十章下 |
マサキの腕のなかで、芽衣子は泣きじゃくっていた。 芽衣子は、するりとパンツを剥ぎ取られて、その可愛らしいあそこがむき出しになっていても抵抗はしない。それでも、とにかく分別もなく泣きじゃくっている。 「泣くなよ……」 マサキはなさけなくいった、ただでさえ小学生に見える容姿なのだ。泣きじゃくられて幼さが強調されては、裸で抱き合っても、とても起つものではない。芽衣子は十八歳以上なのだ、都条例的にもぜんぜんオッケーなのだと自分に言い聞かせても、罪悪感は消えてくれないのでマサキは泣き止むまで撫で続けることにした。 「うぐっ……だってっ……だって」 ようやく言葉らしいものを発するようになってきたので、説得をしようと思って、それも止めた。こういうときに、理屈をいってもしかたがないことをマサキはすでに知っている。相手の心に響けばなんでもいいのだ、だから素直にいま思っていることを言う。 「あのな、芽衣子……ぼくは催眠にかかってない相手を抱くのは初めてなんだよ」 「うぐっ?」 「ぼくは怖いんだよ……初めてだから、芽衣子が嫌がってたら怖くて抱けないんだ」 「……うぎゅ」 だからとりあえずそのグチュグチュになった顔を何とかしろと、涙と鼻をやさしく拭いてやるマサキ。 「芽衣子は、ぼくのこと好きか」 「うぐ」 泣きやんで、芽衣子ははっきりと頷く。 「人を信じるって怖いよな、だけどぼくは芽衣子を好きだし、お前のいう好きも信じるからちゃんと抱くよ」 「……うん」 よくわからないが、泣きじゃくっているうちに、芽衣子の覚悟は決まったらしい。 「ぼくは、友人として富坂幸助を信じているんだ。だから、幸助くんを信じているぼくを芽衣子にも信じて欲しい」 「…………わかりました」 諦めたように、芽衣子はマサキをギュッと抱きしめて身体をこすり付けた。余りにも拙い愛撫ではあった。それでも、届かない思いを伝えるには役に立つ。 芽衣子が嬉しかったのは、たぶん好きだといわれたから。その言葉が嘘でも良かった、もうそんなことは関係なかった。自分はちゃんとマサキが好きで、彼のことを信じているのだから。芽衣子はそう思って、なんで自分が悲しかったかようやくわかった。富坂幸助を助けるための、その間に合わせに抱かれるなら、そんな自分は可哀想で嫌だなと思って泣いただけだったのだ。 マサキは、あらためてマジマジと芽衣子を見つめて、口付けをした。 「可愛いよ、芽衣子」 こんなときでなければ、死ぬほど気恥ずかしい言葉。そんなことを恥ずかしげもなく言ってしまえる人間になったのだなとマサキは心の中で強く自嘲する。それでもそう言いきってしまえば、それはそれで楽しいのも事実だった。 「うれしい……私こんな身体だから。一生、誰にも愛されないと思ってた」 結局のところ、それが巫女の修行へと芽衣子を駆り立てる原因となり、それが好意を持ったマサキの役に立つと知って、人を殺すところまで行き着いてしまったのだ。行動として昇華された女の情念というのは恐ろしいもので。 マサキはもう一度、今度は深く芽衣子に口付けして、舌を絡めるように舐め取ってやって、そういう怖い情念を受け止めるだけの覚悟はした。 催眠をかけていれば、遊びで抱ける。でも、今の芽衣子を抱くというのは、芽衣子の十八年の思いを抱いてやるということで、それはマサキにも重たくのしかかるものだ。身体はこんなに軽いのに。 マサキは、そうやって自分の上に芽衣子を抱き寄せて、首筋を舐め取るように少しずつ下にへと舌を伸ばしていく。 「あっ……」 芽衣子の身体は小さくて綺麗だ。舐めてしまおうと思えば、身体中だってすぐ嘗め尽くしてしまえるほどに。このまま食べてしまいたい、芽衣子の小さい乳頭に吸い付いたときマサキはそう思った。 