第十章「喜びか、悲しみか」 |
「奥さん、なんか疲れてるね」 夫が出勤してからしばらくして、深谷家にひょっこりと田中がやってきてそう言いました。旦那にも心配されましたが、茉莉香はそんなに酷い顔をしているのでしょうか。 「ええ……疲れてるんで帰ってくれないですかね」 「くれると思いますか」 にっこりと田中は笑いかけてきます。 「ですよねえ……」 茉莉香は、仕方なく田中を招き入れました。 午前中だとはいえ、結構マンションの人の出入りはある。田中と、扉の前で押し問答していたなんてことが知られてしまえば、噂になってしまうかもしれません。 それぐらいなら入れてしまった方がいいと思う茉莉香は、もう毒されているのかもしれませんでした。
茉莉香は、田中にお茶を出すと洗面所に向かいました。これでも女性ですから、他人の目は気になります。 鏡に映る自分の顔は、ひどく青白い顔をしています。軽く化粧をして、寝癖の残る髪をブラシで丁寧に整えました。 そして、後ろ手にキュッと髪を結んでポニーテールにします。 これから、あの男と相対しなければならないのですから、いつまでもフラフラしていられません。 「おや、寝乱れた髪もよかったのにな」 田中はそんな呑気なことを言っています。誰のせいで調子を崩しているのか分かっているのかと、茉莉香は恨めしげな瞳で睨みますが全然応えていません。 「はぁ……それで今日は一体どういうご用件なんでしょうか。田中さんッ!」 今日こそ田中のペースに乗せられてなるものかと、茉莉香は意を決してリビングのテーブルの机を叩くようにしてからドンと着席しました。 田中の飲み干した紅茶のカップが揺れます。それにも微動だにせず、田中は不敵な笑顔を崩さぬままに、話を切り出しました。 「奥さんはもう産婦人科には行ったのかな」 「昨日の今日ですよ、行くわけ無いでしょッ」 まだプリプリ怒っている茉莉香をまあまあと手でなだめながら、田中は続けます。 「いけませんねえ、今は大事な時期なんだからちゃんと検診にはいかないと。顔色だって優れないようだし病院でよく見てもらった方がいいですよ」 「だっ……誰のせいで悩んでると思ってるんですか」 怒りを押し殺すようにして、茉莉香は振り絞るように叫びます。頭に血が登ったせいか、茉莉香の頬に生気が戻ってきたように見えました。 「おや、俺のせいなのかなぁー」 「夫に、妊娠したって告げたの田中さんですよね」 田中の笑顔がニンマリと深みを増しました。 「やっぱり、おかげでこっちは……」 つい、茉莉香は夫に合わせて妊娠を認めてしまったのです。あのとき、そんなことはないわよと言っておけば密かに堕ろすこともできたかもしれません。 夫のではない子供なんて、産むわけにはいかないのに。 「嬉しい知らせは、早い方がいいと思ってさ」 「何いってるんですか……ふざけないでよ」 目尻に悔し涙が溢れて、宝石のような涙がこぼれていきます。最近の立て続けにあった出来事のせいで、茉莉香は感傷的になりすぎているのかもしれません。 それも、すでに茉莉香がすっかりと田中の催眠に毒されている証拠かもしれません。そんなこと当人は知るよしもありませんが。
皮肉なことに、田中への怒りを爆発させることで、悩みに青ざめていた茉莉香の頬はうっすらと紅がさして元気が出てきてしまっているのです。 「奥さん、俺としたあと旦那さんとも生でやったでしょ」 「えっ、どうしてそれを……もしかして見てたんですかッ!」 茉莉香は眉をしかめて、頬をまたさっと青ざめさせました。上がったり下がったりなかなか忙しいです。 「クククッ、まさか俺も夫婦生活まで監視してるわけにはいかないけどさ。奥さんなら罪悪感で、夫に生でやらせたんじゃないかとカマをかけてみたのさ」 「ううっ、だってそれは妊娠しないって思ったから」 田中に言われた通りでした。茉莉香は、田中との情交のあとで夫にも生で抱かれたのです。それも、今から思い出すと恥ずかしいことにものすごい燃えっぷりで夫が驚くほどの乱れ様でした。 