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E小説(中出し・孕ませ・時間停止・催眠・環境変化など)
エロ小説のサイトですので18歳未満の方はお帰りください。傾向はマニア向け、作品中のほぼ100%中だし妊娠描写、付属性として時間停止・催眠・環境変化などです。
「エレベーターガール」前編
 私は、エレベーターガールだった。
「今日は、美津屋百貨店にご来店くださいまして誠にありがとうございます。ご利用階数をお知らせください」
 営業スマイルでニッコリ。
 客がちらほらと利用回数を言う、その通りに私は押してエレベーターは上に動き出す。
「ありがとうございます、五階家具売り場でございます」
 営業スマイルでニッコリ。
「七階特設会場、本日はサマーギフトを取り揃えております」
 営業スマイルでニッコリ。
「十三階、レストラン街でございます」
 営業スマイルでニッコリ。
 そうして、今度は降りる客を乗せて、エレベーターは下に動き出す。
 この繰り返しで、あっというまに一日が過ぎていく。

 基本的には、微笑んで客の言われるようにボタンを押すだけの毎日。楽な仕事だと思っている人も居るだろう。
 ガソリンスタンドだってセルフになる時代だ。お客さんが思ってることなんて分かってる。
 いまどきエレベーターなんて自分でボタン押せばいいとおもうよね。そうそう、私だってそう思う。

 でもね、この仕事も、決して楽な仕事ってわけじゃないんだよ。
 一日立ちっ放しで終わりごろには足がガクガクになるし、笑顔だってこれだけ続ければ、引きつろうというもの。
 一時間ごとに交代できるのは、助かるがそれだけ肉体的にも過酷な仕事なのだ。
 受付と並び、エレベーターガールはデパートの顔であると教えられている。
 単純な繰り返しのなかでも、ミスは許されないという緊張だってある。

 本当のことをいえば、私は大学を卒業後、受付希望でこの百貨店に入社したのだ。前からやってみたかった職業だし、割と容姿には自信があったからこそ、選んだ仕事でもある。美津屋デパートの深い紺と青を基調にした制服は、上品さと女性らしさが控えめに表現されており、その上でスタイリッシュに洗練されているデザインで、もう一言でいえば超かっこよくて昔からずっと憧れていた。
 私は長い髪を撫で付けるだけの大人しい髪型にしていた。さらっとした髪は、ただ自然にこうなっていると思ってもらっては困る。乾かすたびにそれなりに手間をかけているのだ。
 髪のトリートメントには最新の注意を払う。友達みたいにパーマをかけたり、染めたりして髪を痛めるような真似はしなかった。健康と肌のケアにはそれ以上の注意を払った。自分の身体つきを考えたときに、胸が大きすぎるのが少しコンプレックスだったが、それもなるべくスリムでいるように、気をつかってバランスをとっているかぎりは、マイナスにはならない。
 私が自分で磨き上げた、女性らしくそれでいて地味にならない程度に落ち着いた私の容姿は、この高級なデパートの社風に完璧にマッチしているはずだった。
 大学だって、そこそこいい所を出ているのだ。頭だって決して悪くはないから接客にも自信があるといえた。多分大丈夫と思っても、最終試験をクリアーして採用が正式に決まったときの喜びは昨日のことのように思い出せる。
 容姿で選ばれるのが差別だとは、こと仕事がデパートの顔である受付嬢というになれば当たらないだろう。私はそれなりに日々努力して、就職という人生の大きな賭けに勝利したのだ。
 実際の勤務は、給料も福利厚生も理想に近かったし、周りは厳しいながらも尊敬できる人ばかりで、仕事にとてもやりがいが持てて楽しかった。私が就職して、最初の一年は、薔薇色に輝いてあっというまに過ぎていった。
 そんな幸せの日々が続くはずだったのに……。

 どうしてだろう、今年に入ってからこっちに配置転換されたのは今年入ってきた新人に容姿で負けたから?
 同じ素敵な制服に身を包んでいても、やっぱりあっちは玄関入り口の花でこっちは箱の中に閉じこもってるだけだと思ってしまうのは私の僻みだろうか。
 笑顔で笑って、ただ箱の中で立ってボタンを押してお辞儀をするだけ。私は人形じゃないのに。
 そういう不満は、たとえば今日も来たあの客を見たときに爆発しそうになる。

 いがぐり頭で、まるでおにぎりのような珍妙な顔をしているおっさんがそこにはいた。
 ダボダボの着古して黄ばんでいるTシャツに、なぜか短パンをいつも穿いているあの中年の男性客だ。近寄るだけで体臭が匂う、毎日風呂に入っているのか疑わしいまるで浮浪者という身なりの男。
 名前は知らないけど、あの髪を短く刈り込んだオニギリみたいな特徴的な顔立ちの男性客は、有名な迷惑客でエレベーターガールに客であることをいいことに酷いことをしているようなのだ。
 うちは一流デパートなんだけど、だからといって、客を選ぶことはできないのが悲しいところだ。
 どうせ、うちで買い物なんかしないくせに、なんで来るんだろ。
 しかも、エレベーターは四基あるのに、なんでまた私の箱に入ってくるのよ。
 私は箱の中、だから逃げることもできやしない。
 あの男性客がいつ来るか分かっていれば、シフトで避けることもできるのに、だいたい一週間に一度ぐらいの確率で遭遇するということが分かってるだけで、明確には分からないのだ。
 そして、私は次に反射的に自分の生理周期を思い浮かべる……ああ、危ない日だ。しかもかなりあの日に近い。
 最低だ、もし万が一こんな日に何かされたら。想像しただけで、恐怖に自分の笑顔がこわばって頬が引きつるのが分かった。
 そこまではされないだろうか、それでもこの男の私に対する性的な悪戯は、逆らえないのをいいことに、やられるたびに酷さを増しているように思える。
 男はそんな私の頬の引きつりに何かを察したのか、ニヤッと笑った。嫌な男だ。

「ほっ……今日は、美津屋百貨店にご来店くださいまして誠にありがとうございます。ご利用階数をお知らせください」
 こういってみるものの分かっているのだ。どんなに忙しい日でも、どれほど客が乗り込んできても、あの男性客が来店したときは、申し合わせたように全員二階で降りてしまうのだ。
「二階、婦人服売り場でございます」
 客はぞろぞろと降りていく、婦人服売り場なのに男の客まで……全員。