「んっ……」 どうすればよいか分からない芽衣子はされるがままに、それでも言葉にならない思いを力に込めて、幸助に擦り寄るのだった。 「そんなところ……舐めないで」 「でもちゃんとしとかないと、初めては痛いからな」 もう縦筋としか見えないオマンコを舐めてなんとかできるかどうか、真剣に目測するマサキ。実はマサキは、本当の小学生も抱いたことはある。普通に犯罪者であるが、そのときの経験が生きてきそうだ。ヘタな小学六年生よりも、芽衣子のものはなかなか手ごわそうである。 マサキのモノのサイズがそれほど大きくないのが救いであろう。あとは。それこそ自然の力に祈るしかない。人間の機能はセックスできるようになっているのだと信じる。マサキが年少を相手にしてやっていたときの経験であるが、ゴムつきだと入らないと思った膣でも、生でこすりつけるようにしていると、何故かうまく入ってしまったこともあったのだ。 そこらへんは、生殖にかける人の絶え間なき努力が何とかしてくれると考えるマサキである。一度、なんとか入り込んでしまえば、あとは少しずつでも広げていければいい。 そんなことを考えながら、舐め続けているうちに準備は整った。芽衣子のアソコは、本当に味がほとんどない。とろみが出てきているので、愛液も分泌されているのだろうが、本当に愛液かと疑うぐらいに、水の味しかしないのだった。 しょんべん臭いガキというが、愛液の匂いがなければ普通は汚いことだが女性器はそういう器官なので、小水の匂いがするものだ。それもまったく無味無臭となれば、芽衣子は身体から純水しか出さないといわれても信じてしまいそうだ。 もともとが普通の生き物の括りからは埒外の女なのであろう、なにせ鬼を見分ける特別な力を持っていて、ただこの穴にマサキが欲望をねじ込んでしまえば、それを失うというのだから。特異のモノと、かかわること。宿命というものがあるなら、それがマサキの宿命であるのかもしれない。 芽衣子はすごく痛がるだろうか、すでに勃起して剥けている亀頭を芽衣子の割れ目に押し当てている。通常は催眠をかけて痛みを軽減させてやるし、戯れにわざと痛ませてもそれは催眠のコントロールの中のことで、すべてはどうとでもなるという自信の中のことだ。不安で、自信がなくて、芽衣子の硬く閉じた股の付け根を見つめながら、マサキの心は揺らぎ腰は止まる。 マサキの手がギュッと握られた。指を絡めるように、左手を右手で握り締めてくる。マサキの不安が伝わってしまったのだろう、まだ涙も乾ききっていないのに、笑顔ですら浮かべてマサキを見上げてくる。芽衣子は思いのほか穏やかな顔をしていた。 「痛くしても大丈夫……私が嫌なのは能力がなくなるだけ。それに本当は、私のほうが二歳も年上なんだよ」 そうなのだ、肉体はどうあれ、芽衣子の心と経験は十八歳なのだ。人は長じるにつれ、人生の痛みを知り強くなっていく。芽衣子の白い肌は、熱く上気して桃色に染まっていた。汗の玉が、表面ではじけるように浮いているのをマサキは舐め取る。 「んっ……」 マサキが触れたり舐めたりするたびに、熱い吐息を吐き出す芽衣子。胸が膨らみかけだって、十分なエロス。マサキを興奮させるには足る。挿入できるだけの堅さも角度も、十分すぎるほどだ。すでに射精できるぐらいに、痛いほどにマサキは勃起している。 「じゃあ、入れる」 「来て」 差し込んでみると、あっけないほどに亀頭を飲み込んでいく。あっ……これいけるとマサキが思った瞬間に、ググッと締め付けられてマサキは前にも後ろにも動けなくなる。 「これは……」 「うっ……入った?」 マサキが普段味わっている、ざらざらとした膣の肉壁の感触ではない、まるでツルツルに剃りあげられた脇の隙間に挿入しているみたいな、ただ吸い付くような粘膜と粘膜の絡み合い。なんだこれ、膣の中に到達していないってことだろうか。 