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E小説(中出し・孕ませ・時間停止・催眠・環境変化など)
エロ小説のサイトですので18歳未満の方はお帰りください。傾向はマニア向け、作品中のほぼ100%中だし妊娠描写、付属性として時間停止・催眠・環境変化などです。
終章「催眠術師が死ぬとき」
 今日も今日とて、リーナにはまった古森正夫はその二十四歳の熟れた肢体を楽しんでいた。夜な夜な、寝床にリーナが赴く時間を狙っての淫行である。
「はぅ……ふぅ」
 なかなか、色っぽい声も出すようになっているリーナ。夢魔に襲われる心地というのであろうか、最近はリーナのほうもまんざらでもないようだ。むしろこの時間が来るのを楽しみにすらしていた。
 場所的にもリーナの管理人室から、海馬が宿泊している部屋からは真逆の位置にあり遠い。リーナに見咎められる危険性がないから、勝手口から自由にリーナの家に入れるし、正夫には発覚する要因がなかった。
 それでも、だからこそ危険だとアルジェは止めたのだ。村川海馬は、決して侮っていい相手ではない。
 だからといって、リーナの身体にハマっている正夫は止まらない。多分リーナを妊娠させるまで止まらないだろう。
 さらに寮の他の女子にも手を出すといい始めた正夫を今度はアルジェは本気になって止めた。それをやれば、確実にバレる。
 海馬に見つかったら、正夫は五秒で息の根を止められるだろう。催眠術というアドバンテージがなければ、駄目オタの正夫の戦闘力は虫けらクラスだから。
 リーナさえ、徹底的に堕落させてしまえば、それで十分に村川海馬への復讐になる。
 一方で、古森正夫への注意がいかないように、アルジェは必死に村川海馬との抗争を表で激化させてやっている。
 そうやって、碁盤の目の取り合いをやっている限り、そこでゲームを楽しんでいる村川海馬という指し手は、その碁盤の裏でゴキブリのように蠢いて盤の土台自体を齧っている古森正夫には気がつかないはずだから、くれぐれも自重して気をつけて動けとアルジェは正夫に指示した。

「最近変わったことはないか」
 さわやか荘のロビーで、二十二歳の女子大生山宮彩と戯れながら、海馬は冷徹に報告を求める。
「荘のほうでは、特にありません。アルジェの件があったので警戒は厳重にしているのですが、むしろ表紙抜けといったところですね」
 そうやって、嫣然と微笑むリーナ。その反応のわずかな違いが海馬には気になる。
「リーナ、おまえ自身はどうだ」
「一時期、ちょっと身体の具合が悪かったんですけど、最近はむしろ好調ですし」
 そうやって、頬に手を当てる仕草はまるで年頃の娘のようで、まったく女を感じさせなかったリーナの感じ方の変化というものが出ている。
 だが、そういう疑問符をリーナへの信頼が海馬の表層意識まであげさせない。リーナなら大丈夫だろうという判断。一度、思考が固定化してしまうと海馬ほどの心理のプロでも、容易には。
「ん……そうか」
 手元の彩の胸を嬲る作業に意識を集中する。アルジェとの戦いは、やはり日々激しいものがあるのだ。あれだけ多数の策を張り巡らせて、その上このさわやか荘にまで何か仕掛けるということは考え難い。
「先に休みます」
 そっけなくリーナが自室に戻るのを、海馬は彩を抱きつつ見送った。

「んぅ……くぅ……はぁはぁ……あぁ!」
 最近、もう裸で寝るようになったリーナを今夜も必死になって、愛撫し陵辱する正夫。今日も、二度目の絶頂を迎えようしていた。
「リーナ! リーナぁ!」

 ドピュドピュドピュドピュ!

 だらしなく射精した瞬間、古森正夫の世界は真っ白になって、頭に激しい衝撃を感じた。

 射精の快楽?

 違う! 
 
 次の瞬間、まるで電気が走るように頬に激痛が走る。そして、一瞬遅れて、壁に叩きつけられた衝撃だ。
 正夫のゆがんだ視線の先には、村川海馬の怒りの形相があった。

「ひご……やめ……ぎゃ!」
 ボコボコに殴られる正夫、海馬は正夫の顔がぐちゃぐちゃになって、自分の拳が血だらけになっても、殴るのをやめなかった。
 リーナの異変に気付くのが遅すぎたのだ。それが、悔しくて悔しくて、海馬は怒りをぶつけた。こんな下らない男のために、リーナを失うことになるとは。
 海馬が怒りを正夫の膨れ上がった顔にぶつけている間、リーナは突然闖入してきて一人暴れているように見える海馬にキョトンとしている。
「ご主君……」
 リーナに背中から、声をかけられたが海馬は答えられなかった。いったい、リーナになんといって詫びたらいいというのだ。このデブのせいで!
 そう思って、さらに殴る力を込める。
「いい加減に、止まりなさい!」
 リーナの声じゃない……そう思って振り向く。

 アルジェ!?