しかし、よくよく考えてみれば妻が夫に抱かれるのは当然のことで、なぜ田中に非難されなければならないのかとまた怒りが湧いてきます。 「妊娠しないだって、違うだろ。夫に子供が出来ても不思議に思われないように、生でさせたんだろ茉莉香は」 「なななっ……」 茉莉香は噴き出るような怒りにむせ返りました。言葉がうまく出てきません、口からゆでが出そうです。よりにもよって、なんてことを口走ったのかこの男。茉莉香の怒りは頂点に達します。 もう茉莉香の意識はカッと怒りに燃え上がり、悶々とした悩みも、具合が悪かったことも忘れてしまいました。 「ハハハッ、まあ夫に俺の子供を育てさせないといけないんだからしょうがないとは思うけどさ。夫にもう抱かれないって約束を破ったのはいただけないな」 「私ッ、そんな約束してませんッ!」 茉莉香はドンと拳で机を震わせて、力の限り叫びました。 「約束したじゃん、もう忘れちゃったのかよ。しかたないなあ茉莉香は」 田中は、カバンからディスクを取り出すとリビングのブルーレイレコーダーにセットしました。 「ちょっとなに人の家のテレビを勝手に……」
『えっと、深谷 茉里香(ふかたに まりか)二十三歳です。専業主婦をしています……』 茉莉香が止める間もなく、映像がスタートしました。 あえてタイトルをつけるなら『深谷茉莉香二十三歳、間男と種付けセックス二連発』ってところでしょうか。 「ほら、よく撮れてるだろ」 「いやぁあああ、こんなの見せないでくださいっ」 茉莉香は目をそむけました。せっかく忘れていたのに、あの時の悪夢がありありと思い出されてしまいます。 それはまさにフラッシュバックでした。
『っとそれで……、今日は同じマンションの住人の田中正志さんにタネ……、種付けセックスをしてもらう記念に』
「そう言わずに、もっとよく見てなよ」 映像を止めようとする茉莉香を、田中は抱きすくめて押しとどめました。 「ちょっとヤダッ……やめて」 抱きしめられて、抵抗しようとする茉莉香を強く強く抱きしめます。すぐに力が抜けていくのを感じました。 (どうして……) 映像の中の茉莉香は、膣奥に自ら指を突っ込んで喘いでいます。田中からはこんな風に見えていたのかと、茉莉香は唖然としています。 自らの子宮口を弄って喘いでいる茉莉香は、まるで自分とは別人のようです。悔しいけれど淫蕩な人妻そのものでした。 いつしか茉莉香は、自分が映る映像に引き込まれていました。 田中と茉莉香のお互いに一糸まとわぬ姿になって、濃厚に交じり合う姿。 茉莉香はそれを横面みながら、田中にソファーに押し倒されました。
『じゃあ、俺の子供ができたら旦那の子どもとして育てるのか』 『そう……、そうです。そうしますから、どうぞ種付けだけなさってください』
「ほら、俺の子供を育てるって約束してるじゃん」 田中は指を指してあざ笑います。 「だってそれは、演技だって言ったから……」 茉莉香は、泣きたくなりました。 茉莉香は、もう抵抗する気力も萎えてしまいます。田中にソファーに抱きすくめられたままで、こんな映像を延々と見せられることになろうとは思いもしませんでした。
『よし、茉莉香お前は今から俺の精液便所だ、二十四時間俺の欲望を受け入れろよ』 『はい、私は正志さんの精液便所です。いつでも私の中に出してください』
「ハハハッ、精液便所になるとかも約束してるなあ」 「そんなそれも……ンンッ」 演技だと抗議しようとした唇をキスで塞がれました。そのまま唇に舌をねじ込まれて、たっぷりと舐め回されてからチュパッと口を離して、田中は嬉しそうに叫びます。 「ふはっ、久々の茉莉香の唇の味だ!」 「何なさるんですかぁ」 茉莉香は、また泣きそうになってしまいます。キスされたのがショックだったのではないのです。 何の抵抗もできずに、田中の舌を受け入れてしまった自分に強い衝撃を受けたのでした。すでに忘れてしまったと思った感覚が、まだ茉莉香の中に残ってしまっている。その事実が、茉莉香の身体をこわばらせます。 「なんだよ、何怒ってるんだよ。