第七章「母子に渡る初体験」 |
「それでね、旦那も馬鹿よねー、浮気を私にばれるようにするんだもん」 とある三ツ星ホテルの流行っているスイーツの店で、鳥取鶴奈はちょっとした取材をしていた。女性誌のライターをしているので、いわゆるセレブと呼ばれる有名な医師やIT企業家の奥さんの話を聞いているのだ。鶴奈の旦那だって一流商社だが、彼女らと比べてしまっては年収の単位が一桁は違っていた。 散々、一方的に自慢話を聞かされた挙句に、オフレコということで今度は浮気の話だ。旦那が浮気をバレバレでしているのが気に食わないらしい。 「携帯なんて見えないところに隠しておけばいいのにね。私も若い子と浮気しているけど、遊びはバレないようにきちんと気をつけているわよ。それにしても若い子はいいわよ、この前も彼氏とホテルにいったらそこに彼氏の友達が」 そう思ったら、今度は自分の浮気の話をしだした。浮気は家庭を壊さなければいいそうだ。これでも良き妻、良き母でありたい鶴奈の価値観からいくと、とても受け入れられたものではない。自分の書いてる記事の読者も読者だと思う、元ミスコンだかモデルだか知らないが、ただの金持ちなだけでこんな爛れた生活をしている女の自慢話をありがたく読んで羨ましがるのだ。これも仕事だから、笑顔で話を流しておくが、本当にろくなもんじゃないと思う。 この金満ビッチ女にとっては、若い男と浮気してことすら自慢なのだ。実際、自分と同世代やちょっと上のお母さん方とよく話をするが、悲しいことに半ば浮気を肯定というのが実情なのだ。鶴奈自身が古い倫理観の持ち主であったとしても、読者の求めるものを書くのがサービス業の辛いところである。 ど腐れスイーツ女の長ったらしい話が終わって、ようやく解散となった。最近したインタビューの中でも最低の話だ。これを読者が興味を引くようにきらびやかに装飾しなければならない後の編集作業を考えると頭が痛いが、出てきた季節のフルーツをあしらったケーキは中々さっぱりとして鶴奈好みだった。いっそ新作ケーキの紹介記事にしたいぐらいだ。 「せっかくだし、家族の分をお土産に買っておこうかな」 家族の数を考えて、四つ……と思ったがやっぱり丸ごと一つ買ってくことにした。 「マサキくん、甘いもの好きっていってたもんね。育ち盛りだからたくさん食べるでしょうしねー」
鶴奈は家に帰ると予想通り、マサキが来ていた。というか、最近のマサキは自宅より、こっちにいる時間が多い。透明人間遊びをして、調子に乗りすぎて風邪を引いて数日は大人しくしていたのだが、全快してからはまた鳥取家に入り浸っているマサキである。 ただ最近のマサキは、あの鶴奈を困らせるパンツ交換もせず、鶴奈と親しく話しをするだけで、その醜い容姿を考えなければ、普通の好感の持てる好青年ぶりを示していた。 今日も帰ってくると、マサキは早めに帰ってきたヒナと一緒にパズルゲームをして遊んでいた。小学三年生と本気の勝負をして奇声を上げている中学生というのもどうかとおもうが、こうしてたまの外出のときに、ヒナを一人にしないでくれるお兄さんが居てくれるのは心強いかぎりだった。
ケーキを切って、お茶を出すとヒナとあらそうように武者ぶりつくマサキを見て、鶴奈は嬉しそうに目を細め「次は男の子がほしいな」などと思うのだった――
さて、鶴奈が居ないときにもヒナと二人っきりで良いお兄さんしていたかというとそういうことでもなく、性格の暗いマサキは、鶴奈にぶつけない分の性欲を幼いヒナにぶつけたりしていた。 はっきりいって、子供というのは暗示への抵抗力がゼロに近い。第二次性徴を迎えていない身体と精神は、性的なものに対する違和感を持たない。 暗示をかけられ、マサキの言葉に一切疑いを持たないヒナは、午後の夕日が差し込めるリビングで裸に剥かれる。遊びと信じ込まされ、身体中をくまなく舐められても、くすぐったい笑いをあげるだけだ。 幼女を犯しているという背徳感に興奮したマサキは、ビンビンに勃起させながら、ヒナに口付けする。そして、口の中を舐め取るように、息の続く限り自分の舌でヒナの口内を犯し続けるのだった。 生理も来ていない子供でも、あくまでも肉体的反応として性感はあるらしく中学生の体力でディープキスを繰り返されたヒナは、目をトロンとさせて呆然と身体をソファーに横たえていた。荒い息を吐いて、射精しそうな気持ちで、ヒナの小さい身体を抱きかかえて蹲っているマサキ。 鳥取家の柔らかいクリーム色のソファーは、二人で寝転んでも十分なスペースがある。子供特有の熱い体温と甘い匂いを持つヒナを、マサキはただ抱きすくめながら、可愛いと思った。射精できるぐらい気持ちは高まっているのだが、すぐには射精したくないようなそのままで居たいような、始めての不思議な感覚。 静かだった。締め切ったカーテンの隙間から夕日が差し込むリビングで、マサキはヒナを抱きしめていた。暴れることもせずヒナは大人しく抱きしめられていた。 マサキとヒナの身体の濡れた匂いが、室内にたちこめていた。
マサキぐらいの年齢というのは、ただもう精液を吐き出すことしか考えていない。性的には強固で攻撃的なファンタジーを持っている。一方で、リアルの性については何も知ってはいない。危険な存在なのだ。 ヒナの未成熟な身体が、マサキが求めていた初めての自由になる女性の身体だった。マサキが、ガチのロリコンでなかったのは不幸中の幸いといえる。本当のペドフィリアであれば、未成熟なヒナを陵辱して心と身体に致命的な傷をつけたであろうから。
マサキは、ヒナに自分の手でオマンコを開くことを命じた。 「オマンコ?」 「股の……ここのことだよ」 「あー、はい」 ヒナはまだ学校で性教育も受けては居ない。触ってはいけないと親に言われてる大事な部分が、オマンコという名称であることを教えたのはマサキということになる。 「ええ、舐めるの……?」 M字開脚させて、そこに頭を突っ込んでクンニ。 いやらしいことだと、分かっているのか分かっていないのか。 ヒナは興味深げに無邪気な顔で、マサキの行動を見ていた。 「気持ちいいか?」 「くすぐったい……ムズムズする」 マサキの唾液でテラテラと光る縦筋は、マサキの舌に執拗に攻められてほんの少し赤みを帯びていた。やはり、気持ちよくなったり愛液を出したりすることはないらしい。ロリコンなら、このために死んでもいいような本望の光景であろうが、がんばっても感じてくれない小さい丘は、マサキにとっては少し残念なものだ。 欲求不満の塊であるマサキにとっては、ヒナは欲望を受け止めきれない小さな器に過ぎない。 性欲の赴くままに、その小さい丘に亀頭を這わせていた。マサキの命令には逆らえないヒナはそのままの体勢で耐えるしかない。 「ん……」 目を細めて、ほんの少し顔をゆがめた。性的なことは分からないが、幼いヒナにも性的な自尊心といえるものが芽生え始めていて、それがマサキの自分勝手な陵辱行為に仄かな嫌悪を感じさせるのだ。 そんなヒナの様子にもお構いなしに、素股の要領で逸物をこすりつけるマサキ。唾液の湿り気もあったし、カウパーはとどめなく流れ出して性器を湿らせていた。 いくらマサキのモノが貧相だといっても、硬くぴっちりと閉じた未成熟な膣口に入るわけがない。ためしに、くいくいっと押し付けてみたがぴっちりとしたツッパリを感じるだけだった。こすり付けるほうが気持ちがいい。 ふっと、マサキにこのまま力強く挿入してしまおうという考えが浮かぶ。構造的にいえば、穴は開いている。強引に押し込んでしまえばできないことではない。 そんな考えを、振り切って自分で気持ちを高めて、ヒナのあるかないかのぷっくらとした乳頭を吸うと。
ドピュドピュドピュドピュドピュ!
