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E小説(中出し・孕ませ・時間停止・催眠・環境変化など)
エロ小説のサイトですので18歳未満の方はお帰りください。傾向はマニア向け、作品中のほぼ100%中だし妊娠描写、付属性として時間停止・催眠・環境変化などです。
第二章「公園でイク」
 さて、外に出てみたものの……目の前に公園がある。それにしても、季節が夏でよかった。冬に裸ででたらいくら皮下脂肪厚きデプレデターでも外に出る気にはならなかっ

た。
 公園に入ってみると、親子づれが多数遊んでいた。そう、子供だけで遊ばせるとデブレデターのような変態がやってくるので、最近は必ず親の監視の目が入るようになった

のだ。そのような目は、デブレデターには関係なかった。
「うーむ、よく窓から見えるこいつらのパンツで抜いたものだったなあ」
 別に彼は真性のロリコンというわけでもないのだが、デブオタヒッキーの例に漏れず、子供も守備範囲なのであった。
 さっそく、ジャングルジムで遊ぶ子供のスカートのなかに手をつっこんで股をさする。自分は小心な引田ではなく、姿の見えぬ怪物デブレデターであるという意識がこうい

う大胆な行動をさせるのだ。
「? ……きゃは」
 ガキんちょは、くすぐったそうにしているだけで、不思議とも思わない感じで上に登っていく。
 下に下がってくる女の子は、デブレデターのいやらしい手の餌食となった。そうやって、見るだけで触れられなかったものをイタズラしていくうちに、否応もなくデブレデ

ターの粗末なものが勃起してくる。
 しかし、このガキどもではさすがにだめだ。幼すぎる。

 あたりを見回すが、初夏の日差しに負けて、日陰でけだるそうにしている母親どもではどうも気乗りがしない。その上、このような場所では危険も伴う。さらに探索をすす

めると、いた!
 草むらに女の子が寝ていた。遊びつかれたのだろう、小学校五年生ぐらいの子だと目測した。額が広く少々気が強そうだが、顔はそこそこ美人顔だし、将来が楽しみな子だ


 小学校高学年なら、デブレデターのストライクゾーンである。

「最近の子は胸が大きいなあ」
 おずおずと、Tシャツから腕を差し入れるとたわやかな膨らみがあった。A、もしかしたらBぐらいいっているかもしれない。
「きっと、ブラジャーはまだ買ってもらってないんだな」
 幼さのわりに、発育は良好のようだ。乳頭はさすがにできあがっておらず、ほとんど感触に違いがない。
 真性なら、このつるつるがいいのだろうが、そうでないデブレデターには少し物足りなく感じる。
「ううん……」
 起きはしないが、その子はむずがゆそうに身動きをした。薄く寝汗もかいている。どんな夢をみているのだろうか。固く勃起させながら、そのようなことを思う。

 それにしても、子供は本当に肌が綺麗だ。おもわずTシャツをおしあげて、胸のさきっぽを舐めてみる。仄かに、塩っ辛い汗の味がした。
「ハゥ……」
 息が少し荒くなったようだ、感じているのだろうか。さらに激しく舐めると、それなりにいきは荒くなる、乳頭部は未発達でも、乳房は感じるのかもしれない。ほんとうに

いけない体だ。
「最近の子供は発育がよすぎるなあ」
 だから、デブレデターの下半身が限界に達してしまってもしかたがない、あくまで静かにスカートをめくってパンティーを下ろしていく、そこには未発達の縦筋があった。
「いい体をしているのに、まだまだだなあ」
 中を開いてみると、ほんとに小さな穴があいているだけだ。こんなところに、いくら粗末で標準サイズよりはかなり小さいとはいえ、入れてしまっては壊してしまうだろう


 そっと、その穴に密着するようにプレデターはチンコの先っぽを押付けた。そのチン先に感じる、あまりにも清楚なつるつる感に、臨界点に達していたデブレデターの息子

は、欲望の飛沫を吹き上げてしまった。

 ドピュドピュドピュドピュドピュ!

 その瞬間、「ううう……なにぃ」と呟いて、その子が目を開けた。しかし目を覚ましたのは遅かった、未成熟の膣の中で暴発してしまった精子に汚し尽されたあとだったの

だ。
 さっと、ザーメンで濡れたままで、パンツを履きあげるデブレデター。さっと、下がるとこれまで自分を陵辱していた、存在の息吹にその子は気がつかなかったようだ。女

の子は、けだるさから目覚めて目を覚ますとパンツが濡れていることに気がついて、青ざめてトイレの方向に走っていった。

 まさか妊娠することはないと思うが、ザーメンがこびり付いたパンツを親にどういいわけするだろうか。そう思うと、すこしプレデターは良心が痛んだ。だが、それも一瞬

で更なる悪事をするために、真昼の闇へと消えていった。
第一章「歪曲の科学者」
 プレデターという映画を知っているだろうか。その映画に登場する悪役生物は、光を歪曲させ相手に姿を見せずに狩りを行う。
 前置きが長くなったが、自己紹介しよう。私は引田将人三十五歳独身、三丁目のアパートに住む天才科学者だ。
 近所の住人はただの童貞デブオタヒッキーだと思っているが、これこのように光子歪曲スプレーを開発して、天才さを示している。
 光子歪曲技術自体は純理論的にはすでに実現可能になっているが、かかる費用や技術的な問題で、まだ現実的には米軍の海軍兵学研究所ですら試作に失敗し続けている。
 そんな夢の技術を、このような低コストで大変扱いやすい形で仕上げたのは、世界でもたぶん空前絶後であろう。
 この研究を発表すれば、かなりの反響が巻き起こり、軍事技術を初めとして民間でも、メッキ塗装の分野において技術革命が起こるだろう。
 だが、わたしはこれを発表したりなどしない。
 馬鹿らしいことだ、塗装屋や軍人を喜ばせて何になる。最初のうちは、歓迎をもって迎えられるだろうが、すぐ他の研究者によって対処法が考えられ(今のわたしにだって

、すぐに七通りぐらい対処法は考え付く)あっというまに無力化されてしまうだろう。
 そんなアホなことをやるより、これは自分のためにつかうのだ。
 幸い、わたしは親が資産家なので生活のために働くということはしなくていい。研究は趣味なのだ。
 とにかく、説明したように裸になって――裸はただ私の趣味で、服に振りかけても迷彩になる――体中にスプレーを塗れば、漫画の忍者のように背景に溶け込んで分からな

いわけである。たとえるなら、ちょっとした透明人間といったところか。
 さっそく裸になり、スプレーを散布してみた。
「完璧だ……」
 私は、背景に溶け込んでいた。素早く動くと揺らぎのようなものが一瞬見えるが、これに気付くものなどいないだろう。実験は成功といっていい。
 この技術を苦労して開発した目的はただ一つ!
 目指すは、私の童貞脱却である!

 さて、私は元来外出は苦手なので、テストは近場で済ますこととしよう。ベランダをつたって、隣りの部屋に侵入してみることにした。
 隣りには私と同世代の奥さんが住んでいる。
 なんどもいうように、私は引込み思案であるので奥さんは、たぶん私の姿をみたことない。
 あるいはみたことがあったとしてもキモオタとして気にも留めてないだろう。
 私は、長らく隣りの様子を覗いては奥さんのでっかい巨乳を見てはため息をつき、干してある派手なパンティーをみてはオナニーをしていたのである。そうこうするうちに

、初めての実験相手。つまり童貞の喪失相手は隣りの部屋の奥さん。
 本村恵子さんに決定しようと思っていたのだ。

 姿が見えた時はまわりが気になって、たった二メートル先に干してあるパンティーが手に入らなかったものだが。今の私は、もう人の目をきにすることはない。
 干してあるパンティーをひったくってそれでオナニーした。私の粗末なものでも、はいりきらないほ細いほとんど紐パンだ。
 なんて大胆なものをはいているんだろう恵子は、こんなんでいってしまってももったいないのでベランダから中へ侵入した。
 留守のようだ、ちょっとほっとしたが残念にも思う。まあ姿が見えないといっても、私はちょっと臆病だから。ゆっくりとならしていったほうがいいだろう。

 いろいろ物色していると、寝室の横に堂々とバイブが置いてあった。さすが、熟女は違うなと感心する。
 恵子の夫は大きな商社勤務、出張しがちで今週もずっと出張で帰ってこないはずなのだ。
 夫が居ない無聊を、このようなもので慰めるとは主婦の鏡だな。
 とりあえず、恵子の愛液でてらてらしてたので嘗め回すことにした。
「恵子の味だ、甘露甘露」
 調子にのって、スイッチをいれてなめていると……

 ドピュドピュドピュ!

「うあ!ゲフォゲフォ」
 しょっぱい、白くてしょっぱい液が……ぺっぺ。これは精液か!?
 よく注意して見れば、変ったバイブである。バイブと管でつながっているポンプのようなものがついていて、こっから精液を吐き出すらしい。
 ああ、キモイ。流し台で吐いてしまった。このキモさは擬似精液じゃないだろう。
 論理的に考えれば、擬似ならもっと飲みやすい味にするはずだ。
 そう思ってよく観察してみると、バイブに説明書が付属していた。
「夫が留守の間にも、夜の営み(人工授精)ができます」
 冷蔵庫には、冷凍精液のたばがさりげなく置かれている。
 出張先でもこれだけ抜けば夫も不倫できまい。私が引きこもってる間に、変わった商品が出たものだな。

 それにしても、これだけやってできないのは。この精子が劣悪なせいだな。
 ポンプを綺麗に掃除して、役に立たない精液を洗い流してやる。
 そして……ここには役に立つ精液が必要なわけだ。たまたま、私は溜まっているし……恵子も幸運なことだな。天才の子を孕めるとは。
「恵子! 恵子! 俺の子供を妊娠しろ!!」
 恵子のひもパンを噛み締めながら、まるで恵子の膣に吐き出すようにポンプのなかに注ぎ込んでやった。

「ふう、これで間接的にだが、俺の童貞喪失も時間の問題というわけか。喪失の瞬間を確認したいところだが、まだ時間が早いな。」
 次に侵入するときに、侵入しやすいように合鍵をつくり、すこし外にでて、遊んでくることにした。

「なんてことないですよ」催眠短編
 佐々木佐貴子は、頭だって容姿だって人並み以上なのに、優柔不断な性格でいつも損をしていた。
 心が弱いから、気持ちが続かないから、いつも中途半端なことで納得してしまう。
 大学も、あんなに入りたかったのに勉強が続かず、挫折して二次志望に。
 就職だって、本当は教師になりたかったのに、学校事務員で妥協して。
 付き合ってる彼氏だって二番目に好きな人、本当に付き合いたかった人は友達に先を越された。
「ああ、自分に強い意志があったらなあ」
 そんなことを思いながら、二十三年間生きてきたのだ。

「これを使うと、どんなこともなんてことはないって思えるようになるんですよ」
 ある雑居ビルの三階で、目の前の男が、佐貴子の目の前で調合した無色透明の水薬を掲げてそういった。

 ある日家に来たダイレクトメール。そんな怪しげなモノ、賢明な佐貴子は見ないで捨ててしまうのだったが。
 どうしても、そのメールだけはゴミ箱に捨てることが出来ず。
 仕方が無いので、中身を見るだけと思って見る。
「どんなことでも乗り切れる強い気力がつく」という表紙が目に入った。
 一種の自己暗示法なのだそうだ。試してみると、驚くほどの効果があった。
 やりはじめてから少しずつだけど、そこから佐貴子の人生がいい風に変わりだしたように思えたのだ。
 だから、半信半疑だけれども、「もっと効果を試したい方はこちらまで電話してください」と書かれてある通りに電話してしまった。
 来いと指示されたのが、この雑居ビルだというわけだ。

