十三章下 |
「ルシフィア……俺はいまからお前を抱く」 「そんな……こんな場所でですか」 そう、幸助が言った瞬間にもうルシフィアは下着姿になっていた。服はどこかに飛び散ってしまったようだ。そう彼女の視覚からは、そう見えるのだが時間停止能力で脱がされているのである。 「それで、お前を楽にしてやるよ」 「わかりました」 ルシフィアは観念した。彼女は、いまだに幸助以外であるなら他者の思惟を探れるので、この付近に二人以外はいないとわかったからだ。そうして、いまの幸助に逆らえるわけもないので、人が居ないことにほっとしてもいる。初めて男に抱かれる場所が、屋上とは。彼女には、呆れるような気持ちもあったが、自分にはふさわしい気もした。 ルシフィアはいつも、ここから人々を見下していたのだから。 「可愛い下着をはいているのだな」 「いわないでください」 レースをあしらった高級そうな下着だが、色はシンプルな純白で肌も白いルシフィアには、よく似合ってもいる。下着の上からも、スラッとしているわりに豊かなバストや腰つきを眺めることができる。ルシフィアの肌は、当たり前なのだが日本人の肌色とは違っていて、まだ誰も踏みしめていない初雪のように白かった。 産毛までもがさらっとしていて、まるで陶器に触れたときのような滑らかな冷たさを感じるのだが。少し触っていると、その部分がほんのりと火照って熱を持っていくのを感じる。 幸助は下着を脱がさずに、しばらくそうやって抱きしめながら彼女の抱き心地をかみ締めるようにしていた。 「綺麗な肌だな……」 「それなりに、気をつけて手入れはしてますから」 混血種は美形が生まれやすいというが、ルシフィアは、だとしても群を抜いた容姿をしている。日本人である佐上の血を受け継いではいるが、宣教師の娘だったという母方の血のほうが彼女には強く出ているようだ。人の心が読める彼女であるので、自分の容姿に対する賞賛は耳を塞いでも聞こえてくる。自分が美人であるという意識は当然ながらあった。 だが、それを誇る気にはなれない。それどころか、ルシフィアが見目麗しい少女であったせいで、いったいどれだけの数の男に想像の中で手酷く犯されていたことだろう。多感な時期を迎えていた少女にとって、それは地獄というほかなかった。知りたくもないことを知ってしまう、自分の読心の力をどれほど呪ったことか。 そうして、近い親類にまで、それをやられたときにルシフィアの心は少し壊れてしまった。人に自分が美しく見えるということは、読心術と一緒で彼女にとっては酷い桎梏なのだ。だから、自分の容姿を褒められるのは、嬉しくはない。 「自分の容姿が嫌いなのか」 「……そうですね、好きではありません」 「使わないからだとおもうぞ」 「そのわりには、さっきから撫で回すだけで何もしてくれませんね……もう、たくさん他の女性を抱いているのでしょう」 そうなのだ、幸助は白人美人を目の前にしてちょっと気後れしていた。髪は梳くたびに軌跡が見えるように光っているし、美しすぎる相貌を目の前にしていると、そんなつもりはなくても、触れて汚してしまうのがもったいないように思えてしまう。 「お前は、特別だからな……」 「肌や髪の色が違うからですか……すいません。私は日本人のつもりなんですけど、遺伝ばかりはどうしようもないですので」 そういわれて、そういう気後れもあるのかと思った。そんなつもりはなくても、人間初めて手をつけるものというのは、躊躇ができてしまうのだろう。 「いや、同じ女だろう。それは、変わりはないさ」 そういって、ブラを背中からはずすようにしてやる。触り心地が上質な素材だろうと、ブラのダブルホック自体は別に変わらないようで、すぐにはずせた。やはり、日焼けは一切していない白いおっぱいが露出した。乳首が、申し訳ないほどに淡くピンクに染まっているように見えた。 こういういやらしい部分までもが、神々しいとはな。少し笑えてしまった。 幸助はそうして覚悟を決めると、乳頭に武者ぶりついていった。ピンクの控えめな乳頭を強くひねり上げるように、弄る。汚してしまえばいいのだ、一度手をつけてしまえばあとは気後れなど関係ない。 「うっ……」 「痛いか」 「少し刺激が、強すぎたみたい」 「そうか、もう少しやさしくする」 そうやって、今度は首筋からゆっくりと舌を這わせるようにして肌を唾液で汚していく。幸助の舌が通った部分だけは、もう踏み鳴らされた雪のように、自分のものになっていくという実感を味わうことができた。 