いいっ、いいっ!!」 もはや痛いという声もまともにあげられないほどの激痛を感じて、お腹を押さえて蹲った。 「なにっ……お腹いたい、私……病気……かな……」 佐知はかぼそく呻く。生まれて初めて味わう痛みに深い恐怖を味わう。ポロポロと泣き出していた、痛くて痛くて、それでも、それはなにかそれだけではないような。自分が何かとても可哀想なような女の子になってしまったような。そんな「自分が可哀想」という気持ちで、深い自己憐憫に包まれていた。 「どうしたんだろ……痛いし……わた……し」 あとはもう、声にならないか細いうめき声をあげて、弱々しくのたうつだけだった。
助けることもなく、こうやって苦しむ姿をただぬいぐるみの中に潜みながら見ている幸助はいったいなんなのだろう。 罪悪感なのだろうか、それともどういう結果が訪れるのかという好奇心に過ぎないのか。そのどれとも着かない複雑な感情を抱えながら、ただ確かに分かっている自分の心は、快楽の果ての心地より疲労と、腰に漂う余韻を感じているということだけだった。 佐知の体臭が仄かに匂う、ぬいぐるみに包まれながら、ただ苦しむ佐知にひっそりと寄り添うだけで幸助は残酷にも満足を感じていた。 自分でもやりすぎだとわかっていたのだが、悪魔的な快楽は自分を塗りこめて行く。
そのとき、鍵を開ける音が聞こえて、マンションの扉が開いた。 「ただいま……佐知かえってきてんのー」 玄関から聞こえて来たのは若い女性の声だった。 ドタドタと、ロフトを昇ってくる。 その姿を見て、幸助は思わず叫び声をあげてしまいそうになり、手で口を押さえて声を押し殺した。 やってきたその娘は、昨日スーパー銭湯で抱いた風船おっぱい女だったからだ。 「お姉ちゃん……」 お腹を押さえながら、苦しげに佐知は小さく呟いた。 「どうしたの佐知……下着で」 「私、お腹が急に痛くなって……身体も変だし……私……」 「うあー、大丈夫具合悪いの、とりあえず服を着なさい。 佐知の姉らしい風船おっぱい女は、さっさとTシャツと短めのパンツをクローゼットから取り出して佐知に着せる。それが佐知の部屋着なのだろう。 「うう、ありがとうお姉ちゃん」 「私が、早く仕事あがってきてよかったわー、病院行く? 救急車呼ぼうか?」 「んっ……そこまでじゃないから、少し痛みも収まってきたみたい」 「お腹痛いのは……悪いものでも食べた?」 「いや、そんなことはない……」 「じゃあ、急な生理痛かなにかかしらー」 「それも、まだ先のはずなんだけどね」 巨乳と貧乳、正反対でもどこか似通った面影の姉妹は、そんな会話を続けている。幸助は、耐え切れなくなって、時間を停止させた。
「ハッ……ハハッハハハハハハハハハ!」 ぬいぐるみの山から飛び出して嘲笑をあげる。佐知は寝そべり、昨日幸助が抱いたその姉は心配そうに佐知を見つめていた。なにか、面白くてとてもおかしかったのだ。 ゆっくりと、風船おっぱい女の胸を掴む。昨日といっしょで、やけに柔らかくて優しい胸だった。それを乱暴に揉みしだくかきむしるように乱暴に。 ふと、女が横においたカバンに気がついた。無言で、カバンに手を突っ込むと。鍵が出てきた。きっと、さっき鍵を開けてすぐカバンにつっこんだのだろう。 「これ、マスターキーだよな」 マークが入っている鍵が、マスターキーだと聞いたことがある。とりあえず、外に出ると表札を見る、姉の名前は麻美だった。 「ふぬ」 止まった世界を幸助は歩く。マスターキーならスペアーキーを造ってもらえると聞いたことがある。駅前のビルには、たしか鍵屋もあったはずだ。 やはり、運命なのか。そうであれば、このまま突き進んでみよう。そう考えた幸助にそうだと返事をするように、夕日に反射して鍵はオレンジ色に光を放つのだった。
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第三章下 |