ヒナの未成熟なオマンコに擦り付けるようにして射精した。 「ふう……」 「もう終わり?」 「うん、もう一回……」 「えー」 なぜか、一度射精しても萎えなかったマサキは、大きな満足と小さな不満を吐き出すようにして、もう一度射精した。 ヒナはこれは遊びと思い込まされているから、二発目を出されるまで、嫌がっているというよりは退屈してじれていた。
ヒナを致命的に陵辱しないのはマサキの善性ではなくて、ただマサキが「へタレ」だっただけのことだ。無理やり膣口に押し込んだら、血だらけになるのは目に見えているし、マサキはそこまで意識的に分かっていた躊躇したわけではないが、発達未然の性器と将来にわたって深刻な傷と、心にトラウマを残すことになっていたはずだ。
部屋の換気をして匂いを消し、軽くシャワーを浴びて終了。二人になる機会を見つけては、この遊びは繰り返されることになる。 ヒナの身体にトラウマを刻み込むような最悪の事態は、マサキのへタレさによってずっと回避された。幼児期に繰り返されるマサキの性的な悪戯は、ヒナの性格形成に悪影響を残すかもしれなかったが、それはまた別の話である。
――ヒナと鶴奈は似ている。ケーキを食べ終えて、まったりと鶴奈が淹れてくれたお茶を飲みながら、そんなことをマサキは考えていた。 ヒナの未成熟な身体より、いまのセックスに餓えているマサキにとっては鶴奈の包み込むような完熟した肢体が望ましい。 鶴奈は女ざかりの二十七歳だ。知的に整った相貌に、とても小学生の子供が居るとは思えないスレンダーなボディーライン。胸のカップ数を聞いたらCカップだという。手に収まるほどの鶴奈の可愛らしいオッパイを思い出しただけで、よだれが出る。
マサキには「早くやりたい」という強い餓えがある。それと同時に、初体験を大事にしたい特別なものにしたいという思いもまた、童貞としては当然の願いだ。
だから今日も、夕食を早めに作り終えた鶴奈と寝室に篭もっては暗示を強化する。ヒナの面倒を見て、仲良くするのは別にヒナを陵辱したいためだけではなくて、それは余禄で本当のところは鶴奈が持っている深層にまでべっとりとこびりついたマサキに対する嫌悪感を払拭するためだった。 鶴奈が頑なに浮気を拒絶するのは、旦那の鷹郷をだけを愛しているからで他の男を知らないからだ。鶴奈は、鷹郷の幼馴染で昔から鷹郷だけを見ていた。 別に、マサキが不細工だから駄目だということではない。鶴奈の頭の中に、最初から他の男が入り込む余地がまったくなかったのだ。それが暗示を決定的なところで弾く要因になっている。
正直、無理やりにならいくらでも犯すことができた。強い性欲を押さえ込んでも、それをしなかったマサキの小心はやはり催眠術師としての才能だろう。当人が望まない暗示は脆く、無理を押し通すのは破局の原因になりかねないのだから。
マサキにとっては、初めての相手になる鶴奈に、百パーセント自分を受け入れて欲しかったから、こんなまどろっこしい手間を取る必要があったのだ。 鶴奈は、鷹郷と結婚してヒナを生んで母親をやってツバメを預かって、愛する範囲を家族に広げた。 鶴奈と家族になる必要があった、それはツバメの彼氏とかそういうレベルではなくて、ヒナのいいお兄さんとして入り込むしかなかったのである。絶対の信頼を勝ち得る必要があった。そして、それは成功しつつあった。
「……家族です、マサキくんは家族です」 「はい」 「だから、旦那とかヒナちゃんと同じぐらい大事にしないといけません」 「はい」 「セックスもできるし、愛しても居る」 「はい」 この日、長らく抵抗し続けた暗示に鶴奈は、初めて躊躇なく答えた。長らく、求め続けた勝利の瞬間だった。 その気持ちよさだけで、射精しそうになるほど勃起していた。本当は、大して長い期間ではないのだ。鶴奈に暗示をかけ始めて半月にも満たない期間しかたっていない。しかし、欲望を他所に逸らせて、ただそれだけを待ち望んだマサキにとっては、それが十分に長い苦労の期間と感じられた。
暗示は終わった。 「あれ……私は何してたんだったっけ」 ゆっくりと、眠りから覚めるように鶴奈は目を覚ました。勝利の美酒に酔うマサキにとっては、催眠機械がもたらす使い終わったあとの視神経の痛みも、今は心地いいぐらいに感じた。 鶴奈と寄り添うようにベットに腰をかけた。まったくのゼロ距離であっても、鶴奈がこれまで示したような疎外感を感じない。密着したまま、むしろ身体を預けるようにして座ってくれる。 無言で見つめるマサキの醜い笑いにも、鶴奈はぎこちない笑顔で答えてくれる。ついに抵抗に打ち勝ったのだ。 鶴奈が落ちたことを確信した。あとは収穫した果実を食べるだけだ。
「そういえば、話があるっていってましたね」 そう、そういう口実で呼び出したのだった。もちろん、話はある。 「あのね、鶴奈さん……」 マサキが旦那と同じようなセックスを懇願しても、この日の鶴奈はすべて受け入れていた。 「……はい、いいですよ」 笑顔で了承された、この微笑みはいままでマサキに向けられていた作り物めいた外向きの笑みではなくて、ヒナや鷹郷だけに向ける微笑だった。 ゆっくりと、鶴奈は洋服を脱いでいく。今日は白いブラとパンツだった。それも、なんのてらいもなしに外して、生まれたままの姿になった。 それを茫然と見つめていた、マサキだがあわてて気がついたように洋服をぬぎかける。鶴奈はそれを手で押しとどめて、マサキの洋服をゆっくりと脱がしてくれた。ボタンを一つ一つはずしてくれる鶴奈の手先がくすぐったくてマサキは震えた。 無言だった。だがそれがこれまでのように、気まずくはない。分かり合った関係が織り成す落ち着いた空気で室内は満ちていた。 ベットに横たわったマサキの逸物を口でくわえて元気にする鶴奈がいた。ゆっくりと、マサキのものを完全体に持っていく。 「んっあ……」 マサキは、恥ずかしいことに声を上げてしまう。鶴奈の技巧にかかっては、マサキは押し流されるしかない。 玉袋まで、嫌がらずに綺麗に舐めてくれる鶴奈。裏筋まで、人に丁寧に舐めてもらうなんて経験がなかったマサキは、もうどうしようもない。されるがままだ。 悪知恵が少々働いても、たかだか中学生なのだ。大人の鶴奈相手にはリードされるがままだった。 鶴奈が、マサキの脈打つチンポから口を離す。唾液の筋がツーと引いていた。思いしたように、赤いフレームのメガネを枕元におくと、自らマサキの上にのっかかるようにしてマサキのものを自分のオマンコにこすり付ける。 鶴奈は、左手で自分の膣口を開いて、右手で根元を握るようにしてマサキのチンポを握ってゆっくりと腰を沈めていった。 ズプっと音を立てるように、マサキのチンポは入っていた。童貞の喪失の瞬間だった。煩悶してきたときに比べて、なんとも短い瞬間。こんなものなのだ。 ゆっくりと、膣の最奥にまで挿入しきると、鶴奈は静かにマサキを抱きしめた。 「鶴奈さん、出ちゃう!」 マサキが情けない声をあげた。そういえば、ゴムをつけていない。 「大丈夫だから、出していいから」 ピストンもなく、ただ腰をひきつけてぐっと抱きしめられただけでフェラで散々刺激されていたマサキは、情けなくもはじめての中出しをしてしまう。
ドピュドピュドピュドピュドピュ!
しっかりと、はめられたチンコの先から放出された精子は、ドクドクと鶴奈のお腹に広がっていった。その感触をたしかめるように、鶴奈の膣は一度ぎゅっとしまってマサキのチンコを刺激する。 出し切ってしまうと、それでも膣の中で勃起が収まらないのをマサキは感じていた。 「若いから……もう一回ぐらいいけるよね」 鶴奈は、静かに腰をグラインドしはじめる。しっかりと受け止めた一発目の精子が、流れてきて潤滑油の代わりになる。 半ば、計算ずくの行為だった。 「鶴奈さん、ゴムなしでよかったんですか」 「たぶん安全日だと思うから……ん、心配しなくていいよ。初めてでしょマサキくんは」 「はい」 「だったら、心配しないで身を任せてくれたらいいよ。好きにしていいよ」 そういってマサキを抱くようにして、鶴奈は腰を押し付け続ける。 マサキは、とりあえず一発出したので多少は冷静さを取り戻しつつあった。それでも、チンコが膣壁に吸い込まれるようで、こんな複雑な快楽を受けたのは初めてで、快楽が脳を締め付けるように身体が熱くなっていた。 静かに動いてくれる鶴奈に腰をあわせながら、そっと鶴奈の背中に手を触れてみる。やはり、ヒナとは親子なんだなと肌を触れ合わせて思う。ヒナの小学生特有の肌のすべすべ感と比べても、鶴奈の肌はしっとりとしていて綺麗で冷たくて気持ちが良かった。 ゆっくりと、速度をあげたり落としたりしながら快楽を与えてくれる鶴奈のお尻にも手を触れる。触れただけで、触れ返してくれるような鶴奈の肌の弾力は気持ちよかった。 「いたずらしないの、んっ……少しはマサキくんも動いてね」 さわさわと動かしていた、手を鶴奈に取られて、握られる。ぐっと握られたては、背中と違って暖かくて、不思議とそれで感極まる。 「んっ……鶴奈さんまた出そうです」 「だからっ、胸でも触る」 そういって、マサキの胸に手を持っていく鶴奈。 鶴奈の小ぶりで綺麗な胸が揺れていて、その先の乳頭はちゃんと勃起していた。 ちゃんと感じてはいてくれるのだとマサキは安心してそれをひねる。 「んっ……ちょっと痛い、乱暴にしちゃだめだからね」 ゆっくりと、揉み心地を調べるように揉むマサキ。必死な表情だ。 「いつでも、出していいからね」 「出ます」 切迫した声を聞いて、ぐっと腰を押し付けて鶴奈はマサキに口付けして舌を入れた。上と下の口で繋がったままで、マサキは二度目の射精を迎えた。
ドピュドピュドピュドピュドピュ!!