 そうして、中年男と私だけが箱の中に残った。
「よう、元気だったか。またきてやったぜ」
 エレベーターの扉が閉まると、男はそう話しかけてきた。ゆっくりと、エレベーターは上に向かってあがり始める。
「ご来店……ありがとうございます」
 なんとか、笑顔でそういった。男はすかさず、緊急停止ボタンを押した。
 警戒音と共に、ガクンとエレベーターは止まる。
 そう、この男性客は勝手にエレベーターを停止させるのだ。前に一度注意して、警備員を呼んだことがあるのだが、逆に私がチーフに怒られてしまった。
 他に三基もエレベーターがあるのだから、男性客が止めても困らないじゃないかと。
 まったくその通りだ。そのときの私はまだエレベーターガールに配置転換されたばかりで、苛立ちでどうかしていたらしい。他のエレベーターも止められて、流れが滞ったらどうなるだろうと考えてみたのだが、こんなことをするのはこの男性客だけだから問題ないのだろう。
 どうせ、この件で苦情など出たためしがないのだ。
 客がエレベーターを止めるなんて、デパートではよくあることなのだから。
 こうなったら、私は逃げ道がない。
「お前、名前なんていったっけ」
「芹川ゆかりです」
「そうそう、ゆかりちゃんだったねえ」
 そういいながら、男は私の尻肉をムンズと掴んで揉みあげる。
 ストッキングと下着と厚いスカートを隔てても伝わってくる不快な感触に、私は背筋をこわばらせる。
「ひゃ……止めてください」
「そうじゃないだろ」
 こわばった背中をなでるようにそらせて、今度は肩に手を置く。そうして、私の耳元に臭い息を吐きかけて、私を非難する。
「す……すいません、じゃない。ありがとうございます」
「そうそう、お礼の気持ちが大事だよね」
 今度は、私の自慢の胸を持ち上げるようにして揉む。
「あっ……ありがとうございます」
「せっかく揉んでやってるんだからさ、もっと顔もありがたがってもいいとおもうが」
 どうやら、引きつりすぎて笑顔が解けていたようだ。
 慌てて、男性客に向き直るとニッコリと笑う。もう、この百貨店に勤めて一年以上。笑顔に合わせて、化粧するぐらいに笑顔は慣れている。それと同時に、心から笑えなくなってしまったが。
「うん、今日も可愛い笑顔だね。ゆかりちゃん。キスしてあげるから屈んで」
 一応私の名誉のために言っておくと、私がデカ女というわけではない。小柄とまではいわないが、ごく標準的な身長だと思う、彼氏は私より一回り高いし。
 この男性客がチビデブすぎるのだ。背が、私より十センチは低い。
 そんな失礼なことをお客様にいうわけにもいかないので、私は黙ってかがんでさしあげる。私の唇を舐めるように、舌を這わせる。この人は爬虫類的に舌が長いので、キスは上手いほうだと思う。酷い口臭がなければの話だが。
 そうしたら調子に乗って、いきなり許可もなく、舌を入れてきやがった。
「んんっ!」
「んーゆかりちゃん、ちゅきちゅきー、んー」
 赤ちゃん言葉かなんかしらないが、真剣に頭にくる。そんな私の怒りを知ってか知らずか、強引に私の頭を押さえつけるようにして、さらに押さえ込む。
 もちろん、男性客はベロチューを止めない。ああ、絡んだ舌から私の口におっさんの汚い唾液が注ぎ込まれる。臭い、汚い、気持ち悪い……。
「ん! ぷはぁ」
「あっ」
 私の息が続かなくなって、おっさんの手を払いのけて、頭をはずした。おっさんは不服そうである。こっちが不服だと!
「はぁ……すいません息が続かなかったもので」
「しょうがないなあ」
「それにしたって……もうっ、キスするならするで、せめてブレスケアするとか、歯を磨くとか、あたりまえの口臭ケアをしてくれませんか」
 思わずきつく言ってしまった。
「ほー、お客様にそんな口きいていいんだ。俺は、君の彼氏じゃないんだよ。俺は誰でしょう?」
 私はすぐに自分のミスに気がつく。
「お客様です……」
「だろう、別に俺を彼氏にしたいんだったらそれでもいいんだよ。ゆかりちゃん、結構俺の好みだしさ、もしそうなったら、それなりの対処をしてあげてもいいよ」
 そういって、おっさんはニマニマと笑う。なれなれしく私の髪を弄びながら。また始まった。誰がこんな小汚い中年男を彼氏にするんだ。
「私は、彼氏いますから……お客様でお願いします」
「そうだろう、だから対等じゃないから、やりたいようにやらせてもらうよ」
「ちくしょう……」
「はぁ、なんかいった!?」
「いえ、ご意見ありがとうございます。今後の参考にさせていただきます」
「よろしい」

 そういうと、男性客は満面の笑みで笑った。
 これで終わりだと思ったら、今度はいきなり掴みかかってきたのでびっくりした。
 なんか私の服を脱がそうと格闘してるみたいだ。相変わらずこの人、いきなりすぎ。
「ちょ……ちょっとまって、むやみやたらに引っ張らないで」
「なんだ……相変わらず脱がせにくい服だな」
 制服をぐちゃぐちゃにされたら、まあ客がやったといえば実費で弁償ってことはないだろうが、チーフに確実に怒られてしまう。
 乱暴にならないように、男性客を押さえ込むのに苦労した。
「……自分で、自分で脱ぎますから」
「そう、だったら早くしてね」
 エレベーターガールの制服は特注でスタイリッシュなのはいいのだが、ぴっちりとしたデザインなので、とても無理やり剥ぎ取れるようなものではない。自分から脱ぐのでさえ、コツがいるのだ。デパートの制服の上と下を剥ぎ取って、私は下着にメッシュのストッキングをつけただけの姿になった。
 こんな格好で、直立不動……惨めだ。
「脱ぎました……」
「ひょー、あいかわらずスタイルいいね。この下着はデパートで売ってるの? レースに花柄をあしらっているのかな、下着姿も可愛らしい」
「ありがとうございます」
 褒められてもちっとも嬉しくなどないが。ちなみにつけてる下着はこのデパートのではない。