 病的に青白くやや太り気味なのが気にかかるが、ピリッとした白衣を着ている男は精神科医だと名乗った。
 決して端整ではなく、むしろ不細工なほうなのだが、たしかに優しげな笑顔を張り付けた男の顔にはある種の職業的な説得力があった。
「どんな困難にも打ち勝つ強い心を持つことができるわけです」
 そうして、満面の笑みを浮かべる。
「それは……すごいですね」
 水薬を目の前にして、佐貴子は息を呑んだ。とても、美味しそうに見えたのだ。
 でもそのまえに、いろいろ質問しなければ。
 そう思った途端、男が先んじてこういった。
「ああ……そうですよね、さすがにご不審ですよね。まず、なんでも質問してください」
「そうですか。あの、なんでこんな場所に呼んだんですか。お医者さんなら、病院とかあるのでは」
 たしかに、雑居ビルは古ぼけていて、ここもただの事務所みたいな場所だ。
 安っぽい事務机が一つあって、その上に薬品の類がならんでいる。
 そして、先生と佐貴子が座っている簡素な応接用のソファーと机。
 清潔そうなベットが一つあるのが、病院らしいといえばらしいのだが
 まるで、空き部屋に「病院のセットをひとつ作ってくれ」と言われて手抜きで作ったような感じだ。
「その点から、ご説明しましょう」
 男は、エヘンと喉をならしてからゆっくり説明しだした。
「まず、この事務所ですが病院ではない……ことは見たら分かりますね。今日、簡単につくってもらったものなんですよ。全部このビルの備品です。本当は、こんな形にする必要もないんですが、まあ職業的な気分というやつです」
 そういって、笑った。
「ちゃんとした、医局を通さないでメールで希望者だけを募っているのはこの薬が未認可薬だからです」
 未認可と聞いて、佐貴子が眉を顰める。
「いや、未認可といって誤解しないでください」
 あわてて、医師は付け加えた。
「この薬には、副作用も常習性もありません。きわめて安全で、一回飲めばたちまち効果を発揮します」
「そんな薬が、なぜ未認可なんです」
「考えても見てください。良いほうへとはいえ、人間の性格を変える薬ですよ。しかも、健康な人間に投与するなんて認可がおりると思いますか」
 佐貴子は少し考え込んだ。たしかに、性格を強くする薬があったとして、そんな薬の許可はおりにくいだろう。
「最近は精神医学も進歩しました。昔は、不治の病とされてきた精神病が瞬く間に薬で簡単に治る。あるいは改善する」
 そういって、遠い目をする医者。
「そんな研究の副産物として、この薬は完成したんです」
 自慢げに薬を持ち上げる。
「大不況の傷跡で、この国の人々は多くの困難に見舞われている。打ちひしがれて、自殺を考える人。乗り越えられぬ壁に、夢を諦めてしまう人。そんな弱い人たちの心を救うため、私は未許可であろうとも一人の人間としてこの薬を希望者の方に処方することにしたんです」
 そういう先生の顔は、善意と熱意にあふれているように見えた。
「そうなんですか……実は、私も意志が続かないことが多くて」
 そうでしょう、そうでしょうと目の前の男は頷く。
「あのメールを読んで、来てくれる人はこういっては失礼だが、あなたのように意志の弱い人ばかりです」
 そうずばりと言われると、佐貴子も答えようがない。
「これでも結構貴重な材料を使っています。必要としない人に飲んでもらっても、意味がないのです」
 まだ、佐貴子は薬を目の前にしてただ悩んでいるようにみえた。
「あと飲む前に二、三、了解を頂かなくてはならないことがあります」
 むしろ、その言葉に助けられたように「なんでしょう」と佐貴子は尋ねる。
「その薬を飲んでしまうと、変わってしまった性格は元に戻りません」
 自分の性格がまったく変わってしまう。たとえ良いほうであったとしてもそれはとても怖い怖いことに思えた。
 すこしでも、疑わしい点があれば断るつもりでいた。
 佐貴子が見つめた先生の顔は、小太りで貧相であまり知的には見えない、でもそんなうらぶれた顔が医局に逆らってでも信念を貫いた結果なのかもしれない。
「その薬の効果は、どんなことでも、なんでもないと思えるようになるということ――どんな困難も、なんてことはないって思えるようになります。その人の能力や知識自体は変わらないのですが、そう思えるだけで人は驚くほど良くなっていく」
 ちょっと、壁にぶつかると妥協してしまう自分。まあこれでいいかと思ってしまう自分。たしかに、ぶつかって失敗するときもあるかもしれない。でも、そういう風に思えたら、これまでどれほどのモノが得られただろうかと佐貴子は思った。
「みんな生まれもっての自分の性格を大事にしています。たとえ後ろ向きでネガティブであろうとも、それを変えてしまうのは間違いかもしれない。貴重な薬でもありますから、納得していただける人。心から必要とする人だけに飲んで欲しいのです。飲まないで帰っていただいても、もちろん結構です。それも人生でしょう」
 このまま帰るのもあまりにもったいない。それでも、長い長い煩悶、苦悩の末だった。
「あの……最後に質問を」
「どうぞ」
「副作用は、ないんですよね」
「肉体的にはまったく無害です、各種の動物・人体実験をクリアして、すでにこの薬を使った人もたくさんいますから」
「あと、その……料金の方なんですけど……保険とか効かないだろうし」
 男は、ああそんな心配でしたかと笑って金額を口にした。
 そんなものかとあっけなく思った。たしかに、医者に通うよりは高額だが払えないことはない。普通に持ってきた財布から現金を取り出して
「じゃ……これ……お金です」
「ありがとうございます」
 だが医師はそういって、机の上に置かれたお金には手をつけようとしなかった。
 普段、直接お金をもらいなれてないからか、手をつけないのだろうか。
 男は、まだ薬に手をつけない佐貴子に、飲むんだったらここで全部飲んでくださいねと小さく言って、佐貴子に飲むことを促すのだった。
 それで、ああ持って帰るっていったら、なかったことにしてお金を返すつもりなんだと佐貴子は気がついた。
「じゃ、飲みます」
 ようやく、意を決したように佐貴子は、あっけなくトクトクトク……と薬を飲み込んでいく。
 一度飲み出すとビーカーに結構量があったのに、きれいさっぱりと飲み干してしまった。薬なのに、おいしくて飲みやすかったのだ。
「どうですか、薬の効果は感じられますか」
 そう尋ねる男に、佐貴子は満面の笑みで。
「そうですね、なんてことはないって気持ちです」
 その答えに男も笑った。
 帰ろうとする佐貴子を呼び止めて、申し訳ないんですが効果を確かめる検査につきあってください。お時間大丈夫ですかと尋ねる男に。
「なんてことはないですよ、どうぞ検査してください」
 そういって、佐貴子は笑う。なんだろう、全身からなんでもこい。
 なんでもOKという、そういう強い気持ちが広がってくる。
 いまの佐貴子なら、どんな逆風が吹いたって前に進めそうだ。
 北風さん、どんとこいと心の中で叫ぶ!
「じゃ、上半身裸になってください」
 だから佐貴子はそういう先生に、先生は太陽のほうなんだなって心で思った。
 佐貴子は、無駄に胸が大きい。だから、可愛いブラも数が少なくって、こんなことになるなんて思ってなかったから、今日はとんでもないおばさんくさいブラジャーだった。色は白。純白じゃなくて、洗濯くさい白だ。しかもレースがよれてる。
 こんな状態、羞恥心の強い佐貴子なら、無理にでもすいませんまた来ますと泣きながら逃げ帰ったことだろう。
 でも、今日は気分が高揚しててなんでもないと思った。
 勢いよく、上着とシャツとブラを脱ぎとって、ソファーに投げた。まったく、なんでもないことだ。
「じゃ、診察しますからね」
 そういって、べたべたと佐貴子のあまり自慢できない巨乳を触り始めた。彼氏の幹夫は、巨乳が好きらしく、しっつこくパイずりとかを要求してきて、すべすべでいい乳だっていつも褒めてくれるけど。
 佐貴子の理想の体型はもっとシャープなできる女なのだ。ぽちゃっと垂れ気味の自分の乳も、大きい乳輪も本当は好きじゃない。
 あと最近、気になってきたウエスト周り。
 ダイエットしようとしたら、幹夫がいいよこのままでいいよというから、面倒だしいいやと思ってたけど、この薬の効果でがんばれるかな。
 この乳も、幹夫も本当は好きじゃないのかもしれない。
「というか、先生乳ばっかりさわりすぎ、やっ舐め!」
 診察というのは気まずいものだ。いつもの習慣に従い、その間は意識しないように別ごとを考えていた佐貴子をいいことに、先生は乳ばっかりいじくり倒したあげく、舐め出した。
「あれ、舐めてはいけせんか」
「いや、どうってことないですけど」
 そうやって、口にした途端。佐貴子は、なんでこんな男に嬲られるのという不快感や、強烈な違和感をどうでもいいこととして気にならなくなった。
 そんな佐貴子の顔を確認して、さらにチュパチュパを右の胸をを吸い、左の胸をいじくる。胸の先がぞわぞわして、佐貴子の乳頭が立ってくる。生理的反応。
「どんな感じがしますか、気持ちいいですか」
「いや、くすぐったいというか。気持ちいいまでは、まだ」
 そうきいて、さらに嘗め回す男。
 やがて覆いかぶさるように、佐貴子の全身を嘗め回した。初夏だから、ぞわっと佐貴子のなんともいえない体臭がただよってきて、男を興奮させる。
 佐貴子は、佐貴子で別の意味でなんともいえない油ぎった男の体臭を感じて、本来なら不快感を感じるはずが、なんでもないと思えるようになっていた。
 これが先生のいっていた、困難に打ち勝つ力だろうか。
 男の汚い舌で、上半身を嘗め回されて、次第に本当に身体が火照っていくうちに、そんなことを感じていた。
「どうですか、気持ちいいですか」
 先生は汗をかいている、すでに十五分以上執拗に愛撫しているから当然だが。
「はい……感じはします」
 普段なら、こんな素直に言わないだろうに。羞恥心なんてどうでもいいと思えるようになっていた。自分の前向きな進歩が、嬉しい佐貴子だ。
「不快感は感じますか、普通だとぼくみたいな不細工な男にこうされると、女性は不快感を感じるらしいんですが」
「普段なら、そうですね。知らない男性に、こうされたら不快でしょうけど、いまはなんでもないって感じることができます」
「なるほど、それはいい。薬の効果がちゃんと出てるってことですよ」
 男は、そういって先ほどとは打って変わって邪悪な笑みとしか形容ができない醜い笑い方をした。それを見ても、いまの佐貴子には、なんでもないことって思えるのだ。
 さらに、念入りに十五分ほど愛撫されて、さすがに佐貴子の息も荒くなった。
「ハァ……アァ……」
「どうですか、イキそうですか」
「いや……気持ちいいのはありますけど、流石に胸の愛撫では」
 下着も愛液で濡れ始めているみたいだが、上半身だけの愛撫でイクのは難しいみたいだ。
「そうか、さすがに無理ですよね。前に、胸だけでイッた人がいたんですけど」
「ハァ……そういう人もいるんですね」
 なんか感度が悪いっていわれているようで、ちょっと佐貴子はムッとした。
「じゃ、これぐらいにしておきましょうか」
「はい、検査は終りですね。ありがとうございました」
 そういって、頭をさげて服を着ようとする佐貴子を押し止めて男はいう。
「いや、まだ終わってないですよ。スカートと下着も脱いでください」
「え、そうなんですか……でも薬が効いてるかの検査だから十分だと」
 やれやれという口調で、男は確かめる。
「まだ検査は続きます、私が帰っていいというまでは検査を受け続けてもらうことになります。大丈夫ですか」
「ええ、なんてことはないですよ」
 そういったとたんに、不安も不満も吹き飛ばして笑顔になる佐貴子だ。
 さっき指示されたとおりに、スカートを剥ぎ取ってソファーにかけて、下着もベージュで最悪の柄だったが、気にせず脱いでしまう。股のところが、やはりさっきの刺激があって少し濡れていた。
「じゃ、ベットにこしかけてください」
 女の子すわりで、足をそろえて胸も手で隠して座る。
「ああ、そうじゃなくて足を力いっぱい開いて、オマンコを見せてください」
「オマ……検査に、そんな必要があるんですか」
 不審げな顔に戻る佐貴子。怒っても不審に思っても帰ることはできないのだから、男のほうは会話を楽しむ余裕すらある。
「胸をもうちょっと触らしてくださいね」
「どうぞ」
 そういって、胸から手を離して男のされるがままに気持ち良さそうにしている佐貴子。離した手は、股の部分に当ててしっかりガード気持ち良さそうにしている。
 胸と、オマンコ。どういう違いがあるのだろう。不思議に思って男が尋ねてみると。
「先生は精神科医なんでしょ、おかしいですよ。その股やその……」
「その、なんですか」
「……女性器とか、見るのは産婦人科の仕事です」
 そんな、理屈が返ってきたかと男はほくそ笑む。胸と上半身に限っては、もうなんてことはないのだが、オマンコのほうは確認してないので、まだなのだ。
 薬の効果の範囲が限定されることに改めて気がつかされる。
 でもまあ、そういうのも趣があっていいなと薬の改良は必要ないと男は思った。
「検査は、私の身体全体で佐貴子さんの身体全体を調べる必要があるのですよ。もうしわけありませんが、そのために私も失礼して服を脱がせていただきますし、貴方のオマンコも調べさせてもらいますが、それについても大丈夫ですよね」
「もちろん、それは、なんてことないですけど」
 そういって、不審も消えて改めて笑顔の佐貴子。男が白衣を脱いでしまって、股間の逸物が屹立していても、なにも驚かない。
 何もかも言うことを聞く人形では面白くないだろう、股間の息子が反逆しそうにいきりたっていても、こうしてゆっくりとした手順を踏むのも、男の余裕。ワビサビというものだ。
「いっそ、大またを開いてベットに寝そべってください」
 先ほどからの足の強張りは嘘のように、まるで赤ん坊のように自然に寝そべる佐貴子。
 ベットは、安物のようでスプリングが硬い。佐貴子が座ってみると、それだけでギシギシと軋んだ。ただ、しいてあるシーツは清潔なもののようで、さわり心地も悪くないことに佐貴子は安心した。
 男に誘われるようにして、素直に佐貴子は股を開いた。男の目の前には、佐貴子のすこし濡れたオマンコが見える。
 毛もそんなに濃くはないし、ビラビラも奇麗なピンク色で、奇麗なものだ。
「味も検査しないとなあ」
 そういって、男は股ぐらに頭を突っ込んで無造作にオマンコを舐め始めた。
「いい味です、彼氏に褒められるでしょう」
「ハッ……褒められたことなんて……フゥ……ありません」
 こんなことをされるとは思ってもない佐貴子であるから準備はない。
 人によっては、発酵した臭いすらある。この検査をすでにけっこうこなしている男は、だから覚悟してむしゃぶりついたんだが、臭いの薄いほうだったようであっさり味だった。
 もちろん、ただようメスの臭いはちゃんとある。その味も不快なものではなく、おいしいとまではいわないが、味わい深いものだった。
 しっかりと嘗め尽くしてから、こんどは指で激しく責める。
「我慢しないで、感じてくださいね。愛液を出すためにやってるんですから」
「はい……あっ、もう少し浅いとこのほうが……感じると思います」
 検査への羞恥心はすでになくなっている。
 指を数本出し入れして、ゆっくりと回転させたりする男に細かい指示をだしてくれる佐貴子。検査に協力しようというのだろう。
 それも、本当に感じ始めるまでだった、腰が浮き始めて日本語がしゃべれなくなる。「感じてますか」
「ハゥ……ヒィ……ハァハァ……あっ、そぁ」
 機械的に、指を出し入れして陰核を開き、クリトリスをむき出しにしてさらに愛撫を重ねる男に、もはや息も絶え絶えの佐貴子。
「アッ……!」
 タンタンっというかんじで、腰を振っていってしまったようだ。どくっと、膣から愛液がとどめなく流れ出し、男の指を締め付けまとわりつく。
「もういいみたいですね」
 佐貴子は息も絶え絶えで、男が何をいっているのかあまり聞いていない。
「それじゃ、そろそろ入れちゃいましょうかチンコ」
「……へ?」
 その言葉に、軽く飛んだ意識の底から慌てて覚醒する。
 気分を出すためだろうか、男はすでにベットにあがってきて汗ばんだ佐貴子の身体を抱きしめたりしている。
 挿入は――まだされていない。
「ちょ、ちょっとまってください。入れるってなにを」
「チンコですよ」
「だ……だめぇ」
「なんで」
 不思議そうに聞く男。
「駄目に決まってるじゃないですか、何言ってんですか!」
 さっきの雰囲気を振り捨てて怒る、わりに逃げたり抱きしめられたりすることは止めようとはしないのだが。
 佐貴子にとってすでにそういうことをされるのは、どうでもいいんだが。貞操の危機だけは別だったようだ。
 雰囲気にながされてやっちゃうなんて――思い出してみると、何度かあったかもしれないけど、とにかくこんな医者とはいえこんな不細工男は大きく佐貴子の趣味を外れているし、それに万が一間違いがあったとしても、避妊もきっちりしているし。彼氏がいる期間は不倫なんか絶対にしない。
 そういうことは、きちっとしてるんですよ私は、そういいたい佐貴子だ。
「いやあ、一週間ほどしてなくて、溜まってるんですよ」
「溜まってるって……あなた」
 もう、何言ってるのか理解できない佐貴子。そういえば、検査検査でなんでこんなところまで来てしまったのだろう、その過程を思い出そうとすると、頭に霧がかかったように思考が鈍る。
 佐貴子は、長い髪を振りしだいて。
「とにかく、セックスは駄目」
 それだけはいいきった。意識をなるべくはっきりさせるようにして、見開いてみると先生と呼んでいた男はいかにも、青白いブヨブヨ三段腹の醜い男である。本当に、なんでこんなことになってるのだか。
 こんな男とセックス、冗談じゃない。佐貴子は、その目の前の男に自由にオマンコをこすられて、また快楽の波が訪れるのはどうでもいいと思ったが、頭のそれとは別の部分で明確に男とのセックスは拒否をした。
 身体で身体を調べることはすでに了承しているはずなのに、なんでセックスだけ避けるのかなあと、薬の効果範囲を怪しんでいる男。精神に作用する薬というのは、デリケートだ。
「キスしていいですか」
「はい、どうぞ」
 そういって、目をつぶる。佐貴子。彼女のキスのイメージというのはこういうことかと男は思う。
 気分を出しながら、軽くキスしてこんどはディープキス。口内を嘗め回すようにすると、佐貴子はなれているのかしっかりと舌で応酬してくる。
 素直によがってくれるときの佐貴子はとても奇麗に見える。
 別に恋人のようなシチュエーションがだめということではまったくないらしい。
 豊かな胸をもみしだきながら、チンコをオマンコにこすりつけてやる。
 ここまでは、文句をいわない。
「あの……」
「はい」
「万が一、その先生のモノが私のところに入っちゃいそうで心配なので、コンドームをつけてくれませんか。カバンに……その、万が一突然こういうことになったときのために、いつも入れてはいるんです」
 ああ、そういうことかと男は気がついた。
「いやあ、なんかこのままでも射精できそうなんで、佐貴子さんのオマンコにぶっかけてもいいですか」
「いゃ……やめてください!」
「なんでです」
「妊娠の可能性は低いかもしれないですけど、ここ拭くものもないし、怖いですよ。困るでしょ」
 やっぱりそういうことなのだ。
「佐貴子さん、もしかして危険日近いですか」
「そうですね、危険すぎる日なんですよ今日は」
 佐貴子は妊娠を怖がってるのだ。たぶんフェラチオをさせようとしても拒否しなかっただろう。
 ゴムさえつけていれば検査を理由に、少し強めにいえば、セックスまで押し切れてしまえるだろう。この段階の暗示で。
 もちろん、ここまできてゴム付きなどありえないので、男は新しい暗示を与える。
「いやあ、それにしても精子が溜まってしまって、佐貴子さんには分からないでしょうけど男って苦しいものなんですよ。申し訳ないですけど、佐貴子さんの膣内を貸していただいて、チンコを擦って中で射精させてもらっても大丈夫ですか」
「ええ、なんてことないことですよ」
 とたんに、佐貴子の最後の抵抗がゆるんだので、その隙にズブっといれてしまう。
「アッ……」
 佐貴子の意志はともかくとして、佐貴子のオマンコはまってましたとばかりに、男性器を深々と受け入れた。
「ああ、いいものをお持ちだ。佐貴子さん気持ちいいです」
「なんてことないですから、どうぞ使ってください」
 先ほどとはうって変わって、男の趣くままに男性器を受け入れる佐貴子。素直すぎるのも面白くないなあとか、思いながらも佐貴子の豊かなバストをもてあそび、オマンコの肉の感触をえぐるように楽しむ。
「硬いし……熱いです……んっ」
 そんなことをいう佐貴子の口を吸う男。
 ピストンは続けながらも、佐貴子を嬲るように妊娠の話をしてやる。
「それにしても、先ほど妊娠を心配されてたようですが、膣出ししてしまってもいいんですか」
「ハッ……それについては、おかしい……アッ、さきほどまで心配だったようなき駕したんですけど、どうでもよくなっちゃったみたいで。一回ぐらいで、妊娠したりしないですよきっと」
「でも、危険日なんでしょ」
「ハッ……ん、そうですけど、イッ……いいんです大丈夫」
「そうかー、でもさっきの薬、排卵誘発の効果がありまして、私も一週間溜めてる濃いのを出しますからね、たぶん一発妊娠してしまうと思いますよ」
 その言葉を聞いて、佐貴子は青ざめる。快楽の波もすっと引いてしまったようだ。でも男はピストンは続けるし、膣は意志とは別もので、喜びの収縮を繰り返す。
「どうしよう……」
 抜いてとか、止めてとかはすでに考えることができない佐貴子だ。彼女は、望まぬ子供を妊娠してしまったらどうするかしか考えられない。
「私は、溜まってるものを佐貴子さんの膣を借りて出してしまうだけですから、オナニーと一緒ですよこんなの、子供ができても責任とか取れないですしね」
「……」
 そう酷いことをいって、荒々しくピストンをしてやる。
 不思議なもので顔は青ざめて、動きも緩慢になってきているのにオマンコの中はむしろ温度があがって熱くなってきている。
 排卵誘発の効果があるというのは本当だ、別に薬に必要じゃなくてむりやり混ぜ込んだだけなのだが。飲んだ直後に速攻の効果だし、危険日にもピンポイントだそうだから、中出しをきめてやれば、確実に妊娠する。
 佐貴子の身体はそれが分かって、むしろ妊娠を喜んでいるのかもしれない。
 相反する心と身体、男は行為に酔いしれながらも、佐貴子の顔をじっと観察する。
 佐貴子の顔は、困惑と快楽の狭間で揺れていた。頭では、恋人の顔とか、望まれない妊娠とか、出産したらとか、中絶とか、いろんな想いが去来しては過ぎ去っていく。その顔を見ていると、男はたまらなくて絶頂に達してしまった。
 佐貴子の目が覚めるように強く腰を押し付けて、胸を握り締めて。
「ああ、もう我慢できないからいきますね。出ますよ! 妊娠してください」
「いゃーー!」