熱く、迸るような射精は、一度目よりもたっぷりと。 「ふうっ……」 さすがに、動き続けた鶴奈は少し疲れた様子だった。蕩けるような顔で、マサキを見つめる。 鶴奈の長い髪がさらりと、マサキに落ちた。髪の間で、見上げる鶴奈の顔はマサキにとっては、心の底から美しいものに見えて、感動した。 「どうする……今日はこのぐらいに」 そこで、自分の中で欲望を吐き出した肉の塊がぜんぜん萎えてないのに気がついて、鶴奈はため息を吐き出した。 「わかった、もう一回ね」 そういうと、ゆっくりとまた腰を動かし始めた。鶴奈とマサキの接合部から、二度の射精の証がドロドロと流れ出してシーツの染みに消えていく。この日は、あと二回吐き出すまで、鶴奈が腰を振り続けることになるのだった。
鶴奈にとっては普通の日、普通に仕事して帰ってきて夕食を作ってマサキと寝室で話して、普通にセックスした。良くある普通の日。 そして、マサキにとってはこの日が忘れられない、特別な日になった。
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第六章「透明人間再び」 |
マサキの家は共働きとはいえ休日には母親は家にいることが多い。流石に夕食時は、家に帰って食事を取らないと怪しまれる。家に帰ると、母親が夕食を作って待っていてくれた。鶴奈の料理と比べると見劣りするのが情けない。 「またできあいの冷凍食品か……」 別に不味くもないが、美味くもない味だ。普段外仕事もあって、その合間に家事もしているマサキの母親が最優先にするのは効率だ。忙しいからこんなものでも用意してくれるだけマシなのかもしれないが。 父親は、今日は夜もいなかった。どこに行ったのか聞きたくもないし、話したくもない。どうせギャンブルか、いい年して入れ込んでいるキャバ嬢の所に決まっている。 この日、母親は妙にしつこく話しかけてきていた。引きこもりだった息子が、最近外に出るようになったのをいい変化だと喜んでいるようだ。まさか、隣の家にずっと居たなんて思いもしないのだろうが。 (そういえば自分の部屋じゃなくて食卓で食事を取るなんて久しぶりだ) 日頃の生活に老いた母親と顔をつき合わして食事をしていると、自分を取り巻く環境のリアルさに嫌気がさしてくる。
だから、今日の午後の分の催眠を自分の母親に使ってしまう。これで、もう自分の家のリアルに行動を妨げられることはない。食事は、もう鳥取家で取ることに決めた。
いとも簡単に変わってしまう自分の現実。 これまで何を悩んできたのかと、あっけない気がした。
「さあ、向こうの家に戻るか」 これで、もう自分の家になんか戻る必要はない。マサキが望むなら、ずっと鳥取家に居ることもできるのだ。
透明になるスイムキャップを装着して鳥取家に戻る。リビングに入ると、ちょうど食事が終わったところだった。夕食の残り香が鼻腔を刺激する。 (鶴奈さんのハンバーグ食べ損なったなあ) マサキはそう残念に思う。家で食べたからお腹は空いていないのだが、同じ食べ物なのに、気持ちを込めて丁寧に作られた鶴奈の食事はお腹だけじゃなくて、心も満たしてくれるのだ。 「ご飯食べたなら、先にお風呂はいっちゃってください」 台所から、鶴奈がリビングに声をかける。 「ふむ、ツバメ先に入れよー」 相変わらず、ヒナの相手をして遊んでいる子煩悩な鷹郷がツバメに言う。 「えー、いまゲームしてるから」 結構真剣に某有名RPGをやっているツバメ。こんな趣味があったとは、マサキは知らなかった。 「チッ、しょうがないな。じゃあオレはヒナと入ってくるから、あとですぐ入れよ」 「わーい、お父さんと入る」 「私も一緒に入ってもいいけどねー」 そういって、ツバメは鷹郷に下目から見上げて見せる。 「馬鹿いってんじゃねーよ中学生、三十分で出るからゲームのセーブしとけよ」 ツバメの冗談にはとりあわずに、さっさとヒナを抱きかかえるようにして風呂場に走っていった。 ちゃっちゃと入らないと、こういうときはいつも最後に入るのを習慣にしている鶴奈に、なぜ鷹郷だけが怒られるのだ。お客様扱いのツバメや旦那の鷹郷に遠慮して先に薦めるという話しはよくわかるが、その割に自分が風呂に入る時間が少しでも遅くなったら機嫌が悪くなるのは謙譲なのかなんなのかよく分からないと鷹郷は毎度思う。 ヒナも小三だからもう一人でも入れるのだが、鷹郷が一緒に誘ってやれば渋らずにすぐ入るのが鷹郷には可愛い娘だ。 動物めいた速度で、服を脱ぎ捨てて浴槽に飛び込んでいくヒナ。 「おいおい、あわててこけるなよ」 そういいつつ、ヒナが本当にこけるとは心配していない。一緒にじゃれているとわかるのだが、最近のヒナの運動神経の発達振りは、目を見張るものがある。 運動会でも、常に一等賞だ。いまはちょっと運動不足ぎみだが、鷹郷も昔は剣道でならしていたから体力には自信がある。鶴奈も中高とバレーをやっていた。そういう二人の子供だから、そっち方面に才能があるかもしれない。子供のうちは何も考えずに遊んで欲しいという教育方針だから、いまは特になにもやらせてはいないんだが。 「なにかヒナにも、スポーツを習わせたほうがいいのかな」 そんなことを考えつつ、ワシャワシャと頭を洗ってやる。
そんな仲良し家族の入浴シーンをじっと見詰めているキモオタが一人。 我らが主人公、安西マサキくんその人であるのだが、大変窮屈そうに浴室の壁に張り付いている。鳥取家はマサキの家よりも、大きめに造られてはいるのだが、所詮住宅地の一区画に過ぎない。浴室もそれなりの大きさで、二人入っただけで一杯だ。 マサキがその身体を隠すには、壁に張り付いているしか手がなかった。 (触れちゃうと、流石に気がつかれるだろう) 「オレからだ洗うから、ヒナは湯船に入ってろ」 そう父親に言われて、ヒナは素直に浴槽に入り込む。少女の小さな身体だ、スペースが三分の二ほど空いている。これ入り込んでも問題はない。 (チャンスだな) 気になることがあったので、手だけをまずヒナの目の前に突っ込んでみる。ポチャンと小さく音がする、ぐるぐるとお湯を水をかき回してみるが、ヒナは気にする様子はない。ためしに、お湯を顔に向けて弾いてみる。 「?」 すると不思議そうにする。トイレで鶴奈にいたずらしたときも、マサキの出した精液や尿には気がつかなかったようだし、マサキが入ったところだけお湯の中に空間があいて見えるようなことだと困ると思ったのだが。本当の透明人間ではなくて、暗示で見えないようにしているため、触らなければ気がつかないようだ。 これは都合がいいと、マサキは空いているスペースに入り込む。お湯の温度もちょうどいい。 マサキは目の前の幼女の裸体を凝視する。胸はほとんどない、ただ仄かにピンク色になっていることで分かる乳頭の先部分に、すこしふくらみがある程度だ。お腹がぽっこりとしているのが幼児体型ということなのだろう。 そして、本当に割れ目といってしまうしかないほどの小さいオマンコ。 別にマサキはロリ趣味ということはない。むしろ、年上好きぐらいなのだろうが、厨房の性欲というものは、生殖能力がまだない未成熟なオマンコを見ても十分勃起するものだ。 その肌のすべすべ具合が、お湯の中で輝いて見える。あるいは、マサキもロリの本能がどこかに燃え滾って隠れているのかもしれない。その本能につかれたように、思わずマサキは乳頭に手を伸ばして (乳頭狩り) そう馬鹿なことをおもって、あるかないか分からないほどの乳頭をひねった。 「んん?」 不思議そうに、自分の乳頭に小さい手を伸ばすヒナ。さっと、マサキは手を引く。 「ん!」 さらに強めにひねってみると、痛いらしく声を上げた。 「……ん、ヒナどうした」 ヒナの変な様子に気がついたらしく、身体を洗っている鷹郷が声をかける。 「ん……なんかおっぱいがシクシクする」 「はは、成長期にはそういうことがあるらしいぞ」 鷹郷も、人の親になったのは初めてだったので女の子のことはよくわからないが、ツバメの小さいときにもそういう違和感のようなものがあるって話を思い出した。 「あんま気にしないほうがいいぞ、あんまり痛いなら医者にいったほうがいいだろうが」 「ん、わかった」 気にしないことにしたらしく、さわさわと触れてもあまり気にしなくなった。 マサキは調子に乗って、もう一つの感心の的である下腹部のたて筋に手を触れた 「!!」 さすがに気持ち悪かったのか、身をよじらせるヒナ。さっと、手を入れるとまた手を引くマサキ。ヒナが確認しているあいだに、その手を避けるようにしてこんどはアナルを触れてみたりする。 「!」 さらにヒナは手を振り回すように下腹部を両手で確認したので、さっと手をひっこませる。性的な興奮以前にいたずらは楽しい。ヒナが落ち着いてくると、また手をスリットに這わせる。 「!!」 そのたびに、ヒナは声にならない反応を繰り返す。ただ、繰り返すたびに反応に慣れたのか弱くなってきているのがつまらないが。 「……お父さん、股がサワサワする」 ヒナはたまらず、親に訴えかけたが。鷹郷はとりあわなかった。 「成長期には、そういうこともあるらしいぞ。まあ、大事な部分だからあんまり触らないようにしろ。痛いとかだったらちゃんというんだぞ」 「痛いとかじゃないけど……分かった」 そういって、ヒナはうつむいてしまう。触っても、確認しなくなった。触らないほうがいいといわれたので、違和感があっても触らないのだろう。素直でいい子だ。そういうところが、マサキの餌食になってしまう。 マサキは、反応しなくなったのをいいことに、オマンコを入念に揉み解して構造を探りはじめた。さすがに、深々と穴に手をつっこむような乱暴なことはしない。 (ほとんど縦筋で、これは挿入は無理だな……) ロリだとよくアナルを責めている話を聴くが、それも分かる気がするなーとマサキはアナルをまさぐる。 「フヒュ……」 くすぐったかったのか変な声で笑うヒナ。 アナルのほうが、形がしっかりしていて、こっちのほうを使おうという気分になるのは分からなくもない。 (さすがに、アナルセックスまでしようって気にはならないけどな) ヒナの肛門は、小指が入らないほど小さくて、ここに逸物を差し入れようなんて鬼畜のやることとしか、さすがのマサキにも思えなかった。 その割りに、幼女のすべすべの身体の感触に、興奮しているマサキもいるわけで、抵抗のないことをいいことに、半分好奇心で亀頭を縦筋に押し付けてみたりする。 (お……これはわりといいかも) お湯の中なので、すべりがいい。縦筋はとっかかりがなくて入り込むこともないが、その代わり柔らかいプニプニの感覚が、亀頭の先を刺激してくれていい。無毛のよさもあるのだ。 (おお……) 夢中でこすっていると、下半身からこみ上げてくるものがある。ヒナの顔が赤いのは、のぼせているだけのことではないだろう。 「お父さん、もうあがるね!」 ヒナが湯船から飛び出していってしまった。 「おいおい……もうちょっと浸かれって」 ヒナは、そういわれても今日はいうことを聞かずに飛び出してしまった。 「しょうがないなあ……」 (しょうがないなあ) マサキも、あとはおっさんと入っててもしょうがないので、いったんヒナといっしょに出ることにした。実に中途半端で悪い気分だ。身体を一人でふいて、新しい白いパンツを穿いているヒナをおかずに一発抜くことにした。 着替えをしているヒナを見てこすっていると、すぐに出そうだったので、暖まらずに出てしまった罰とてパンツの上から、縦筋に向って射精。
ドピュドピュドピュドピュドピュ!