 振り向いた海馬の喉元に、無表情のリーナが構えた直刀の切っ先があった。そして、リーナの後ろには、アルジェの踏ん反り返った姿があったのだ。
「ゲームセットだ、村川海馬」
 静かにそう宣言するアルジェ。勝ち誇った顔をするわけではなく、アルジェはなぜか悲しげな目をしていた。海馬は自暴自棄に、吐き捨てるように。
「お前の勝ちだ、好きにしろ」
 そういって、手をあげて、殴り続けていた古森正夫から手を離した。正夫は、顔を二倍に腫れ上がらせながらも、まだ意識があったらしく、ヒューと小さく叫びながら、ボロボロの身体を引きずって部屋の壁のほうに逃れた。
 部屋を沈黙が包み、部屋の隅で蹲っている正夫の呻き声だけが時折小さく響く。そんな中で、口を開いたのはアルジェだった。
「催眠術師は、いつも一人だ」
 突然の言葉に、無言で返す海馬。
「私に教えてくれたのは貴方だった。それを、失望させてくれるではないか」
 そういって、やはり冷めた目で海馬を見つめるアルジェ。海馬は、切っ先を喉に当てられながら、ただ冷笑するだけだった。

 過去の研究所時代、まだ人間的に幼かったアルジェは、村川海馬を始めて自分と同等の才能を持つものと尊敬して、相棒として一緒に活動した時期があった。研究所の所員も、対象者である自分たち特殊能力者も、みんな馬鹿ばっかりだと思った中で、村川海馬だけは違ったのだ。
 ほとんどの人間は、アルジェが力を見せると媚を売るって利用しようとするか、嫉妬して遠ざかった。彼だけはアルジェがどんな非凡さを示しても、特別扱いしなかった。だから、アルジェは海馬に特別な関心を抱いた。
 それは敬意に類するものであったが、淡い好意だと言われたら、そうなのかもしれない。一緒に、パートナーとして仕事をしていたとき、アルジェはこの人とならいいかもしれないと思っていたことは確かだ。そんな気持ちは初めてだった。
 ある時、そんなアルジェを、海馬は必要ができると簡単に裏切って見せたのだ。アルジェが涙を流しながら、それをなじると。
「海馬は、催眠術師はいつも一人なんだ」
 そうあの日の海馬は吐き捨てて見せたのだ。
 騙されるほうが悪い、信じるほうが悪いのだと。
 あのときの海馬は誰よりも強かった。才能はアルジェのほうが上だったが、それ以前の催眠術師の資質としてアルジェよりも数段勝っていた。

「自分以外の人間を決して信じないこと」

 催眠術師が生き残る上での、唯一にして絶対条件だ。催眠術師の安全は、術に掛かった人間に常に囲まれていることで守られる。催眠術で支配下においている人間は裏切らないが、それ以外の人間は裏切る。
 催眠術をかけていない人間、自分の支配下に居ない人間を回りに置かないこと。まして、そんな人間を絶対に信じないこと。
 その孤独に耐え切れなくなったとき、対等の人間を求めるようになったとき。催眠術師の滅びは始まるのだ。

 海馬は重い口を開いた
「殺せばいい」
「……それしか、言うことがないのか」
「お前にまさか俺の言った言葉を返されるとは……これは生き恥だ」
 思えば若いころ、三十すぎて生きたくないなと思って海馬だ。
 もうそれから二年も過ぎている。これは老醜なのかもしれない。
 先ほど正夫をボコボコにした激情も引いて、深い疲れを感じていた。
 だからこのまま、リーナに喉を貫かれて死んでもいいとふっと海馬は思った。

 村川海馬は、判断を誤った。
 リーナが古森正夫の支配下にあると知った時点で――正しい判断をするとするのなら、リーナが敵の支配下にあると悟ったその瞬間に、リーナを切るべきだったのだ。いや、このさわやか荘全体を放棄すべきだったのだ――。
 古森正夫の、駄目オタっぷりに油断した。そして、そんな奴にリーナを犯された悔しさが、冷静な判断力を失わせてしまったといえる。失敗は、リーナの能力を信じすぎたこと。そして、それが疑わしくなったときも、それにすがり続けてしまったこと。だから海馬は負けて死ぬ。それは海馬の生き方としても、正しかった。

「いい、リーナ。海馬を解放しろ」
 直刀の切っ先を下げるリーナ。無表情のままだ。
「慈悲のつもりか……それか一度こっちが助けたから、貸しを返したつもりか」
 海馬が、少し焦ったように言った。
「どっちも違う、殺す意味がないだけだ」
 アルジェは、ボコボコになって呻いている古森正夫に心配そうに手を貸してやって、立ち上がらせた。
 そして、部屋を出て行くときに海馬に。
「もう、二度と会うことはない、勝手に生きるなり死ぬなりすればいい」
 それだけいって、出て行った。
 無表情に立ち尽くすリーナと、海馬は途方にくれた。そうして、そのなかで催眠術師としての自分の死を自覚した。昔の自分は死んで、それが悲しくて情けなくて。それでも、喪失感を抱えて生きていくだけだ。
 過去の自分が死んだことを悼んで、村川海馬は生まれて初めて涙を流した。近くに居たリーナに、すがりついて泣いた。泣き続けた。
 リーナは術から抜け出ていないのか、そんな海馬を無表情に眺め続けた。

 病院で治療を受けて全治二週間で入院の古森正夫のベットの横には、アルジェが居た。
 鎮痛剤を投与されて、静かに寝息を立てている正夫から視線を外すと、外はどこまでものどかな風景が広がっていた。
 青い空、白い雲、緑の芝生。行き交う人々。過去の呪縛と、今の二人と、そして孤独の未来。アルジェは、正夫の様子を見て、もう大丈夫だろうと思った。あとはゆっくり入院できるだけの手続きをしてやって黙って正夫の元から去るつもりだ。

「催眠術師は、いつもひとりだ」

 古森正夫の弟子としての期間は終わった。彼の直向きな愚かさを利用して、村川海馬を罠にはめることができた。彼は弱く、自分は強い。それを証明した。だから、最強の催眠術師としてアルジェはこれからも戦い続けることができる。