茉莉香は俺専用の精液便所なんだろ」 「私、そんな約束してませんーッ」 田中はニヤッと笑うと、ソファーに座る茉莉香の目の前で下着を下ろして勃起した一物を剥き出しにしました。 今日も田中の陰茎は、元気よく反り返って居ます。 「ほら、催したから舐めてくれよ」 「そんな……私はぁ」 茉莉香は、目の前の亀頭の先っぽに瞳を奪われたまま、呆然と硬直してやがて口内に唾液を溜めると、ゆっくりと口を開いてまるでバナナでも咥えるかのようにフェラチオしました。 「うはぁ、さすが人妻だな。うまいもんじゃ……ないか」 思いの外激しい茉莉香のフェラに、田中も思わず腰が砕けたようによろめいてしまいました。 「ふぉんあ、ふあぁ、ふああぁ……」 茉莉香は自分でも何をやっているのかわからない呻き声をあげながら、ベロベロと嫌な男の一物を舐め回しているのです。 しかも、裏筋をタップリと舌でこすりつける濃厚なフェラでした。 ポニーテールを揺らすように、頭を前後に振ってジュボジュボと口淫します。 「おっと、茉莉香ストップ。いまは話が先だ」 「ぷふっ……何なんですかこれぇ」 茉莉香は、もう大粒の瞳から涙を流しています。眉をしかめて、嫌な男のペニスを滑らさせられた嫌悪をあらわにしているのに、濡れた唇だけがいやらしく男の一物を求めて淫蕩な舌なめずりをしているのです。 フェラしろって、田中に命じられた瞬間から、まるで自分の唇ではないみたいに。
『よし、お前のマンコもクチマンコもケツマンコも俺のものだからな』 『はいっ、そうですっ! 全部正志さんのものですっ!』
ビデオの方は前半の佳境に入っていました。 茉莉香のいわば、隷属宣言のような部分です。
「ほら、ちゃんと自分で言ってるのを聞いたか。お前はもう俺のモンなんだよ」 「そんなのって、嘘でしょう……」 茉莉香は、何を言われているのかわかりませんでした。 いや、言われていることは理解しています。でも、納得出来ないし、わかりたくないのです。 (だってこれはただのお芝居でしょう)そう茉莉香は言いたいのです。
『旦那にもう挿れさせるんじゃねーぞっ!』 『はいっ、絶対に正志さん以外に挿れさせませんっ!』
「ちゃんと聞けよ。お前が自分で、旦那にはもう挿れさせないって約束してるんだろうが。それを破ったなって、俺は言ってんの」 「そんな、そんなのって……」 茉莉香は戸惑います。田中の言っていることは明らかに理不尽です。それなのに、申し訳ないって罪悪感が胸の奥から湧き上がってくるのです。 「グフフッ、まあ旦那に自分の子供だって思わせるためって理由があったんだものな。その点を考慮すれば許してやってもいいかもしれないな」 「あなたに許してもらうことなんて何も……」 そう言いながら、ホッとしてしまう自分が居るのです。 「まあ、もう二度と過ちを犯さないために、ここにこれを置いておくわ」 田中はハロウィンのカボチャ頭をリビングの棚の上に置きました。茉莉香が真っ二つに割ったあとは綺麗に修復されていますが、なんだか割れた痕が逆におどろおどろしい感じで、飾りとしては最悪だし季節外れもいいところです。 「そんなの汚いカボチャ、こんなとこに置かれても困りますよ」 なんだかハロウィンカボチャの繰り抜かれた眼の奥に、ボワっと淡い光が見えて……それが茉莉香をじっと監視しているようで怖いのです。 茉莉香は一度はそれを叩き割って中身が空っぽであることは確認しているのに、それは何か意味有りげな重たい気配を持っているように見えます。 「これはペナルティーなんだから、ちゃんと置いておいてもらうぞ。このカボチャ頭に毎日誓うんだ。『もう絶対に約束を破りません』とな」 「そんなぁあぁぁ」 茉莉香は、絶対に嫌です。大体、こんなカボチャが置いてあったら夫にだって不審に思われます。そうじゃなくても、怖くて嫌なのに……でもペナルティーと言われると逆らえないのです。 それはやっぱり『約束を破ったから』そんな自分の内心からの声が、恐ろしい響きを持って茉莉香の身体を震わせました。