 ドピュドピュドピュドプドピュドピュププ……。

 ほとばしる飛沫が、出終わった後もピュルピュルの噴出すような、そんな気持ちのいい射精だった。男の赤ら顔は、満足に微笑み、佐貴子の顔はどこまでも絶望のエメラルドグリーン。
 そんな佐貴子の意志に逆らうように、佐貴子の下半身は熱く燃えたぎり、膣は収縮をくりかえして、さも美味しそうに子宮へと精子を飲み込んでいく。

「うぅ……」
 佐貴子は、もう呻くしかなかった。
「いやぁ気持ちいい、最高ですよ中だしはやっぱ」
 そういいながらも、スパンスパン、ピストンを止めない男の尿道から最後の一滴まで精液を注がれても、佐貴子はそれ自体に感慨とか嫌悪は感じない。
 ただ、その結果の妊娠だけが気がかりなのだ。
「たっぷり……出しちゃったわね」
「ええ、たっぷりと注がせてもらいました。ありがとうございます。すいませんけど、一週間溜めてたんでまだ出せそうなんで、もう一発出しておきますね」
「いいわよ、別に」
 もう出されてしまったんだ。一発だされたのだから、何発だされても同じだと感じた。佐貴子はもうどうでもよかった、それより心配なのは、妊娠のこと。
 無心で、オッパイを吸っている目の前のデブオタを見て。
 この男の子供なんて生みたくないと、心から思う。
 いまごろ、子宮内を泳いでいるこの男の精虫と卵子が合体して。
 自分の、胎盤にへばりついて少しずつ大きくなる姿は悪夢だ。
 いや、それは現実なのだと、さらに佐貴子は暗くなる。
「いやあ、佐貴子さんおっぱいも大きくて彼氏がうらやましい」

 そういいながら、ドピュドピュと断りもなくまた射精する男。

 佐貴子は、その行為自体はどうでもよくなっているので、何発出すつもりなんだろう、しまりのないチンコだなと思うだけだ。
「はは、でも最初に妊娠させておっぱいを出させるのは彼氏じゃなくて私でしたね」
 そうやって、嫌な顔で笑う。
 それを見て、佐貴子は決心してしまった。
「いや、もし子供が出来たら中絶します。あの……そういえば、中だしされた直後なら、後付で効く避妊薬もあったんじゃないかしら。先生、そういうの紹介してもらえませんか」
 アフターモーニングピルのことをいってるのか、興ざめなこといってくれるなあと男は笑う。自分がそんなことさせるわけがないじゃないかと。
「もし、妊娠したら彼氏の子供だって言えばいいじゃないですか、いるんでしょ彼氏」 そういって、男は笑う。
 彼氏とは――彼氏とはゴム付きでしかしたことがない。避妊にはいつも注意している佐貴子だ。どういいわけしても、無理だし。それに、彼氏が騙されたとしてもそんなことで彼氏を偽る自分が耐えられない。
 避妊薬が効かなかったとしても、騙すのと堕児の苦痛を天秤にかけて、騙すのほうが重い。堕児の苦痛は一瞬だが、騙すのは永遠に騙し続けなければいけないのだ。だからと佐貴子はいう。
「しょうがないなあ」
 そういって、男はもう一本薬を出した。
「妊娠が分かったら、これを彼氏に飲ませてくださいよ。効果は一緒です、誰の子かなんてどうでもよくなりますから。佐貴子さん、あなたも誰の子かなんてどうでもいいですよね」
「そう……なんてことないです」
 そうやって、佐貴子は顔をほころばせた。
 男は、ニヤリと笑って佐貴子の大きな胸を抱き上げるようにして、最後の一発を佐貴子の子宮に叩き込んだ。

 ドピュドピュ……ドクドクドクドクドク……。

 佐貴子の膣と子宮は、あふれんばかりの精液を飲み込んでいった。どろっと、あふれださんとする膣口にバイブで蓋をして男は笑う。そして、佐貴子にバイブで蓋をしたまま今日一日過ごすように命じた。
 もちろん、佐貴子にとってはどうってことないことだった。

「あ、言い忘れてました」
 服を着て、身なりを整えて帰ろうとする佐貴子に男は声をかける。
「なんですか」
「この薬の効果、今日一日だけなんです。先に言っておかなくて、すいませんでした」
 佐貴子は、ああそんなことかと満面の笑みを浮かべた。
「あと、最初の話はみんな嘘で私は……いや、ぼくは医師でもなんでもなくて、ただの引きこもりのニートです。ごめんね佐貴子ちゃん」
 そういって嫌な顔で男がニヤついても、佐貴子は、笑顔のままだ。
「みんな、なんてことないですよ!」
 そういって笑顔のまま、颯爽と部屋を出て行く佐貴子だった。
終章「眠りの淫蟲」
 森から逃げ帰った薫子は、服をすべて脱ぎ捨て着替えると部屋に閉じこもった。見捨ててきてしまった……。このとき、薫子が衣服その他をきちんと焼却処分しておけば、悲劇の拡散はふせげたであろうに。禁忌は、ついに森からでてしまったのだ。
 たった数滴の豊島ツヨシの精液。折り重なった衣服の中で、それは小さな男根として生まれた。だが、どうだろうここは彼らの父なる豊島ツヨシの呪われた土地ではないのだ、もはや地に精液を撒き散らすだけで増えることはできない。
 しかし、それは呪縛からの解放をも意味した、増え栄えるため母体がどうしても必要である。
 そこで、彼らは、淫蟲として生きることにきめた。その形態をまるで、ツチノコのようにしてもぞもぞと薫子の衣服から、這い出た。
 蠢く男根。モゾモゾと、その歩みはあまりにも鈍く、その姿はあまりにも醜かった。
 だが、犬にでも食われてしまえば一巻の終わりであるこの淫蟲の最初の獲物は隣りの部屋にいたのである。それが、この生物にとっては幸いであった。
「スースー」
 薫子は、泣き疲れて眠っていた。のたうつように、男根が薫子へと迫る。静かに、ゆっくりと着実に目指すは女の膣のみ。
 そこでしか、増えられない運命をもって生まれてきた弱い弱い生物なのだ。だが、この淫蟲はどこまでもラッキーだった。
 その薫子のふとももをゆっくりとつたうあいだも、パンティーを不器用に下げるその激しい動きにも疲弊した薫子が気付くことはなかったのである。

 静かに、まだ汚れをしらない薫子の膣へと進む男根。先走り液を出す、この液は体を麻痺させる効果をもっている。
 それは、局部麻酔のかわりにもなっていた。すこしずつ、すこしずつ、めりめりっと音をたてるかのように陰口を開いて進んでいく男根、壁へと突き当たった。処女膜だ。

 メリメリメリと力をこめて、膜を押し破る……処女を破った鮮血が薫子のヴァギナから流れ落ち、それに助けられるかのように淫蟲は奥へ奥へと潜り込んだ。

「う! うー!」
 あまりに苦しそうな薫子。その小さく幼い膣に、大きなものをくわえ込んでいるのだからあたりまえだ。だが、催眠効果によっておきられないで居る。
 淫蟲が、その幼い穴のなかを奥へ奥へと律動するたびに、「うー! うー!」と苦しげな、薫子の声が響く。
 その中を男根の幼虫は膜を打ち破った血に塗れながら、全力の力をふりしぼって薫子の幼膣の最奥部に到達した。その瞬間、力尽きたようにがたがたと増えるえると

 ドピュドピュドピュドピュ!!

 物凄い勢いで、白い粘液が吐き出されていった。子宮口から、子宮へと殺到する汚液は中を汚し尽し、卵管にまで到達する勢いであった。
 それでも、ドローとした白い液体が膣から漏れてきてしまう。放出し終わった男根の淫蟲は萎れ果てて、消えるようになくなっていった。力を使い切ったのだ。
「……子よ、育ってくれ。」
 淫蟲は死の瞬間にピキャーと声ならぬ声をあげるのだった。そして、薫子の胎内ではすでに邪悪な精子たちの活動がはじまっていた。

 邪悪の精子たちは、深い昏睡状態にある薫子の生命のスープのなかで激しい活動を繰り広げていた。
 大体一回の射精で、生まれ出でる精蟲は二億から五億。通常寿命が長くても一週間のうえ、たった一つの卵子としか受精できないため人間の場合は一人しか生まれないが、そのような掣肘は彼ら邪悪な生き物には関係なかった。
 子宮の中を暴れ周り、卵子をとりあえず五・六個引っ張り出して受精して着床する。他のとりあえず受精できない精蟲たちは、死滅することなくあるものは次の受精に備えて休眠し、あるものは動きやすいようにその形を人型に変えて、薫子の子宮を自らの製造基地として改造し始めたのだった。

 やがて、準備の出来た薫子の子宮から、つぎつぎと新しい淫蟲が生み出され、村々の娘へと広がっていくのだ。

第三章「男根の檻」

 もはや一糸まとわぬ麗華に立ちはだかる、雄雄しくも静かな山のごとき巨大チンポの壁。麗華は、それを飛び越えることができるのか――


 などと、いっている間に全力で飛びついた。それは、常人のジャンプ力をはるかに超えるものではあったが、それでも完全には飛び越えられない。
「もひゃひゃ、おしいけどだめだったでよ」
 ぽよんっと、麗華はチンコキノコの上にのってしまう。その刺激にたいして、チンコキノコは収縮して精液を吹き上げる。だがしかし、麗華はその精液の海の中を泳いでわたりきった。
「……計算どおり」
 麗華は一糸まとわぬ姿、服を着ていなければキノコは生えない。だから、どれだけ精子まみれになっていようと、麗華は平気。
「……この死ぬほどの気持ち悪ささえ、我慢できれば」
 そう小さくつぶやきながら、チンコの壁を泳ぎきる。そこで、油断して足をつけるような麗華ではない。地上に、腹を打つように落下した瞬間。地上にもれ落ちた精液からキノコが凄い勢いで生え出してきた。
 またもや、天につきあげられる麗華。
 しかし、それも計算していたのだ。
 またも、吹き上げる精子の海を泳ぐ、泳ぐ、泳ぐ。力の限り泳ぐ。
 そうしているかぎり、麗華に可能性が残されている。
「はぁ……はぁ……」
 もうすぐだった、単純計算で一キロ以上の道をふきあげながら泳ぎきっている。もう少し、後一歩でこの呪われた森から抜ける。
「抜けた……」
 麗華は、力尽きるようにして森の境界線を乗り越えて。安全地帯にタッチ。
「そんな、うぁあああ」
 安全地帯に入ったにもかかわらず、チンコキノコはどんどん生えてくるのだ。もう、森から出たって冗談きついって。
「うひょひょ、森から出ても関係ないでよ。残念だったね麗華ちゃん」
 あとはもう、丘を転げるように無様に渡っていく麗華だが、その下からも次々とチンポキノコが生えてくる。もう泳ぎ切れない。体力が――
「はぁ……はぁ……畜生……」
 麗華の体力が尽きる。
 むせ返る精液の只中で、麗華は気を失った。身体が、少しでも横から縦の体勢になれば……いわずもがなだった。
 気を失ったのは、むしろ幸いだったといえるだろう。気をうしなった麗華は呼吸も止まって仮死状態になったので、精液の海の中で翻弄されるだけで、逆に精液を飲み込んで窒息死することもなかった。
 それでも、残酷なことに精液の波が引いていくと、さらに下からチンポキノコが大量に生え出してきて、意識を失った麗華のオマンコにそのうちの一つが射程を定めて。
 一気に貫いた。
「うぅ……」
 そしてしっかり五秒後に。


 ドピュドピュドピュドピュ!