 アルジェは、ふっと笑うと静かに病室を出る。扉に手をかける瞬間、もう一度だけ振り返って正夫に向かってもう一度。

「催眠術師は、いつもひとりだ」

 そう歌うようにつぶやいた。自分が利用して、そうしてひとりの催眠術師として巣立っていくであろう男に、餞のつもりで。

「ぼくは……そうは思いません」

「……起きていたのか」

 アルジェも気がつかなかったぐらい静かに、いつのまにか正夫は目覚めていたようだ。口の周りも腫れ上がって、しゃべりづらいだろうに、アルジェの耳に正夫の言葉はやけにはっきりと聞こえた。
「師匠……ぼくは、村川海馬やあなたのような催眠術師にはなりません」
「ほう……面白いことを言ってくれる。最後だ、聞いてやろう」
「師匠は――」
「もうお前は弟子ではない、アルジェと呼んでくれていい」
「いえ、あなたはぼくの師匠ですよ永遠に」
「……ふん、いいから話を続けろ」
「あなたや、村川海馬は孤高であることが催眠術師の力だと思っている」
「その通りではないか。人間が群れで生きるのは弱い生き物だからだ。強い生き物は、群れる必要がないから、常にたった一人で生きる」
「それでも、あなたはぼくを弟子として、育ててくれたじゃないですか」
「分かっているだろう、村川海馬を倒すために利用しただけだ。弟子というのも方便で、信じていたわけでも、頼りにしたわけでもない。逆にそれをやったから、海馬は私に敗れたのだ。だから私は、お前をコマとして利用しただけなんだぞ」
「でも、ぼくはあなたを信じていました。いや、いまも信じてます」
「それなら、私はお前を何度でも道具として使って、そうして必要がなくなれば捨て去るだけだ」
「それでも、信じますよ。師匠」
 アルジェは、絶句した。
「……馬鹿につける薬はないというがな」
 ふっと笑って、そう思いついたようにつけくわえた。
「師匠も、本当は信じたいのではないですか……人を」
「私は、人間というものを良く知っているのでな。馬鹿にはなれんのだよ」
 むしろ、やさしげな目でアルジェはそういってやった。
「それでも、本当は信じたい」
 正夫はそれでも、食らいついてくる。嘘やごまかしができる空気でもなかったので、アルジェは何も答えなかった。
「師匠が、信頼できる男になりますよぼくは」
 アルジェは、ただ静かに笑って、後ろを向いて病室の扉を開けた。
「師匠――ぼくは、いつか必ず」
 病室を出て扉を押えて、廊下に立ったアルジェの耳に、聞きたくなかった言葉が小さく聞こえてしまったような気がした。それは、自分の弱さだ。そして、それに耳を貸すほど、アルジェは弱くない。
 振り返らずに歩き始めた。病院の廊下を、ゆっくりと力強く。どんなに大きな声で叫ぼうが、もうアルジェの耳に、正夫の声は届かない。
 いつか、そういつか、正夫が本当に強くなったら。アルジェが、村川海馬のように弱くなってしまったとしたら、そうしたら――。
 ぷっと噴出した。あの正夫の真剣で、しかも駄目オタの殴られて腫れ上がった不細工な顔で、あんな真面目なセリフを必死に叫んでる姿を思い出したからだ。
「そういうのも、いいだろう」
 そう、アルジェは思った。だが、今はまだアルジェは強すぎて強すぎて、世界最強の催眠術師だった。まだ、自分にはやるべきことがたくさんある。いつか、人を信じるにしても頼るにしても、それが終わってからのことだった。