「ストッキングを残すところなんか、芸が細かいね。破く楽しみがある」
「……破くんですか」
 普通にあまり脱ぎたくなかっただけなのだが、どうせやられるとわかっていても。
「ほら、とりあえず後ろむいて」
「はい……」
 後ろを向くと、プツンとブラのホックをはずされてしまった。ポロっと、ブラは落ちて、プルンと張りのあるおっぱいがむき出しになる。
「うひょー、デカパイだなぁー」
「でか……って」
 なんて失礼なことをいうのだろう。男性客は、嫌がってる私にかまわず後ろから手を回して揉みしだいている。はぁ……ため息しか出ない。男のこういう反応は慣れっこだからだ。
「こういうの釣鐘型っていうんだよね、見事だな乳輪も鮮やかなピンク色」
「はあ、そうなんですか、どうでもいいです」
 冷たくいってやった。自分のおっぱいのタイプなんて聴きたくもない。それにしたって、デカパイはないだろう。こんなに露骨で失礼な言われ方したことはない。なんか化け物みたいな呼び方じゃない。
「カップサイズは?」
「はあ」
「だから、ブラのカップサイズは、と聞いている」
 私の冷たい声も軽蔑の視線も、人生終わってる系のおっさん特有の自信の前には何の効果もないらしい。心の中で、少し舌打ちして私は素直に答える。
「一応つけてるブラは、J六十五……ぐらいですかね」
 少しさばを読んでみた……、一カップ小さめに。
 胸が標準より、大きすぎるのは、私のとってはコンプレックスなのだ。
 大きいほうがいいっていうが、これで私がこれまでどれほど苦労してきたか。
「ふん……それはすばらしい」
 胸が大きいと、たとえばこういういやらしいおっさんの餌食になるのだ。いやらしい目で、見つめると、さらに私の胸を乱暴に左右に引っ張った。
「痛い、あんまり引っ張らないで」
「これだけのもの、弄ばないともったいないというものだよ」
 男性客は後ろから抱き付いて、しばらくそうやって私の胸を弄んでいた。まったく口惜しい。

「そうだ、こっちを向いて飛び跳ねてみてよ」
「えぇ……なんで?」
「いいから、俺がいいっていうまでジャンプする」
 まったく男性客の意図がわからない。しかし、そういう指示なのでしかたがない。私は洋服とブラを汚れないように、エレベーターの隅っこに置くと、言われたとおりポヨンポヨンとジャンプし始めた。
 縄のない縄跳びみたいな気分だ。
 私が飛ぶと同時に、私の胸もブルンブルン震えた。それをいやらしげに見つめる男性客。ああ、そういうことかと私は気がついた。
 気がついても、私は指示通りこの馬鹿らしい動作を続けて、視姦され続けるしかないのだった。

「ハァハァ……いつまで……やってないといけないんですか」
「もっと笑顔で笑って、ジャンプの勢いが落ちてきたよ」
 もう、結構な時間ジャンプさせられ続けている。
 私は、そんなに体力があるほうではない。
 身体が、汗ばんできた。それでも続けないといけないのかなあ。
 男は、明らかに揺れる私の胸を見ながら、自分のダボダボの服を脱いで全裸になった。やっぱり、あそこがたっていた。赤黒い汚らしい……中年のあそこなんてみたくない。

「ハァ……ハァ……もう、げんかい……」
「はい、ゆかりちゃんもういいよ。ご苦労様」
 そうやって、ニマニマと笑いながら止めてくれた。もうなんでもいい、疲れた。私は、崩れ落ちるように腰を落とした。
「ゆかりちゃんのでっかいおっぱい見てたら、チンコたっちゃったよ」
「ハァ……ハァ……」
 私は、疲れていてそれどころではないのに、目の前の男性客は私に勃起したあれを突きつけてくる。
「ゆかりちゃんのせいで、立っちゃったんだから、なんとかしてよ」
「……なんとかって」
 分かる。きっと舐めろってことなのだ。でも嫌。
「ほら、分かってるくせに」
 そういって、男は強引に私の頭を掴んで、口に突き入れてきた。
「ふぉんな……ふぉういんふぃ」
 間違っても歯を立てて、お客のあそこを傷つけるわけにはいかなかったので、出来る抵抗といえば舌で押し返すぐらい。
「おお、中々の舌フェラテクニックだね」
 そんな意図はない、苦しいだけなのに。
「ふゃめて」
「やめないよ、ほら接客がなってないなあ。チンコ舐めさせてあげてるんだからもっと積極的に舐めてよ」
 こんなのも接客なんだろうか、しょうがないので言われたとおり舐めることにした。不味い生臭い。そりゃ、私だって彼氏もいるから経験あるけど、フェラチオなんてほとんどしたことがないのに。
 私の舌技がじれったかったのか、強引に頭を押さえつけられて、口の中であそこを暴れさせる男性客。もう、フェラチオですらなくなっている。
「ふぉ……ふぁあ!」
「はあ……ごめんねちょっと強引で、とりあえず興奮しすぎて滾ってきたから、一発だしておきたいからさ」
 喉の奥まで突き入れてきて、私は咳き込む。
 それすらも、男性客を気持ちよくさせてしまうようだ。
「けふぉ……ゲフェ……」
「ほら、もうすぐ出すから、ちゃんと飲み込む準備をして」
「!!」
「ゆかりちゃんの口マンコに精子出る!」

 ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!