「くすぐったいですね、それに……」 「んっ」 「こうやって口で言わないと分からないって言うのはやっぱり不便ですね」 「するときに、そんな感想を漏らすか」 チュパっと吸い付くようにしてやると、乳頭が早くも立ち始めた。こうして自分で弄っていても、いやらしいというより、美しいと思える曲線。感度も反応は悪くない。 「すいません、雰囲気がでませんか」 「こんな場所でやり始めてる俺がいうことではないがな」 そういって、柔らかい唇を吸うように口付ける。 「あっ……」 「んっ」 「すいません、初めてでしたので」 「そうか、すぐになれる」 慣れてもらわなければ困る。幸助がこの濡れ場にあっても、執拗に自分の冷静さを保とうとしているのは、やるべきことがあるからなのだ。じっくりと、心を込めてルシフィアを愛撫する。いろいろと文句をいうわりに、ルシフィアは撫でられて結構まんざらでもないようだった。 「さてと……」 「いっ」 下着ごしに太ももの間に手を差し入れる。 「少しは濡れてきたかな」 「……恥ずかしいものですね」 「いやか」 「いえ、続けてください」 幸助は腰に手をかけるようにして、下着に手をかける。さすがにシルクで出来た下着は、肌を滑るようにするりと脱げる。ルシフィアは抵抗はしなかったものの、何故かとっても真っ赤になって顔をうつむいている。 「どうした……」 「はっ、恥ずかしいんですよ!」 そうかと幸助は気づく。時間停止で犯したり、もう半ばレイプ同然でしか女を抱いたことのない幸助なので、そういう心の機微がわからなかった。これで恥ずかしがるなら下の毛も金髪なんだなと幸助は思ったが、それはいわないほうがいいようだ。 「もうしばらく、辛抱してくれよ」 「はいっ……」 ルシフィアは立ったまま俯いて、じっとしている。かがんで股の付け根をいたぶっている幸助は、何故かとても悪いことをしている気持ちだった。白くて美しいものだからかな、だからそれを汚すのは心が痛むものなのか。 ただ、ルシフィアは眉を伏せて、じっと耐えているようだった。幸助にふっと、弱気が走る。ここまでしておいて、躊躇は許されるものではない。やりきること、湿り気は十分とはいえない。 その柔らかい肉を、味わうようにして舌を這わせていく。手で弄るのがためらわれたので、舌で弄るように仄かににじみ出る汁を味わう。この味は人種に大差ないようだった、同じ胸が熱くなるような深みのある女の味がする。舐めれば、舐めるほどに湧き出てくる女の身体はまったくよく出来ている。 「ふう……」 「うっ……」 前戯はやり始めるときりがない。これぐらいにして置こう。さて、ここからだな。そうして、幸助は心に決める。 わざと時間を停止させて、幸助は服を剥ぎ取る。ルシフィアには、一瞬で服が脱げたように見えた。簡単にやっているようで、時間停止にはいちいち体力を使うのだが、行為に至るまでの雰囲気をそがないためだけに、幸助はそれをやるのだ。今回は能力を使い切る気持ちでやる、まず一回完全にルシフィアを落としてしまわないことには、幸助の考えてることはうまくいかない。 「ふっ……いくぞルシフィア」 幸助が軽く、腰に手を回して胸に手を触れただけで、ルシフィアは強い快楽を感じて腰が抜けてしまった。 「ひゃああ……なっ、何したんですか」 「いいだろう、時間を止めている間にだいぶ愛撫してやったのを一気に感じるのは」 時間停止というのは、こういう使い方もできる。 「立ってられないです」 フェンスに手をついて、何とか持ちこたえようとするルシフィア。それに構わずに、幸助は勃起したものをルシフィアの濡れた女性器にこすりあわせるようにする。徐々に、閉じていた肉門が押し分けられるようにして開かれる。 「痛いのはきっと、最初だけだからな」 「覚悟はできてますから……」 ザクッと、腰を突き上げるようにして幸助は挿入した。ほとんど抵抗もなく、幸助のものはメリメリとめり込んでいって、処女膜は裂けた。一瞬、中に強い痛みを感じたが、それもすぐに快楽に変わる。 「どうだ……」 「痛いけど……ジンジンしてるけど、なんかへんな感じです」 「まだ、足りないのか……じゃあこれならどうだ」 「あっ……なんか!」 ルシフィアは、感じたことのない快楽に身体がはじけるようになって、ついにフェンスにからめていた手を離してしまった。がくっと、幸助に抱きかかえられるようにして身体を支えられる。 抱きしめられるように、腰を突き上げられて、ルシフィアは快楽で頭が真っ白になった。 