「海馬の催眠」完成 著作ヤラナイカー
第六章「リーナの破瓜」
 リーナは、ロマノフ王朝から続く武家の家柄を感じさせる整った容姿に、憂鬱の色を隠せないで居た。
「何かがおかしい……体調が悪いのか、私としたことが」
 ざわめくような胸にそっと手を当てて悩んでいた。その形のよい胸を、ブラだけ外して正夫が揉みしだいているのだが、正夫の存在を感知できない。
「顔を洗ってこよう」
 ざぶざぶっと、顔を洗面台で洗い鏡を見る。後ろで、古森正夫がへんな節をつけて踊っているのだが、何度もいうように催眠術の効果で存在が感知できない。見えないと思えば人間は見えず、感じないと思えば感じないものなのだ。
 正夫は、今度はリーナの口に指をつっこんでニーという顔をさせてみる。口をハの字に開かれながら、リーナはしかめっ面で鏡を見て
「顔色が少し悪いようだ」
 などと、言っている。
「フゥ……しょうがない、今日は特に仕事も立て込んでないから休ませてもらおう」
 制服から、そのまま脱衣所でするすると、服を脱いで着替えてしまう。下のちじれ毛すら、金髪なのだ。白系ロシア人の少女ほど美しいものはない。その、女神のような圧倒的な美しさに正夫は飲まれてしまった。
 それでも、ほんの少しの汗のにおいが。そして、リーナが半ば拒んですらいる女の匂いが、その脱ぎ去った麻のショーツから匂い立ってきて、正夫は脱衣場で深く静かに勃起した。
 高級そうな寝巻きを羽織っただけで、リーナは走り去ってしまう。
 その匂い立つショーツをかぶりながら、正夫は裸体でひょこひょことリーナのあとをついていって、横に添い寝。リーナのこれもまた、麻の生糸で丁寧に織り込まれた寝巻きを脱がすと、ベットのなかで真っ裸にしてしまう。
 それが、肌寒くてリーナはざっと布団をきつくかぶる。もちろん、寝巻きを脱がされたという意識すらないのだ。正夫のやっていることは、すべてリーナにとってはないと意識されてしまうのだから。
「今日は、海馬のやつの不在も確認してるしね!」
「……??」
 物凄い怖気を感じたリーナ。過酷な訓練をつんできている均整の取れた肉体を強張らせる。常に、必要ない部分は弛緩させて体のエネルギーをうまく使って動作をすることを半ば自動的に行う自分がこんなことになるとは。
「……だめだ、体の力を抜いて眠らないと」
 そんな矢先に、またリーナの豊かなバストを持ち上げる。
「……!」
 リーナの感じた怖気は、つまり性感なのだ。リーナは極度にストイックな人生を送ってきた。絶対的に避けて来たというほどでもないのだが、性格からか男と性交渉を持つなどということもなかった。
 まして、自分で自分を慰めたこともないという化石のような女性なのだ。その彼女が、初めて他人に愛撫されるというのは、それがそれとわからなくてあたりまえだ。だから、彼女は認識の外からくるその快楽を怖気と感じたのだった。
「うぅ……」
 力を抜け、力を抜けと思ってるうちに、リーナは執拗に正夫に嬲られて、否応なく感じさせられてしまう。
 つい半年前まで童貞同然だった正夫も、一方的に嬲ることにかけてはその技術を特化させてきた。たとえ、手つきが稚拙であったとしても延々と嬲られ続ければ、悲しいかな女性の身体というものは、波を迎えてしまう。
 まして、リーナは自分で慰めたこともないのだ。直接膣を正夫の汚らしいベロで嬲られ、生まれて始めてクリトリスの中をむき出しにされて舐められる、痛みを通り越した腰を通り抜ける衝撃にリーナの腰は打ち砕かれた。
「なっ……はっ……ふぅん……」
 もはや、なすすべもなく。自分の股を押さえつけているつもりで、股に頭を挟みこんでいる正夫の頭を押えているリーナは、震えるばかりだった。生まれてから、こんな衝撃は受けたことがない。
「私は……私は……どうしてしまったんだ」
 リーナの本能が、これがあの……もしかするとあれかもしれないということがわかっていた。しかし、誰も居ないベットの中でどうして自分の中の女がこんなに燃え滾ってしまうのか、自分は駄目になってしまったのか取りとめもなくリーナ思考は四方に飛ぶ。
「リーナちゃんの……おいしいよ」
 西洋人のしかもまったく使われてないオマンコの味というのは、どういうものか半ば怖れすらあったのだが、リーナのものは逆にあっさりとした薄味で、マンカス自体もきちんと清掃してあって、酷く匂いたつようなものではなかった。
 そんな正夫の声は、もちろん知覚できないリーナである。
「たまらないなぁ……はぁはぁ」
 股座に武者ぶりつきながら、だらだらと先走り汁を垂らしておったてながらも、処女に対して配慮ある愛撫を続ける正夫。
「ふぅん……はぁん」
 リーナは、肩で息をしており半ば放心状態に口を半開きにしており、いつもの威厳もなにもあったものではない。リーナが思っていたのは、生理が始まったときの自分の中の女への嫌悪感とか、それでもどこかに女が出てしまう時の身体の芯が疼くような冷たい痛みのことだ。
 武家の出の自分の家系に誇りを持って、むしろ没落した今のフレディレンコ家を自分が身につけた武威一つ頼りに再興するとまで行かなくても、守り立てていこうと心に決めたあの時の思い。
 幼いリーナに武術を教えてくれた、士官学校の教官だった祖父。あの七歳のときの雪の閉ざされた冷たい部屋の暖かい祖父の手。祖国の崩壊、そして暴徒の凶弾が、祖父の眉間を打ち抜いたとき、かき抱いた祖父の体から暖かさを奪っていく血血血血血!
 流された大量の血に対する嫌悪は、十四歳のときに、学校のトイレで一人蹲って見た自分の股間から流れ出た鮮血。下着を濡らす、汚れた血。
 あの祖父の眉間から流れ出たのと同じ色の血だった。
「いぁ……いゃーーーー!」
 正夫が、十分な愛撫を終えて、リーナの腰に自らの腰を押し当てたとき。だからそのとき、膜を破られて破瓜する、リーナの脳裏に光ったのはかつての赤い祖国の全てだった。
「ううっ……いたぃ……ぃ」
 子供のように泣きじゃくるリーナ。やはり、周到に準備されてようが二十四歳だろうが始めては痛いのだ。それでも、なぜかリーナの心は深い罪悪感を感じていて、痛いほうがよかった。
「ぅぅ……いっ……あっ」
 痛いほうが感じたのだ。それは確かだった。
「リーナちゃん、気持ちいいよう」
 そんな正夫の間の抜けた声が聞こえないのは、リーナにとっては幸せだったのかもしれない。まあ聞こえていたとしても、反応する余裕もないが。
「ぃ……あっ……なんかくる」
 リーナは、痛いながらも感じていて腰をがくがくと振るわせた。それは二十四年間反逆され続けた、リーナの性欲という本能だった。その本能が男を射精へと導くのだ。
「ああ、リーナちゃんいぃ、いくよー」

 ドピュドピュドピュドピュドピュ!