 糊のような生臭い液体が、喉の奥から食道にかけて浴びせられる。出すことも出来ず、このままでは息が詰まる。慌てて飲み込むしかなかった。苦しくて、涙が出た。
「……信じられない……飲んじゃった」
「たくさん出したから、全部飲めなかったみたいだね、口から精液が垂れてるのがいいね」
 最悪だった、口に臭い液がたっぷりと。全部おなかの中に入ってしまった。
「うう……酷いです」
「おやおや、教育がなってないな。お客さんのザーメン飲ませてもらったんだから、お礼を言わないといけないでしょ」
「お礼……」
 こんな酷いことをされたのに、御礼をいわないといけないなんて。でも仕事だから仕方がないのか。心にもない笑みを浮かべて、私は笑う。
「ありがとうございました」
「俺のザーメンはうまかったかい」
「……おいしかったです」
 私もエレベーターガールの仕事について結構たってるので、こう答えなきゃいけないってことはだいたい分かっている。いちいち、指摘されても時間が長くなるだけだ。
「いい答え、やればできるじゃないか」
 逆らったら、時間が長くなるだけ。どうせやられるだけなんだから、自分の心を曲げて、せいぜいいい顔でいい台詞をいってやって、男性客を満足させて早く帰ってもらうのが一番いい。顔で笑って、心で泣く。
 それが大人っていう生き物なんだ。
「はい……これで終わりなら服を来て口を洗って来たいんですが。それとも、まだ何かされますか」
 そういって、営業スマイルで笑ってやった。
「おお、なんか吹っ切れたみたいだね」
「おかげさまで、お客様のおかげですわ」
「それでも、まだ足りないなあ……せっかく美味しいザーメン飲ませてあげたんだから、今日は口を洗いませんぐらい言ってもらわないと」
「そうでした……」
 男は、無言で私にまたチンコを突きつけてくる。なんのつもりだろう。
「ほら、やっぱり鈍いなあ。君の口じゃなくて、俺のチンポを舐めて綺麗にするんだよ」
「サービスが行き届かず申し訳ありません、すぐいたします」
 そういうことか……そういうことなのか。私は逆らわずに男のあそこを舐めて、尿道口に残った精液をすすり上げることにした。ここまでやれば、満足だろう。
 仕事と割り切れば、この程度のことはどうということはない。私が綺麗にした刺激で、また男性客のものが、ムクムクと大きくなっていくのが分かった。
「ふう、とりあえず満足」
「満足していただけてよかったですわ」
 頼むから、これで終わって……。
「もう、終わったと思ってるんじゃないだろうね」
 願いは、届かなかったようだ。
「次は、何をいたせばよろしいのでしょうか」
「それじゃあ、中のパンツだけ脱いで、またストッキングだけはいてもらえるかな」
「はい……」
 とても変態的な要求だと思う。この程度のこと、どうということはないのでさっさとしてあげた。脱いだインナーは、すぐ取り上げられた。
「さっき、いい運動したからだな。ゆかりちゃんの蒸れたのにおいがするよ」
「私の下着の匂い嗅がないでください……」
 目の前で自分の下着の匂いを嗅がれるっていうのはなんか嫌悪感がある。
「私の匂いで興奮してくださって、ありがとうございますぐらいのこと言ってくれればいいのに、学習能力がないね」
「すいません……ありがとうございます。存分に嗅いでください」
 もう、これも割り切る。とにかく我慢して、早く終わらせるのだ。

「そうそう、していただいてるって感謝の気持ちが大切だよね」
「肝に銘じます……」
 そうしないと、いつまでも終わりそうにないし。
「じゃあ、四つんばいになってお尻をこっちに突き出してね。今日はいいものをもってきたんだ」
「はい……」
 私が四つんばいになると、なんの断りもなくストッキングの股の部分だけ破り始めた。はあ、これは実費だろうなあ。消耗品だし、高いものではないから、しょうがないとはいえ、仕事で何で私物を破かれないといけないのだと、とても不満。

「今日は、いいもの持ってきたんだ。ジャーン!」
「ば……バイブ」
 振り返ってみると、男性客はペンシル型の黄色いバイブとローションを汚いカバンから取り出していた。
「お、よくバイブって分かったね。これはただのバイブじゃなくて、アナルバイブなんだよぉ」
「はあ……アナルってお尻の穴」
「そうそう、ゆかりちゃんは彼氏いるらしいけど、お尻の穴は経験あるかな」
「ない! ないです」
「そうだろうね、俺はここのデパートのエレベーターガールは全員、お尻の穴を開発することにしてるんだ。未経験なんだ、じゃあ最初からだからちょっと大変だけど徐々に慣らしていくから大丈夫だよ」
 何が大丈夫なのだろうか、あれを入れるつもり。私のお尻の穴に、信じられない。入るわけがない。
「無理です、無理!」
「大丈夫、ほら小さい奴だし、初心者でも安心って取り扱い説明書にも書いてあるから平気だって」
「いや、止めてください!」
「おい、お客に向かってそんな態度でいいのかよ」
 ビシッと怒られて、私はシュンとなった。
「はい……すいませんでした。どうぞ入れたいなら……入れてください」
「ゆかりちゃんは、入れたいの。入れたくないの?」
 そういって、男はニヤニヤとローションとバイブを手に持って笑っている。分かっているのだ、私に入れたいって言わせたいのだ。さっき、ここのエレベーターガールは全員やってるって言ってたもんね。
 私はこの男性客には、逆らわないという方針を思い出して、自分の理性に従うことにした。
「入れてください……」
 そうやっていうと、男性客は口が裂けそうなぐらい気持ち悪い笑みを浮かべて、どうやら喜んでるらしかった。
「そうかー、お願いされたらしょうがないな。じゃあ、がんばって入れてみるね」
「はい……お願いします」
「大丈夫だよ、俺は経験豊富だから。ほら力を抜いて」
「ああ……」
 冷たい感触。ローションをたっぷり付けられて、お尻の穴をなじまされているのだ。男性客はまず指を一本入れて抜き差しした。
「ひゃぁ……」
 まったく経験がない私にはそれでも刺激が強い。
「指一本ぐらいで、そんな声あげてるんじゃ、これ入れたらどうなるのかな」
「ううっ……」
 私は、恐怖で顔を伏せた。壁に手をついて、壁を見ていることにした。
「ほら、そんな顔しない。指がキュって挟まれるよ、怖がって力入れると入るものも入らなくなるから力を抜いて」
「はい……お手柔らかにお願いします」
 なんだろう、まるで注射を待つ子供みたいな気持ちだ。
 男性客は順調に私の肛門をこねくり回し、指を一本から二本に変えて徐々になじませていった。
 経験豊富っていっていたのは、本当らしい。
 私は、もうとにかく力を抜いて何も考えないことにした。