「よし、わかったらビデオを鑑賞しながら、俺のを舐め回してくれよ。この一ヶ月、ビデオでしか抜けなかったからたっぷり飲んでもらうぞ」 ほっぺたに、赤黒い陰茎を突きつけられると、茉莉香は嫌でも唇を開いてパクリと咥えてしまいます。 「ンフッ……ンフッ……」 (なぜ私はこんなに必死に舐めているんだろう) 茉莉香はそんなことを思いながら、小さい口をいっぱいに広げて喉の奥まで飲み込んでいます。 嫌いなはずの田中のオチンチンを美味しそうに頬張ってから、ジュルッと吸い上げて、舐め回して舌で裏筋をこすりあげて、田中が気持ちよさそうに小さく呻き声を上げるのに浮き立つような気持ちにすらなっているのです。 「くうっ、たまらんな。さすがに、これは」 「ングッ、ちゅ……ちゅる……ジュポジュポジュポ……」 一回出してしまうか」 「ふぁい……はむっ……ンクッ、ンジュッ」 田中の亀頭の裏をベロベロ舐め回してから、またチュウっと吸い上げて大きな亀頭を喉の奥まで飲み干しました。 亀頭の震えで、射精が近いと感じたからです。 「よし、赤ちゃんを育てるのに栄養がいるだろうからいま良質なタンパク質をやるからな、出るぞッ!」 「はぁっ、はぁ…‥ちゅうっ、ちゅぅぅぅぅぅっ……!」
ドピュンッ、喉の奥に温かい精液が当たりました。
濃くて、トロトロの精液が喉の奥に直接あたってドロドロと茉莉香の口内に放精されていきます。 臭くてマズいはずのその液体を、茉莉香はまるで甘露を飲み干しているかのように、嬉しそうに飲み下します。 形の良い唇を窄めて、タコのようにチュウチュウと亀頭に残った最後の一滴まで吸い上げていくのです。
「茉莉香、よくできたな。いい吸いっぷりだった」 田中は、茉莉香のさらさらの髪を優しく撫でさすります。 「んふっ、はぁ……」 ほめられて、茉莉香もまんざらでもない様子で笑顔で精液を恵んでくれた田中の陰茎をいとおしげに舐めて綺麗にするのでした。 「これから毎日飲ませてやるからな」 「はいありがとうございます……って、何でこうなるんですかッ!」 茉莉香は驚いてソファーから立ち上がりました。 自分はまた、雰囲気に流されて何をやってしまったのか。ドスドスと、冷蔵庫まで歩いていって冷たい紅茶でうがいをします。 テレビは、まだ茉莉香の乱行を映し出しています。ちょうど、茉莉香が受精しているシーンです。 暗澹たる気持ちで、茉莉香はため息と冷たい紅茶を飲み干しました。 「どうしたんだ茉莉香、あれか妊婦さんの情緒不安定ってやつか」 マタニティーブルーかと問われて、茉莉香はまた眦を決して田中を睨みつけます。 「違います、どうしてフェラチオなんかしなきゃいけないんですか!」 「だって、茉莉香は俺専用の精液便所だから当たり前だろ」 自分がそうしてくれって言ったんだろうと、田中は含み笑いを浮かべています。 それにたいして、それはお芝居の話でしょと茉莉香が反論するのもさっきの繰り返しです。
「埒が明かないなあ、きちんと説明してあげるからこっちにきてよ」 茉莉香は、警戒感の塊のような顔をしてそれでも説明はして欲しかったのかゆっくりと田中の方に近づいていきます。 それでも手は前にして、自分の身体をガードしています。そんなことをしても無駄だということが、茉莉香にはまだ納得がいっていないのです。 そんな茉莉香の大きなおっぱいを、ブラウンのセーター腰にむにゅっと掴みました。 「きゃあー、何するんですかッ!」 茉莉香は、田中の手をばちんと跳ね除けます。まあ、触られないように警戒していたのですから当たり前の反応と言えます。 それを予測していた田中は、跳ね除けられた手を見つめてふうとため息一つついてから命じました。 「茉莉香、オッパイでチンチンしごいてくれ」 「はーい」 茉莉香は、慌ただしげにセーターを脱ぎ捨てると、バチンと紫のブラジャーを弾き飛ばしました。ゆっくり脱ぐのももどかしいという勢いです、茉莉香の自己申告では90センチ、本当はもっとたわわに成長している円錐型のオッパイがブルルンと揺れました。 