 処女の鮮血が分からないほどの、真っ白い世界で、麗華は気がつくこともなく膣入れ中出しされて、豊島の精液は無垢な麗華の子宮に殺到。種付けは完了した。
「よかったでよ、これで成仏できるでよー」
 目的を果たした、森からは邪気が払われ、豊島ツヨシの霊も浄化された。


 眼を覚ました麗華は、自分が洋服をきちんと着ていることに気がついた。
「なに……あれは」
 あの悪夢、そうだあれは夢だったのだ。あんなのありえない。そう思いながら、一緒にいて先に逃げた薫子がどうなったかとも考えることはなかった。
 あれを事実と思いたくない麗華は、なんとなくその後薫子と疎遠になる。


 三ヵ月後麗華は、妊娠検査薬の陽性反応に、誰の子とも分からぬ子供を妊娠していることに気がついた。いや、誰の子かは知っていたわけなのだが。それを言い出すことはできなかった。
 当然のことながら、然るべき処置を隠れてしようと思った麗華の周りにそれを徹底的に邪魔する呪いが発動する。童貞の百年の呪いは、それほどに強いのだった。


第二章「百年の童貞」

 射精すると当たったところから増える男根キノコに包囲された麗華は、それがキノコなどではなく妖怪デブキモオタ男と化した豊島ツヨシの男根そのものでありその液はちゃんと妊娠能力をもつと知らされて発狂しそうになる。絶対絶命であった。
 放心状態になった麗華のしたでしばらく黙っていた妖怪キモオタは突然口を開いた。「時間はいくらでもある、おでからは攻められない麗華ちゃんしだいなんだで」
 突然、頭を踏みつける力が強くなる。
「いで、イデデ」
「いいから! あんたは死ね! 死になさい!」
 足を振り上げて、見事なかかと落しをみせる麗華であったが、手応えがない!
「おでは、土の中にも逃げられるんだでよ~ん。じゃ、精々考えたあとでおでの子供を納得して妊娠しで」
「だれが!!」
 どこまでもむかつく男である。それにしても……麗華がが肉体的に追いつめられているのは事実であった。


 いろいろ考えた末、くやしいが今のままの突破はやはり不可能であると考えた麗華。小汚い男根とわかったキノコは、触れなければ安心だ。
 万が一にも寝返りを打ってしまうことのないよう、固く体育座りをして目を閉じる麗華。できる限りの精一杯の防御だった。その直後、音もなく後ろから顔を出す豊島。
 パンツ一枚の麗華が体操座りしている艶めかしい光景を視姦する豊島、静かに麗華が寝入るのを待った。寝込みを襲うつもりだ。


 ……しばらくして、この異常な条件にもかかわらず麗華は静かに寝息を立てだした。眠りが早いのは、麗華の特技の一つである。
 豊島がなにかやろうとしても、首だけだしそれに対しても警戒していつでも起きられるように体だけ休めるつもりであった。だが、極度の疲労にあるのと、まだ体の痺れが残っているせいで麗華は気が付かなかったのだ。


 豊島は、というか豊島の顔は静かに麗華に近づくと麗華のしなやかに張りのある太股から舐め始めた。痺れていても多少感じているのか、ほのかに顔を赤らめ息を深く吐き出す麗華。
 だが、起きない。よしいけると踏んだ豊島は、固く閉じられた股の力が少し緩んだ隙に顔を押付けるように一気に股を押し開いてしまった。顔だけの力だというのに器用なものである。完全に大勢を崩した麗華は股をやや開き気味にして横倒しになった。
 地べたの上だが、不思議と土には汚れない。普通の地べたに見えるのは見せかけだけのことで、実はこの土地そのものが豊島ツヨシの体そのもののようなものなのだ。むしろクッションのように、やさしく麗華の体を受け止める。


 舌を伸ばしてみたが、折り重なるようになっている足の隙間から股へはまだ舌が届かない。このまま、強引にいくこともできるが、そのリスクを犯す前に麗華の美麗な顔と、巨大な胸を嬲ることにした。
「えへへ、麗華ちゃん……」
 豊島がいうと、「麗華」の発音が「デイカ」に聞こえる。豊島はその出来物だらけの醜悪な顔を麗華の顔に近づけて、その滑らかな唇に静かにキスをした。
 麗華のファーストキスは、このようにして奪われてしまったのであった。
「ぐぶぶ、おいじい」
 麗華が無抵抗なのを確認すると、汚らしい舌をいれてディープキスの体勢にはいる。麗華と唾液を交換し、歯茎の隅々までをも嘗め回して、豊島は御満悦である。


「んん……ゲフゲッフ」
 呼吸が苦しくなって、静かに麗華はむせた。寝ている時もむせている時でさえ、お嬢様らしい上品な物腰である。だが、その口は豊島の汚らしい唾液によって汚れていた。
 起さないように、すっと豊島の顔ははなれる。一分置く……よし起きない。豊島は次のステップへとうつった。


 こんどは、豊満な乳房に顔を近づける豊島。もはや、さえぎる布さえなく豊満な双胸の先の無垢な蕾は、豊島の汚らしい口を迎えた。
 麗華はまだ起きない。妖怪的な、それでいてどこか人間の汚らしさを凝縮したような長い舌を伸ばして、静かに豊島はその蕾を味わった。
 最初は、乳頭から乳房全体を愛でるように、そして次第にその存在を勃起させて主張している若い乳頭を音をたてて、チュバ、チュバ、チュバ……豊島は一心不乱に吸い続けた。
 まるで、母乳をもとめる赤子のように。醜く年老いていながら、どこか邪な幼さもある豊島の相貌は赤子にも似る。そう考えれば、これほど醜悪な赤子はどこにもいないであろう。
「ハァ……ハァ……」
 これほど執拗に乳を責め立てられて、たとえ鉄の処女であったとしても感じざるをえないであろう。
 麗華は、次第にその美しい頬をそめて息を荒げ始めた。目はまださめない、極度の疲労と痺れは彼女をまだ確実に虫食んでいた。


 ほんとうに無限を感じさせるほどの時を、乳房の愛撫に費やした豊島であったが、ふと気がつくと麗華の頑なに閉じられた股が開かれていることに気がついた。
「女の体ってのは、やっぱよくできてるんだで」
 豊島は、この百年というもの夢に見続けて見られなかったものを眼前とする感慨に浸っていた。
 それは、どこか哀しげな口調ですらあった。静かに、口で引きずって豪奢なショールを引き摺り下ろす豊島。
 そこには、薄い陰毛とまだ無垢な少女の縦縞があった。グロテスクなものを想像していた、豊島は想わず小さくうめいた。
 余りに美しすぎたからだ。彼は百年の時を経た妖怪であっても、それと同時に女に不慣れな童貞であったのだ。
 しかし、薄っすらとした縦縞から、光る液が流れ落ちてようとしていた。その美しさにうたれて、金縛りにあっていた豊島は、陰液を見てその女の匂いをかぎ、思い直したように顔を近づけた。


 陰部から発する香りは、若い新陳代謝が激しい少女の甘ったるくも青臭い匂いにまざりあって、豊島の鬱積した心をかきたてた。
 そっと、口を可愛い割れ目に近づけて、舐めとった。ビク!と、麗華の全身が跳ね上がった。


「うきゃーー、あんた何やってんの本当に殺すわよ!!」
「だから、おでは殺せないんだで。殺したいなら、麗香ちゃんがおでの可愛い子供を生んでくれたら、おでは成仏して死ぬんだけども」
「黙りなさい! そして死になさい!」
 正確無比に放たれるその足技は、そこら辺に浮き出る豊島の顔を次々と粉砕していく。だが、それが決定的な戦力の差でないことを示すかのように、また新手の顔が浮き出てくるのだった。
「ば、化け物め! 化け物の分際で!」
 すでに麗華の足技は神速に達していた、打つ! 払う! 薙ぐ! 足を一回振るうだけで三つの顔を破壊していく。村に古来より伝わる実践武術、乱戦時の一対多の闘いを想定した格闘術バリツ。
 その不世出の達人である麗華の技は、このまま調子に乗って力押ししようとする豊島ツヨシをたじろかさせるのには十分だった。
「麗華ちゃんもある意味化け物だべ……」
 タイヤから空気が抜けるような、シューシューという独特な呼吸と共に、バリツ独特の手を交差させる構えをとり、八方に破邪の印を切る麗華。
 印に魔法の効果があるわけではないが、自分の精神を統一させツヨシの邪悪な愛撫によって、高まった官能を沈めて冷静になる作用をする。
「収――収――そうか、見えたわよ」
 麗華の視線の先にあるのは、男根キノコに取り囲まれている自分の衣服である。巨大になった男根キノコに陵辱されている自分の衣服は目を背けたくなる光景ではあるが、それを直視して気がついたのだ。


――豊島ツヨシの男根キノコは、人間の身体には生えない――


 だとしたら、気持ち悪ささえ我慢できれば、いまの回復した麗華の体力をフルに活用すれば……冷静になった麗華に脱出の方策が見え始めていた。


終章「催眠術師が死ぬとき」
 今日も今日とて、リーナにはまった古森正夫はその二十四歳の熟れた肢体を楽しんでいた。夜な夜な、寝床にリーナが赴く時間を狙っての淫行である。
「はぅ……ふぅ」
 なかなか、色っぽい声も出すようになっているリーナ。夢魔に襲われる心地というのであろうか、最近はリーナのほうもまんざらでもないようだ。むしろこの時間が来るのを楽しみにすらしていた。
 場所的にもリーナの管理人室から、海馬が宿泊している部屋からは真逆の位置にあり遠い。リーナに見咎められる危険性がないから、勝手口から自由にリーナの家に入れるし、正夫には発覚する要因がなかった。
 それでも、だからこそ危険だとアルジェは止めたのだ。村川海馬は、決して侮っていい相手ではない。
 だからといって、リーナの身体にハマっている正夫は止まらない。多分リーナを妊娠させるまで止まらないだろう。
 さらに寮の他の女子にも手を出すといい始めた正夫を今度はアルジェは本気になって止めた。それをやれば、確実にバレる。
 海馬に見つかったら、正夫は五秒で息の根を止められるだろう。催眠術というアドバンテージがなければ、駄目オタの正夫の戦闘力は虫けらクラスだから。
 リーナさえ、徹底的に堕落させてしまえば、それで十分に村川海馬への復讐になる。
 一方で、古森正夫への注意がいかないように、アルジェは必死に村川海馬との抗争を表で激化させてやっている。
 そうやって、碁盤の目の取り合いをやっている限り、そこでゲームを楽しんでいる村川海馬という指し手は、その碁盤の裏でゴキブリのように蠢いて盤の土台自体を齧っている古森正夫には気がつかないはずだから、くれぐれも自重して気をつけて動けとアルジェは正夫に指示した。

「最近変わったことはないか」
 さわやか荘のロビーで、二十二歳の女子大生山宮彩と戯れながら、海馬は冷徹に報告を求める。
「荘のほうでは、特にありません。アルジェの件があったので警戒は厳重にしているのですが、むしろ表紙抜けといったところですね」
 そうやって、嫣然と微笑むリーナ。その反応のわずかな違いが海馬には気になる。
「リーナ、おまえ自身はどうだ」
「一時期、ちょっと身体の具合が悪かったんですけど、最近はむしろ好調ですし」
 そうやって、頬に手を当てる仕草はまるで年頃の娘のようで、まったく女を感じさせなかったリーナの感じ方の変化というものが出ている。
 だが、そういう疑問符をリーナへの信頼が海馬の表層意識まであげさせない。リーナなら大丈夫だろうという判断。一度、思考が固定化してしまうと海馬ほどの心理のプロでも、容易には。
「ん……そうか」
 手元の彩の胸を嬲る作業に意識を集中する。アルジェとの戦いは、やはり日々激しいものがあるのだ。あれだけ多数の策を張り巡らせて、その上このさわやか荘にまで何か仕掛けるということは考え難い。
「先に休みます」
 そっけなくリーナが自室に戻るのを、海馬は彩を抱きつつ見送った。

「んぅ……くぅ……はぁはぁ……あぁ!」
 最近、もう裸で寝るようになったリーナを今夜も必死になって、愛撫し陵辱する正夫。今日も、二度目の絶頂を迎えようしていた。
「リーナ! リーナぁ!」

 ドピュドピュドピュドピュ!

 だらしなく射精した瞬間、古森正夫の世界は真っ白になって、頭に激しい衝撃を感じた。

 射精の快楽?

 違う! 
 
 次の瞬間、まるで電気が走るように頬に激痛が走る。そして、一瞬遅れて、壁に叩きつけられた衝撃だ。
 正夫のゆがんだ視線の先には、村川海馬の怒りの形相があった。

「ひご……やめ……ぎゃ!」
 ボコボコに殴られる正夫、海馬は正夫の顔がぐちゃぐちゃになって、自分の拳が血だらけになっても、殴るのをやめなかった。
 リーナの異変に気付くのが遅すぎたのだ。それが、悔しくて悔しくて、海馬は怒りをぶつけた。こんな下らない男のために、リーナを失うことになるとは。
 海馬が怒りを正夫の膨れ上がった顔にぶつけている間、リーナは突然闖入してきて一人暴れているように見える海馬にキョトンとしている。
「ご主君……」
 リーナに背中から、声をかけられたが海馬は答えられなかった。いったい、リーナになんといって詫びたらいいというのだ。このデブのせいで!
 そう思って、さらに殴る力を込める。
「いい加減に、止まりなさい!」
 リーナの声じゃない……そう思って振り向く。

 アルジェ!?