「ゆかりちゃんは、うんこしてるでしょ」
「……いきなり何をいうんですか、普通にしてますよ」
「硬いときもあるでしょ」
「はい……どっちかというと便秘気味ですから」
「そうなんだ、それはよくないね。そういう話じゃなくて、まあペンシル型だし、うんこが通るならこれぐらいの太さなら軽く入ってあたりまえなんだよ」
「そういうもんなんですか……」
「女は赤ん坊産むんだろう、平気平気……それじゃ、バイブいくからね。」
「はい……」
 赤ん坊はお尻の穴じゃないだろうと思ったが、突っ込むのも嫌なので力を抜いて壁をじっと見ていることにした。
 ズブズブっと、まるで後ろから音を立てるように、バイブが進入してきた。あまりの刺激に、私の肛門は思わずきゅっと締まる。
「ああ、途中で止まった。最後まで、力抜けなかったんだね」
「はい……ちょっと待ってください」
「いいよ、初めてだもんね。こんなもんだよ」
「すいません」
「はは、面白い手を離しても、ぜんぜん落ちないよ。肛門の締まりがいいんだね」
「ううっ……」
 私は、恥ずかしくなって赤面した。
「はは、肛門がピクピクしてるよ。じゃあ、最後まで入れるからそのままじっとしててね」
「はい」
 男性客がお尻やお腹をマッサージしながら、バイブを押し付けていくと、まるで自分のお尻の穴ではないように、ゆっくりとだが、ズブズブとバイブが入っていき、ついに最後まで入ってしまった。
「おお、最後まで入ったね。おつかれさん」
「はあ……なんかすごく変な感じですね」
 お尻の穴に、太いマジックペンほどのバイブがすっぽりと入ってしまって、前にも後ろにも進めない感じだ。あまりにも、キツキツすぎてこのお尻を突き出した体勢から動けない、もう自分ではどうしようもない。
「痛くはない」
「痛みはないです」
「これ、バイブだからボタン押すと振動させることもできるんだけどね」
「やめてください!」
「アハハ、俺はフェミニストだから初めての娘にそんなことしないよ」
 喋るオニギリみたいな顔をして何がフェミニストだと思ったが、私のお尻の穴の命はこの男性客に握られてしまっているといっていい、フェミニストであることを祈った。
「お願いだから、振動だけは止めてくださいね」
「お尻の穴はけっこう柔軟だけど、切れたら痔になって大変だからね。入れた後から言うのもなんだけど、ゆかりちゃんはとても健康的な肛門みたいでよかったよ」
 振動だけは、避けられるみたいだ。そんなことされたら、お尻が壊れてしまう。この男性客が極端に暴力的でないことにだけは感謝した。

「じゃあ、そろそろ前の穴のほうもしちゃうかな」
「ああっ、やっぱり今日はするんですね」
 そういうと、男は私のあそこをクンニし始めた。
「するんですねじゃなくて、してくださいでしょ。まあこっちまでローションっていうのは味気ないし、今日はゆかりちゃんだけしかやらないから、時間はたっぷりあるからゆっくり味わってあげるよ、ゆかりちゃんのここ!」
 そういって、私の大事なところにズブッと乱暴に指をたててくる。
「あっ……」
「クリちゃんの皮も剥いてあげようね」
「ひゃあ!」
「綺麗なお豆さんだなあ、吸ってあげよう」
「ひゃい!」
 あまりのことに、足がガクガクとした。
「こらこら、あんまり暴れるとお尻のバイブが抜けちゃうよ」
「すいません……ああっ」
 入れたまま、するつもりなのか。お尻にバイブがぴったりと入っているから、身動きがとれない。
「大丈夫みたいだね、ぴっちり入り込んでるもん」
 そういって、バイブを背を指で押して、さらに肛門に押し付ける。
「うっ……そっちは、やめてください」
 ググッっと中にさらに入ってきて、私は思わず呻いてしまう。痛いとか、気持ちいいとかではなくて、とにかく強烈な圧迫感があるのだ。
「社員教育がなってないなあ……まあいいや、これからドンドン後ろの穴を開発して、もっともっとやってくださいっていうようにしてあげるからね」
「ううっ……ありがとうございます」
 そんな、馬鹿げた会話をしているうちにも、前のほうをやられまくる私。
「そろそろ、いいかな。いいねベットベトになった。結構濡れやすい体質?」
「そんなのわかりません」
「彼氏とは、どのくらいやってんの」
 これは、答えないといけないのか……。
「週に一回ぐらいのペースです」
「こんないい身体してるのに、もったいないよね。俺が君の彼氏なら毎日やるのになあ」「……ありがとうございます」
 とりあえず褒めてくれてるみたいなので、お礼を言っておけば間違いはないだろう。本心を言えば、私の彼氏はお前みたいな獣じゃないと言ってやりたいが。

「よいしょっと!」
「きゃ!」
 ズブッと、私の後ろに覆いかぶさったと思うと、男性客は亀頭を私のあそこに押し付けてきた。
 あまりにも、いきなりだったので、私はびっくりして振り返って睨みつけてしまった。怒りのあまり、お尻の穴に力が入りすぎて、少しお尻がぴりりと痛んだ。早く抜いて欲しい。
「なんて顔してるんだよ……挿入だよ、挿入」
「入れるんなら……」
「いちいち言わないよそんなこと」
 そういうと、バックから狙いすましてズブッと差し込んだ。ちょっとまって、もしかしてゴムもつけないでいれてる!
「ちょっと、ゴムもつけないで入れたんですか!」
「ふふっ、生で入れたほうが気持ちがいいからね」
「そんなぁ、私、危ない日なんですよ」
 この男性客にはこれまでいろいろと性的な悪戯をされてきたが、セックスされるのは初めてだった。だから、まさかここまでやらないだろうって自分の考えが甘かったのだ。
「ふふっ……その台詞は萌えるけど、違うでしょ。ほら笑顔で言ってみな。お礼」
 私は笑顔を引きつらせながら、なんとかいった。
「ううっ……ご挿入、ありがとうございます」
「そうそう、いいねえその笑顔。やる気が出るよ」
 そういうと、ゆっくりと男性はピストンを始めた。
「そんな、本当につけないでやるなんて……」
「俺は、ゴムつけてのセックスなんてセックスと認めない」
 中で、ぐりっと回転させながら強く押し付けてくる。悔しいけど十分にならされた、自分のあそこは感じてしまう。あくまで生物的、動物的に、しょうがなく。
 こんな変な男にやられて心まで感じるわけがない。
「あっ、危ないって言ってるのに……」
「しつこいなあ、君の彼氏とやらとは生でやってないの」
「ちゃんと、ゴムつけてしてくれます!」
「そうなんだ、彼氏は紳士なんだねえ」
 さっき、自分はフェミニストって言ってたのに、お前は紳士じゃないのかと問いたい。というか、それ以前に紳士とかそういう問題じゃないでしょう。どうでもいいから止めて欲しい、怖い。
「私たちまだ社会人になって間もないし、結婚とかもまだ考えてないから、妊娠とかしちゃったら困るからです」
 だから止めて。
「ふーん、生でやったほうが気持ちいいのにね。ああ、ゆかりちゃん。彼氏とはこれからもゴムつきでしてもいいけど、生でやるのは禁止ね」
「わかりました……」
 この男性客にそういわれると、逆らえないのだ。そんなことは、どうせ彼氏とも生でする気はなかったからどうでもいい。
 今は早く止めてもらわないと、妊娠だけは避けないと。
「それにしても、立派な胸だよね。バックでやるとでかさが際立つね。プルンプルンしてる、でけぇなあ」
 そういって、腰を止めて私の胸を両手でしごくように握り締めた。痛みと快楽がない交ぜになって、身体に走る。そして、そのたびに肛門に力が入ってしまって、お尻に強烈な圧迫感がかかるのだ。
 多分、股も締まるのだろう。男性客が歓喜の声をあげて、喜んでまた乳を搾る。しばらくそういう繰り返し……ああ、こんなことで感じている場合じゃない。
「妊娠したら困るんです、ゴムしてくれたらいくらでもやっていいですから」
「ははは……乳搾り!」
「うう……ゴムを」
「うるせえよ、気分でないだろ!」
 また怒られた。それでも、ここはしっかり言わないと。
「すいません、でも中で出さなくても妊娠の危険があるって」
「馬鹿、ここまできて中に出さないわけないだろう」
「そっ……そんなぁ」
 私の顔が見えたら、多分青ざめているに違いない。その瞬間、股間の滾りも肛門の圧迫感も、胸の感覚も消えて、頭がスーッと冷えた。
 頭では、もう望まぬ妊娠に打ちのめされている自分の映像が浮かぶ。
 だいたい、そんなことになったら彼氏になんと説明すればいいのだ。
 駄目だ、絶対に駄目ぇ!