パンツから、マサキの濃い精液がデローンと白濁の筋を引いて垂れ下がっていたが、その汚れに気がつかずにいってしまった。床の精液をヒナがふいていたタオルで拭いて、次のお客さんがくるのを外で待つことにした。 (さすがに、ずっと風呂に入ってたらのぼせてしまうからな) リビングで、綺麗な生足をぶらつかせてゲームに熱中しているツバメを見ながら気持ちを高めていると、鷹郷が出てきてさっさと入るようにツバメに言った。 あわてて、セーブしてお風呂に走っていったのでマサキも追いかける。 鼻歌うたいながら、さっさと部屋着を脱いでしまうツバメ。 (おおー) ちょうど、ピンクの下着の上下を脱いでしまうところだった。中学生にして、ちゃんとした下着を身に着けているツバメは結構おしゃれなのだが、おっぱいが大きすぎてサイズが合うものがないという悩みがある。 そんな下着のよさより、そこからはじき出されるでっかいオッパイの揺れる様と、スリットの陰毛の綺麗さに瞬間に目を奪われるマサキだった。 自分が好きな子の裸体、というのはもうこれは中学生にとっては最大の刺激になる。脱がしてみると、想像よりも……などとがっかりすることも多々あるのだが。ツバメの弾けるような裸体は、そのアンバランスな胸の大きさを補って余りあるほどの弾けるような弾力があった。 マサキが、そこまで瞬間に思ったわけではないが乳輪の大きさも申し分ない。中学生とはいえ、百センチを超える巨乳でバストが重力に負けていないというのは、もうこれは一つの生物学的奇跡といっていい。 さっさと、風呂場に入っていくツバメを追えなくて、呆然となるほどにマサキに深いショックを与えた。このとき、改めてマサキはツバメに恋をしたといってもいい。
――思えば、ツバメがマサキに恋をしたのは、別に家が隣だったからとか、クラスで一二を争う美少女だったからとか、おっぱいが大きかったからとか……まあ、そういうことも少しあるかもしれないが、そういうことではなかった。
マサキは、学校において虐められる以外でも、虐げられていた。存在を無視するというやりかたで、である。クラスの連絡網はことごとくマサキを無視して、教師もそれに気がつかず、気がついていたとしても改善しようとしなかった。
マサキは、自分を無視する周りを逆に見下すという方法で気にしないつもりだったのだが、心の中を悪意で満ちさせて対抗したとしても、たかだか中学生がそんな仕打ちに勝てるわけがない。マサキの深く深く心は傷ついていたのだ。そんなとき、別に特段に気にかけたというわけではないが、マサキが困っていれば手を差し伸べてくれて、普通に接してくれる少女がいた。それが、ツバメだったのだ。それは泥沼に沈むマサキにとっては、光そのものだった。
ツバメが美少女だったとか、隣の家だったとか、そういうことがなくても、マサキは好きになっていただろうという自信がある。マサキの行動や資質が不純であったとしても、その好きという感情だけは純粋だった――
だが、それはそれとしてそのように思いを寄せる少女が、見事な肢体を晒しているということにマサキの雄の部分は、初めて起立するような熱い塊のような衝撃を受けるのだ。もっとも純粋な感情と、もっとも不純な感情が、渾然一体となってマサキを駆り立てるこの思いは、もはや恋愛を超えて、マサキに力を与えた。
恋愛と呼ぶには、あまりに青々しくて精液臭いこの滾りは、ある意味中二病そのものである。
マサキが、静かに浴槽の中に足を踏み入れたとき、都合のいいことに顔を石鹸で洗っていた。そんなに必死になって洗わなくてもいいであろうに、洗顔はしっかりするのがツバメの癖みたいなものらしい。
おかげで、マサキが浴槽に入ってきたことも、これからすることも気がつかれずに済むわけだ。さっき抜いたばかりだというのに、すでにギンギンに勃起したものを髪にすりつけるようにして、後ろから仁王立ちになってマサキは一発目を射精した。
ドピュドピュドピュドピュドピュ!
ものすごい量だった、生暖かい精液の塊が滝のように座って鏡に向って洗顔しているツバメの髪の毛に、背中に、降り注いだ。その暖かさに、フルッと身体を震わせたのだが、一瞬動きを止めただけでツバメは洗顔を続ける。
一発抜いたというのに、マサキのものは萎えることがなかった、目の前に広がるツバメの裸体という視覚的刺激で萎えることができないでいたのだ。
ツバメは、シャワーでさっと顔を流すと今度は身体を洗い始めた。実はマサキが入るまえに、髪の毛は洗ってしまっていたのだ。だから、それが精液によって汚されたなどということは気がつかないまま、身体のほうにいってしまう。 身体を洗うのは洗うので、またマサキにとってはパラダイスだった。お湯をかけて、ボディーソープの泡を擦り付けるだけで、ツバメの身体は輝きをますようだった。ソープの爽やかな香りが、マサキの鼻腔をくすぐる。 ツバメが大きい胸を下からささえるように持ち上げたあたりで、マサキは二度目の射精を開始した。
ドピュドピュドピュドピュドピュ!
またこれも、たっぷりと出た。背中に、頭を飛び越えてツバメの豊かなオッパイの谷間へと白濁液が降り注いだ。その征服感が、さらにマサキの性欲を掻き立てる。 無尽蔵だった、無尽蔵だった。マサキは普段オナニーしてれば、三発目ぐらいでチンコが痛くなってできなくなるのだが、今日はそんなことがまったくなかった。ただ、気が狂ったようにツバメにすりつくぐらいの近さで粗末なチンコを全力で勃起させて、こすりつけるだけである。 身体を流し終えたツバメは、今度はお尻と柔らかい産毛のような陰毛に守られたオマンコのところへと、その洗いの手を伸ばしていく。お尻と、オマンコを、うつむきながら念入りに洗うツバメに (ぼくのために綺麗にしてくれているのかい) と、声をかけたい気持ちでいっぱいだった。さすがにかけるわけにいかないけれど。 その、ツバメが自分のあそこを覗き込んでいるところを覗き込んだことに興奮して、また早漏よろしくマサキは覗き込んでいるところに、なるべく亀頭を突き出すようにしてそこめがけて射精した。 (うおおお……)
ドピュドピュドピュドピュドピュ!
ほとんど、お腹にかかったと思うが、オマンコにもきっと降り注いだに違いないとマサキは思った。ツバメの絶対に普段みれないシーンを見たということ。とにかく、命中させたのはさせたという満足で、マサキの心は満たされた。 「?」 ツバメは気がついた風もなく、洗い終わるとさっとシャワーで流して、今度は足を洗い始めた。綺麗な生足を保つには、それなりに努力がいるのか、けっこう時間をかけて足を洗うツバメを見つめながら、一息ついたマサキ。 (ふう……) さすがに、短い期間に本日四発である。正直、もう一発ぐらい出せそうだし、出そうかなと思ったマサキだったが、まだチャンスはあると思いここらで一息つくことにした。できれば、全力で出し切るよりも、ツバメの入浴のすべてを見届けたいという、より変態的な欲求を満足させるほうを優先したということもある。 ほどなくして、足先までの洗浄を終えたのに満足して、ふっと甘い息を吐くとツバメは湯船へと入っていった。ちゃんと身体を洗ってから、湯船に入るのは女の子だからだろうなとマサキは思う。 お湯に浸かってゆったりとしている、ツバメの身体は普段と比べても五割増しに輝いて見えた。さすがに普通の浴槽なので、ツバメが身体を伸ばしきれば一杯になってしまう。 (できれば、混浴したかったんだけどな) その点だけ、残念に思えたがいまはできることをするだけだ。 お湯で水面に映る自分の顔を見てため息をつくツバメ。そのすぐ横に、マサキの汚らしい顔が映っていることなど気がつきもしない。ツバメが吐き出す息を必死になって吸っていることもだ。 ツバメの中学生らしい発展途上の四肢に、不釣合いなほどの巨乳。そのアンバランスな魅力に、またマサキの心は滾るようで。 (これは、顔射しか、顔射しかないよな) もうどうにでもなれ、どうにでもごまかせるだろうという思いで、ためらわずに一日でもっとも油断して緩みきっているツバメの可愛い顔に欲望の塊を吐き出した。 (ううっ!)
ドピュドピュドピュドピュドピュ!
「きゃ!」 顔に白濁液を擦り付けられたツバメは、何を思ったのかザブンと湯船の中に顔をもぐらせた。結果として、顔に張り付いた精液はほとんどが水面へと流れ出していく。透明化して吐き出した精液はすぐには見えないという暗示なのだが、顔に何かかかったのかは感じたのか、ばしゃばしゃと顔を洗うツバメ。 「なによ……」 手を払うようにして、視界を回復させたツバメの目の前の水面に、先ほどには何もなかったのに、プラプラと粘り気のありそうなタンパク質の塊が浮かんでいた。そう、精液はお湯にくぐらせると固形化するのだ。 「これって……なに」 手で、膜状になったタンパク質を掴む。ツバメの知識には、ないものだった。 「これって……もしかして、兄さんの」 男の何かであるということは気がついたようだが、変な勘違いをしたものだった。まさか、目の前にハァハァと息を荒げている変態がいるとは思っていないツバメである。 「まさかね……」 風呂桶で、タンパク質の塊を粗方すくって外に捨ててやる。 「ヒナと入ってたしね……そんなわけないよね」 ほとんど捨てきったが、手にはさっきの粘り気が残っているような気がする。ふっと、匂いを嗅いで見ると、少し生臭い匂いがするような気がした。 モジモジとしていて、お湯の中で手を擦り付けて洗ってしまうと、オマンコを触りだすツバメ。そんなに激しいものではない、ちょっと手を擦り付けるぐらいのものだった。 「フッーフッ……」 声もそんなに出さない、ただ甘い息を吐き出すだけのものだ。雄の匂いに触発されてしまったらしい。ツバメだって、中学生なのだ。性的な芽生えというものはある。 (おお、オナニー!) それにありえないほど激しく興奮した、マサキはまた早漏を爆発させる。
ドピュドピュドピュドピュドピュ!