 振り向いた海馬の喉元に、無表情のリーナが構えた直刀の切っ先があった。そして、リーナの後ろには、アルジェの踏ん反り返った姿があったのだ。
「ゲームセットだ、村川海馬」
 静かにそう宣言するアルジェ。勝ち誇った顔をするわけではなく、アルジェはなぜか悲しげな目をしていた。海馬は自暴自棄に、吐き捨てるように。
「お前の勝ちだ、好きにしろ」
 そういって、手をあげて、殴り続けていた古森正夫から手を離した。正夫は、顔を二倍に腫れ上がらせながらも、まだ意識があったらしく、ヒューと小さく叫びながら、ボロボロの身体を引きずって部屋の壁のほうに逃れた。
 部屋を沈黙が包み、部屋の隅で蹲っている正夫の呻き声だけが時折小さく響く。そんな中で、口を開いたのはアルジェだった。
「催眠術師は、いつも一人だ」
 突然の言葉に、無言で返す海馬。
「私に教えてくれたのは貴方だった。それを、失望させてくれるではないか」
 そういって、やはり冷めた目で海馬を見つめるアルジェ。海馬は、切っ先を喉に当てられながら、ただ冷笑するだけだった。

 過去の研究所時代、まだ人間的に幼かったアルジェは、村川海馬を始めて自分と同等の才能を持つものと尊敬して、相棒として一緒に活動した時期があった。研究所の所員も、対象者である自分たち特殊能力者も、みんな馬鹿ばっかりだと思った中で、村川海馬だけは違ったのだ。
 ほとんどの人間は、アルジェが力を見せると媚を売るって利用しようとするか、嫉妬して遠ざかった。彼だけはアルジェがどんな非凡さを示しても、特別扱いしなかった。だから、アルジェは海馬に特別な関心を抱いた。
 それは敬意に類するものであったが、淡い好意だと言われたら、そうなのかもしれない。一緒に、パートナーとして仕事をしていたとき、アルジェはこの人とならいいかもしれないと思っていたことは確かだ。そんな気持ちは初めてだった。
 ある時、そんなアルジェを、海馬は必要ができると簡単に裏切って見せたのだ。アルジェが涙を流しながら、それをなじると。
「海馬は、催眠術師はいつも一人なんだ」
 そうあの日の海馬は吐き捨てて見せたのだ。
 騙されるほうが悪い、信じるほうが悪いのだと。
 あのときの海馬は誰よりも強かった。才能はアルジェのほうが上だったが、それ以前の催眠術師の資質としてアルジェよりも数段勝っていた。

「自分以外の人間を決して信じないこと」

 催眠術師が生き残る上での、唯一にして絶対条件だ。催眠術師の安全は、術に掛かった人間に常に囲まれていることで守られる。催眠術で支配下においている人間は裏切らないが、それ以外の人間は裏切る。
 催眠術をかけていない人間、自分の支配下に居ない人間を回りに置かないこと。まして、そんな人間を絶対に信じないこと。
 その孤独に耐え切れなくなったとき、対等の人間を求めるようになったとき。催眠術師の滅びは始まるのだ。

 海馬は重い口を開いた
「殺せばいい」
「……それしか、言うことがないのか」
「お前にまさか俺の言った言葉を返されるとは……これは生き恥だ」
 思えば若いころ、三十すぎて生きたくないなと思って海馬だ。
 もうそれから二年も過ぎている。これは老醜なのかもしれない。
 先ほど正夫をボコボコにした激情も引いて、深い疲れを感じていた。
 だからこのまま、リーナに喉を貫かれて死んでもいいとふっと海馬は思った。

 村川海馬は、判断を誤った。
 リーナが古森正夫の支配下にあると知った時点で――正しい判断をするとするのなら、リーナが敵の支配下にあると悟ったその瞬間に、リーナを切るべきだったのだ。いや、このさわやか荘全体を放棄すべきだったのだ――。
 古森正夫の、駄目オタっぷりに油断した。そして、そんな奴にリーナを犯された悔しさが、冷静な判断力を失わせてしまったといえる。失敗は、リーナの能力を信じすぎたこと。そして、それが疑わしくなったときも、それにすがり続けてしまったこと。だから海馬は負けて死ぬ。それは海馬の生き方としても、正しかった。

「いい、リーナ。海馬を解放しろ」
 直刀の切っ先を下げるリーナ。無表情のままだ。
「慈悲のつもりか……それか一度こっちが助けたから、貸しを返したつもりか」
 海馬が、少し焦ったように言った。
「どっちも違う、殺す意味がないだけだ」
 アルジェは、ボコボコになって呻いている古森正夫に心配そうに手を貸してやって、立ち上がらせた。
 そして、部屋を出て行くときに海馬に。
「もう、二度と会うことはない、勝手に生きるなり死ぬなりすればいい」
 それだけいって、出て行った。
 無表情に立ち尽くすリーナと、海馬は途方にくれた。そうして、そのなかで催眠術師としての自分の死を自覚した。昔の自分は死んで、それが悲しくて情けなくて。それでも、喪失感を抱えて生きていくだけだ。
 過去の自分が死んだことを悼んで、村川海馬は生まれて初めて涙を流した。近くに居たリーナに、すがりついて泣いた。泣き続けた。
 リーナは術から抜け出ていないのか、そんな海馬を無表情に眺め続けた。

 病院で治療を受けて全治二週間で入院の古森正夫のベットの横には、アルジェが居た。
 鎮痛剤を投与されて、静かに寝息を立てている正夫から視線を外すと、外はどこまでものどかな風景が広がっていた。
 青い空、白い雲、緑の芝生。行き交う人々。過去の呪縛と、今の二人と、そして孤独の未来。アルジェは、正夫の様子を見て、もう大丈夫だろうと思った。あとはゆっくり入院できるだけの手続きをしてやって黙って正夫の元から去るつもりだ。

「催眠術師は、いつもひとりだ」

 古森正夫の弟子としての期間は終わった。彼の直向きな愚かさを利用して、村川海馬を罠にはめることができた。彼は弱く、自分は強い。それを証明した。だから、最強の催眠術師としてアルジェはこれからも戦い続けることができる。

 アルジェは、ふっと笑うと静かに病室を出る。扉に手をかける瞬間、もう一度だけ振り返って正夫に向かってもう一度。

「催眠術師は、いつもひとりだ」

 そう歌うようにつぶやいた。自分が利用して、そうしてひとりの催眠術師として巣立っていくであろう男に、餞のつもりで。

「ぼくは……そうは思いません」

「……起きていたのか」

 アルジェも気がつかなかったぐらい静かに、いつのまにか正夫は目覚めていたようだ。口の周りも腫れ上がって、しゃべりづらいだろうに、アルジェの耳に正夫の言葉はやけにはっきりと聞こえた。
「師匠……ぼくは、村川海馬やあなたのような催眠術師にはなりません」
「ほう……面白いことを言ってくれる。最後だ、聞いてやろう」
「師匠は――」
「もうお前は弟子ではない、アルジェと呼んでくれていい」
「いえ、あなたはぼくの師匠ですよ永遠に」
「……ふん、いいから話を続けろ」
「あなたや、村川海馬は孤高であることが催眠術師の力だと思っている」
「その通りではないか。人間が群れで生きるのは弱い生き物だからだ。強い生き物は、群れる必要がないから、常にたった一人で生きる」
「それでも、あなたはぼくを弟子として、育ててくれたじゃないですか」
「分かっているだろう、村川海馬を倒すために利用しただけだ。弟子というのも方便で、信じていたわけでも、頼りにしたわけでもない。逆にそれをやったから、海馬は私に敗れたのだ。だから私は、お前をコマとして利用しただけなんだぞ」
「でも、ぼくはあなたを信じていました。いや、いまも信じてます」
「それなら、私はお前を何度でも道具として使って、そうして必要がなくなれば捨て去るだけだ」
「それでも、信じますよ。師匠」
 アルジェは、絶句した。
「……馬鹿につける薬はないというがな」
 ふっと笑って、そう思いついたようにつけくわえた。
「師匠も、本当は信じたいのではないですか……人を」
「私は、人間というものを良く知っているのでな。馬鹿にはなれんのだよ」
 むしろ、やさしげな目でアルジェはそういってやった。
「それでも、本当は信じたい」
 正夫はそれでも、食らいついてくる。嘘やごまかしができる空気でもなかったので、アルジェは何も答えなかった。
「師匠が、信頼できる男になりますよぼくは」
 アルジェは、ただ静かに笑って、後ろを向いて病室の扉を開けた。
「師匠――ぼくは、いつか必ず」
 病室を出て扉を押えて、廊下に立ったアルジェの耳に、聞きたくなかった言葉が小さく聞こえてしまったような気がした。それは、自分の弱さだ。そして、それに耳を貸すほど、アルジェは弱くない。
 振り返らずに歩き始めた。病院の廊下を、ゆっくりと力強く。どんなに大きな声で叫ぼうが、もうアルジェの耳に、正夫の声は届かない。
 いつか、そういつか、正夫が本当に強くなったら。アルジェが、村川海馬のように弱くなってしまったとしたら、そうしたら――。
 ぷっと噴出した。あの正夫の真剣で、しかも駄目オタの殴られて腫れ上がった不細工な顔で、あんな真面目なセリフを必死に叫んでる姿を思い出したからだ。
「そういうのも、いいだろう」
 そう、アルジェは思った。だが、今はまだアルジェは強すぎて強すぎて、世界最強の催眠術師だった。まだ、自分にはやるべきことがたくさんある。いつか、人を信じるにしても頼るにしても、それが終わってからのことだった。

「海馬の催眠」完成 著作ヤラナイカー
第一章「増えるキノコ」
 麗華お嬢様と、薫子は深い森の中に居た。
「麗華様……やっぱり帰りましょうよ」
 おびえる薫子。ここは古き者の住処とされる神域の森で、誰も立ち入るなかれといわれ村のものはみんなそれを守っている。
「あら、いいじゃなくて。この森は私のものなんだから、私が入っても問題なくてよ」
 お供もつれないで、出歩けるチャンスなどまず無い。それも普段入れない神域の森とは悪趣味にもほどがある。
「うう、どうなっても私は知りませんからね」
 この地方一帯を支配する大地主の麗華とは雲泥の差とはいえ、薫子だって旧家のお嬢様だ。だが、各の違いか性格の違いか、一緒に並ぶと従者みたいになってしまう自分が、薫子は少し嫌だった。
「なんて薄暗い森なんでしょうね、神というよりは魔物が住んでそうだわね」
 そう笑う麗華。
「それ以上恐いこというと帰りますよ……ただでさえここは誰も足を踏み入れたら駄目な場所なのに、ほんとに魔物がいるかも……ああ、お母さん」
 泣きそうになる薫子。
「馬鹿ねえ、魔物なんていないわよ。神様もね。ほんとうに恐ろしいのは私達人間なのよ」
「そうでしょうか……」
「そうよ、ここは少なくとも誰も入ってこないから、そうね言うなれば、村では一番安全な場所ってとこかしら。少なくとも、野卑た連中のとこよりはよっぽどよくってよ」
 特に目的地も無いはずなのに、ずんずん進んでいく麗華。もしかしたら、この機会に森を一回りするつもりかもしれない。ため息をつく薫子。だが彼女だって本当は、この森に興味がなかったかといえば嘘になる。
 ここは、誰も入ることを許されぬ土地。そして、それはもっと厳密には女人禁制を意味したのだが、土地が忌み嫌われ忘れられると共に、その危険さえも忘れられていった。人は、その森のふちに居る間はそこから豊かな恵みを頂くこともできる。人の世界では、やはり麗華のいうとおり人がもっとも危険な動物……だが、この森に一歩足を踏み入れると同時に、人は狩られるための哀れな家畜であることを思い知ることになるだろう。
「おや、あれは何かしら」
 麗華は木のふちで変なものを見つける。
「このキノコまるで……」
 息を呑む薫子。皮が半分剥けかけたような、それはまさにちんぽにそっくりなキノコだった。顔を真っ赤にしながら、歪曲的な表現でそれを伝える薫子。
「そんなことわかってるわよ! これが男の貧相なものだってことぐらいはね!」
 そんなことをいいつつ、こういうものなのかと興味深々で見つめる麗華。
「それにしても、何で大人しいあんたが男の男性器なんてみたことあるのよ」
「あの、わたしこの前まで変な男にずっとストーカーされてたでしょ……」
 最初は大人しかったストーカーは薫子が逃げ回るにつれてどんどん酷いことをし始め、最後には薫子を壁に追いつめて粗チンを出して、射精までしたのだという。それがもとで、ストーカーは捕縛されてよかったのだが、それからというもの薫子はちょっとこういうものに拒否反応を示すようになったのだ。
「あ! 麗華さん、汚いよ!」
 大胆にもキノコをつっつく麗華。
 このグロテスクな形状は毒キノコかもしれないが、触るだけで毒に侵されるものはないという。そんな生半可な植物学の知識があるために麗華は、キノコを安全と判断した。もしかしたら、男根に似たキノコもあったかもしれない。
「あら、触るとすこしおおきくなるのね」
 驚いたことに、麗華のつっつきに反応したかのようにキノコは大きさを増す。
「もしかして新種かしら、持って帰って研究してみましょう」
 明らかに性的な興味を、植物学への興味にすり替えて手を伸ばす麗華。不吉なものを感じた薫子は必死にとめようとしたが、ついにハンカチに包んで引っこ抜こうとする麗華をとめることができなかった。

「ああ、意外に根が深いのね。抜けないわ……ああ剥けた!」
 引っこ抜こうとした麗華であったが、抜けなかったためつんのめり逆に男根キノコの皮を剥いて露出させてしまった。
「ああ、なにこれ震えてる!」
 イカ臭い匂いを発しながら躍動する男根キノコ……これは!
「麗華さん逃げて!」
 躍動する男根キノコに、あれを感じ取った薫子は叫ぶが、時既に遅し。男根キノコの亀頭から、白濁液がものすごい勢いで麗華に向って飛び散った!
「きゃああああ!」
 麗華は、その飛沫をあびながら叫ぶ。知らないものの、なんとなくそれが邪悪で汚らしいものであるとわかったのだ。粘着性の毒液は、麗華を汚し尽し、そして数滴……薫子にもかかった。衝撃で倒れたまま、ハンカチで必死に顔をぬぐう麗華、薫子も自分のハンカチで拭いてやる。毒液を吐き終わった男根キノコは、自分の仕事はおわったとばかりに萎れて枯れていった。
 最初は小さな出来物のようなもの、数秒で白濁液のかかった麗華の服や地面の上から男根キノコが生えてくるのが薫子に見えた。
「きゃーーー!」
 そのあまりの気持ち悪さに一瞬気が遠くなった。麗華もそれに気が付いて叫びをあげ、体を起そうとするが……。
「ああ、薫子さん身体がうまくうごかないわ! まるで痺れたみたい助けて!」
 薫子は、麗華を拭いたハンカチからもキノコがはえ始めているのを見て、それを投げ捨てた。
「私じゃ、こんなのどうしようもできない……麗華さん、助けを呼んできますから!」
 薫子は来た道と思われる方角に走った。遠くから、助けて助けてという麗華の叫びが聞こえるが、私にはどうすることもできないんだと逃げる薫子。頭には、あのストーカーの汚らしい男根がうかび寒気すらする。その激しい嫌悪にまけて、結局薫子は麗華を見捨てたのだ。

 麗華もいつまでも叫んでるわけにはいかなかった。服の外側だけならまだしも、服の中からもキノコがはえ始めていたのだ。浴びたのは上半身中心だったので、大事な部分は大丈夫だが。
 この男根キノコが肌に擦れてキモイ感覚、服の中で発射されたら大変なことになる。麗華は泣く泣く、洋服を投げ捨てた。……ブラジャーからも、キノコが生えてきた。外側からだけだが、しょうがない。それも急いで剥ぎ取る。麗華の、形の良いたわわな巨乳があらわになる。ぷるんと震えて、それにあたったブラジャーの男根キノコがむくむくっと大きくなった。慌ててそれをなげすてると、なげたさきで男根キノコが弾けたらしい。ブシューと精液を吐き出す。その部分だけ、キノコが山だかりになる。

「信じられない! ……こんな馬鹿なこと……何なのよもう!!!」
 自棄になって地面に座り込んだ。パンツいっちょで土の上に座り込むなど、誇り高い麗華にはありえないことだったが、それが気にならないくらいこの異常な事態に精神が限界にきていたのだ。
 取り囲む大小の男根キノコをみる。足の小指ぐらいの大きさから、麗華と同等の大きさのものまでが……そのどれもが同じ形、同じイカ臭い包茎のチンポの形をして蠢いている。いつもの麗華の俊敏さならなんとかキノコの包囲を超えられそうだが、毒液の効果のせいか痺れて鈍くなったいまでは自信がない。こちらが手を出さなければ、毒液は出さないのだから……ここは体力の温存をはかって