「さすがに、これだけやればいったか……」 「あっ……あっ!!」 「時間停止はこういう使い方もできるんだ、停止した世界で破瓜の血も痛みもなるべく取り除いてやったんだよ、代わりに俺はかなり時間を消費したがそれだけの甲斐はあったか」 「うっ……あっ……ありがとうございます」 「俺が出来る気遣いはこの程度のことだ」 あとは、幸助はもう動いている世界で行為に没頭する。かなり体力を消耗して、停止した世界で休憩も挟んでのことだ。強い刺激に射精しなかったのは、幸助がセックス自体に手馴れてきたというのが大きい。 なるべく、ルシフィアには連続して快楽を与えなければならない。せめて、まともな思考ができないぐらいには。打ち砕いてやらなければことはなせない。 強い快楽に打ち震えるように、すでにルシフィアはまともに声も出せずに幸助に抱きかかえられるようにして打ち震えている。 ドンッと強く腰を打ち付けてやって、幸助は中に射精した。 「あっ……いま中に」 「そうだな、だが一発では終わらんよ」 我慢に我慢を重ねた、射精であったので打ち上げるようにドピュドピュと射精してもそれで萎えることはない。むしろ射精の瞬間の強い快楽よりも、長いことやっている中で射精し終わったあとに陰茎に感じる鈍い快楽が、幸助にとっては気持ちがいい。 「あっ……またっ!」 そういうと、ピクピクと痙攣してルシフィアはまた力が抜けた。こうなってしまえば、可愛らしいものだった。 「そろそろいいかな、マサキ出てきてもいいぞ」 「……まっ魔王! 力がはいらなっ……見ないで!」 安西マサキは、静かに隠れて二人の交合を見ていたのだ。すでに彼も痛いほどに興奮している。「女は国産にかぎる」じゃなかったかと突っ込みたいのだが、まあ他の人のセックスを覗き見ての興奮は別腹なのであろう。 ルシフィアは、マサキにも封鬼の守りがかかっていたので、思考を読めずにそこにいることに気がつかなかったのだ。そうして、この瞬間に彼女は幸助の心だけではなく、マサキの心も読めなくなっていることに気がついたのである。 「ルシフィア……君には、マサキくんも受け入れてもらわなければならないからな」 「幸助さんだけじゃなくて、魔王の心まで私は読めなくなっていたなんて……ううっ、全部見られて……こんな恥辱……です!」 マサキは静かに近づいてきて、黙って立ち尽くしている。いつもは状況を主導する彼だが、ここは幸助に任せようと思っているのだ。 「ちなみに、ルシフィアが読めないのは俺とマサキの心だけだ。封鬼の能力者がいたんだがな、マサキがその能力者から能力を奪い去ってくれたんだぞ」 幸助は、平賀芽衣子がとは絶対にいわない。それを言うとルシフィアは芽衣子を殺すかもしれないからだ。「念のために」で人を殺せる人間というのが存在するというのを幸助は知ったから。その相手は、他ならぬ芽衣子だというのが皮肉なのだが。マサキが、芽衣子を抑えられるというのなら、それを信じて幸助は万が一にもルシフィアに手出しさせるわけにはいかない。それが、幸助の友情だ。 「魔王が……信じられないです。せっかくの私に対する対処法なんですよ」 ルシフィアは、マサキを自己の快楽のためにしか動かない小人と見ている。それは決して間違いというわけではないのだが。 「信じてくれなくて結構だが、別にお前のためにやったわけではない……幸助くんに敵対しそうになったから消しただけだ」 「魔王、あなたにとってはいい手駒になったのではないですか」 「数ある手駒と、唯一の友達……どっちを取るかなど考えるまでもない」 そう、マサキは力強く答える。その言葉の響きに、なぜかルシフィアは納得したようだった。心を読まなくても、彼女には理解できることがある。それは孤独という慣れ親しんだ感情。マサキが孤独のなかで、幸助にだけ縋りついたというのなら、それはまったく自分と同じで、愚かで憎らしい男だと思うがそれだけには同情できた。 もちろん、マサキはそんな同情をされていたと知ったら怒るだろう。最低の環境から這い上がってきたマサキの絶望と、恵まれた環境にあるルシフィアの歪んだ選民意識を同じ孤独としてしまうのは余りにも酷いからだ。生まれから、環境から、まったくそりが合わない二人であって、自分の戦力を削りたくないという打算さえなければ、幸助のことがなくてもいずれはぶつかり合っていたに違いない。 そうして、そういう木と竹というまったく材質の違うものをつなげようというのが幸助なのだから、こういう場所を求めたわけだ。すでに、マサキは幸助の意思であるならと積極的な休戦に同意している。 そうして、ルシフィアもまたこうまでされては、認めざるを得なかったのだが……。