「妊娠して俺の子供を孕めば、このウルトラおっぱいからピューピュー母乳が飛び出るわけだ。よかったなあ」
 私の青ざめた顔をみて、楽しそうに腰を突く。そうしながら、両手でおっぱいをしごく。乱暴に尻を叩く、痛い!
「駄目っ!」
「どうなんだよ、早く言わないと精子出ちゃうぞ!」
 駄目って言ってるのに!
「どうしたら……ううっ、いいんですか……あぁ」
「だから、俺の子供を妊娠するために子種をどこに出して欲しいから言えっていってんだよ」
「だから……どこに」
 妊娠するためにって、そんなの一つしかない。
「早くお願いしろ! お前のマンコがよすぎてもたねえ」
 さっきからむき出しの男性客の亀頭が、私の中でビクンビクン脈打って、一番奥をコツンコツン打ち付けてきてる。
 明らかに限界が近いんだ、こんな奥に密着した状態で射精されたら。
「うあぁ、お願いします。中に出してください」
 駄目なのに!
「はあ、中じゃなくてオマンコって言え!」
「オマンコに出してください……いぃ!」
 そうやっていったら、男性客は腰の動きをものすごい早めた。
「よし、お願いされたらしょうがないな」
「ひゃぁああ!」
「出すぞ! 孕めよ!」
「いやぁああ」
 男性客は、私をギュッと後ろから抱きしめると、おっぱいが破裂するぐらい力を込めて握り締めて、私の一番奥で精液を爆発させた。

 ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!

 私は、胸を握りつぶされそうな痛みと共に、一番出されてはいけない場所に出された熱い熱い精液の飛まつをドバドバと感じていた。
「おら、一発目!!」
「出された……出されたぁ」
「またかよ、中で出してもらってありがとうございますだろ、覚えとけ」
「はい……ありがとうございます」
「お前が出してくれっていったんだから、孕んでもお前のせいだからな」
 私はもう泣き出していた。どうしようどうしようどうしよう。それしかなかった。

「じゃあ、次は騎乗位でやるか」
「……まだやるんですか」
 もう出されてしまったので、どうでもいいけど。あーあ。
 私は、もう思考能力が低下して、頭の電池が切れたみたいになっていた。
「俺ばっか動いて疲れただろ、今度はお前が腰を振るばんだろ。寝そべるから、上にのっかれてよ」
「……はーい」
 私は、指示通り上にのっかかると、にゅぷっと挿入して腰を振ってやった。
「なかなか、うまいじゃねーか」
「お褒めに預かり……うっ……光栄です」
「オマンコはいい具合だし、腰はちゃんと自分で振れるし、お前は女として合格だな」
「ありがとうございます」
 お前の女っていうのは、それしか価値ないのかよと思ったが、言っても仕方がないし、言うべきではないし、もうどうでもよかった。後悔しかなかったから。
「しかも、乳がでかいから騎乗位にして正解だったな。乳がプルンプルン揺れるのがよく見えて楽しいぜ」
「ああっ……ありがとうございます」
 もう、お礼だけ言っていよう。そのほうが楽だ。腰を振ることにだけ精神を集中させていた。
 すると、ポロンと何か落ちて、カランカラン転がっていった。
 ああ、お尻に刺してたバイブが抜けたのか。
「抜けたか、少しは穴が広がって緩くなったのかもな」
「すいません……入れなおしますか」
「いやいい、これからアナルも毎朝毎晩欠かさず練習しろよ。そのバイブとローションやるから、それをつかってやれ」
「……わかり……ました」
 毎朝毎晩、オナニーでもないのに、アナルをバイブで広げてる自分を想像してなさけなくなった。そして、それは現実になるのだ。それより大きな問題があったので、そんな小さな羞恥など、もうどうでもいいが。
「乳ばっかに気を取られていたが、お前顔も可愛いな」
「ありがとうございます」
 今頃か。どんだけ乳好きなんだろう、もうどうでもいい。
「アイドルのなんとかってのに似てるよ、タバコと淫行で芸能界辞めた奴」
「ありがとうございます」
 そんな酷いこと言われてもお礼をいう……。
「お前とだったら、本当に付き合ってもいいかもなあ」
 そんな気持ち悪いことを言い出す男性客。誰が、年齢が二桁も上の、こんなおにぎりの化け物みたいな男と付き合うって?
「止めてくださいよ、彼氏だったら絶対こんなことしません。デパートにきてくれているお客様だからやってるんですよ」
「そうだったな。お前彼氏には騎乗位やってあげないのか」
「…………そりゃ、やるときもありますけど」
 彼氏の話をするたびに、思い出して胸が痛くなる。仕事だから、しょうがないけど彼がこれを見たらなんていうだろう。
 裏切りだよね、酷いよね、私馬鹿だよね。
 そうして、そんな私の顔色をちゃんと伺っているこの男性客はやっぱり鋭く酷い。
「お前こういうとき、彼氏にどういうキスをするんだ、俺にやってみせてくれよ」
 面白がって、彼氏のネタで遊ぶ男性客が憎らしい。
「わかりました」
 それでもやってやる、抵抗しないのが一番なんだ。もうめちゃくちゃなんだから。
 彼氏にするように、愛がこもった濃厚なディープキスをたっぷりしてやった。
 舌を絡めて上から唾液をこれでもかこれでもかと、送り込んでやった。いつもより激しいぐらい。
 ご要望なんだから、これでいいでしょう。
「ふぅ……すごいな、彼氏がちょっと羨ましいわ」
「ありがとうございます……」
「今は俺が……恋人だけどな」
「恋人じゃなくて、お客様です」
「お客様を恋人のように接客するのがモットーなんだろ」
「……どっかの消費者金融ですか」
 そう思わず突っ込みながらも、そうしないといけないんだろうなというのは分かった。エレベーターガールになってから、私はそれを、ずっと分からされ続けている。