 後先考えぬ、完璧なまでの中だしだった。まあ、正夫がやってるときに後先考えたことなどないのだが。リーナも、何かが感極まった様子でただ正夫の身体をしっかりと抱いている。リーナにとっては、正夫があってもなくても一緒だったが。とにかく、本能的に何かにすがりたい気分だったのだろう。
 そのリーナの切実な抱きつきの暖かさで、リーナの中に入りっぱなしの正夫のものは強度を増していって
「もう一回やろうか」
 その声に、応答を返すことなどなくリーナはただ腰を突かれるままに泣いていた。股間から流れ出る、リーナを二十四年間守り続けた破瓜の血も、まるで泣いているようだった。
 とにかく、こうして古森正夫は自分よりも数十段上の実力者である村川海馬に一糸報いることができて、師匠の仇も討てたのだった。
第五章「アルジェの切り札」
 激しい戦いにも辺鄙なところにあったため幸いに被害を受けなかった、さわやか荘の地下で完全に近い二重三重の拘束を受けながら、それを物ともせず荒れ狂う少女がひとり。
「なっとくできない、なっとくできないぞ海馬!」
 それはそうだろう、アルジェは策謀の限りを用いて、完璧と思える計画を実行に移し、さあこれから自分を徹底的に侮辱した海馬を亡き者にしてやろうと思っていたのだ。それが、それがどうしていつのまにかレインボーブリッチの真ん中まで追い詰められた挙句に、確保されねばならんのだ。こんな生き恥。
「殺せ、いっそ殺せ。くそ、誰も居ないのか!」
 その美しい瞳から流れる涙は、滂沱と海馬の地下室の床を濡らすのだった。
 それを監視窓から見つめる一対の目。始終監視の目を光らせているのがリーナであった。アンジェが何を言っても、応答一つしない。なにせ相手は天才催眠術師なのだ。海馬から、挨拶を交わしただけで相手を虜にし、針金一本あれば、水中縄抜け大脱出してみせるのがアルジェという少女だと聞いた。荘の管理を二の次にしてでも、常に監視の目を怠ってはいけない。その判断は正しかった。

 だが、忘れられた男が一人、そのおかげでリーナに気づかれることなく、さわやか荘の様子を外から伺っていた。冴えない、本当はそこまで歳を取ってないんだが、中年に見えるぼさっとした小太りの男だ。アルジェ・ハイゼンベルグの弟子、古森正夫である。アルジェは、海馬に捕らえられて殺されたと公式には理解されているが、それをもちろん信じなかった正夫は、何をすればアルジェを助けられるか、そうしてどうすれば海馬たちに仕返しできるかを考えていた。海馬の公の組織を狙ったアルジェと違い、同性の正夫には海馬にとって本当に大事な場所がこの私的な慰安所である「さわやか荘」であると本能的に感づいていた。男は巣を大事にする動物なのだ。
 アンジェを助けたうえで、この巣を荒らしてやれば、さぞや溜飲が下がるに違いない。せっかく目をかけてもらったのに、先の戦いで役に立つことも出来ずに、おめおめと引き下がるなど獣としてのプライドが許さない。
 そう、たしかに海馬はあの天才アンジェも下した生え抜きの催眠術師かもしれない。だが、一匹の獣であることには違いなかった。だから正夫は、今はただこうして、さわやか荘を出入りする美少女のデーターマップを詳細に作成する作業に没頭するのだった。
「あー必死にやりすぎて汗かいたな……フキフキっと」
 正夫がハンカチ代わりに取り出したのは、洗濯籠から盗んだリーナの真紅のショーツだ。アルジェが見たら、「そんなことやってる間に私を助けろ」と飛び膝蹴りを入れるだろうが、あの用心深いリーナのパンツを盗める正夫はやはり只者ではないことは確かである。パンツを盗むついでに、モニターも軽くカモフラージュして仕掛けてきた、意外や意外。海馬は、それに気が付かなかったのである。

 アルジェが叫び続けて疲れきって無言になったころ、監視部屋に海馬が静かに入ってきた。別に、その期を狙ったわけではなく、海馬は海馬なりに仕事を終わらせて、ここに帰ってきたのだ。闇の中で、無言に立ち尽くしている海馬にアルジェは気がついた。「海馬……私を笑いに来たのね」
「馬鹿が、笑えるかよ。派手にやってくれたな、俺がどれだけ再起に苦労を」
 むしろ、罵声の一つでも浴びせてやろうかと思って海馬は来たのだ。だが、完全に拘束されて無防備になった少女を見たとき、そんな気もうせてしまった。
「ふん、じゃあ……私を犯しにでも来たの」
 そういえば、あれだけ因縁があった研究所時代にも、海馬はアルジェを犯していない。くそ生意気だったので、徹底的に侮辱してやったことはあるが、なぜかそういうつもりになれなかったのだ。
「ふん、お前のその面を見てると、その気も失せるな」
「なっ!」
「お前、俺にやられたがってんだろう」
「誰が! 死ね!」
「そういう女は、やる気が失せるんだよ」
 そうやって失笑を浴びせてやる海馬。図星だったのか、どうだったのか。複雑な心境らしいアルジェは、涙を浮かべている。そそる気もするんだが、海馬は一向にやる気がおこらない。
 たぶん、海馬はいい女をむりやりやるようなことをしたくないのだろう。催眠を使って女をやるのに慣れすぎて、普通のセックスというリスクを取るのが怖いというのも実はある。
 従順そうに犯されていても、いつチンポを噛み切られるかわからないではないか。そう思ったら、怖くてチンポなど立たない。催眠術師という人種は、思慮深いために小心なのだ。