また、白濁液が顔に降り注ぐ。
「きゃー!」 また、ツバメが顔に生暖かい飛まつを感じて、湯船に顔をつける。そして、顔を洗うと目の前にはまた、タンパク質の膜がゆらゆらと。 「もう、なんなのよーー」 また、風呂桶ですくって綺麗にすると、さすがに入念に身体を再度洗って出て行った。なんらかの異変に気がついたのだろう。このまま、おんなじことを繰り返したら永久機関だったのに、残念だった。 不審げに、出て行くツバメを見送って、ようやく萎えたチンポが射精しすぎて痛み出していることに気がついて、ぐったりと浴槽に倒れこむマサキであった。 この日、調子にのったマサキは鶴奈の入浴シーンも見に行って、すっかりのぼせて廊下に裸のまま倒れこんで、風邪を引いてしまうのだった。
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第五章「イシコロボウシ」 |
「ハッハッハ、まさか自己催眠を使うとは思わなかった」 この前の催眠の顛末を、ネットを通じてネット探偵に報告したら、かなり喜ばれた。 術氏が自分自身に催眠をかけるという技は、ポピュラーではないが催眠術の技法としてはあるらしい。ただ、大変危険な業で変にかかると術氏の制御を離れて、取り返しのつかないことになる。 「だから、素人には絶対やらせないんだが。結果的には、悪い結果はでなかったようだからよかったよ」 「そんなに、うまくもいかなかったんですけどね」 「催眠装置のデータを集めているこっちとしては、ありがたいことだ。しかし、マジで危険な行為だから、もうやるなよ。少しお前を追い詰めすぎた。あんまりツマランことばかり聴くからイライラしてな、それで突き放してみたらこんなトンでもないことをやるし、イジメを誘発する性格ってのは本当にあるもんなんだな……まー俺が大人気なかった、すまんすまん」 (イジメられる性格って……) 褒められているのかけなされているのかマサキにはよくわからないから、どう反応していいかわからない。 「フラストレーションの解消が必要だな。よし、お詫びにいい催眠術のかけ方を教えてやるよ。帽子かなにか、頭に被るようなものがあるか……」
スイムキャップ片手に、マサキは家を出た。スイムキャップは、小学校のときの水泳に使っていたものだ。防水性もあるし、頭にフィットするから取れにくいのが便利だ。こんなもの被っているのはとても恥ずかしいと思うのだが、これからマサキは”透明人間”になるのだから、恥ずかしがる必要もない。 それにしても、スイムキャップってプールの授業で強制的に被らされてるけど、何の必要があってのことなんだろうか。 そんなことを考えながら、鳥取家に来ると、というか隣の家なのだが、見慣れない車があることに気がついた。いかにも高級車だ。マサキは車には詳しくないので、車種はわからないがワインレッドの外装に鶴奈の趣味が反映されているのが鳥取家らしさだ。 「あ、そうか今日は休日だから」 鳥取家の大黒柱、鳥取鷹郷が在宅中なのだ。まあいい、催眠が使えるいまのマサキには恐れるものは何もない、おじゃましまーすとでかい声を出して飛び込んでいった。ちょうどいい感じに、リビングには鳥取家の全員がそろっていた。ちょうど飯時だ。 「あんた、またきたの……」 飛び込んできた、マサキを見て、ツバメのあきれた声が聞こえる。 「おにいちゃん、いらっしゃいー」 小学生の妹のヒナは今日も無邪気だ。 「え、こいつ誰……」 マサキの目の前に足を組んでソファーに座っているイケメンがいた、コーヒーを飲んでいるだけなのに、決まって見える。三十過ぎた親父じゃなかったのか、存外に若いとマサキは思う。 (こいつは敵だ) イケメン青年、鳥取鷹郷に対して、一瞬にして敵対認定を下すマサキ。 「鷹郷さん、マサキくんはツバメちゃんの彼氏ですよ」 台所で、食事の用意でもしていたのかエプロンを巻いたままで、いそいそと出てくる鶴奈。あー今日は珍しく、赤いエプロンじゃない。 「え……ツバメの彼氏って、こいつがぁ!!」 鷹郷は明らかに胡散臭げな表情でソファーから立ち上がり、怒りを押し隠してマサキを睨みつける。すらりとした長身。スリムな外見なのに、二の腕の筋肉はいい感じについている。マサキにはすごい大男に見えた。マサキと比べて、身長二倍は言いすぎかもしれないが、1.5倍はありそうだ。喧嘩したら確実にボコボコにされる自信があった。 明らかに風采のあがらない駄目オタのマサキとツバメでは、同い年といってもつりあいが取れなさ過ぎるから、鷹郷がマサキの突然の来訪を不審に思って当たり前なのだが、それにしたって睨みすぎだ。威嚇されたショックに震えて、思わず催眠タイムウオッチのボタンを押してしまうマサキ。
「あ、しまった」 押してしまったものは仕方がない。頭に電極を差し込まれたような衝撃はあいかわらずだが、すでに何度も繰り返して慣れているマサキはさほどでもない。むしろ今回は、頭がスッキリするように感じるのだ。痛いのも困るが、心地よすぎても中毒になってしまっては、それはそれで困る。 とにかく、催眠の光る目でぐるっと鳥取一家を睨みつけると、全員催眠状態に置いた。まあ、どうせ一家全員がまとまったところで催眠をかけるつもりだったのだから結果オーライだ。とりあえず、要注意人物の鷹郷にマサキを歓迎するように、五分ぐらいかけて徹底的に催眠を仕掛けておく。 残り五分で、鳥取家の面々にネット探偵に教えてもらった術を。 「いいですか、みなさんこのスイムキャップは魔法のスイムキャップです。これを被った人の姿はまったく見えなくなります。わかりましたか」 つまり、このスイムキャップをファクターにしてマサキが透明になる暗示をかけるのだ。当然、本当に透明になるわけもないのだが、そう暗示をかけられた人間にとってはそう見えるようになる、はずだ。
――催眠終了
さて、うまくいっただろうか。 「ツバメのボーイフレンドのマサキくんか……なかなかいい男じゃないか」 そういって、鷹郷に軽く肩をぶつけるようにタックルされた。鷹郷なりの親愛の情らしい。それだけで、吹き飛ばされそうになったんだが、マサキはぐっとこらえる。どこまでもマサキの苦手なタイプだ。 「どこがいい男なんだか……」 ツバメは、そういってブツブツと言っている。鷹郷にとっては、マサキはいい男ということになったらしい。これは鷹郷が、自分の妹の彼氏はいい男じゃないと認められないという思い込みがあったからだ。 経験の浅いマサキはそこまで分からないが、催眠のかかり方というのはかかる当人の思い込みや思想にも左右されがちなもので、当人にとって合理的な選択がなされる。結果、同じ暗示をかけてもツバメにとっては、マサキはやっぱり駄目でキモイオタに見えるし、鷹郷にとってはかっこいい男に見える。徐々に、客観と主観の齟齬が大きくなるのだ。
「じゃあ、ぼくは今日はこれで」 そういって、マサキはおもむろにスイムキャップを被る。 「消えた……ツバメ、お前の彼氏は忍者かなにかなのか」 そういって、鷹郷は立ち上がってマサキがいたところに手を伸ばす。触られたら嫌な感じなので、マサキは避ける。暗示はうまくいっているようだ。 「知らない」 ツバメは機嫌が悪くなってしまったみたいで、肩をいからせるようにズンズン、自分の部屋にもどっていったようだ。これは好都合かもしれん、ついていく。ものすごい勢いで、バタンと扉を閉める。衝撃で、空気と壁が震える。あんまり近づかないほうがいいみたいだ、万が一こんな勢いで扉に挟まれたら怖いことになる。 「こんなキャラだったかなあ、ツバメちゃん」 活発な女の子という印象は持っていたが、結局のところマサキはツバメを遠くから見ていただけで、話したことはあまりない。今日のツバメは活発すぎて、どっちかというと暴力的だ。あるいは、家で一人だと女の子ってこんなもんなんだろうか。鳥取家は、ツバメも、ヒナも贅沢に一人部屋を与えられている。まあ、鷹郷と鶴奈が仲良くダブルベットでご就寝だからなのだが。 ツバメは、ベットに腰掛けて足をだらんと放り出して、バタバタを動かす。埃が立つ、埃が。 「あーなんか、ムカムカするー」 ツバメは今日生理なんだろうか。それぐらいしか、マサキにはツバメがいらつく理由が思い浮かばない。 「お兄ちゃん、マサキのことなんか褒めてさ」 ツバメが、バタバタと手足を振りくるたびに、フワフワと髪が乱れ、部屋着にしている厚手のシャツの上からでもわかるほどの巨乳がプルンと揺れた。 あいかわらず、中学生でここまでデカイっていうのは反則だろう。 「怒ってるツバメちゃんもいいなあ……」 怒ってるツバメも、考えてみればレア顔だ。学校では活発で愛想がいい少女なので、こんなふてくされた顔を見せることはあまりない。いまのマサキは透明人間なので遠慮することはない、鼻息がかかるほど近づいて、ツバメの綺麗な顔を覗き込む。 匂いを嗅ぐ、嗅ぎまくる。 思春期特有の女の子の甘い香りが漂ってくる。
(そして、この乳が) 思わず、手を胸で触ってしまう。透明なんだから、少々ばれないだろうと思ったんだが。あくまでも、おとなしく下から支えるように胸を持ち上げてみる。ものすごい重み、こんな重たいものをぶら下げて生きているなんてすごい。 (うあ、ノーブラじゃん!) 「え」 かまうものか、マサキは両手で鷲づかみにして、揉みしだしてしまう。 「きゃー、いたー! こんのぉーーー!」 その豊満な感触を味わう暇もなく、マサキは壁の向こう側まで吹っ飛んだ。
ドーン! という、音と共に壁に身体をぶつけて崩れ落ちるマサキ。意味不明の叫びといっしょに勢いよく振り回されたツバメの裏拳によって、マサキは勢いよく吹き飛ばされたのだった。
「もーいったい、なんなのよーー」
ツバメは、暴れた勢いで立ち上がると、バタンと扉を開けて、さっそうと部屋から出て行ってしまった。 「ふう、姿が見えてなくても、駄目だったか」 マサキは、ちょっと疲れを感じてツバメの匂いが残るベットに包まれて少しまどろむことにした。 「ん……眠っていたのか」 浅い夢を見たような気がする。いつのまにか、窓から差し込む景色は夕暮れに近くなっている。少しは疲れが取れた気がした。頭に手をやると、まだスイムキャップを被っていた。透明人間になって遊んでいたんだったか。 「透明人間の特性を生かすとしたら、トイレか風呂場が定番だよな」 そんな独り言をつぶやきながら、マサキが一階に降りるとリビングから明かりが差し込み、たぶんヒナが騒いでるらしいバタバタという足音と共に、団欒の声が聞こえてくる。 「兄さんたちも、せっかくの休みなんだからどっか出かければいいのに」 「オレは出張が多いからね、鶴奈のいる家が一番だよ」 (ふん、惚気かよ……) リビングを覗き込んだマサキは、そう思った。その鷹郷のラブラブ家庭は、徐々にマサキによって崩されてると思えば悔しくもないが。 「お兄ちゃん、義姉さん好きだよねー、嫉妬しちゃうなー」 マサキの愛しいツバメも、お兄ちゃん子らしい。機嫌は直ったようでよかったが、やっぱ悔しい。いつか目にモノを見せてやろうとマサキは心に決める。 マサキがにゅっと、首を出した気配にリビングの三人が振り向くが、すぐにみんな目線を戻す。見えないことになっているからだ。 普通は、夫婦の世帯に義理の妹がいるとか、普通はもっとギクシャクするもんだと思うが、リビングでヒナと遊びながらツバメの相手をしている鷹郷はくつろいで見えた。うまくやっているのだ。 (まあいい、そっちのほうがこっちもやりやすいさ) とりあえず、トイレに入り込むことにした。 「ぼくもションベンでも済ますか」 おしっこをチョロチョロと出していたときに、突然トイレの扉が開いた。
――鶴奈だ!