来て本当によかった。幸助の一生で一番忙しい一日。その一日の終わりをこういう風に迎えられるなら悪くはない。 その幸助にとっての、幸運の女神は、ちょうど入り口近くの洗面台で身体を洗っていたらしく全身を泡だらけにしていたのだった。やはり最初に目に付くのは特徴的なおっぱいだ。 風船を限界にまで膨らませたようなおっぱいといえばいいのだろうか。おっぱいそれ自体が独立を主張しているかのように極度に飛び出ていて根元でくびれている。その大きな風船のような巨乳の三分の一ほどの巨大さに淡いピンクの乳輪が張り付いており、乳頭は完全に陥没していた。胸に張り付いたようなおっぱいしか知らない幸助にとって、こんなおっぱいがありうるということが衝撃だった。 顔は、美人というほどではなく、可愛いというのともまた違う。頬は柔らかそうで、厚い唇は魅惑的だった。幸助はただ「引かれる」と感じて彼女を求めた。それは、男好きする顔とでもいうべきだろうか。女性らしい容姿、いや雌らしい容姿といってしまったほうがいい。 ほっそりとした腰つきも、なめかましいお尻の曲線も、見事に男に愛されるべき女をやっていた。 女風呂には他にも数人の女性客がいたが、もうこの段階で幸助は彼女しか見えなくなっていた。気がつくと、もう自分の一物は抑えきれないほど勃起していて自分の腹にくっつくほどおったっている。こすればそのまま何回でも射精してしまえそうだった。もちろん、そんなもったいないことはしない。
男子高校生の生理というのは、これで繊細なものだ。性欲が鬱屈しているということもあるのだが、それだけではない。性に対する幻想と現実が頭の中で混濁して、意外にもセックスに綺麗なものを求めていたりする。 幸助も少年を脱しかけて、男になろうとしている年頃だった。童貞を切るというのは、自分の古い殻を脱ぎ去るということに違いない。ほんのついさっきまで、「初めてのセックスは好きな人としたい」という欲望で、自分の性欲を押さえつけることができていた。それが、目の前の泡だらけになっている風船おっぱいをみて、それが出来なくなってしまったのだ。 それでは、目の前の男好きをする女性に幸助が恋をしたのだろうか。それは、結果としてはありうるかもしれないが、今この段階においてそれはない。やはり、それはただの性欲であり、子孫を残していきたいという、生き物としての本能の滾りだった。
もう衝動的に、襲い掛かっていた。思ってやったことだが、思わずといいたいほど自然に後ろから胸を揉みしだ居ていた。 「うあぁ……」 思わず声が漏れた。違いすぎる。あくまでも服の上からだが、幸助は今日クラス全員の女子の胸を揉んでいる。如月先生も揉んだから、大人の女性の巨乳だって揉みまくってる。それは、マシュマロのように柔らかい、それはそれで胸を熱くさせる素敵な感触であった。 だが、この泡立てられた風船おっぱいの揉み心地はどうだろう。柔らかい? プニプニする? そんなぐらいで感動していた自分が馬鹿らしく思えるほどの素晴らしさで思わず笑ってしまった。 だってこのおっぱいは、この手に掴めるのだ。 思い出したのは、ホルスタインの乳搾りだ。そう、この乳の括れは『私の乳を搾ってください』といわんばかりに、幸助の手にジャストフィットしている。 押し付けたり、締め付けたり、ねじってみたり、石鹸の泡がついているのでよく滑る。幸助は、一心不乱にしごき続けた。おっぱいの中から、本当に乳を搾り出せてしまうのではないか。それぐらいの勢いでもみ続けた。 「やばいな……」 本当に乳が出てしまったのではないか、そう思って確認をするために手は乳から離さずに前に回りこんで見る。力をかけたら、弾力を保ちつつも、無限の柔軟性を示すおっぱいに感動しつつ、その大きすぎる乳輪の先を見つめると。 何かの奇跡のように、陥没していたはずの乳頭が刺激を受けて、立ち始めるところだった。今度は少し浮き上がってきた乳頭を、必死にこねる。陥没した中にはきちんとコリコリする乳首が隠れているらしく、それを指で指でひねり出すように扱く。 「……でかい」 陥没した乳頭があるのは、なんとなく知っていたが、みんなこんなに大きな乳首を隠しもっているものなのだろうか。 乳輪の色と一緒のように薄くて、可愛く飛び出してきている乳首に思わず吸い付いていた。微妙に石鹸の苦味があったが、それにも構わずに一心不乱に吸う。 そうなのだ、おっぱいは吸うものだったのだ。 吸い応えのあるコリコリした乳頭の真ん中には小さな凹みがあって、きっとここをがんばって吸い続けていたら甘い乳が出てくるのだと信じられた。 もちろん、妊娠なんてしていないだろうから、乳など出てこないのだけど。 それでも、前から抱え込むようにして吸っているうちに、大きな満足感と共に少し満足して頭が働くようになってきた。 「はぁ……」 幸助は何かというとため息が癖なのだが、幸せだからこそでてくる満足のため息を久しぶりに吐いた気がした。 時間が止まった時の女は、まるで意識を失って眠ったような感じだった。おっぱいを弄るたびに、息が荒くなるし、興奮させれば頬も染まる。本当に強い刺激を与えたら、目を醒ましてしまうんじゃないかと怖くなるほどだ。