そうして、入り口にぷっくりとはまり込んだ、亀頭であったがそれから先に至る圧力が強すぎて、一歩も前に進めないでいるマサキ。 「まだ、ちょっとしか入ってない……進むと痛いかも」 「たぶん一気にやってくれたほうがいい……痛くてもいいから」 そんなことはマサキも分かっている。やるときは、ひと思いにやってしまったほうがいいに決まっている。それでも、抵抗が強すぎて、マサキは進めない。たぶん……ぼくはこれ以上進んでしまうのが怖いんだとマサキは思った。 安西マサキ、高校一年生にして経験数はすでに百人以上。しかしそのスキルは、すべて催眠によって精神をコントロールしたあとの性交であった。多重に自己催眠をかけて、自分の精神を鍛え上げてきたマサキであっても、初めてはやはり怖い。その相手が、壊れてしまいそうなほど繊細な身体の芽衣子であれば、なおのことである。 「いくよ……」 「うん」 言わないほうがよかっただろうか、やっぱり芽衣子も身構えてしまって、痛みを覚悟した膣がギリギリとマサキのものを締め上げてくる。そのたびに強い刺激に襲われて、マサキのものが締め上げられて、このまま射精しそうだった。 一回出してしまえば、そういう思いもマサキによぎった。それでも、たった半分を埋めただけで、射精してしまえばせっかく覚悟を決めている芽衣子に申し訳がない。刺激に呼応するように、ドロドロと潤滑油の先走り液を吐き出し続けている鍛え上げられたマサキの亀頭だけが頼りだった。たぶん、ゴムと生で挿入のしやすさが違うのはこの違いなのだろう。ゴムの潤滑油は、無限に湧き出る天然の先走り液には勝てないのだ。 ググッと腰を押し付けるようにして、ほんの数ミリ進むだけでも「グッ! グッ!」と音が聞こえるぐらいに、お互いに衝撃が走る。それは痛みなどというものではなくて、身体の神経を通る電流のようなもので、そのたびに芽衣子の小さな身体が震えた。 マサキはただ芽衣子を押さえつけるようにして進む。熱くて堅い扉、その扉を叩き続けるマサキの息子が、もう駄目だと音をあげて射精してしまいそうになったとき、メリメリと音を立てて奥が開きだしてきた。さらに、力を込めて開いていく。 「うぐぐぐっ……」 辛そうに、芽衣子が声をあげる。一瞬、止まったがすぐに動くマサキ。目を合わせただけで、芽衣子が大丈夫だとわかったからだ。最後にぐっと力を込めて……芽衣子のトンネルの開通工事は成功した……。 初めて男を受け入れる、膣のざらざらとした感じがマサキの亀頭から陰茎にかけてを祝福するように優しく包み込んでくれる。すでに、接合部からは鮮血が流れ出していた。 「最後まで入ったよ」 「うん……ありがとう」 痛みにこらえながらも、芽衣子は礼をいった。処女を奪われて、礼を言われるのはおかしいのだが、マサキも難工事だったし、まあいいかと思う。 「ごめん……もう限界だから」 「中にちゃんと、出してね」 それだけいうと、痛みに力尽きたのか芽衣子はくたっとなった。それを抱きしめるようにして、マサキはさっきから堰き止め続けていた欲望を吐き出す。狭すぎる、膣内に全てを押し流すようなドクッ! ドクッ! と高い粘性をもった液体が流れ込んでいく。 中に出された精子たちの出口は、芽衣子の小さな子宮の中にしかなかった。マサキは止めとばかりに、腰を押し付けて、芽衣子の中に自分の精液を全て吐き出していった。これで、巫女としての芽衣子は汚し尽くされたのだった。 ドロリと引き抜くと、信じられないぐらいの量が流れ出てくる。鮮血も混じっていたが、我慢しすぎたマサキが射精しすぎたのだろう、どこまでもどこまでも精液があふれ出てくる。 「あっ……でちゃう」 気だるげに、芽衣子は股を押さえた。マサキの上で立ち上がっただけで、芽衣子の股からはドロドロと精液が流れ続けて、マサキの腹に落ちていった。