 一方、術師として思慮浅いがゆえに大胆なものもいた。正夫はリーナ攻略をすでに終了していた。自分のパンツがないことに気がついて、リーナは先祖伝来の甲冑をつけて、独特なフォルムの直刀を構えて、広場に躍り出た。すぐさま、物陰に潜む男の姿を見つけて、躊躇もなく切った。
 切ったが、それは服を着た丸太で、その瞬間に横から催眠電波を浴びせられたのだ。たしかに、リーナはもともと催眠に強い体質で、海馬によって最強度のサイコ・ディフェンスに加え、サイコ・ディフェンサーという機械的なジャミングマシンを常に装備させられていたが、武装のためにジャミングを外してしまったのだ。
 そして、敵を倒したという快楽に打ち震えた寸前の一瞬の心の空きに入り込まれ、受けた暗示は正夫の存在を感知できなくなるである。
 鉄壁なはずのリーナの防衛を信じきっている海馬の心の虚を突いて、アルジェは助け出された。
「正夫は……私にとってとんだ拾い物だったみたいね」
 そう、アルジェは自嘲した。たしかに、村川海馬に抱いて欲しいのかと面罵されたアルジェはそういう気持ちがあったのもたしかだ、それが逃げ出せるとなってそれでも海馬にすがろうなどという可愛げがある女でもない。
「私が受けた分の屈辱を、海馬に与えてあげて。これは、師匠としての命令ではなくて、女としての私のお願いです」
 大恩あるアルジェから、そうすがられて、古森正夫は復讐代行人となったのであった。正夫が考えたのは、徹底した正夫以外への陵辱。ここにいたっても、海馬は正夫という伏兵の存在に気がつかなかった。致命的ミス。
 戯れに拾ったはずのブタカードが、いつしかアルジェの唯一の切り札、ワイルドカードになっていた。
第四章「シリアス一転」
 横殴りの激しい雨が降り続いている。その中で、傘もささずに海馬は立ち尽くしていた。目の前には、一人の男が倒れている。調達課長の佐々山である。額を銃弾に貫かれて即死だった。調べると銃痕が焼けている、至近距離から撃たれたということだ。あれほど、用心深い男が、こんな死に方をするとは。しかも、AC社の敷地内で!!

 すでに広報部の部員が事態の収拾に乗り出している。外ならともかく、社内で社員が死んだとあっては警察沙汰にするわけにもいかない。社内を捜査されては、たまらないからだ。死体は事故として片付けられるとして、広報部は若手のホープを失ったうえに内部の動揺は業務の停滞すら招きかねない。海馬は、すぐに保安課長の向井に電話をかける。

「あ、村川さん……大変ですよこっちも、警備部からも問い合わせの連絡が矢のように掛かってきてますし、東出部長はうるさいし、ぼくは保安室にかかりきりですからね。一応、レクリエーションセンターも一時閉鎖しておきました」
「そうか、佐々山が死んだから課長級は君だけだしな、後任が決まるまで少し苦労をかける」
「いえ、いいんですよ」
「あと、セキュリティーを警備部と共同で支社全体に張り巡らせる話、今回の事態が収拾しだい予算は気にしなくていいから早急に進めてくれ」
「そうですね、必要ですよね」
「あくまで、主導権はうちが取るように、君の能力に期待している」
「あと……犯人ですが、やはり社外でしょうか」
「犯人か、社内の人間ならまもなく捕らえられるだろう。犯人はともかく、バックは社外しかありえないだろうな」
 激しい横殴りの雨のなかで、不意に稲光がして海馬の蒼白な横顔を照らした。

――ここから話をぶっ飛ばす。シリアスなシーンで申し訳ないが、この小説は十八歳未満閲覧禁止のエロ催眠小説だからだ。ここから先の話は、詳しく描写しても実用性皆無の大変つまらない話になってしまう。佐々山殺害の犯人から、犯人は米AC本社が送り込んできた催眠システムを操る、金髪碧眼の天才少女アンジェ・ハイゼンベルグだと発覚する。彼女と海馬は、過去にある因縁があった。

注:アンジェ・ハイゼンベルグについては前作の「タワーマスター」の終章を先によむことをお勧めします。アンジェとその弟子の古森正夫についても読んでおいてくれるとなお、助かります。

 ここから、お互いの催眠兵団を操った数万人規模の殺し合いに発展し、日本支社は壊滅的打撃を受け、大虐殺事件がマスコミに情報が流れてアンジェ頼みの米AC本社にも政変劇が起きてしまう。最後は、政府も絡んだ大陰謀劇によって首都官邸は爆破され、東京都庁は割れ、東京湾が沸騰したついでに、レインボーブリッチが封鎖されるというハリウッド映画も形無しの大スペクタクルのあと、後ろ盾を失って追い詰められたアンジェの身柄を海馬が確保することに成功。実質、日本支社も再建にはだいぶ時間がかかるほどの打撃を受けたものの、アンジェの背後の米本社改革派は失脚、勝負は海馬の完全勝利に終わるのだった。
 あー誰だ、あらすじだけなら適当にでかいこと書けるとかいう奴は。こんな小説でもお客さんがいるんだから、読みたいものだけを提供しっゴガァ――