茉莉香がパイズリしやすいように、田中はチンコをおっ立てたままでソファーに座ります。 茉莉香はまたチンコを舌で舐め回して、お湿りとシゴキやすい硬さにしてから、大きなオッパイの谷間で、田中の硬い陰茎をしごきはじめました。 「はっ、ふっ……ふっ、ふっ……」 パイズリしても女性は気持よくないはずですが、茉莉香はほんのりと頬を赤らめて楽しげにチンチンを擦り立てています。 田中は一方的に気持よくしてもらっているのが悪いと思ったのでしょうか、乳首をコリコリと弄ってやると、茉莉香はハァンと嬉しそうに嬌声を上げます。 しばらく、茉莉香のピンク色の乳首を指先でこね回してから田中はフフンと含み笑いを浮かべて、不意に訪ねました。 「ねえ奥さん、俺に乳首いじられて嬉しい?」 「嬉しいわけないじゃないですかっ」 茉莉香はハッとして目を大きく見開きます。それでも両の手にたわわなオッパイを添えて、田中の勃起した陰茎をこする動きは止まりません。
「さっきは触られるのも嫌そうだったのに、今は乳首いじられて気持ちよがってるじゃん。どうしてだと思う?」 「ふうんっ、それはそのぉ……」 茉莉香は考えてもわかりません。ただ、オッパイでオチンチンを気持よくしてくれと言われたから、そのとおりやっているだけなのです。 「それは茉莉香が真面目に、俺の精液便所になるって約束を守っているからだろう。ただ触れられるのは嫌でも、『俺を射精に導くため』ならオッパイだろうがマンコだろうが、触らせて平気なわけだ」 「そんなあ、私約束なんて……うふん」 茉莉香は眉をひそませて、困惑と嫌悪の入り混じった表情を浮かべますが、同時に唇はさも嬉しいと言った微笑みを浮かべています。そして、オッパイで田中の勃起したオチンチンをこすり続けているのです。 喜びと怒り、哀しみと楽しさが入り混じった、さも複雑な表情にこわばった茉莉香のほっぺたを、田中はプニプニっと指で突っつきました。 田中が触れれば、茉莉香の顔はふわっとした笑顔に変わります。そうして、その間も半ば自動的にパイズリを続けるのです。 茉莉香の乳首をつまみ上げては楽しんでいた田中はやがて絶頂を迎えつつあるのか、苦しげに呻いて「ウウッ、出すぞ茉莉香」と告げました。 茉莉香は、小さい唇をめいいっぱい開いて、ビューッと顔に飛びかかる精液を受け止めました。 一発目は、茉莉香の唇にうまく飛び込みましたが、ビューッビューッと元気のよい射精が何回も飛び、茉莉香の端正な顔を汚していきます。 田中も、二発目にしてはなかなかの精液の量です。溜めていたというのは嘘ではないのでしょう。 「はぁはぁ……ふうっ」 茉莉香は荒い息を吐いて、息を整えるとたわわなオッパイではさんでいた陰茎をつまみ上げて、舌でベロベロと舐め回して綺麗にしました。 そして自分の顔や胸元にかかった精液をなるべく集めて唇で舐めとっていきます。 ドロリと付着したとろみのある田中の精液は、決して美味しいものではなくて、しょっぱ苦い独特な臭みがあるのですが、それを茉莉香はさも美味しそうに舐めとっていくのです。 そうして、田中が撒き散らした遺伝子をできるだけ胃の腑へと落とし込んでしまうと。茉莉香はハッとしたように顔を上げて、悲しそうな顔をしました。 でも、もう泣きませんでした。 「顔を洗ってきます」 そういって、洗面台に走って行きました。
あとに残された田中は、さすがに二回も連続で射精して疲れたのか、ため息を付きます。口元には満足気な笑みを浮かべています。しかし、どうしてだかわかりませんが田中も少し悲しげな目をしていました。 田中は一人でもう一度深いため息をつくと、隠すように顔の半面に手を当てて俯きました。その背中は少し寂しそうでもあります。隠れて居ない方の顔は、まるで涙を流さずに泣いているようでもありました。 そんな打ちのめされた田中の様子を、モノ言わぬハロウィンのカボチャ頭だけがずっと見つめているのでした。
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