 麗華の思考がそこまできたとき、下腹部のキモイ感触に気が付いた。ふと、下を見てみると自分の股の下に化け物じみた男の顔が突き出ている!
 痺れで気が付かなかったが、パンツの上から麗華の大事な部分を舐めてさえいるのだ!
「ギャーー何なのよあんたは!」
 麗華は跳ね上がって立ち、男の顔を踏みつけた。
「うぐぐぐ……ばれちゃったか」
 男は臭い息とともにそんなことをいい、その醜い顔を歪ませた。笑ったらしい、なんとも気味の悪い青白い顔色、出来物だらけのふやけた顔、ふやけた唇にはれぼったい目……ひとことでいえばデブオタキモ男というしかない。
 そんなものが土の中から突き出しているのは、まさに悪夢というに相応しかった。足の裏でも出来物が感染しそうで触れたくない、靴が無事だったことを感謝した。
「もう一度聞く! あんたは何なの!」
 命令することに長けている麗華の口調は有無をいわせぬ威厳があった。
「うう……しょうがないで……妊娠するまで姿をばらさないつもりだったんだけど……ついつい興奮しちゃっで」
「なに! 妊娠ってなによ! なんなのよ!」
「わかったで、説明するで」
 怪人デブオタキモ男とでもいうべきか、本名を豊島ツヨシというらしい。豊島は、麗華にとってどうでもいい過去を麗華の足に踏みつけられながら語り始めた。豊島ツヨシは、麗華の支配する村に百年も前から住んでいた下層民で、その特異な容姿からいじめられたそうだ。
 体も弱く、頭もよくなかった彼はイジメに耐えることができず、貧しい身内も彼を庇いきる事ができず。この森に逃げ込んできたらしい。そしてちょうど、この森のこの場所でオナニーを百回して腎虚で死んだそうだ。
 類いまれなる性欲は、彼の唯一の長所であったが、それは一回も実戦に役立たずに死に絶えたかにみえた。問題は死んだ場所が、ここだったということ。
 ここには多数の古来の呪われし神や荒ぶる神が眠っている。この場所に眠っていた呪神である土蛇神と豊島の呪いがリンクして、ここに妖怪が誕生してしまった、それがいまの彼だというのだ。
「でね、やさしい麗華ちゃんならぼくを成仏させてくれる方法を考えてくれるとおもうんだけど」
「あんたを消し去る方法なら考えたいところだわね」
「簡単なんだよ、つまり呪いがとけて成仏するには死ぬ時の未練が消えればいいんだでよ」
「なんなのよ、あんたの未練って」
「女の子とセックスして妊娠させることだで」
「なんですって!」
 すごく悪寒と共に、嫌な予感がした。
「できれば、出産までいきたいとこだ。そこまでやらないと成仏できないかもしれないでよ」
「それって……誰のことよもしかして」
「君のことだで!」
「グギャーーー」
 麗華は嫌悪のあまり体を痙攣させ、カエルが押し潰されるような悲鳴をあげた、キモさのあまり気を失わなかったのは誉めるべきだろう。
「んでね、麗華ちゃんがキノコって呼んでるのがあるだで」
「なんであんた私の名前を……」
 そうか、このデブオタ妖怪は薫子と麗華の話を全部隠れて聞いていたんだ。
「……罠にはめたわね!!」
「うん、でも包茎チンポの形したキノコなんて触るのここ百年でも君だけだったんだで。どうやら、麗華ちゃんも男に飢えていたみたいだで、お似合いのカップルだで」
「んなわけないでしょ! あんたが、この私の足の指先にふれることさえ許されると思わないで!」
「そういうとおもったで……たしかにおでの顔は醜い」
「顔だけでなく、体も心もみんなでしょ!」
「ううん、体はもうないんだで。顔とチンポだけになっちゃったんだで。もうちょっとまともな生物になりたいけど百年たってもこのままで困った所に、きたのが麗華ちゃんだったで」
 麗華の顔面が蒼白になる……
「じゃあ、あの白い液体は」
「おでの精液だよ、少し痺れたりするけどちゃんと精子泳いでるし妊娠能力も十分にあるでな」
 麗華は声なき声を上げた。
「ほんとは、麗華ちゃんが気が付かないまま囲いを抜けようと失敗して突き刺ささってしまって中出しできるのを狙ってたんだけども。こうなったらしょうがないだで。根気勝負だで。」
「ヤダー!! 誰か助けて」
「助けなんか、誰もこねえから」
 森の中には、もうパンツ一枚の無防備な麗華とキモデブオタキノコ妖怪しかいないのだった。
第六章「リーナの破瓜」
 リーナは、ロマノフ王朝から続く武家の家柄を感じさせる整った容姿に、憂鬱の色を隠せないで居た。
「何かがおかしい……体調が悪いのか、私としたことが」
 ざわめくような胸にそっと手を当てて悩んでいた。その形のよい胸を、ブラだけ外して正夫が揉みしだいているのだが、正夫の存在を感知できない。
「顔を洗ってこよう」
 ざぶざぶっと、顔を洗面台で洗い鏡を見る。後ろで、古森正夫がへんな節をつけて踊っているのだが、何度もいうように催眠術の効果で存在が感知できない。見えないと思えば人間は見えず、感じないと思えば感じないものなのだ。
 正夫は、今度はリーナの口に指をつっこんでニーという顔をさせてみる。口をハの字に開かれながら、リーナはしかめっ面で鏡を見て
「顔色が少し悪いようだ」
 などと、言っている。
「フゥ……しょうがない、今日は特に仕事も立て込んでないから休ませてもらおう」
 制服から、そのまま脱衣所でするすると、服を脱いで着替えてしまう。下のちじれ毛すら、金髪なのだ。白系ロシア人の少女ほど美しいものはない。その、女神のような圧倒的な美しさに正夫は飲まれてしまった。
 それでも、ほんの少しの汗のにおいが。そして、リーナが半ば拒んですらいる女の匂いが、その脱ぎ去った麻のショーツから匂い立ってきて、正夫は脱衣場で深く静かに勃起した。
 高級そうな寝巻きを羽織っただけで、リーナは走り去ってしまう。
 その匂い立つショーツをかぶりながら、正夫は裸体でひょこひょことリーナのあとをついていって、横に添い寝。リーナのこれもまた、麻の生糸で丁寧に織り込まれた寝巻きを脱がすと、ベットのなかで真っ裸にしてしまう。
 それが、肌寒くてリーナはざっと布団をきつくかぶる。もちろん、寝巻きを脱がされたという意識すらないのだ。正夫のやっていることは、すべてリーナにとってはないと意識されてしまうのだから。
「今日は、海馬のやつの不在も確認してるしね!」
「……??」
 物凄い怖気を感じたリーナ。過酷な訓練をつんできている均整の取れた肉体を強張らせる。常に、必要ない部分は弛緩させて体のエネルギーをうまく使って動作をすることを半ば自動的に行う自分がこんなことになるとは。
「……だめだ、体の力を抜いて眠らないと」
 そんな矢先に、またリーナの豊かなバストを持ち上げる。
「……!」
 リーナの感じた怖気は、つまり性感なのだ。リーナは極度にストイックな人生を送ってきた。絶対的に避けて来たというほどでもないのだが、性格からか男と性交渉を持つなどということもなかった。
 まして、自分で自分を慰めたこともないという化石のような女性なのだ。その彼女が、初めて他人に愛撫されるというのは、それがそれとわからなくてあたりまえだ。だから、彼女は認識の外からくるその快楽を怖気と感じたのだった。
「うぅ……」
 力を抜け、力を抜けと思ってるうちに、リーナは執拗に正夫に嬲られて、否応なく感じさせられてしまう。
 つい半年前まで童貞同然だった正夫も、一方的に嬲ることにかけてはその技術を特化させてきた。たとえ、手つきが稚拙であったとしても延々と嬲られ続ければ、悲しいかな女性の身体というものは、波を迎えてしまう。
 まして、リーナは自分で慰めたこともないのだ。直接膣を正夫の汚らしいベロで嬲られ、生まれて始めてクリトリスの中をむき出しにされて舐められる、痛みを通り越した腰を通り抜ける衝撃にリーナの腰は打ち砕かれた。
「なっ……はっ……ふぅん……」
 もはや、なすすべもなく。自分の股を押さえつけているつもりで、股に頭を挟みこんでいる正夫の頭を押えているリーナは、震えるばかりだった。生まれてから、こんな衝撃は受けたことがない。
「私は……私は……どうしてしまったんだ」
 リーナの本能が、これがあの……もしかするとあれかもしれないということがわかっていた。しかし、誰も居ないベットの中でどうして自分の中の女がこんなに燃え滾ってしまうのか、自分は駄目になってしまったのか取りとめもなくリーナ思考は四方に飛ぶ。
「リーナちゃんの……おいしいよ」
 西洋人のしかもまったく使われてないオマンコの味というのは、どういうものか半ば怖れすらあったのだが、リーナのものは逆にあっさりとした薄味で、マンカス自体もきちんと清掃してあって、酷く匂いたつようなものではなかった。
 そんな正夫の声は、もちろん知覚できないリーナである。
「たまらないなぁ……はぁはぁ」
 股座に武者ぶりつきながら、だらだらと先走り汁を垂らしておったてながらも、処女に対して配慮ある愛撫を続ける正夫。
「ふぅん……はぁん」
 リーナは、肩で息をしており半ば放心状態に口を半開きにしており、いつもの威厳もなにもあったものではない。リーナが思っていたのは、生理が始まったときの自分の中の女への嫌悪感とか、それでもどこかに女が出てしまう時の身体の芯が疼くような冷たい痛みのことだ。
 武家の出の自分の家系に誇りを持って、むしろ没落した今のフレディレンコ家を自分が身につけた武威一つ頼りに再興するとまで行かなくても、守り立てていこうと心に決めたあの時の思い。
 幼いリーナに武術を教えてくれた、士官学校の教官だった祖父。あの七歳のときの雪の閉ざされた冷たい部屋の暖かい祖父の手。祖国の崩壊、そして暴徒の凶弾が、祖父の眉間を打ち抜いたとき、かき抱いた祖父の体から暖かさを奪っていく血血血血血!
 流された大量の血に対する嫌悪は、十四歳のときに、学校のトイレで一人蹲って見た自分の股間から流れ出た鮮血。下着を濡らす、汚れた血。
 あの祖父の眉間から流れ出たのと同じ色の血だった。
「いぁ……いゃーーーー!」
 正夫が、十分な愛撫を終えて、リーナの腰に自らの腰を押し当てたとき。だからそのとき、膜を破られて破瓜する、リーナの脳裏に光ったのはかつての赤い祖国の全てだった。
「ううっ……いたぃ……ぃ」
 子供のように泣きじゃくるリーナ。やはり、周到に準備されてようが二十四歳だろうが始めては痛いのだ。それでも、なぜかリーナの心は深い罪悪感を感じていて、痛いほうがよかった。
「ぅぅ……いっ……あっ」
 痛いほうが感じたのだ。それは確かだった。
「リーナちゃん、気持ちいいよう」
 そんな正夫の間の抜けた声が聞こえないのは、リーナにとっては幸せだったのかもしれない。まあ聞こえていたとしても、反応する余裕もないが。
「ぃ……あっ……なんかくる」
 リーナは、痛いながらも感じていて腰をがくがくと振るわせた。それは二十四年間反逆され続けた、リーナの性欲という本能だった。その本能が男を射精へと導くのだ。
「ああ、リーナちゃんいぃ、いくよー」

 ドピュドピュドピュドピュドピュ!

 後先考えぬ、完璧なまでの中だしだった。まあ、正夫がやってるときに後先考えたことなどないのだが。リーナも、何かが感極まった様子でただ正夫の身体をしっかりと抱いている。リーナにとっては、正夫があってもなくても一緒だったが。とにかく、本能的に何かにすがりたい気分だったのだろう。
 そのリーナの切実な抱きつきの暖かさで、リーナの中に入りっぱなしの正夫のものは強度を増していって
「もう一回やろうか」
 その声に、応答を返すことなどなくリーナはただ腰を突かれるままに泣いていた。股間から流れ出る、リーナを二十四年間守り続けた破瓜の血も、まるで泣いているようだった。
 とにかく、こうして古森正夫は自分よりも数十段上の実力者である村川海馬に一糸報いることができて、師匠の仇も討てたのだった。
第五章「アルジェの切り札」
 激しい戦いにも辺鄙なところにあったため幸いに被害を受けなかった、さわやか荘の地下で完全に近い二重三重の拘束を受けながら、それを物ともせず荒れ狂う少女がひとり。
「なっとくできない、なっとくできないぞ海馬!」
 それはそうだろう、アルジェは策謀の限りを用いて、完璧と思える計画を実行に移し、さあこれから自分を徹底的に侮辱した海馬を亡き者にしてやろうと思っていたのだ。それが、それがどうしていつのまにかレインボーブリッチの真ん中まで追い詰められた挙句に、確保されねばならんのだ。こんな生き恥。
「殺せ、いっそ殺せ。くそ、誰も居ないのか!」
 その美しい瞳から流れる涙は、滂沱と海馬の地下室の床を濡らすのだった。
 それを監視窓から見つめる一対の目。始終監視の目を光らせているのがリーナであった。アンジェが何を言っても、応答一つしない。なにせ相手は天才催眠術師なのだ。海馬から、挨拶を交わしただけで相手を虜にし、針金一本あれば、水中縄抜け大脱出してみせるのがアルジェという少女だと聞いた。荘の管理を二の次にしてでも、常に監視の目を怠ってはいけない。その判断は正しかった。

 だが、忘れられた男が一人、そのおかげでリーナに気づかれることなく、さわやか荘の様子を外から伺っていた。冴えない、本当はそこまで歳を取ってないんだが、中年に見えるぼさっとした小太りの男だ。アルジェ・ハイゼンベルグの弟子、古森正夫である。アルジェは、海馬に捕らえられて殺されたと公式には理解されているが、それをもちろん信じなかった正夫は、何をすればアルジェを助けられるか、そうしてどうすれば海馬たちに仕返しできるかを考えていた。海馬の公の組織を狙ったアルジェと違い、同性の正夫には海馬にとって本当に大事な場所がこの私的な慰安所である「さわやか荘」であると本能的に感づいていた。男は巣を大事にする動物なのだ。
 アンジェを助けたうえで、この巣を荒らしてやれば、さぞや溜飲が下がるに違いない。せっかく目をかけてもらったのに、先の戦いで役に立つことも出来ずに、おめおめと引き下がるなど獣としてのプライドが許さない。
 そう、たしかに海馬はあの天才アンジェも下した生え抜きの催眠術師かもしれない。だが、一匹の獣であることには違いなかった。だから正夫は、今はただこうして、さわやか荘を出入りする美少女のデーターマップを詳細に作成する作業に没頭するのだった。
「あー必死にやりすぎて汗かいたな……フキフキっと」
 正夫がハンカチ代わりに取り出したのは、洗濯籠から盗んだリーナの真紅のショーツだ。アルジェが見たら、「そんなことやってる間に私を助けろ」と飛び膝蹴りを入れるだろうが、あの用心深いリーナのパンツを盗める正夫はやはり只者ではないことは確かである。パンツを盗むついでに、モニターも軽くカモフラージュして仕掛けてきた、意外や意外。海馬は、それに気が付かなかったのである。