当然、便器にまたがっていたマサキは見えないことになっているので、何事もなかったようにまたがる。 (ぐあああ) 狭いトイレの中だ。オシッコを無理やり止めて、壁に張り付くように避ける。間一髪だった。 「ふう……」 ため息をついて、洋式の便器に座り込む。一呼吸置いて、スルスルとショーツを下して静かに用を足す鶴奈。 (そういえば、今日はパンツ汚してなかったな) こんなときに、そんなことを考えるマサキ。 (うう……尿意が) さっき途中で止めたから、オシッコしたくてしかたがなくなるマサキ。それをよそに、うつむきながら、静かに尿を出す鶴奈。狭いトイレの中で二人、静かに尿が流れていく音だけが響いていた。 (限界だ、しょうがない) 陰毛が覗いている鶴奈の股と洋式便器との隙間に痛々しいほど勃起したマサキの逸物を差し込んで、静かに放尿する。鶴奈の尿とマサキの尿が交じり合う、クロス放尿だ。これはこれで、変態プレイみたいで興奮するマサキ。 (どうやら……放尿したものも見えないみたいだな) うつむき加減だから、空中から尿が出るのが見えたら驚くはずだもんな。おしっこは、ほぼ同時に終わった。それでも、パンツをあげることもなく、さらに深い息をついて視線を宙に泳がせる鶴奈。まるで、マサキと見詰め合うように見えた。 リビングでは、明るい家族が待っているけれども。一人でいるときは、妻でもなく、母でもなく、一人の人間としての顔があるのだ。 (これは、うんこだな) 小さく息を吐き、鶴奈の端正な眉がひそまる。明らかに力んでいるのが、マサキにはわかった。思わず、ションベンを吐き出しても勃起が収まらない逸物をピストンさせる。左手で、便器のタンクを支えにして右手でこする。 鶴奈の目の前で、鼻息で髪が揺れるぐらいの近くで。 (ハァハァハァハァ) 「?」 射精感覚がせりあがってきた。フルフルっと鶴奈の身体は震えて、糞をひねり出す体勢にはいっている。出している間は、身動きできないだろう。 (これはいい、ハァハァ、これはいける) 右手で逸物をこする速度を速める、突き出したチンカスまみれの亀頭が、鶴奈の陰毛に触れんばかりの距離に近づく。鶴奈がフッといきんで、肛門を収縮させて……。 (出る……) 「んっ……」 音もなく、柔らかいうんこを鶴奈の肛門が押し出した瞬間、鶴奈の前面の粘膜に”何かが”密着するのを感じた。その瞬間、生暖かいものが吐き出されるのを感じた。 「ひゃ……んん!!」 叫びだそうとする鶴奈の口を自分の唇で塞ぐ。
ドピュドピュドピュドピュドピュ!
舌を入れるほどの甲斐性はまだないが、マサキも大胆になったものだ。濡れてもいなかったから、そんなに奥まで入らなかったけれど、外陰唇にピンクの亀頭をめり込ませるようにして射精したから、しっかりと精液は鶴奈の中に流れ込んでいる。一応、これレイプになるんじゃないだろうか。 マサキが鶴奈を押さえつけていたのは、三十秒にも満たない時間だった、洋式の便器に前からしゃがみこんで押し付けて射精なんて、本当に無理な体勢だったので中の奥にまで差し込んで射精できなかったのは、無理もなかった。マサキにとっては、チンコとマンコがはじめて触れ合ったのだから、十分満足ではあった。 極度の興奮状態だったとはいえ、こんな無理な体勢で射精できるマサキはすごい。これが若さということなのか。 後ろに倒れこむようにして、マサキは地に腰をつけた。鶴奈は、口を押さえられなくてもなぜか叫ぶことはなくて放心状態で。気がついたように、立ち上がろうとして、肛門から一本筋のうんこがぶら下がっているのに気がついて、まだあわてて座って完全に排便し終わってから、股を入念に洗ってさっさとトイレを出ていった。 鶴奈は、股から陰毛にまで白濁液がこびりついて、自分がしたうんこにドロドロと垂れ下がっていたというのに、それを夢でも見たようになかったもののように考えてしまったようだった。やられたときによく考えればよかったのに、ビデで精液を洗い流してしまえばなんの痕跡も残らない。 どうやら鶴奈は、なんども催眠にかけられている結果、催眠にかかりやすい体質に変化しつつあったのだった。そしてそれは、マサキの催眠術師としての着実なレベルアップを意味するのである。
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第四章「自己暗示」 |
落ち着くほどに、オナニーしたらベージュのパンツがドロドロになってしまった。もう何度したかわからないほどだ。マサキはする必要があった。落ち着いて、理解し考えるにはオナニーして冷静になる必要があったからだ。 「それでも、ああ、まだ……」 安西マサキは無力感に苛まれていた。マサキが催眠術を会得したいのは、鶴奈やツバメを自由にしたいからだ。つまり性欲がエネルギー源だ。それを抑えて冷静になるためにオナニーしては、やる気が減退していく。もうその循環を幾度も繰り返して、チンコは痛くて擦り切れそうで血がにじみ限界を迎えていた。 「変わらなきゃいけないのは、自分か……」 今のままでは、催眠術を得ても結局、マサキは無力な中学生に過ぎない。自らにうち勝つ強さが、いま必要だった。しかし、マサキはもともと肉体も精神もあまりにも弱い。幾許かの邪悪な知性と、後ろ向きの怨念だけを糧にしてここまで生きてきたいに過ぎない彼にそれを打ち破る力はない。 「結局、なにもできないのか……ぼくは」 そう頭ではなく貧相なチンコを抱えて、無理なオナニー後の魂が抜けるような虚脱感に惑う。絶望的な無力感に、息が詰まりそうになった。そのときだった。 不意に「それは違う」という思いが、萎えたチンコから仄かにわきあがってくるのを感じた。
そうだ、もうひとつ。マサキにはまだ、もうひとつの力があった。 それは卑怯だ。マサキの卑怯さは、ある裏技を思いつかせた。 「自分で、自分に変われるように催眠をかけたらいいんじゃないか」 いわゆる自己催眠の術である。うまくいくかどうかもわからない。失敗したら、何かおかしなことになったら、それは恐怖。しかし、この恐怖だけ乗り越えられれば、うまくいくと信じられれば。まだ戦える。 「やってみるか」 変われる力を、いま手にしていると思った。それは希望の光だった。それが消えてしまわないうちに、机の引き出しからナイフを取り出す。いま若者がよく持っているような、かっこいいバタフライナイフではなくて、無骨な木工用ナイフだったのがいかにもマサキらしい。安物だが、それなりに怜悧に磨き上げられている。 虐められているとき、マサキは家に帰るとずっとドキュンどもを怨みながらたまたま家の押入れで見つけた木工用ナイフを机に隠して、毎日磨き上げるのを習慣にしていた。 あいつらをこれで刺し殺してやれれば、どんなにすっきりとするだろう。 いや、相手の目の前にかざしてやるだけでもいいんだ。そのとき、あいつらの顔は驚きと恐怖にゆがむだろうかと、いつも想像して憂さを晴らしていた。 でも実際にやるとなると、そうなるとは思えなかった。マサキは人を刺し殺すだけの、覚悟も力もない。下手をすると、とりあげられて、逆に自分が刺されるかもしれない。 それが、怖くて、怖くて。結局、ピカピカに磨き上げただけで、一度もナイフを学校に持っていくことすらなかった。 鈍い輝きを放つ鉄の塊は、まるで鏡のようにマサキの濁った目を映していた。魂を込めるように、今一度ナイフを磨き上げると、マサキは意を決したように催眠装置のスイッチを入れた。電撃が脳に走り、刃に映ったマサキの目が光を帯びてくる。
――そうして、マサキは自分で、ナイフに映る自分の瞳を睨みつけた。
催眠術とは、つまり相手にある種のルールを植え付ける技術だと言い換えることもできる。何かの非常識を、常識と信じ込ませたりということで、それは理性に作用する力だ。それだけに強力だが、弱点もある。感情的に大きな拒否がある暗示を仕掛けようとしても作用しないのだ。極端な例を挙げれば「死ね」と命じても、人間には生存本能があるため、自殺させることはできない。ただ、これにも例外がある。たとえば、その人間に死ぬような絶望を植え付け、それが本能を超えるほどの強さを持って自らに死を望ませられれば、自殺に追いやることもできないこともない。生物には生存本能があるといっても、死ぬ以上の苦しみ、まったくの絶望という環境に長く置かれれば、自死してしまうのが人間という生物のもう一つの側面である。 だから、強い感情的な拒否があった場合、その理由や原因を突き止めて解消する、あるいは逆にもっと強烈な理由を植えつけることによって、拒否を回避することができる。 催眠マニュアルをすべて読みきって、マサキがなんとなく理解できたことはそういうことだった。自分で考えてみても、いまいち完璧に理解できたとは思えないが、壁のようなものがあってそれを崩すには、もって回ったやり方が必要だということだろう。ネット探偵が「魔法ではない」といったのは、つまりそういうことなのだ。 これは、手こずりそうだ。家に多くいて、抵抗が少ない鶴奈に集中して、催眠術師のやり方というのを徐々に実践していくしかない。催眠術師が、魔法使いではないというのならばそれなりのやりようをすればいいだけ。