「かがんでおっぱい吸わせろ」
「また胸ですか……はい」
 腰を押し付けて、おっぱいを顔に持ってくる。そうすると、男性客はまるでなにかに取り付かれたように左のおっぱいを弄び、右のおっぱいをすごい勢いで吸った。跡が残るぐらいに。
「乳頭にキスマークがついてしまったな」
「強く吸いすぎですよ……」
「お前、本当にいい乳だな。エレベーターにしとくのがもったいないぐらいだ」
「ありがとうございます」
 もうお礼言うのすら、疲れてきた。私は、どっちかというと持久力がないほうなのだ。
「もうすぐ、この立派な乳からおっぱいが出るんだけどな」
「……うっ、言わないでくださいよ」
 実際、こうして生まれて始めて自分の中で出されてみると、酷く汚された感があったが、本当に妊娠するようなリアリティーというのはあまりない。こうして絶望に追い落とされて、身体のスイッチを半ば切って機械的に動かしていると、もう物事がどうでもよくなって、ただ疲れている。
 危険日といっても、排卵期の只中ではないはずだ。世の中には不妊に困ってる人もたくさんいるそうだし、もしかしたら、運良くできない可能性もあるはず。
 たぶん、望まないセックスをした女性というのはこんな風に、あるいはとか、もしかしてとか、自問自答を繰り返して、一喜一憂するのだ。
 これが終わったらしっかり洗浄して、あとは。
 次の生理日が無事に来るまで。無事を祈り続けるしかない。
「ゆかり、俺のこと好きだよな、愛してるよな」
「……うーん」
 どう答えたらいいんだろう。嘘付いて、はいって言ってしまえばよかったのに。そのほうが楽なのに。
「お前は、愛しても好きでもない男の子供を孕むほどふしだらな女なのか。違うだろう、だからお前は、俺のことを好きで愛してるでいいんだよ」
「はい……お客様のことを好きで愛してます」
 ほら、こういう念の押し方をされるたびに、まるで自分の意思でいっているみたいな形になってどんなに押さえつけても、心がズキズキと痛み出す。
 それぐらいなら、心を偽って営業スマイルを浮かべたほうがどれだけ楽だろう。そう主って私は笑う、今度は上手く笑えた。
「いい笑顔だ、いい子供を産もうな。そのためにも腰をもっと動かせ」
「はい……ハッハッ……、ふっ……あっ……」
 私は、ちょうど男性客の不恰好に突き出た毛の生えた汚らしい腹の辺りを見つめながら、ただ息だけ吐いてがんばって腰を振る。もう体力がきついのだ。
「息があがってきたか、お前のマンコがいいからもうすぐだ、がんばれがんばれ」
「ハッ……がんばります」
 たまに私の腰の動きにあわせて、下から突いてくれる。
 そうとおもったら、乳頭をつまんでギュッと下に引っ張ってきたり邪魔もするのだ。
 それで、腰の動きを思わず止めると怒るくせに。
 男性客のものも、また脈打ってきてどうやらもうすぐ終わりそうだった。この悪夢も。
「おい、ゆかり。お前の彼氏なんていうんだ」
「ユキヒロ……ですけどぉ」
 必死になって腰振りに集中しているときだったから、不意に答えてしまった。考えている余裕はない、早く終わらせるためにも……腰を……あっあっ。
「よし、彼氏の名前叫べ」
「ユキヒロ! うぅユキヒロぉー!」
 名前を叫んだ瞬間に、酷い罪悪感と何故か快楽がない交ぜになって私を襲った。
「愛してるっていえ!」
「ユキヒロぉー、愛してるぅー!」
 その瞬間、なぜか私の腰は自分でも考えられないほどよい動きをした。私の頭はおかしくなって、身体は馬鹿になったみたいだった。
「あは、これは気持ちいい」
「ああっ、ユキヒロ、ユキヒロ、いくっー」
 彼氏の名前を叫んでるうちに、どうでもよくなって私は真っ白になってしまった。自分でももう何をいっているのか分からない。
「ところが、どっこいお前は俺の子を孕むんだよ」
「いやぁーーー!」
 男性客が、私を抱き寄せるようにして下から掴むと、落ちた私をしたからギュッと抱きしめて、私の唇を舐めるようにキスをした。その瞬間に、中で彼の二度目の射精が爆発するように弾けた。

 ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!