 話を崩壊させるというあまりにも無残な姿を露呈させた作者の頭に、天からの怒りかあるいは慈悲なのか、流星が飛来してその口を永遠に封じた。世界と作者の頭が粉々に砕けようとも、話は続く。
 アンジェの不幸は、これがエロ小説だったということだ。
第三章「俺専用の女子寮」
 本社から、一キロも離れてない場所にポツンと女子寮がある。もともと若い独身社員を囲い込むために、AC社は安い独身寮とうまくて安い飯を提供しているが、ここは近すぎる。一番近いエリート宿舎でも三キロはかかるし、方向が逆である。もともと、威嚇的な建物の形をしているAC本社は、丘に埋もれるような形で建っているが、丘の下へつまりこの女子寮とはまったく逆方向に広がっている。そして丘を下りきれば、一般社員の社員宿舎とAC社付属の学園施設、そしてさらにいけば繁華街に駅と主要道路が広がっている。AC本社よりも丘の上側は、死角となっているのだ。レクリエーション施設にしても、この丘に埋もれるように建造されているし、AC日本支社設立当時の日本支社長が何を考えていたのかしらないが、一般に公開されていない地下道や、用途不明の倉庫、そして幹部用のあまり使われることがない茶室(海馬はよく、ここで一人茶をたてて黙考することがあるので感謝しているが)などなど、訳の分からない施設が点在している。AC本社をいざとなれば要塞化できるように目論んだ建築ではないかと、最近海馬は考えている。となると、AC本社の長期計画があるのか……。もちろん、幹部用の施設が多いうえに、寂しいところなので、一般社員は近づかない。
 こんなところに女子寮があるとは誰も思わないし、ここに住もうなどと思う人もいないであろう。まともな、判断能力があれば……なぜこんなところに人が住むか、それは住んでいる人間がすべて海馬の支配下にあるからである。
 この女子寮「さわやか荘」には、AC社付属学園の女子中学生、高校生からOLにいたるまで多彩な人材が住んでいる。もちろん本来の住所があり、そこに住んでいると彼女らも周りも思い込みつつ、ここに住んでいるのだ。だから、情報が漏れることもない。ただやるだけなら、ここまでする必要はない。海馬は、やりたいことがあってここを創り出したのだ。

 木々生い茂る林を抜けて、海馬がさっとさわやか荘に入る。入り口で、細々とした雑用を片付けつつも、侵入者に目を光らせていた女性管理人が海馬を見とめて、さっと頭を下げる。荘の保守管理運営は、すべて海馬が精神的に完全掌握した女子社員によって行われている。彼女らは、広報部の人間なのでこの仕事に専念させることができるし、気が向けばもちろん抱くこともできるようにそれなりの美人を配している。

 中に入ると、中央ロビーを抜けて談話室に。なかなか豪奢なつくりである。まだ夕刻にも早い時間だが、十名ほどの女子中学生や女子高生があつまってわいわいと談話室で騒いでいる。この荘に住むのは、海馬自身が選りをかけた女子ばかりなので、みな休日でもなければ外出することもないほど、素行は良好なのだ。荘の設備が万全なので、出歩く必要がないこともあげられるかもしれない。
 ソファーでお茶をしながら、夢中になって話している彼女らをながめながら、海馬は特等席である入り口に近い端っこの固い木製の安楽椅子に坐る。海馬は体を落ち着かせるのに固い材質のものを好む。自分の仕事が常に冒険で不確かで不安なので、常に固い土台を求める心理の現われかもしれない。あるいは、人を支配しないでは安心していられないのは、海馬の弱さなのかもしれない。
 それにしても、談話室の彼女らは海馬が入ってきてもまったく反応をしめさない。そうなのだ、この環境こそが海馬が求めていたものなのである。むろん、他の野望もあるが、この透明人間になれるような、自分の願望を満たす城を作りたくてAC社を利用したようなものなのだ。ここにいれば、まるで果実をもぎ取るように無防備な女を抱くこともできれば、その生活をつぶさに眺めていることもできる。まさに楽園である。流れ者のような生活を送っていた海馬は、ここで始めて自分の家が持てたような気がした。
 銀髪で白い肌をもつ女性がコーヒーを持って入ってきた。まるで陶器のようなつややかな肌、整った顔立ちにくすんだ銀色の瞳が印象的だが、少し長身すぎるのが難か……エカチェリーナ・フレディレンコ、白系のロシア人である。彼女は海馬にこのさわやか荘の総支配人を任されている。優秀な女性だ。そして、彼女はこの荘で唯一海馬の支配下に入っていない。むしろ、サイコディフェンスすら施している。

 コーヒーを一口すする。ブラックのコーヒーにこのような表現がにつかわしいのかわからないが、甘露である。「リーナ、荘の管理状況はどうだね」小首をかしげるリーナ。「ん、なにか異常が?」表情をかえる海馬。「いえ、異常はありませんわご主君。酔っ払いが敷地内に迷い込んできたことはありましたが、それはいつものように始末いたしました。そんな瑣末なことはご報告をあげるまでもないかと、ただ……」「ただ、なんだというのだ」「ただ、報告することがあれば聞かれずともいたしますのに、私の危機管理能力がまだ、ご主君に全幅の信頼をいただいてないのかと残念に思っただけですわ」海馬は苦情した、あいかわらず扱いにくい女性だ。