ここで射精するまで、犯しつくしてもいいのだが、不意に動いている彼女を見てみたくなった。女風呂の全体を確認する、アジアンテイストというかアマゾンテイストを出したいのか、生い茂った観葉植物を区切りにして、真ん中に洗面台が並び、温泉っぽい浴槽が種類別に三つ、ジャグジーが二つ、サウナと水風呂が一つという構成である。 風呂に居る人間は数人であり、清掃職員の姿も見えない。グルグルと回って確認してみたが、この真ん中の観葉植物の茂みの影に隠れれば、とりあえずは隠れられそうだった。わざわざ覗きスポットを作っているわけではないのだろうが、好都合な構造である。 十分に注意して、身を伏せると時間を動き出させた。 「かける……」 ゆっくりと、スロー再生のように彼女が動き始める。それまで気にならなかった、湯気がモクモクと流れ出してきた。時間と共に、大気の環流が始まったというわけだ。風船おっぱいの彼女は、なにやら胸を強く押さえて立ち上がると、キョロキョロと周囲をうかがった。 「やべ……」 向こうから見えないと分かっていても、思わず深く身を伏せる。 やっぱり、時間停止中にやった行為もそれなりに後が残るようだ。その点は、気をつけてやらなければいけないな。 彼女は、ため息一つつくと気を取り直したようにボディーソープを付け直して、身体を洗い始めた。こっちが弄るのもいいが、自分で洗っているのを見るのも趣き深いというものだ。名前も知らない女だが、もはや自分のもののような気がした。 そうやって、楽しんでいるうちに身体を流し終えた。身体を洗って、それで上がる人はあんまり居ないはずだ。きっと身体を温めなおしに、浴槽に行くだろうとは予測していたのだが。 「しめた、ジャグジーに入るぞ」 ジャグジーは、一人用の泡風呂である。寝そべって強い泡を全身に浴びることによって血行がよくなる効果があるそうだ。小さめのスーパー銭湯でもたいていはどこも設置してあるものだが、普通の浴槽に行かれるよりも格段に都合がよかったのだ。 なぜなら、激しく噴き上げる泡で多少の痕跡なら消えてしまうだろうからである。 遠目に、ジャグジーにゆったりと浸かって気持ちよさそうにする彼女が見えた。 「……わる」 幸助は多少の疲労感など、興奮で吹き飛ばすように力を発動する。おっと焦りすぎはいけない、女湯で頭を押さえて転げ回るわけにいかないからな。ゆっくりと、空気が張り詰めていき環流していた湯気が動きを止める。それが、時間の停止を確信させる。 「よし」 ゆっくりと、風船おっぱいの女に近づいていく幸助。 「恨むなら、わざわざジャグジーを選んでしまったその身の不幸を恨むのだな」 普通の浴槽なら、そこまでいかなかっただろうに。やはり、ここで幸助に出会ってしまった彼女は不幸で、今日の幸助には幸運の女神がついているようだ。 幸助は、もう高まった期待と興奮でそんなもの見ていないのだが、止まっている泡風呂というのも中々壮観な眺めである。泡の空気玉、そのままで無数に水の中に停止している光景は、幻想的ですらある。 そうして、その無数の泡の中で気持ちよさそうに寝そべっている姿も無防備で素敵だった。さっきの違和感とか、大人の女性は気にしないものなのかもしれない。風船おっぱいは、やはり泡の勢いで右左に揺れたまま固まっていて、すこし泡の力で浮き上がっていたのがエロく見えていい。 少し左に身体を押しのけるようにして、幸助もジャグジーに入る。一人だとゆったりめだが、二人で入ると少し手狭だ。身体が密着する。とりあえず、下に深く入り込んで少し浮いている身体を上に押し上げるようにしてみる。 「おおっ……いい感じ」 時間が止まった世界でも、ちゃんとお湯は温かくて気持ちがいい。泡は出てこないから、身体に触れると同時に割れて消えてしまうけど、そのプチプチする感覚もなんだか楽しい。 「ふぅ……」 少し背中を押して、彼女を浮かすようにして、湯船の感覚を楽しんで見たりする。終わってから、男湯でいいからゆっくり入っていくのもいいかもしれないな。 目の前の女を後ろから抱きしめる。幸助の身体がもう少し大きければよかったのだが、目の前の成人女性と幸助はちょうど一緒ぐらいの大きさだから。完全に抱きしめるというわけにはいかない。 お湯の浮力も借りて、ちょっと力を込めて相手の上半身を押し上げて、自分の上に座らせるようにする。密着した肌は、しっとりとしていてとにかく気持ちがいい。 後ろから、おっぱいを掴む。先ほど触りまくったくせに、よく飽きないものだ。 