「あらー、マサキくん昨日は来なかったのね」 最近、毎日来るようになっていたマサキである。パンツ交換が嫌なので、来なくてもいいむしろそのほうが嬉しいなと思いつつも、昨日もお茶の準備などはしていた人のいい鶴奈。このまま、しばらく来なくなればと思っていたのに、その次の日に来てしまって少し落胆のようすである。 「さあ催眠を……いや、冷静になるんだ。まだ早い」 「なにかいった?」 「いや、なんでもないですよ、鶴奈さん今日もお綺麗ですね」 「あらーお上手ね、いまお茶を入れるわね」 お世辞でも、褒めてもらえると嬉しいらしい、いそいそと中へマサキを案内する。いつものように、キョドることもなく、ずいずいと中に入ってソファーに座り込む。 「今日はセイロンのお茶なんだけど、ちょっと味に癖があるから、お口に合うかしら」 「紅茶は好きなんで、おいしいですよ」 ちゃんと淹れられた紅茶の馥郁たる香りを味わうようにして、ゆっくりと飲み干すマサキ。その落ち着きたるや、堂々たるものだ。 「なんだろう……マサキくんちょっと雰囲気変わったわね」 「そうですか、自分ではそんなつもりはないですけどね」 ある程度の心の落ち着きというものを、自己催眠はもたらしてくれたようだ。 「さて、今日もパンツ交換やりますか」 にこやかに笑って、マサキは乾かないようにビニール袋にしまいこんであった、ドロドロのベージュのパンツを取り出した。 「ああ……やっぱり今日もやるのね」 泣き出しそうに、それでも自分のいま穿いてる部屋着のジーパンと一緒に、ショーツを脱ぎ始める鶴奈。目の前には、二晩連続で汚されて何発出されたか分からないドロドロに黄ばんだパンツである。穿くのにかなりの抵抗があったが、なんとか穿き終わる鶴奈。スポーティーなジーパンが、そのドロドロのパンツをぴったりと締め上げる気持ちの悪い感覚に顔をゆがめる。 ジーパン越しからでもよくわかる、鶴奈の形のよい尻を見ながら、パンツ交換を素直にした鶴奈を見て、何度も繰り返して暗示が強化されるというのはこのことではないかとマサキは考えた。パンツ交換という儀式は、何度も繰り返されることで定型化されたようだ。 「いやーいい感じのパンツですね」 マサキが目の前で弄んでいるのは、エロティックでそれでいて品のある、薄いレースのついた真紅のショーツである。さわり心地も見事な一級品だった。いわゆる勝負パンツ、そのもの。鶴奈が最近、結婚記念日に気張って買った品だ。 「ええ……喜んでもらってうれしいわ」 一日置いてドロドロの度合いを増したパンツを穿かされる気持ち悪さに加えて、お気に入りが汚されると思って暗くなる鶴奈である。今日くるとは思ってなかったので、完全に油断したらしい。 「汚しがいがありますよ」 そういって、マサキはいやらしい笑いを見せる。 「あは……あはは……できれば、お手柔らかにね」 鶴奈は嫌悪感を何とか抑えている様子。それでも拒否はできない状態に暗示は深まっていると見えた。 「さ、私は仕事のまとめにかかるからゆっくりしていってね」 それも暗示の効果に違いないのだが、その歓迎の姿勢だけは自然に言うと、仕事に戻る鶴奈。居間のパソコンに向う鶴奈の尻を、ゆっくりと紅茶を味わいながらゆっくりと見つめるマサキ。 鶴奈が自分のでドロドロに汚されたパンツを気にしながら仕事をしていると思うと、それだけで、またムクムクと息子が騒ぎ出してくるのを感じた。自己暗示によって気が大きくなっているマサキは、つい発作的にこんなことを言ってしまう。
「鶴奈さん、ぼくとセックスしませんか」 鶴奈がブッと、飲み干そうとした紅茶を噴出した。少々刺激的過ぎたようだ。 「あー、もー! キーボードが! マサキくん変な冗談いうと怒るわよ」 そういいながらも、本気の怒りの色は見せない。ただ必死になって、キーボードの紅茶をふき取っているだけだ。 マサキは、自分を従妹の彼氏として歓待するという暗示が浸透していると確信した。怒られて追い出されるという心配がなければ、聞き難い質問もできる。そして、その質問には必ず答えなければならない鶴奈だから、ゆっくりと、探りを入れることができる。 「ははは、ごめんなさい」 「もー、しょうがないわね……」 悪びれもせず心無い謝罪の言葉を口にするマサキに、そういって許してしまうしか鶴奈には手がない。ドロドロに汚されたパンツを穿かされる自分を思ってみれば、本当ならただの冗談ではなくて目の前のキモオタ中学生に危機感を感じてもいいはずだ。だが、それらをすべて当然のことと思わされている鶴奈にはそういうガードが働かない。 「それでも……セックスしたいなあ」 「もーいい加減にしてよね、仕事が片付かないから後にしてよ」 おや、さすがに本気で怒ってきたかな。でも、もう一押し。 「後だったらしてくれますか」 「……だめ」 冷たい口調で断られた。冗談が過ぎて、鶴奈をほんの少しだけ本気で怒らせてしまったようだ。歓待の暗示にかかっていても、怒りの感情はきちんと働いてラインを超えれば怒る。催眠と人間の感情の働きのバランスがどこらへんで取られているか、未熟なマサキにはまだ理解できない。 鶴奈のような、理知的でプライドが高いタイプなら、こういう不謹慎な冗談で何度もからかわれたら無言で返すのだろう。しかし、質問にはすべて答えるという暗示が働いているから、そういう分かりやすい反応になる。 これはこれで、間合いを計るには好都合かもしれない。今日のマサキは、そうポジティブに考えた。リビングルームは、一種の重たい空気が立ち込めて、鶴奈が怒りの感情をぶつけるようにキーボードを打つ音だけが響く。
「なんでしちゃだめなのかな」 唐突に、沈黙を破るマサキ。この空気をあえて読まず、さらに追い討ちをかける。今日のマサキは怖いもの知らずだ。 「なんでって! もー浮気になるから駄目に決まってるでしょ」 そういいながら、キーボードを打つ速度を上げる鶴奈。感情をそこにぶつけることにしたらしい、力が入りすぎてキーボードが壊れそうだ。鶴奈の抵抗点は、浮気だと分かった。これ以上怒らせても怖いので、話を変えることにした。 「そういや旦那さんって、見ないですね……」 「あー、主人は……」 そういえば、鳥取家に通うようになって数日。ご主人の姿を見ていない。鶴奈たちから比べれば優先順位は下がるが、安全のためにきっちりと支配下に置いておかねばならない人物の一人だ 鳥取家の主人、鳥取鷹郷は今年で三十歳になったばかりの商社マンだ。出勤する姿はマサキも見ているので容姿ぐらいは知っている。すらりとした長身にびっしりとした背広を着込んで、颯爽と歩く姿はエリートそのものといった感じ。そこそこの大手企業である糸井商事で、企画部の課長に昇格したばかり。最近、国内で展開中の大きなプロジェクトのリーダーに就任して帰宅も遅くなりがちだという。今は、近畿の支社に出張にいっていて今週は日曜日にならないと帰ってこないらしい。 ここまで聞くと、気になるのが夫婦生活だ。 「やっぱり、一緒にいる時間が短くなってるから。主人の休みが取れる週一回がせいぜいってところかな」 夜の生活のことまでは、さすがに抵抗があったのか話すのを躊躇したが、何度も問いただすと、ボツボツと話し始める。こうなってしまえば、あとは堰を切ったように聞かれてもないことまで話し始める。 「ここ数年は避妊はしてないのよ、ヒナもそろそろ大きくなったから、そろそろもう一人ほしいかなって。今度は、男の子がほしいわね」 ほほー、子供が欲しいのか。そこまでは考えてなかったが、いずれ楽しませてもらおうと一人ほくそ笑むマサキ。ヒナがいま八歳で、逆算すると鶴奈が十九歳の時の子供ということになる。もともと幼馴染で、同じ大学に入ってほどなくしてヒナが出来たので鶴奈は大学を中退して結婚したらしい。よくある学生結婚で、周りの援助もあったのだろうがこの若さで子供を作って鷹郷も若くして昇進しているわけで、生活設計が乱れていないのは、鶴奈の内助の功といっていいのだろう。 若くして家庭に入っても、老け込むでもなく、女としての美しさを保っているから八年付き合ってもきちんと夫婦生活があるのだと言えるし、もともと文才があったのかライターの仕事も好調で、旦那の企画のコピーとかも手伝っているらしい。主婦や母親の経験というのは、ライターにとっては役に立つスキルにもなる。 そんな話をしているうちに、鶴奈の仕事は終わったようだった。
「――すっかり長く、話し込んでしまいましたね」 「あらいけない、もうこんな時間……少し遅くなったけど、お昼食べていくわよね」 エプロンを巻きなおして、そそくさと台所に立つ鶴奈。 昼食を一緒にと言われるのは予想していた。自宅の親には、しばらく昼は外で食べると言ってあるので昼食代まで小遣いに出来て一石二鳥だ。 マサキは両親が共働きで、親が昼に居るなんてことはなかった。だから、鶴奈が手際よく調理している姿を見るのは、とても心が温かくなるように感じる。鼻腔をくすぐる匂い、フライパンのはぜる音。そして揺れる尻。マサキの母親に比べると、鶴奈は若すぎるが、母性と性欲がない交ぜになった親しみを感じるのだった。 「できあわせで、ごめんなさいね」 「いやー、そんなことはないですよ。おいしいです」 温かい料理というだけで、マサキには十分ご馳走に感じられるのだった。そうして食欲を満たしたあとは、性欲を満たすべきだろう。 おもむろに、ポケットの中の催眠装置のボタンを押す。
キュルルルルルル――
いつもの衝撃に思わず目をつぶる。脳髄に直撃するそれは嵐を切り裂く稲妻のようで、耐え難いほどの衝撃と共にある種の快楽すら感じさせる。脳幹から、脊髄までを貫く電撃にも慣れた。慣れてしまえば、腐りきった身体を、だれた脳髄を、貫いて浄化する槍のような心地よさだ。頭がスッキリしていくのを感じる。そして、長く感じるほんの数瞬の後に、静かに目を開ける。 マサキは自分の目から、光が迸るのが見えたような気がした。目の前には、魅入られたように目から光を失った鶴奈が座っていた。暗示はすでに考えていた。 「マサキくんは、家族同然です」 「はい」 「あなたの旦那さんと一緒の家族だから、マサキくんとセックスしても浮気にはなりません」 「……セックスは、それでも、浮気です」 納得いかないみたいだ。とりあえず試してみただけで、予想の範囲内。 「あなたは、膣からヒナちゃんをひねり出したんでしょう。だったら、その膣でマサキくんのモノを受け入れても一緒ですよ。浮気じゃないんです、分かりましたか」 「子供を生むみたいなもの……」 マサキのかけた、苦し紛れのむちゃくちゃな暗示だったが、子供を生むのと同じといったところが、鶴奈の母性本能を刺激して、理屈に少し説得力を与えた。そこまで意図したわけではないが、結果オーライ。マサキは、セックスという言葉に鶴奈が抵抗を示しているとここで、気がついた。 「そうです、子供を生むのと一緒です。セックスするんじゃなくて、身体を自由に使ってマサキくんの欲求を解消してあげるだけなんです」 「欲求を解消してあげるだけ……でも……」 「マサキくんと、ツバメちゃんは恋人です。いずれセックスしますが不慣れで不用意でどんな間違いがあるかわかりません」 「はい」 「だから、経験豊富な鶴奈さんが間違いがないように性の手ほどきをしてあげるんです」「……」 「セックスじゃないから浮気にならないですよ、二人がいずれセックスする手伝いをしてあげるだけです」 「……手伝い」 「それが家族のためなんですよ、わかりましたか」 「……はい」 半ば脅しだが、時間も来たことだしこんなもんだろう。これで、どこまでできるか楽しみに思えるぐらいの余裕が今のマサキにはあった。三十秒の余地を残して、スイッチをオフにする。大気へと消え行く光の迸りは、少しだけマサキの胸に燻っているようで、やり終えたあとの余韻を感じた。