 アルジェが叫び続けて疲れきって無言になったころ、監視部屋に海馬が静かに入ってきた。別に、その期を狙ったわけではなく、海馬は海馬なりに仕事を終わらせて、ここに帰ってきたのだ。闇の中で、無言に立ち尽くしている海馬にアルジェは気がついた。「海馬……私を笑いに来たのね」
「馬鹿が、笑えるかよ。派手にやってくれたな、俺がどれだけ再起に苦労を」
 むしろ、罵声の一つでも浴びせてやろうかと思って海馬は来たのだ。だが、完全に拘束されて無防備になった少女を見たとき、そんな気もうせてしまった。
「ふん、じゃあ……私を犯しにでも来たの」
 そういえば、あれだけ因縁があった研究所時代にも、海馬はアルジェを犯していない。くそ生意気だったので、徹底的に侮辱してやったことはあるが、なぜかそういうつもりになれなかったのだ。
「ふん、お前のその面を見てると、その気も失せるな」
「なっ!」
「お前、俺にやられたがってんだろう」
「誰が! 死ね!」
「そういう女は、やる気が失せるんだよ」
 そうやって失笑を浴びせてやる海馬。図星だったのか、どうだったのか。複雑な心境らしいアルジェは、涙を浮かべている。そそる気もするんだが、海馬は一向にやる気がおこらない。
 たぶん、海馬はいい女をむりやりやるようなことをしたくないのだろう。催眠を使って女をやるのに慣れすぎて、普通のセックスというリスクを取るのが怖いというのも実はある。
 従順そうに犯されていても、いつチンポを噛み切られるかわからないではないか。そう思ったら、怖くてチンポなど立たない。催眠術師という人種は、思慮深いために小心なのだ。

 一方、術師として思慮浅いがゆえに大胆なものもいた。正夫はリーナ攻略をすでに終了していた。自分のパンツがないことに気がついて、リーナは先祖伝来の甲冑をつけて、独特なフォルムの直刀を構えて、広場に躍り出た。すぐさま、物陰に潜む男の姿を見つけて、躊躇もなく切った。
 切ったが、それは服を着た丸太で、その瞬間に横から催眠電波を浴びせられたのだ。たしかに、リーナはもともと催眠に強い体質で、海馬によって最強度のサイコ・ディフェンスに加え、サイコ・ディフェンサーという機械的なジャミングマシンを常に装備させられていたが、武装のためにジャミングを外してしまったのだ。
 そして、敵を倒したという快楽に打ち震えた寸前の一瞬の心の空きに入り込まれ、受けた暗示は正夫の存在を感知できなくなるである。
 鉄壁なはずのリーナの防衛を信じきっている海馬の心の虚を突いて、アルジェは助け出された。
「正夫は……私にとってとんだ拾い物だったみたいね」
 そう、アルジェは自嘲した。たしかに、村川海馬に抱いて欲しいのかと面罵されたアルジェはそういう気持ちがあったのもたしかだ、それが逃げ出せるとなってそれでも海馬にすがろうなどという可愛げがある女でもない。
「私が受けた分の屈辱を、海馬に与えてあげて。これは、師匠としての命令ではなくて、女としての私のお願いです」
 大恩あるアルジェから、そうすがられて、古森正夫は復讐代行人となったのであった。正夫が考えたのは、徹底した正夫以外への陵辱。ここにいたっても、海馬は正夫という伏兵の存在に気がつかなかった。致命的ミス。
 戯れに拾ったはずのブタカードが、いつしかアルジェの唯一の切り札、ワイルドカードになっていた。
「袖触れ合うも多少の縁」
 夏のある日、いまどきの女子高生げな少女が道をが歩いていると、一人の男が通りかかった。
男は、夏らしく浴衣を着ていた……まではいい。とにかく、その浴衣は真っ赤かだった。そして、何が楽しいのか満面の笑み……。
 もう、それだけで怪しい人であるということがよくわかる。
 笑顔がとてつもなく滑稽な、でも笑えないブクブクと太ったおっさんで、こうたとえるとおかしい気もするが、まるで化粧を落としたピエロみたいな笑顔だった。
 関わると怖い、最近は危ない人が多すぎる。目をそらして歩こうと思った瞬間。おっさんがさっと、袖を振った。
 その袖は、真っ赤でしかし袖の真ん中に行くごとに色が薄くなっていって、やがて黄色になって今度はグルグルと黒くなっていって、見れば見るほど少女の目を引きつけた。
 おっさんは、ゆっくりと袖を回転させる。袖の柄は、一種のグラディエーションになっていて、色が変わっているのに色の境目がはっきりしない。まるで鳥避けみたいに円形の目玉のような柄だ。それに、一瞬だけ目を取られたと思ったのに、おっさんはもう目の前に来ていた。
 女の子は、「逃げよう」と思ったが、逃げると刺激するかもと思うと、動けない。
 どうしようか迷っているうちに、話しかけられた。
 おっさんは、それこそピエロみたいに不気味に笑って、袖を振り続けたまま挨拶した。
「やあ、こんにちわ。お嬢さん」
 挨拶されたら、返さないわけにもいかない。
「……こんにちわ」
「この袖をもっとよく見てくださいね」
「はい……へんな柄ですね」
「特注なんですよ、作るのに苦労しました」
「はあ……」
 そんな話は、どうでもいい。とにかく、おっさんはなんか怖いし、早くこの場からは離れたかった。
「あの……それじゃ」
「ちょっと、まってください」
 顔は笑っていても、いやだからこそおっさんの目は、やっぱり変質者の目だった。
「な、なんですか……」
「いや、ちょっと尋ねたいだけなんです。ぼくをみて、どう思ったか全部言ってくれますか」
「あの……そうですね」
「遠慮せずに、正直に答えてくださいね」
「はい……まず見て怖いと思いました。それから、刺激せずに通り過ぎようと思いました。だけど、袖が気になっていつのまにか話をしてしまいました」
「ふーん。正直に答えてくれていいですね、その調子で素直に答えてください」
「はい……」
「ぼくのことを刺激しないようにしないといけないと思ったのなら、ぼくの言うとおりに何でも対応しなければなりません。じゃないと、怖いですよ。わかりますか」
「……はい、ものすごくよくわかって困ります」
「あなたの名前は」
「浅賀涼子です」
「制服からすると女子高生ですね。近くの高校の……何年ですか」
「二年です」
「これから、どこにいくところでしたか。時間はありますか」
「これから、家に帰るところでした。時間は……」
「何か用事がありましたか、遅くなると家族に怪しまれたりしますか」
「用事は特にありません、怪しまれません……」
「そうですか、好都合ですね」
「いや……」
「もっと、袖の柄をよく見てくださいね。はい、ここで立ち話もなんなんで入りませんか。ここの近くが、ぼくの家なんですよ」
「入りたくないです……」
「ぼくを刺激したくないんですよね、だからぼくの言うことを聞きますよね涼子ちゃん」
「はい」
「じゃあ、着いて来てください」
 男は、涼子を連れ立って近くの家に入った。なんの変哲もない住宅地だし、午後のまだ浅い時間帯なので目撃した人もなかった。いたとしても、特に騒いでるわけでもないので、おかしいと気がついたとは思えない。
「ここです、はい。中に入ってね」
「……入ります」
 涼子は、おっさんから眼を背けるようにして、袖を見てそういった。
 入ると、普通の住宅なのに普通ならリビングがある場所に簡易的なソファーベットが置いてあるだけだった。家具もテレビしかない。生活感がなさ過ぎるという印象だった。
「ああ、ぼく一人で間借りしているだけだからね。家具はなにもないんだ。その、ソファーにでも座ってよ」
「……はい」
 涼子は焦っていた。自分の感覚がおかしい、なんでこんなおっさんのいうなりになっていつのまにか、知らない家に入ってしまったのか。
 もうそれはいい、とにかくこの危ないおっさんと一緒の部屋に二人で居るのは
「危険だ、帰らなきゃ……」
「帰っちゃだめです。袖をよく見てね、忘れたんですか。君はぼくを刺激したくないから、私のいうことを聞かなきゃいけなかったんですよね」
「……そうでした」
「いいですか、ぼくが帰っていいというまで、ここから絶対に帰ってはいけません。わかりましたか」
「わかり……ました」
 涼子は、困惑してしまった。危険だから逃げ出したいのに、危険を避けるためにはおっさんを刺激させてはならず、刺激させないためには、おっさんの言うことを聞かなければならず、おっさんは帰るなというので逃げ出せない。
 おっさんが、質問するので今の気持ちを正直に言うと、刺激させなければ危険ではないから逃げなくてもいいという。なるほど、理屈ではそのとおりだと涼子は思った。
「早く帰れるように、ぼくの言うことをちゃっちゃと聞いてしまいましょう」
「わかりました……早く帰りたいです」
「じゃあ、まず服を全部脱いでください」
「……ええ、嫌ですよ」
「嫌なのはわかってます、でもあなたは嫌でも、ぼくのいうことを聞かなきゃいけないんですよ。そうじゃないと危険です」
「危険……あの、下着まで脱ぐんですか」
「下着まで脱ぐんです。嫌と危険なら、危険のほうが心配ですよね。だから嫌でもやるんですわかりますよね」
「はい……」
 涼子は、おっさんを刺激させないために、しょうがなく制服を脱いで……ブラも取ってインナーもスパッツごと脱いだ。お気に入りのインナーだったので、なるべくおっさんに見せないようにするのが、唯一の抵抗だった。
「脱ぎました……いうとおりにしたから、帰してください」
 涼子の危機感は、切迫していた。おっさんのまえで、裸になっているのだ。もちろん、胸と……下は手で押さえているがこれが異常事態でなくてなんだろう。
「まだです、手をどけて……そうだなオマンコを開いてください」
「オマ……って、そんなことしなきゃいけないんですか」
 男は袖を振って、即すので刺激しないために仕方なく、ソファーに座ったまま涼子は自分の外陰部を開いて見せた。すでに、彼氏がいる涼子だが普通に性交渉はあってもゴム付きの本当におとなしいもので、こんな屈辱的なポーズをさせられるのは初めてで、悔しくて泣いた。
「そうだな、自慰をしながらぼくの質問にもっと答えてください」
 泣いている涼子は、それでも仕方なく拙い自慰をした。週に自慰を何回するか聞かれて、二回とか答えたら淫乱だと罵倒された。彼氏のこととか、どういう性交をしているのかも、思い出して答えさせられた。やっぱりこのおっさんは、変態だったと涼子は思った。
「どうですか、そろそろ感じてきましたか」
 そういいながら、じっとしてろと涼子に命じて、小振りのおっぱいを吸ったり揉んだりのやりたい放題。乳頭は、素直なもので、嫌がる涼子の意に反するようにピンっと存在を示した。
「この……うぅ、変態。こんな状態で感じるわけ……あっ」
 涼子は情けなさで、ぽろぽろ泣いて顔もぐちょぐちょで化粧も落ちて酷い状態だったが、物理的に刺激を受け続けているオマンコが感じないわけがなかった。
「そういうわりには、どろっどろになってますね」
「あっ、触らないで」
 ひょいっと、愛液をつまんでおっさんはドローンと指を粘つかせた。
「うっ……最低いぃ……」
 こんな酷い状態だというのに、軽く腰を振るわせた。軽くイッタのかなとおっさんがいうと、顔を真っ赤にして涼子は顔を震わせた。
「嫌、もう嫌……早くやめさせて」
 それでも、やめろというまでしろと言われたので、手が止まらない。自分の意思でしかたなくやってるはずが、自分が嫌でももう手が自動的に動くのが怖かった。それが、他人の手のようで、涼子は身体を震わせて本格的にイッテしまった。
「うぅ……もう嫌ぁ……」
 涼子が身体を震わせるたびに、小振りのオッパイがプルンを震えて、おっさんも感極まったように震えた。
「涼子さん、もう……もういいですよ」
「……」
「手を止めて、いいです」
 涼子が手を止めたとき、若いオマンコはもうぐちょぐちょだった。実は、三度もイッテしまっていたのだが、それは聞かれなかったので言わないで置いたが、肩で息をしている様子から、分かってしまうだろうと涼子は悲しかった。
「うっ……ううっ」
 泣いている涼子にかまわず、オマンコをうまそうに舐め始めたおっさん。
「いやぁ……舐めないで」
 自分の手でやってるよりはソフトな感じだが、それが逆に涼子にはきつく感じた。変なおっさんに舐められてるって嫌悪感もあった。
 それでも、身体が動かなかった。なぜ動かないのかと考えて、動かないように言われたからだと涼子は思った。おっさんが、怖いから、刺激しちゃだめだから。恐怖で身体が動かないのだろうと思った。
「あー、薄味で爽やかですね」
 そうして、おっさんは喜びにツルツルした顔で笑った。やっぱり変態だ。
「もう……満足したのなら帰してください」
「いや、まだ涼子ちゃんしか満足してないですよ」
 そういって、ぴょこっとズボンを脱ぐと下着もはいてなくて、おっさんのカリのぶっとい、彼氏とは比べものにならないほどの巨根が姿を現した。
「きゃーー、なに脱いで、でぇ」
「なにって、酷いなあ。ぼくのほうがイかないと終わらないでしょ」
 どういう理屈なのか、まったくわからないが、おっさんがそういうからにはそうなのだ。
「これを口で舐めるのと、下のお口でするのとどっちがいいですか」
「……どっちがって」
 下のお口ってのは、オマンコのことだろう。私のあそこに、あの汚いものをハメられる……そう思っただけで嫌悪感がぞぞっと襲ってきたし、生なんてそんなの困るし。涼子は口で舐めるのも、嫌だが口なら……まあ間違っても妊娠しないし、吐けばいいしと思って口を選んだ。
「じゃ、上のお口ですね。フェラチオしたことありますか涼子ちゃん」
「ないです……」
「ソフトクリームを舐めてる気持ちでやればいいんですよ、難しいことはないです。でも、がんばらないと下のお口も使うことになるのでがんばりましょうね」
 そういう、おっさんの口調が怖くて、涼子は必死でペロペロと舐めた。
「うーん、へたくそだけど、必死って感じがいいですね」
 そういって、おっさんはぷっくらした頬を染めて喜んだ。よく見ると、髭の剃り跡が残ってて、まるで気持ち悪い中年のオヤジだとおもって、そのオヤジのチンポを必死になめている自分に気がついて、何でこんなことになってしまったんだろうと涼子は泣いた。
「おお、泣きながら……イマラチオ風ですね。いいですよ涼子ちゃん、喉の奥もつかって」
 そういいながら、涼子の乳頭を摘んで引っ張りあげるので涼子は噛まないようにするのが必死だった。喉の奥を突かれるのも、もう嫌悪も通りこして本当に苦しいし。それでも、噛んだら何をされるか分からないから必死に我慢したのだ。
「おお……いきます。いきますよ、ソファーが汚れるといけないから全部飲み込むんですよ」
「ふぐぐぎゅふぐう」
 そんなこと聞いてないと、言おうとしてそれでも舐め続けていたので、それがすごい刺激になってしまったのか。
「うあ……そんな技……いかん。イクゥ!」

 ドピュドピュドピュウ……ドクドクドク

 涼子は、飲み込めといわれたので、ものすごい嫌悪で頭が遠くなりながら何かを飲み込んだ。飲み込むのは本当に苦しくて必死で、ぐっと飲み込んだあとにゅるっと、口を離して肺で息をした。
 そうして、ああおっさんの精液を飲んでしまったのだと自分が汚れたと感じた。
「ああ、涼子ちゃん。ちゃんと、最後まで奇麗に舐めなさい」
 そうきつく厳命するおっさんの顔から眼を背けて、背けたらそこにあの赤いグルグルの袖の模様があって……そうこうしているうちに、涼子は一心不乱に舐め取っていた。まるで、犬みたいだと思った。
 おっさんのチンコは、まるでしょぼくれたおっさんとは、別物みたいに元気だった。あれだ出したのに、あれだけ涼子の食道を汚したのに、まだピンピンと存在感を保っていた。
「あれれ……、一発では満足できませんね。やっぱり下のオマンコかなあ」
「そっ、それだけは勘弁してください!」
 涼子は、もうどうでもいい。死んでもいいや、とすら思った考えを吹き飛ばすように首をふった。死んでもいいが、おっさんとセックスするのだけは嫌だ。
「おねがいします! このとおりお願いします。一回でも、何回でも満足するまでフェラチオさせていただきます」
 涼子は必死だ。このおっさんは、怖い。やるとなったらやる。
「しょうがないな、じゃあもう一回だけ。そのかわり、もう一回で満足させられなかったら、セックスするんだよ」
「そんなあ……」
「じゃあ、いまからセックスする」
「わかりました、やります」
 さっそく、涼子は急いで取り掛かる。前の必死さの十倍の、もう決死だった。
「ベロベロベロ、お願いしますから全力で気持ちよく全部だしてねぇ!」
 おっぱいを振り乱しながら、何も言わないのにチンコも玉も舐める。
「おっぱいも触って、とにかく気持ちよくなってください」
 なんと、そういう知識があるのかおっさんのちぢれ毛が生えた乳頭にまで吸い付いた。
「おほ、こういうのもしてくれるんだ。サービスいいね」
 死ねと思いながらも、涼子は必死だった。その必死さに呼応するかのように、おっさんの立派なものは豪快に脈打ち。
「おお、気持ちいいぃー」
 大放出!