「ああっ……やっぱりいいな」 この髪も、手に絡みつくようなしっとりとした肌も、揉み心地のいいおっぱいも、身体の温かさも、いまだけは自分だけのものだ。胸をくびれから乳頭まで揉み出すようにして、また乳首を勃起させるために触りながら、自然に股間の猛りを彼女の股に押し付けていく。 左手では、胸を揉みしだいたままで、右手は彼女の陰唇をなぞるように触る。 「ほんの少し濡れてる感じがするな」 筋をなぞるように触れていると、驚くほど簡単に中に手が入っていってしまう。思わずに、結構深い部分に指が吸い込まれていく。女の子の穴の中に。 「うぁ……やばい感覚だな」 そのために創られた襞は、幸助の指をねっとりとまとわりつきながら飲み込んでいく。とても卑猥で、吸い寄せられるような感覚だった。刺激は十分であったし、そのために作られていたものなのだから。 意識しなくても、その大事な部分に自分の勃起しすぎたものをこすり付けていく。童貞が始めてするのに、いろいろ分からなくて困惑するっていう心配をしていたのだが。そんな心配が馬鹿みたいに、亀頭が吸い込まれていく。 「うぁ……こういうものなのか」 後ろから突き上げる角度がぴったりとあっていたのだろう。肌と肌が水の潤滑ですべりあうように重なって、ちょっと押し上げるようにしてみると、彼女の柔らかい粘膜の中に吸い込まれるようにして、入ってしまった。 「おわっ!」 じっくりとするつもりだったのに、こんなにあっけなく入ってしまうものか。 自分がイメージしていた、初めてのプランなどここでどうでもよくなってしまった。 彼女の腰を掴むようにして、必死に押し付けていく。 動物のように、猿のように、ただ目の前に初めて味わう快楽を貪った。 「やべえっ……止まらない」 初めて味わった肉襞の味というのは、これまで感じていた興奮ではなかった。 腰を押して引くだけで、味わえる一体感。胸を掻き毟るように湧き上がってくる欲望と欲求。そんな塊が胸から湧き上がるたびに、たまらなくて腰をふるのだ。自分を包み込んでくれる柔軟な襞が、粘膜同士がこすれあう感覚にどうしようもなく声をあげる。 その気持ちよさが気持ちよすぎて、理性を抑えることができない。 制御を振り切ってしまえば、あとはもう突き上げて射精するだけ。 「あっ……あっ!」 柔らかいピンクの塊が、自らを完全に包んでいるのを感じた。 その中で、我慢せずに自らを解き放ってしまう。 股間から、とんでもない量の迸りが競りあがってくるのが分かる。 たっぷりと、出してしまうのだ。 中で出すということは、どういうことかは理解していたが。 この欲望は、その理解を軽く超えている。 「うああぁああああぁぁああああああああ」 何かが自分の中から、出てくると思った。腰の動きはもう、独立した生き物のようで、意識しなくてもガクガクと身体を振るわせる。 お湯よりも、もっともっと暖かいものが吐き出されていく。 それは、幸助の欲望そのものだった。 「ふぅ……」と、幸助の胸のなかで、女が息を吹き返した。それはまるで、生きて感じているような大きな呼吸。 もしかして、時が動き出したのか!? 幸助は慌てた、それでも腰の中の愚かな息子は止まらない。一番奥を突き上げながら、欲望を吐き出し続ける、ドピュドピュ!と意識のない女の中を白濁液で汚し続ける。 「うぅ、あぁ……気持ちいいからもういい!」 幸助は開き直った、もうどうでもいいやと。 初めてのセックスというのは、そういうものなのだ。 幸い、実際時が動き出したということはなかった。 幸助の考えていたよりも、人間の身体が時間停止の状態でもっと動くというだけのことだった。
湯上りの身体に、夕暮れの風が心地いい。 ポカポカと湯気を立てながら、少し湿った前髪を気にするように幸助は歩いていく。 駅まではもう少し、その幸助の脇を後ろからスカートを靡かせて自転車の女性が駆け抜けていった。 「あっ……さっきの」 さっきの幸助の初めての相手になった女性だった。足を止めて、自転車を気持ちよくこいでいく彼女の背中を万感の思いで見送る。 夕焼けをバックに、駅前を駆け抜けていく自転車の彼女の姿はとても美しくて絵になっていると思った。 こんな偶然があっても、手を振ることも、声をかけることも許されないのがこの力のネックなのだろう。 だけど、今の幸助はこれでいい。余韻はあるが未練はない。幸助は、後ろを振り返ることなく駅の改札を潜っていった。
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