「というわけで、後ろからマサキが犯すから」 「ちょっと……まってください!」 ルシフィアが慌てて遮る。なんでそれが、こういうことになるのか理解できない。 「んっ、いやちゃんと時間停止で処理するから痛くないよ」 「いやっ、私は幸助さんのためなら魔王との休戦には同意しますけど」 「むしろ、ちゃんとやれば気持ちいいと思うよ」 「いやっ……だから協力してもいいですけど、そうじゃなくてそれは駄目です!」 「言葉だけじゃなあ、君は体感的にマサキを嫌ってるみたいだし、こうやって示すほうがわかりやすい」 「駄目! 駄目! もう見られてただけでも恥ずかしいのに、おねがいですから……」 こうして、幸助に抱きつくように身体を押し当ててマサキから身体を隠すしかないルシフィアなのだ。後ろからって、3Pということなのだろうか。経験のないルシフィアだが、彼女は人の思念が読めるので性知識はものすごい量がある。当然、どうやるかもどうなるかも具体的に理解していたが、実際に目の前にそれを出されると合意できるわけがない。 そうルシフィアが思考したとき、また自分の中でムクムクと幸助のものが広がっていって強く突き上げられたのを感じた。そう、思った瞬間に快楽の中に快楽が爆発した。もう上限がないと思っていた快楽の、壁が突き破られてさらに頭を真っ白に染め上げる。 「ふぁぁぁあああ」 という、声を自分があげたかどうかも分からない。ただ、ルシフィアはもうその段階で自分の持ち上げられている身体の重みすら感じなくなっていた。身体の何億という細胞の全てが快楽に打ち震える。 「どうだ……女性は限界がないというから十回ぐらいやってみたんだが」 返答はなかった。ルシフィアはまったく四肢の力を抜ききって、たまに身体を痙攣させているだけだった。目はうつろで、あらゆる苦悶から解放されたようにほうけていた。口は半開きで、涎が少し垂れていた。それが可哀想で、涎を舐め取るようにして幸助は口を重ねてやる。 それすらも、いまのルシフィアには快楽に変換されるようで、どうしようもなかった。人の感じるオーガニズムのちょうど限界ラインを飛んでいるのだ。恥ずかしいとか、嫌だとか、駄目だとか、人間的な思考ができるところにもはやいない。ただ、喜びに打ち震えながら、快楽の大波が去ってくれるのを祈って待つしかなかった。 「マサキ、準備は整えてあるから、挿入できるぞ」 それは、やはり時間停止させてやったのだろう。幸助が、ルシフィアの白いお尻をマサキに差し出すように抱え込むと、桃色の肛門が姿を現した。日本人とは違う、薄い色素だからその排便のための穴は、まるで開きかけた蕾のようにマサキには見えた。 マサキには否やはない。ズボンとパンツを下ろして、自分の勃起したものを押し込むようにする。幸助の完全なアシストがあるからだろう、経験もないはずのそこは見事に幸助ののものを、メリメリと飲み込んでいった。 「どうだ?」 幸助が聞く。ルシフィアは「うっ……うううっ」とうなり始めたので、きっと新しい快楽の波に耐えるのに精一杯なのだろう。マサキ自分にへの問いかけだと気がついて、慌てて答える。 「ああっ、いい具合だ。ぼくはアヌスはあまりやらないんだが、意外に具合がいいものなんだな」 「そうだろう、といっても俺もそんなに経験ないんだが」 「少なくとも、お互いに3Pは始めての経験だろうな」 「ははっ、違いない」 そういって、談笑する二人にようやく意識を取り戻したルシフィアが叫ぶ。 「私を……私を挟んでおかしな会話しないでくださいぃ! ああっ!」 ルシフィアはなんとかそれだけ叫んだのだが、まだ足りなかったのかと、後ろと、前からまるでおしくら饅頭のように自分の穴をごりごりとこすられて、またルシフィアは大きく目を見開いた、呼吸が止まった。死んだかと思ったが、その代わりに心がどこかに吹き飛んだ。 自分をもう止めておくことが出来ない。頭の片隅の消えかかっているルシフィアの理性は、せめて、気絶できればと思ったが、快楽も苦痛もあまりにも強すぎると逆に気絶することができないものなのだ。むき出しの神経を、グリグリと擦られるような残酷な快楽、脳の芯が膨張していまにも爆発しそうな悦楽に、ルシフィアはもう考えるのを諦めた。 あとは、動きが止まったときはまるで笛のようにヒューヒューと息をして、動いたときは「ああっ」とか「ううっ」とか、唸るだけの生き物に成り下がってしまう。