 ドピュドピュドピュウ……ドクドクドク

 ソファーを汚すなという命令もちゃんと聞いて、言われずに飲んだ。
「ハァハァハァ……どうですか、満足しましたか」
「うーん、とりあえず舐めてみて」
 涼子が、刺激をしないように恐る恐る舐めて奇麗にすると。
「ああ……なんで、立っちゃうのぉ」
 涼子は絶望した。おっさんのものは、二回出したことも関係ないように、むしろさっきよりも元気に立ちあがったのだった。
「うぅ……」
「しょうがないよね、約束だから」
「いや、絶対にいや! セックスだけはいや! 怖い……」
「ほう、ちょっと袖見てね。何が怖い?」
「おっさん絶対生で入れるでしょ、ゴムとか付けてくれるならまだしも、生は駄目。妊娠が怖い。生理日今月の初めだから……計算なんかしてないけど、危険! 危険すぎるよ今日は、おっさんが怖いのの百倍怖い、できない」
 滂沱のように、涙を流す涼子。こんなに泣いたのは人生で初めてかもしれない。
「ふーん」
「お願いだから、ゴムつけて。コンドームつけてくれたら、もう……してもいいから」 このおっさんは、やる。それはわかってる、それなら被害を最小限に懇願だった。
「ふーん」
 おっさんは、笑った。最初笑ったとき、わからなかったが、本当に意地の悪い笑いだったのだ。そして、怖い。
 おっさんは、ソファー以外の唯一の家具である棚からトンと何かを出した。
「ナイフ……それ、どうするつもり」
「……まず、最初に宣言しておくけどぼくはゴムはつけない。生派だからね。自分が気持ちよければ、君がどうなろうと知ったこっちゃないんだ」
「……」
 すごみを聞かせたおっさんの声に涼子は凍りついた。
「もし、ぼくとセックスするのが死ぬより嫌なら。このナイフで喉を突いて、突いて突いて突きまくって死になさい。ぼくのチンコに突かれるより、ナイフで刺されたほうがマシだというならそうしなさい」
 涼子は、声を枯らして泣いた。ボロボロだった。さっき、人生で初めての勢いで泣いたと思ったが、そんなものじゃなかった。おっさんは本気だ。死が、目の前にあるのだ。声も出なかった。
「……ι」
「なに?」
「……死にたくないです」
 おっさんは、笑った。悪魔の顔だった。
「もう、そんな今にも死ぬような顔して。おっさんも、君を殺したくなんてないよ」
 そういって、おっさんはナイフを棚に閉まった。やさしげに、涙を袖といっしょのあいまいな赤色のハンカチで拭いてあげながら。
「ただ、こんな選択させるだけじゃかわいそうだ。こうしよう、生で挿入するけどある条件さえクリアーできれば、外に射精してあげるよ」
 顔を輝かせて、涼子は初めておっさんのきたない顔を見上げた。天使の微笑みに見えた。最後の希望だった。
「そ、その条件って!」
「それは、選択するまで発表できないなあ。難しい条件だけどね、あと条件出す代わりに失敗したときは、罰ゲームも待っているよ」
 中出しされて、妊娠させられる危険以上の罰があるなんて、このときの涼子には思えなかった。
「分かった、分かりました……」
「死ぬより、条件付きのセックスのほうを選ぶんだね」
 そうやって、覚悟を決めさせるために袖をまたグルグルを回して答えさせた。
「条件付きのセックスを選びます」
 キッとした顔になって、立ち上がった。死ぬよりましだ、体力の限界に挑戦してやる。なんだってこいという顔だった。そういう風に、おっさんがうまくしむけたわけだが。
「じゃ、条件を発表します」
 無言で、じっとおっさんを睨む涼子。もう、キモイとかそういうことを思う余裕もなかった。
「条件は、ぼくが射精してしまうまでに、涼子ちゃんが十回イクことでーす」
「て……えぇぇぇ!!!」
 涼子が、抗議の叫びを上げた。もう、ここは住宅地のはずなのに、世界中の人に裸を見られてもいいから誰か助けてという叫びだった。
「そんなの、無理にきまってるじゃない。土台無理よ!」
「人間の体力の限界に挑戦って所だね、十回イク人ってのはいるよ。軽くでも、カウントしてあげるから、もしかしたら出来るかも」
「私……彼氏としたとき軽くでも三回もいったことないよ。しかも、その間に彼氏二回イッてるし」
 抗議は聞き届けられないことは、もう痛いほど分かっているのに言ってしまう。おっさんのニヤつき顔。、またも、涼子の顔に絶望の死相が浮かぶ。
「まあ、なるべくぼくもイかないようにがんばるからさぁー」
 涼子は固まってしまった。信用できるわけがない。
「あと、罰ゲームのほうなんだけどね。もし、うーんもし、万が一にだよ、君が十回いかないうちに私が限界に達して射精してしまったら……」
 おっさんは、発表にタメをつけて雰囲気を盛り上げているが、絶望している涼子はリアクションが悪い。
「涼子ちゃんは、喜んでぼくの子供を妊娠する」
 また、涼子は人間の声とは思えないほどの大きさの叫びをあげた。あの、壁に敷き詰めてあるウレタンは飾りじゃなくて、防音のためなんだなとこの時、なぜかとても覚めた気持ちで冷静に思った。
 おっさんは、また覚悟を決めさせるように、袖をグルグルと回した。そうされると、不思議と涼子は、やらなくてはならない。覚悟が決まってしまうのだ。
「するって約束だからね、もう自殺はしちゃだめね。あのね、喜んでぼくの子供を妊娠するというのは、ぼくがイクときはちゃんとイクって合図するから、ちゃんと子宮口を開いて、ありがとうございます貴方の子種を頂きますっていうの。そして、愛情を込めてぼくを抱きしめて最後の一滴が射精し終わるまで、自分が思いついた孕む女の喜びを一心に表現すること。そして、終わってから精液をこぼさない様に、五分はその姿勢ね。わかった」
 話してある間中、呆然とした涼子の目の前で袖はグルグルと回っていた。
「………………わかりました」
 涼子の快諾を聞いて、おっさんはまた満面の笑みを浮かべる。
「なあに、十回先に気をやればいいんだから、涼子ちゃんならできるよ。ああ、あとイッタ振りしても分かるからね、ちゃんとイかないとカウントはしない」
 そういえば、おっさんの名前聞いてなかったと涼子は思った。できなければ、名前も知らない人とセックスして、失敗したら……その人の子供を妊娠するのか。聞こうと思ったけど、向こうが言わないのにと思って悔しくて聞くのをやめた。
「じゃ、ソファーをちゃんとベットにして始めようか。ファイト!」
 どうせ、無理なのに涼子は必死になって取っ組み合いを始めた。涼子だって、彼氏とだけだがセックスの経験値はある。相手をイカせるのなら、簡単なのに自分がイクなんてどうやったらいいのか、とにかく涼子は必死にお願いして。先にオナニーして、イキそうになってから、入れてもらうことにした。
 せめてそれぐらいがハンディーがなければ。刺激してやらなければ、彼氏のものだと萎えて入らないこともあるのに、現役高校生の男と比べてもおっさんの持続力はたいしたものだった。
 オナニーを見てるだけで、ギンギンの状態を維持して、ぶち込む。
「じゃ、入れるよ」
 ずぼっと入って、物凄いピストンが来た。早くも、一回イッタ。
「あぁぁあ」
 わけが分からなくなった、いいんだわけわからなくてと思って、こっちからバンバン動いた。
「オッパイ吸って!」
 自分をいかせないといけないのだ。おっさんに、ちゅーと右を乳を吸ってもらってるあいだ、必死に左の乳をつねった。もう乳頭をちみぎった見たいな、敏感すぎて普通なら痛いはずなのに、凄い快楽を涼子にもたらした。
 小刻みに、コントロールできない動きでガクガクと腰を振るわせる涼子。
「二回目だね」
 オナニーのときのコツを思い出さないと。中学生のときは、これでも連続でオナニーし続けたことがあった。回数までは数えてないけど、とにかくやらないと。
 ぎゅっと、自分でクリトリスを剥いて、というか気がついたら剥けていたのでそれを嬲った。彼氏と定期的にやるようになってからは、自分でこんなに強く刺激するのは久しぶりだった。
 その間も、執拗なピストンを繰り返しておっさんは膣を刺激してくれる。カリがひっかかって気持ちいぃ。
「三回目、だね」
 涼子はこんなに、わけわからなくなってるのにおっさんは冷静だとぽーと思った。もしかしたら、十回イケるかもしれない。諦めたちゃ、駄目だがんばらないと。気持ちが覚めたらおしまいなのだ。
「もっとぉーもっと、突いて! おっぱいも吸って」
 おっさんは、オッパイだけじゃなくて、首筋から肩からとにかくいろんなところを舐めたり刺激したりしてくれた。そのたびにイって、連続でイって……。
「七回目……だぁ」
 多分、軽く二回連続ぐらいでイッタ。ちゃんとおっさんはカウントしてくれてる。もうちょっとだ、神様と涼子は祈る気持ちで腰を振った。こんなに、一心不乱にしたことは生まれて初めてだった、もう二度とないだろう。
「八回目……くぅ」
 限界だった、何かが壊れた。心の壁みたいなのが、すっと壊れた。ずっと抱えてた悩みや不安もなくなった。おっさんは、見知らぬ汚いおっさんじゃなかった。自分を気持ちよくしてくれる……神様だった。
「司会者は、九枚当たりで二枚取る。知ってる?」
 だから、そんなおっさんの冷酷な言葉も耳に届かなかった。
「もう、ぼくも限界だからイクよ。ほら、ありがとうだよ、涼子ちゃん。気持ちよかったよ」
「はぃ……あぁ……はぃ……ありがとうございます」
「だから、もうぼくも限界だって。涼子ちゃん、ぼくはイク! ぼくは涼子ちゃんの膣内で射精するの!」
 涼子の頭でさっきのおっさんの命令がフラッシュバックした。
「はい、ありがとうございます! 貴方の子種を頂きます!」
「よし、イクぞ。子宮口開けて受け取れ!」
「私も、イクぅ……」

 ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!!

 さっきの喉の奥に感じた射精の勢いの倍は来た、膣はぐっと絞めて子宮口はぐっと開いて、涼子のオマンコはまるで生き物のようにゴクゴクと精子を子宮へと飲み込んでいく。
「ぁ……来てます。幸せです……ありがとう」
 おっさんは、真っ白になった世界で涼子の頭を静かに撫でた。神様のようだった。
「このまま、動かないでください。精子溜めますから。受精してるといいです」
 そうやって、涼子は最初のこまっしゃくれた女子高生がどうしてこんな透き通った笑顔ができるのかと思うほどの、聖母のような顔になった。
「こうしていると、幸せ……ぁ、まだチンコが動いてる……」
 涼子は、おっさんとまるで神様と聖母のようにきっちり十分間しっかりと愛し合って抱き合い続けて、驚いたことにおっさんのものは萎えることもなく、涼子の膣はおっさんのチンコと一つの生き物になってしまったようだった。ツガイってこういうことなんだって涼子は思った。
 そして、そんな至福の波はゆっくりとまた絶頂を迎えてもう一度。
「せっかくだからもういっかい、涼子……孕めよ」

 ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!!

「あぁ。もう一度、ありがとうございます」
 見事な駄目押しの射精をかましたのだった。満ち足りた幸せの中で、静かに涼子の意識は途絶えた。

 はっとして気がついたときは、ソファーベットですでに服も着せられて寝かされていた。服を着せてもらってなかったら、夏でも風邪引いていたかもしれない。
 夏のさなかだったので、まだ外は空も青々として明るかったが、部屋に時計がないので携帯を取り出すと、時間はすでに夕刻になっていた。
 あれほど、激しくしたのに、汗一つかいてないなんてと目の前のおっさんを見たらおっさんもちゃんと例の浴衣姿だった。寝ている間に身体を奇麗にしてくれたのかと、思った瞬間に夢のようにぼんやりとしていた……フェラチオとセックスと……中だしの一部始終が思い浮かび。
「ギャー」
 ばたっと、またソファーベットに倒れこんだ。
「あのー、そろそろ起きて、今日は帰ってくれるかな」
 おっさんは、もう興味を失ったようにそういった。涼子は、迫り来る絶望を避けるように、不貞寝した。ベットにすがりついて現実逃避した。
 そうして、でも目の前にいるおっさんが気になって薄目で見ると本当に薄らぼんやりしたキモイオヤジで、来てる服が変なだけで、あんなに怖かったり、優しかったりするわけがなかった。しょぼいオヤジだった。
「……私、もう帰ってもいいんだ」
 そう思った。
「あのさ……もう帰るけど、こんなの全部夏の夢だよね。白昼夢ってやつだよね」
 よくよく考えても、まったく完全な記憶があっても、おっさんの中だしを喜んで受け入れるなんてありえないと思えた。
 おっさんは、ぼーと突っ立ってたが。あの笑いを浮かべた。その瞬間に怖くて、悪魔で、神様みたいなおっさんになった。
「ヒィ……」
「あのさ、ぼくは今日は帰ってもいいっていったんだよ。明日も君は来るんだよ。できれば、同じ時間に来て欲しいな。都合つけてさ」
「……なんで、明日も」
 そんな馬鹿な。もうすべて終わった悪夢が終わって、朝になったのに時計の針が逆回しになってまた夜に戻るホラーのラストを思い出した。
「だって、君は約束したでしょ」
「何を……」
「ぼくの子供を妊娠するって、妊娠するまで続けるんだよ」
 三度目の悲鳴をあげて、涼子は叫びながら逃げ帰った。家に帰って、悪い夢だ。全部夢だ、忘れようと忘れようと全力で忘れようと忘れようと忘れようと忘れようと忘れようと忘れようと忘れようと。

 家でも、学校でもずっと寝た。そうして、何もかも本当に忘れて晴れやかな気持ちになって、涼子は歩き続ける。

 昨日と同じ道を、一緒の時間に一緒のように。


プロフィール

ヤラナイカー

Author:ヤラナイカー
おかげさまでプロ作家になって五年目です。
ボツボツと頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします。
(プロフの画像、ヤキソバパンツさんに提供してもらいました)



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