マサキが、それに慌てて手元のティッシュで拭く。もう少し汚れてしまったが、布団がドロドロになってしまうのはまずい。 「ほんとに……処女がやぶれたんだよな」 精液をあらかた、出し切ってしまった芽衣子の股は、先ほど自分のもので突き破ってやったと思ったのに、まだ仄かに桃色にそまった縦筋のままで、外陰唇もクリトリスもまったく外から見えない。 マサキが不安になるのもしかたがない。 「大丈夫……だと思う。いや、大丈夫じゃないんだけど、やっぱり痛かったから」 「そうか……」 また、小さい芽衣子はマサキの上に乗るようにしてマサキに口付けた。今度は稚拙ながらに、芽衣子から舌を絡めてくる。なかなか、適応力が高い。賢い少女だなと考えて、中身は年上だからだと思ってマサキは思わず頬が緩む。 結局、処女性というのは身体ではなく心の中の問題なのだろう。とりあえず、気だるい空気を楽しんでからティッシュであらかた拭いた。お風呂に入っていくかと言われて、それは断ってマサキは帰ることにした。そうしたいのはやまやまだが、たぶんマサキが出てくるのを誰かが待っている予感が強くしていたのだ。 「一回じゃなくて、たくさんしてほしい」 マサキが帰るので、寂しがってそんなことをいう芽衣子が可愛かった。 「うん、芽衣子はもうぼくの女になったんだから、これから何度だってしてやる。とりあえず痛みが引いてから近いうちにな」 そうやって、頭を撫でてやるとくすぐったそうに、はにかむ。それを見て、やっぱり年上にはまったく見えないなとマサキは感じてしまうのだった。
マサキが神社の境内から出ると、どこからともなく現れた佐藤理沙がそっと寄り添ってきた。気配もなく現れても、きっと待っているのだろうと分かっていたからマサキは驚きもしない。 彼女の、富坂幸助を監視する役割もとりあえず終了である。きっと、芽衣子との交渉が失敗した場合を考えて、待機していたのだろう。「余計な心配を」とマサキは思ってしまうが、希がマサキの命令に絶対服従なのとは対照的に、理沙はマサキの意に反してでもマサキを助けようとする傾向があった。 「平賀芽衣子……説得できたんなら、抱く必要はありませんでしたよね」 マサキは、ぶすっとした様子で返答する。 「芽衣子は、封鬼の巫女だという意識が強すぎた。だから抱いてやって解放してやるしかなかったんだ」 「抱きたかっただけじゃないんですか」 「うるさい……」 「ロリコン」 「あのなあ……」 ここで怒ったら図星になってしまうので、マサキは無理に笑う。 「フフッ、冗談です。でもそろそろ監視役なんて端役割り当ててないで、もっと私を上手く使いこなしてくださいね」 「……この一件が終了したら」 「期待しています……あと」 「なんだ、何か他にあったのか」 予想外のことがあったかと身構えるマサキ。 「……円藤や、鳥取の家ばかりじゃなくて、たまには私の家にも寄ってくださいね」 そういってマサキと腕を組んで、微笑を浮かべてしなを作る理沙は、やっぱり注意したのに漆黒のゴスロリ服のままであった。気配を消すのが達人的に上手いからいいようなものの。あいかわらず、ありえない厚底ブーツ。こんな下駄みたいなので、どうやって気配や足音を消すのか、教えて欲しいものだ。 理沙に家まで引きづられるように歩きながら、そういえば、また家族が増えるんだよなあ。回していけるかなあと、いまさらながらに不安がよぎるマサキは幸助の心配をしている場合ではなかった。 いや、幸助のことは心配する必要なんかないんだと思い直す。あいつは、あいつの道できっと勝ってくれる。そう信じることだ。
友達を信じる、そう芽衣子に誓ったマサキであるのだから。
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