「あれ……私。ああ、食器片付けないと」 食卓の食器を集めて、ふらふらと鶴奈は片付けに行く。催眠の余韻が残っているのは鶴奈も同じようで、動きにいつもの活発さを欠いていた。特に外見に変化はないように見えたが、暗示は浸透しているはずだ。 「仕事は終わったんですよね」 「そうよ、コーヒーでも淹れるわね」 どう切り出すか。コーヒーを飲みながら考えていると、向こうから切り出してくれた。「あの……ツバメちゃんとはどこまでいってるの」 「えー、どこまでって」 思わず口よどんでしまう。どこまでもなにも、本当はまだ恋人同士として認識が定着しているかも怪しい。この前の失敗から、会ってないのだから。 「その……二人ともまだ中学生だから。私も、ツバメちゃんを実家からお預かりしている責任もあるし、もちろん節度ある付き合いをしてくれてるんだとは思うんだけど、ちょっと心配になっちゃってね」 なるほどそう来たか。マサキはほくそ笑む。黙っていると、さらに鶴奈は続ける。 「その……あの……セックスとかさ。今日、マサキくんへんなことばっかりいうから、間違いがあったら大変だから」 「そうですね、溜まってしょうがないっていうことはありますね」 「溜まってって……男の子いないから、そのよくは分からないんだけど、そういうこともあるでしょうね」 「溜まりすぎて、ツバメちゃんと間違いが起こっちゃうかもなー」 などとマサキは笑顔で言う。真っ赤になって俯いてしまう。小学生の娘がいるとは思えない初々しさだなあ。鶴奈の話しが全部本当なら、旦那以外に経験ないっていうしこんなものなのかもしれないと、マサキは思う。 「じゃあ……その……」 その先が小声すぎて聞こえにくい。ちょっと萌え。一回りも上の女性に、萌えってのもなんだが、マサキから見ても鶴奈はすれているところがなくて、動作も可愛らしいく思える部分があるのだ。 「声が小さすぎて聞こえないですよ鶴奈さん」 「あのね! マサキくんが良ければでいいんだけど、その間違いが起こらないように抜いてあげるというか、練習につきあってあげるというか……」 また声が小さくなってしまった。鶴奈は確かに美人だ。しかし、なぜ年上の女性を可愛らしく思えるのかと、頬を染めて目をそらしている顔を見つめていると、マサキが年配の女性に感じるいやらしさというものがないのだと気が付いた。 悪く言えば色気に欠けるというのかもしれないが、鶴奈は清楚なのだとマサキは思う。「じゃあ、手伝ってもらおうかな」 だから、あんまり虐めるのも止めにして助け舟を出す。マサキのいきりたったものが限界だというのもあるが。 「うん……ここじゃなんだから、寝室にでも行きましょうか」 リビングのテレビや電気を落として、玄関まで行ってガチャリと音をたてて鍵を閉める。そうして、夫婦が営みを行うであろう寝室に招き入れられる。一瞬、もしかしたら鶴奈の趣味だと真っ赤じゃないかと思ったが、壁紙は白でダブルベットは薄いピンクだった。マサキは気が付かないが、結婚八年目でダブルベットに一緒に寝ているというのは相当夫婦仲がいい証拠だ。 ベットと同じピンクのカーテンが閉められる。手持ちぶさたにベットに腰掛けるマサキ。いそいそと、エプロンを脱ぎ捨てた鶴奈はソワソワと落ち着かない様子だ。マサキは、正直もう一杯一杯でさっさと抜いて欲しいのだが、経験がまったくないので自分から手を出すことができない。どんだけ自己催眠で強化しても、童貞の限界点というものがある。 鶴奈は、何を考えているのか丁寧にエプロンを折りたたみ始めた。もうちょっとじらすのもいい加減にしてくれと、マサキは声をかける。 「鶴奈さん……その、するなら早くしてください」 「うん……わかったわよ」 おもむろに、マサキのズボンに手を書ける。ジャージの普段着だから、ズボンもパンツも一気に脱がしてしまうと、マサキの粗末な包茎チンポが飛び出す。完全に勃起していても、まだ皮を被っているのが悲しいところだ。 「皮はやっぱり剥かないと……」 覚悟を決めたのか、手でぐにぐにっと刺激する鶴奈。 「鶴奈さん、ちょっとフェラですか」 「うん……そうしようかと思って、ごめんねセックスは無理だからね」 フェラチオは前にもしてもらったし、セックスできるように暗示をかけたつもりなんだけどなあ。 「せめておっぱいぐらい見せてくださいよ」 「ん、胸? 見たいの?」 「そりゃ見たいですよ、そっちのほうが興奮して早く終わります、お願いしますよ」 「ん、じゃあしょうがないわね」 結構抵抗なく、上着をはだけてブラも取ろうとする。 「あー、ぼくに取らせてもらっていいですか、練習に」 「はい」 そういって、前に胸を突き出してくれる。小ぶりだが、形の良い胸だ。そんな胸の形など気にしていられないほど、興奮して後ろのほうに手をやるマサキ。背中を弄る。 「あ、違う。これ前フロントなのよ」 たいした失敗ではないが、マサキはとても恥ずかしかった。いったん手を引いて、ブラを見る。マサキがポケットにつっこんでいる、真紅のパンツと柄が御そろいのブラだった。確かに、前にフックが着いているのが分かる。 「最近は前フロントも多いから、こっちのほうが外しやすくて簡単だという理由もあるわ」 片手ではずそうとして、ブラを引っ張ってしまうマサキ。不器用に、どこまでも失敗していくのは厨房らしさというものか。 「ただ引っ掛けてるだけだから、落ち着いて両手ではずせば」 今日こういうことになるとは、思っていなかっただろうに、勝負下着をちゃんと着けていたのは主婦の勘というものかなどと、馬鹿なことを考えながらマサキはブラをゆっくりとはずしてポケットにしまいこむ。 「ちょっと、ブラは持っていかないで」 しかたがないので、ブラをベットに放り投げるマサキ。 「もう……」 鶴奈は胸を隠すように、肩をすくめる。 「下も、スカートは脱いでもらえますか」 厚手のスカートを無言で脱ぐ鶴奈。さっき、マサキが無理やり穿かせた精液ドロドロのパンツを穿いている。パンツは穿かせたままのほうがいいだろうか。 「これでいいでしょう、もう抜いてしまうわね」 一度やってしまったからなのだろうか、結構抵抗なくマサキの勃起したものを口に含んで皮を剥く鶴奈。もう限界寸前だったマサキには否やもなく、感極まったように腰を振る。 「ちょっと、もう。腰振ったらやりにくいよ」 マサキの薄汚いものには嫌悪感を感じるものの、過剰反応は面白かったのか少し笑顔が戻る鶴奈。端正すぎるから、怒っていると険が強いのだが、笑えば可愛いのだ。動きを止めたマサキのモノを、ゆっくりと舐め取ってやる。 「ああ……出ます」
ドピュドピュドピュドピュドピュ!
その不味さに顔を顰めながらも、飲み取ってやる鶴奈。これは、別にそう暗示をかけられたわけではなくて、旦那がそうするように教育したので、鶴奈はフェラチオしたら飲むものだと思い込んでいるのだ。 それでも、旦那のものとは違って不味いなあと鶴奈は思う。精子はもともと不味いものだが、健康状態によって味が変わる。不摂生な食生活をしているマサキの精子が、旦那のそれより不味くても不思議はない。 「じゃあ、私。口をゆすいでくるから」 そういって、洗面台に走っていく鶴奈。一度出してしまって、呆然としたようにベットに脱ぎ捨てられているブラを見つめながらマサキはベットに倒れこんだ。
「もう今日はやめておく?」 気が付くと、ベットに倒れこんでいるマサキを鶴奈が見つめていた。マサキの精力は中学生だからそれなりに強いが、引きこもりがいきなりセクシャル行動は結構精神を消費するものだ。口ではでかいことをほざいても、ヒッキー青少年は結構、繊細なのである。 「いや……まだ……」 「そうね、まだ立ってるみたいだし、それじゃあもう一回」 「ちょ、ちょっとまって」 あわてて起き上がる、マサキ。このままなし崩し的に何度もやられたら、前と一緒だ。「鶴奈さん、オマンコ触ってもいいですか」 「え……、うーん触るぐらいなら」 有無を言わせず、自分が汚したパンツに手を突っ込む。初手マンにドキドキする、マサキ左手は添えるだけ。陰毛がサワサワする感覚。少し暖かい感じはするんだけど、湿り気があるようなないような。 「ちょっと、急に」 「うーん、これって濡れてるのかな」 「……濡れてるわけないでしょ」 自分がぶっ掛けた精液の湿り気が残ってるだけだった。 「うん……」 「デリケートなところだから、強く触らないでね」 経験がまったくないので、マサキは本当に分からない。とりあえず、強くならないようにまさぐるところから始めた。なんとなく、鶴奈がやさしい目線で見てくれているような気がマサキはした。 マサキの未熟さは、子供のいる鶴奈にとっては少し快いものに感じたのだ。なんとなく、いい雰囲気がでているとマサキは感じていた。ベットに二人で座って、右手で鶴奈の股をまさぐっていると、それだけでもう一発出てしまいそうな感じだった。 「胸も触っていいですか」 「……いいわよ」 前に回って触ろうとしたのだが、どうもしっくり来ない感じだったので、後ろ側にまわりこんで、胸もまさぐってみる。 「ん……」 オッパイの感触というのは、本当にいいものだ。執拗にまさぐっていると、鶴奈が、息を吐いた。また、右手で股をまさぐってみた。今度は少し濡れているような気がしたので下着をズリ下ろした。我慢できなくて、入れようとして。 「ちょっと、まって入れちゃだめよ」 鶴奈に静止された。 「すいません……」 「口でしてあげるからね」 すぐさまいってしまった。
ドピュドピュドピュドピュドピュ!
「ありがとうございました、今日はもう帰りますね」 「ふぇ……はーい」 やはりきちんと飲み干してくれる鶴奈を見て、とりあえず満足してしまったので今日は帰ろうと思った。セックスまでいけなかったけれど、別に今日は失敗だとは思わない、明日またやればいいのだから。 自分が汚したパンツをしっかりと穿いて、玄関まで見送ってくれる鶴奈の姿はそれなりにマサキの心を満足させてくれるものではあったからだ。
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