 私は出されると同時にいってしまったし、身体は気持ちよかった。
 男性の三度目とは思えない激しい射精が中で破裂したとき、私はすごく感じた。
 それは認めるしかない。それでも、彼氏の名前まで一緒に汚されたような、酷い罪悪感が私の心を打ちのめした。
 そして頭が冷えた私は、危険日に入っている子宮にたっぷりと、男性客の汚らしい精液を注がれてしまったという悲惨な事実を目の前にする。
 まだ男性客が未練たらしく、出し入れしている中、ドロドロと中で出された精液と愛液の塊が私のあそこから床に零れ落ちていく。
 あまりの酷さに、私はいつのまにか、嗚咽して泣いていた。
「なんだ気持ちよすぎて、泣いてるのか」
「うっ……うっ」
「お礼は……忘れるなよ」
「中だし、ありがとうござい……ました」
「よし、よく出来た」
 私は、疲れと嗚咽で身動きできなかった。その間、下からずっと男性客に抱きしめられていたのだった。
「うっ……うっ……」
「よし! どけ」
 泣き続ける私をよそ目に、男性客はさっと立ち上がるとするすると服を着て立ち上がった。着やすい服みたいで、最低ファッションだがその点は羨ましい。
 私も、泣いていてもしょうがないので、よろよろと立ち上がってとりあえず自分の服を掻き集めた。
 予想通り、男性客はなんの断りもなく勝手にパネルを操作して一階につけようとしている。自動停止が解除されて、ググっと動き始めた。
「終わりなんですね……」
 私は、とりあえず掻き集めた服を焦って来た。裸のまま、一階のエレベーターホールに飛び出すなど自殺行為だ。
 音を立てて、一階に到着する。
「一階でございます、本日は当デパートのご利用ありがとうございました」
 この台詞だけ、反射的に口から出る自分が悲しい。
「ふむ、気持ちのいいサービスだったよ。今日からしばらく、ゆかりちゃんをごひいきにすることにした。また来るからね」
「またのご利用をお待ちしております」
 心とは裏腹に反射的に台詞がでる、自分の声が悔しい。

 エレベーターは一階に止まったまま。私がここで停止させたのだ。普段、一階で停止させることなんてありえないけど、あの男性客が来たときは別。
 あの男性客が降りてすぐ、他の客が乗ることはありえないのだ。
 どんなに客が混雑している休日であってもだ。

 さっき、あの男性客が今日は私だけって言ってたからチーフに連絡すれば、すぐ交代を出してくれるだろう。
 そう思って備え付けの無線で連絡してみると、案の定すぐ交代を出すから、休憩室に戻っていいといわれた。
 どっと疲れて、私は自分の職場である箱の中を見回す。慌てて服を着たので、帽子とか破れたストッキングとかが散乱している。
 客が乗ってこないにしても、これは恥ずかしい。不思議なことに、たとえ客がぜんぜんこっちを見ていなかったとしてもである。

「やっぱり、エレベーターガールの仕事って辛い。どう考えたって辛すぎる!」

 そう思いながらも、私はびりびりに破かれたストッキングを拾い集めて、床に落ちた精液を拭いた。そして、汚れたストッキングでお尻に刺してたバイブとローションのビンをくるむようにして拾う。
 死ぬほど気が進まないが、これから毎朝毎晩これが刺せるように練習しないといけない。これからの日々を考えただけでも泣きたくなる。

 そうこうしているうちに、同僚の娘と一緒に清掃係の職員まで来た。
 エレベーター内の汚れを落とし、匂いなどの痕跡も消すのだろう。さすがチーフは、連絡の手際のよいことだ。
 私はもうそんなことにかまう余裕もなくて、悲痛な面持ちでこちらを見ている交代の娘にお礼だけ言うとボロボロの格好のままで、他の職員に哀れみの目で見られながら、休憩室へと駆け込んだ。

……休憩室……

「ああ、ゆかりさん。どう身体の具合は」
 私は急いで備え付けのシャワーを浴びて全てを綺麗にしたあと、何もする気力が起きずに、たった一人で、休憩室のソファーに寝そべっていた。そうしたら、様子を心配してかチーフがやってきたのだ。
 エレベーターガールのセクションチーフは、磯辺美幸という女性で二十八歳の若さで、本人も実務につきながらエレベーターガールたちのシフト管理もこなしているなかなかの切れ者だった。
 エレベーターガールのセクションに回されてきて、まだ日が浅い私も美幸チーフのお世話になっている。頼りになるお姉さんなのだ。
「うぅ……うわーん、チーフぅ!」
 私は、チーフにすがりついて泣いた。あまりの衝撃にさっきから、休憩室で一人で泣いて泣いて泣きじゃくっていたのだ。さっきは、他の職員やお客さんの眼もあったから我慢したけど。
 だって、犯された挙句に中に出されるなんて、あんまりにも酷いじゃない。これまで性的な悪戯はいろいろされてきたけど、あそこまでされるとは思っていなかった。私の考えが甘かったのだ。
「あの男性客に酷いことされたみたいね」
「チーフ……私、中に出されたんですよ……酷いですよ」
「そう……今日は危ない日だったの?」
「はい、私もう、どうしたらいいか……」
「あらかじめ通知してあるけど、あの男性客の要望で、医学的な避妊や中絶などの処置は全て禁じられているわ」
「ううっ……それ聞いたとき、こんな意味だとは知りませんでした!」
「これも、仕事のうちと諦めることね」
「そんなあ……」
 目に見えて落胆する私に、悲しげに視線を向けて、ため息をついてから、美幸チーフは静かにこう尋ねてきた。

「ねえ……ゆかりさん。私のお腹、ちょっと出てきてると思わない?」
 そういえば、最近少し美幸チーフのお腹が出てきたのは気になっていた。
 エレベーターガールの制服は身体にフィットしたデザインだし、私と違って美幸さんはとてもスレンダーなタイプの人だから、その余計にぽっこりと。
「そういえば、そのほんの少しですけど、たしかに……」
「あのね、私……妊娠してるのよ」
「あっ……おめでとうございます」
 突然のことに、そういうしかなかったが。私の言葉に、美幸チーフは顔を歪めた。
「何がおめでたいものですか。中に入っているのは、あの男性客の子供よ」
「えっ……」
「私もあの男性客に犯されて妊娠したの。逆らえないものね。他の娘も、みんなやられてるわ」
「えっーーー!」
「ほら、去年入った真由ちゃん。もう臨月で出産間近なのに、まだ仕事してるでしょ」
「何か事情があるんだろうと……」
「その事情が、あの男性客よ。生まれる寸前まで、仕事を続けるように強制されてるの」「そんな、あんまりにも酷い!」
「もしかしたら、エレベーターの中で産ませるつもりなのかもしれないわね」
「ありえない……」
「これが、エレベーターガールの仕事よ。辛いだろうけど、耐えるしかないの」
 そうやって、厳しい顔で上を向いて、下唇を噛み締めている美幸チーフの顔を見て、私はいつまでも泣いているわけにはいかなかった。チーフも私と一緒で泣いているのだ。ただ、涙を見せないだけで。
 それにしても、私はこれからどうなってしまうのだろう。


 ――中篇に続く


プロフィール

ヤラナイカー

Author:ヤラナイカー
おかげさまでプロ作家になって五年目です。
ボツボツと頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします。
(プロフの画像、ヤキソバパンツさんに提供してもらいました)



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