頭ではなく、子宮と内臓と穴が身体を動かしているような生き物に。 これまで、保っていたいろんな拘りが次々と、この真っ白な快楽で吹き飛んでしまうのを感じていた。身体に覆っていた自分の殻を割って、飛び出してしまいそうな意識の広がりを感じて。その中では、すでにそれが快楽という知覚もなかった。ルシフィアは潮騒に遊ばれるように、ただ自由に宙を舞う。 「わるい、ちょっと早いんだがもう射精してしまいそうだ」 「いやっ……俺は時間止めて調整してるから、実はもう何度も出してるんだ」 「ううっ……ほんとに無理だ」 「こっちはそっちのタイミングにあわせるぞ」 「お尻の中に出してしまっていいのか」 「いや……もうルシフィアに聞いても反応ないと思うぞ」 「すまん、そろそろ」 「よし、こっちもいく!」 すでに息も絶え絶えのルシフィアの中に、前から後ろから奥深く突き刺さっている陰茎がぷっくりと膨れると、その瞬間にドクンッ!と彼女の奥に向かって、液体が噴出された。マサキは、初めての射精で、幸助は何度目かの射精だった。直腸に吐き出された精液はドロドロと、ルシフィアの中の内臓を駆け上っていく。そして、幸助の出したものはさらにルシフィアの子宮めがけて、駄目押しのように白濁液を吐き出した。 マサキと幸助はルシフィアの裸体をぐっと、押し付けるように抱きすくめたのだが、それでも射精の瞬間に感じ取ったのかフルフルと打ち震えて、彼女の身体は必死に抑えてないと、どこかに吹き飛んでいきそうだった。 三人が動じにふぅーと息を吐く。特に幸助の疲労の度合いは激しく、限界に近かったがそれでも一人でルシフィアの身体を持ち上げるようにする。それを見届けてマサキは、自分の物を菊の門から引き抜く。肛門は遮るものもなく、テラテラと光るその穴からドロドロとマサキの出したザーメンがコンクリートの上に流れ落ちていった。 マサキは、ズボンをあげて、どこから取り出したのか、タオルケットを何枚も引いていく。ここに降ろせということなのだろう。友人の準備の良さに感謝しつつ、ぐったりとしたルシフィアの身体をようやくに降ろすと、そのまま自分も倒れていきそうな身体を、持ち直した。幸助が何回も出して、ルシフィアの股からどこまで溢れ出ている混合液を見つめながら、よくこんなに出したなと自分でも呆れる。 気を持ち直して立ち上がろうとすると、幸助は頭の焦点がずれたように一瞬、クラッとふらついた。正直限界……。 「ははっ……無理しすぎだよ幸助くん」 そういって、持ってきたタオルを差し出す。幸助の身体は、もう汗まみれだった。一体どれほどの時間を使ってやったのだろう、たぶんこの一時間ぐらいの間で、幸助は一日以上の時間を費やしたのだろう。そうマサキは幸助の身体から立ち上る湯気を見ながら、推測していた。 「タオルまだあるか……ルシフィアの身体も拭いてやりたい」 「ああ、まだあるから置いておく」 「準備がいいんだな」 「いや、ぼくはこういう学校でも、機会はたくさんあるからな」 「はは、盛んなことだな」 「お互いさまだろう……シャワーを使うなら、体育館のほうを今日は使えるように話をつけておくからな」 「ああ、何から何まですまない」 「じゃあ、俺は行く。充分な仕返しをさせてもらったのはいいが、いまルシフィアが正気を取り戻したら、ぼくはなにされるかわからないからな」 「すまない、大丈夫なように話しはつけておくから……またな」 マサキは、去っていく。もちろん、万が一にも屋上に人が入らないように差配だけはしておくことも忘れないのは、神経質なマサキらしい。 幸助も疲れきって、ルシフィアの横にどっかりと身を横たえてしまう。そうしてしばらく横で、荒い息を吐いているルシフィアの身体を大きなバスタオルで拭くようにしながら、いつのまにか幸助も意識が遠のいて行きそうになる。幸助が、横に寝ていて感じる生きている女性の鼓動と暖かさは、ルシフィアが感じたような自分を見失いそうな強い快楽ではなくて、もっと穏やかで優しい感触で。 学校の屋上からふと見上げた空は、どこまでも広くて青くて、どこからか初夏の生い茂る青葉の香りが流れてきた。そよそよと爽やかに吹き通っていく風は、火照った身体を冷ましてくれる。幸助は、しばらく。あるいはこのまま永遠に、気持ちよい気だるさに包まれていたい気持ちだった。
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