「悪い主君ですまなかったなリーナ」彼女に謝るのは何度目だろうか。もともとACロシア支社から日本に赴任してきたところを見所があるとおもって広報部に引き上げたのが海馬であった。没落したフレディレンコ家、もとはロマノフ王朝に仕える武官の家系であったそうだ。家が貧しいこともあり、切迫していた経済状況を海馬は救った。そしてリーナは、その恩に対し忠誠を捧げると誓った。実に昔気質な話であるが、海馬はそういうのは嫌いではない。もともと心理的にみても、強い精神力を持つリーナは極めて防御力が高い。むりやり、心理的な支配下に置くより個人の意志によって、従わせるのが得策と海馬は信じた。催眠術も万全ではなく、おなじ術師の手にかかればすぐさま逆洗脳されて反逆されるおそれもある。たとえば、現状で考えられる危機は調達課の佐々木あたりが野心を抑え切れず、裏切った場合でもこうやって要所に対心理防御ができる人材を配しておけば大事に到るまえに食い止められる。
 最初、さわやか荘の総支配人の職をリーナは嫌がったのだが、ここが海馬のもっとも大事な場所であると知って喜んでここの仕事をやるようになった。女性としてこのような仕事をやるのが嫌なのだとおもったら、ただ閑職にまわされるのが嫌だっただけのことなのだ。いわば、ここは海馬の大奥である。この仕事は、いかに優秀といえど男に任せるわけにはいかない。女性として、こんな仕事をするのはどうなのかと聞いてみたことがある。「フレディレンコ家は、変態的なご主君に仕えるのは慣れておりますから平気です」といって海馬を苦笑させた。

 海馬は女の好みにも人種的偏見はない。リーナを抱こうと思ったこともあるが、主従の間に情実があるとうまく事が進まないと断られた。しかも、このような仕事をおしつけられてはか……あるいはそれがリーナの女としての精一杯の抗議なのかもしれなかった。さてと、健全なる我が娘らの姿をみて、そろそろもようしてきた手短にいる女子高生、沢千恵子を立ち上がらせて、その下の椅子に坐る。さわろうが、なにをしようがここでは海馬のやることのすべてはなかったことになる。彼女らは、荘のなかでは下着をはかない。だから、海馬からみると千恵子の秘裂がよく見える。その穴を、てでびろっと開くとそのまま海馬の屹立したものを押付けて一気に挿入する。

「ぐ!」濡れてない膣につっこまれて気持ちのよいわけがない。ひきつった顔を歪ませて、傷みに耐えるとなにごともなかったように千恵子は談笑を再開した。そっとそのまま奥まで挿入すると海馬はそのまま静かに千恵子を自分の上に坐らせる。しぜんと、騎乗位のような形になる。無理にピストンはせず、千恵子の若い膣を奥底まで突き入れて楽しむのが、さいきんの海馬の趣味だ。痛いのか気持ちいいのか、千恵子は絶え絶えに「う!」とか「ぐ!」とか叫びつつ、談笑を続けようとする姿が痛ましくも楽しいものだ。こうして、彼女の張りのある小さな乳房を、突起した乳頭を引っ張ったりして弄びながら一時間もの長きにわたってただ挿入しつづけた。沢千恵子が、寮友と「今日は学校でなにをした」だの「最近好きなもの」や「好きな男の子のタイプ」なんて話題をききながら、彼女の一番奥底にみずからの肉棒を突き入れて、その体温を楽しむ。やはり若い膣は、二、三度温度が高いように感じると海馬はおもう。
 最初は濡れていなかった膣も、こうやって乳房を愛撫している刺激に耐え兼ねてか、愛液を垂れ流し、海馬のものを子宮へといざなうように蠕動を始めるようになる。若いものもいるが、寮内に初潮のきていないものはいない。寮生の生理周期はリーナがすべて管理しており、沢恵美子は危険日まっただなかである。いま海馬が精を放ってしまえば、千恵子は高い確率で妊娠するだろう。そして、妊娠したら必ず生ませる。そう、彼女のそのささやかな青春をも奪って、新しい生命を種付ける。それを理解し、崇高な儀式だとおもうからこそ海馬は一発に1時間かけるのだ。子宮に卵さえちゃんとあれば、そこにたどり着けないほど海馬の精子はやわではない。

 無理な態勢をしいられているからだけではなく、「ああうう……」と呟くと千恵子はがくがくと腰を震わせた。「いったか……」そうおもえば、乳頭を力をこめて愛撫して、さらにその快楽を高めてやりもする。そのたびに、膣は収縮をくりかして海馬のものを刺激する、三度千恵子もいったのち……海馬も限界を迎える。
 「ん……いい子を産めよ千恵子」そういうと、無理に我慢せずぐっと力をこめて腰を押し上げてその子宮口を押し上げんばかりに腰を叩き付け精を放つ!

 ドピュンドピュンドピュン!ドピュ!ドピュ!

 千恵子の中へと、届けとばかりに海馬の肉棒は精液を吐き出した。たくさんの精子が、千恵子の奥底の卵目指して飛び出した……生命のレース。そんな、感慨にふけりながら静かに腰を抜くとどろっと千恵子の秘裂から白濁した液が零れ落ちた。それをさっとすくい、リーナは千恵子の膣内に精液を残したまま蓋をしてしまう。冷淡な処置だ。

 リーナが、ポンと沢千恵子の肩を叩くと、そのまま千恵子はポケーと呆けた状態になり、誘導されるがままにリーナに連れ去られる。特別室までつれていき、足を逆さ釣りにして腰を震わせて妊娠率を更に高めさせるのだ。それは指示に従う有能さというよりも、最近のお気に入りの千恵子をさっさと孕ませて処理してしまおうという嫉妬の現われのように、海馬には思えた。「あたらずとも、遠からずということか」部下に慕われることは、行き過ぎなければ都合がいいこと……ようはバランスかな。まだ一発抜いただけで、海馬の逸物は衰えをみせていない。次の生け贄を選ぶ……海馬の至福の時、さわやか荘の饗宴はまだ続きそうだった。


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ヤラナイカー

Author:ヤラナイカー
おかげさまでプロ作家になって五年目です。
ボツボツと頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします。
(プロフの画像、ヤキソバパンツさんに提供してもらいました)



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