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E小説(中出し・孕ませ・時間停止・催眠・環境変化など)
エロ小説のサイトですので18歳未満の方はお帰りください。傾向はマニア向け、作品中のほぼ100%中だし妊娠描写、付属性として時間停止・催眠・環境変化などです。
第十章「アカウント・ブルー」
 プルルルルル……プルルルルル……
(電話……?)
 気だるい、未央の頭はまだボケッとしている。
 そうかあのまま眠ってしまったのかと思って、未央の目は覚める。

 プルルルルル……プルルルルル……
 私は昨晩、ついに自分の快楽に、自分の中の悪魔に負けてしまったんだと思い出して。
 未央はベットからがばっと起き上がって、つんのめりながらも電話にとりつく。
「はっ、はい……汐崎です」
 もう、誰から電話か分かっているのに。
「未央さん……あれほどいけないといったのに、やってしまいましたね」
 どうしてわかったんですかと聞く必要もない。
 祓魔師さんは、未央のことを何でも知っているのだ。
 そして祓魔師さんのその静かな口調が、責めるように聞こえるのも、きっと未央の気のせいではなかった。

 禁じられた快楽に身を任せてしまえば、あとに残るのは快楽の残滓と、後悔だけだ。
「とにかく行きますけど、何時ごろ行きましょうか」
 そういう祓魔師さんに、未央はすぐ来てくださいと答えた。
 電話の近くに置いてある目隠しを手にとって、インターフォンの前にたったものの寝巻きのままの自分に気がついてなさけなくなる。
 着換えるほどの気力も時間もない。
 未央は途方にくれていた。
 悪魔に負けた未央は、これからどうなってしまうのだろう。

     ***

「未央さん……あれほどいけないといったのに、やってしまいましたね」
 冷静な口調を装って、祓魔師こと御影秋人は内心、笑いを堪えるのに必死だった。焦らし作戦が、これほどうまくいくとは。
 秋人のシミュレーションも、なかなか馬鹿にしたものではない。
 秋人は自信を深めたが、マンションに向かいながら、いよいよこれからだと気を引き締める。
 マンションの前に立ち、未央の様子を観察する。落胆しているようだな。目隠しは……よしよし、している。
 いまなら、きっと秋人の言いなりになるはずだ。
 ここまでは順調。長い時間をかけた、作戦の成否がもうすぐ決まろうしている。

 いつもの、汐崎未央の部屋。まだ朝といってもいい時刻で、外は空は雲ひとつない青天だというのに、ここには重い沈黙が支配している。
 ああそうかと、秋人は思う。未央は、目隠しをしているから晴天は見えまい。秋人と会っているときだけは、彼女は目隠しによって闇に落とされている。
 きっと、彼女のやってしまった感と、その闇はフィットしているに違いない。
「あのう……」
 ようやく、重い沈黙のカーテンを押し上げるように未央が声をかける。
 黙っていたら、秋人がそこにいることすら未央には感じられないのだろう。
 声と共に、不安げに手を指し伸ばしてくる。掴んでやりたい気持ちを抑えて、秋人は宣告してやることにした。
「これで、未央さんの子宮の中に、バアル・ゼブルが入ってしまいました。このままいくと、貴女は悪魔の子供を身に宿すことになりますね」
「そんな……そのなんとかなりませんか」
 差し出した未央の手が震える。
「未央さんは自分から、悪魔を受け入れてしまったんですよ。まずそのことを深く反省してくださいね」
「ごめんなさっ……わたし……がまんできなくて」
 秋人に冷たく突き放すように宣告されて、ようやく実感が湧いてきたのか未央はしゃくり上げて泣き始めていた。
 目隠しをつけているから、見えないけれど、そのうち涙が垂れてくるに違いない。
 いいぞ、いい感じに追い詰められているなと未央の様子を見て、秋人は喜ぶ。もちろん、それを表面上に出したりは絶対にしないが。
「ふうっ……どうにかできないというわけじゃないんですが……あの方法は解決にならないような……しかしなあ」
 秋人はわざと小声で、躊躇するように言いよどむ。いささかわざとらしい。
「何か方法が! わだじ、わたし悪魔のごどもなんてうみだぐないでず……」
 グズグズと泣きながら、未央の身体にすがり付いてきた。鼻水まで垂れているのもかまわずに、秋人に向かって飛び込んできて顔をすりつけてくる。
 目隠ししていてよく秋人のいる場所が分かるものだ。苦笑していても、抱きついてきた未央の身体を払いのけるようなことは、秋人にはできなかった。
 未央を限界まで追い詰めてから、救いの手を差し伸べてやる予定だったのだけどな。
 なかなか現実は、思ったとおりには動かないものだ。

「解決策というわけではないんですよ。一度入った悪魔はどうしようもないんですが……逆に子宮の中に天使の種を入れることで、悪魔の種を死滅させるという手があります」
「それ……それ、お願いします」
 がしっと、秋人の身体にすがり付いてくる。抱かんばかりだ。
 抱き返してやりたい気持ちを抑えて、秋人はため息を入れて、ゆっくりと言葉をつむぐ。
「意味がわかっていってるんですか、それは悪魔の代わりに天使の子供を妊娠するってことなんですよ」
「それで、それ……ええっ……えええっ!」
 ひっくり返りそうな叫びをあげた。そりゃそうだろうと思いながらも、秋人はその激しい勢いにビクッとする。
 ここで毅然としないと駄目なんだろうなと秋人は気合を入れなおす。
「よく考えて決めて下さい。もうここまできたら、悪魔の子供を妊娠するか、天使の子供を身に宿すか……二つに一つです」
「そんなあ……ううっ……」
 未央は、抱きついたままで顔を伏せて秋人のお腹に埋めた。
 秋人がどんなに酷い男だといっても、こうやって胸の中で泣かれては可哀想だと思わないわけがない。
 それでも、こういう説得の仕方をしなければならない。
 秋人の精液を股になすくってるんだから、確率はそう高くないだろうが、既に未央は秋人の子供を妊娠する可能性がある。
 それが『悪魔の子供』だとして、これからセックスして孕ませる予定の子供が秋人のいう『天使の子供』というわけである。そうやって嘘に嘘を重ねたうえで、秋人の子供を孕むかどうかは、未央に選ばせようというのだ。
 それしか、選びようのない選択肢を使って。
 それは、卑劣の上に卑劣を重ねるような酷い行いだといえる。
 まさに俺は悪魔だと秋人は自分でも思う。

 ずっと秋人の胸の中で、未央は身体を震わせて泣いていた。すでに、目隠しは内側から涙でベトベトになって、頬に涙が伝って秋人の胸を濡らした。
 それ以前に、未央の鼻水でベトベトになっているんだが、それぐらいは我慢すべきなのだろうなと秋人は自嘲する。
「大丈夫ですか……」
 未央の艶やかな髪を優しくなでてやる。
「うぐ……ずびません」
 それぐらいしか、加害者の秋人にしてやれることはない。欺瞞と罪悪感。それがない交ぜになったような痛い気持ちで、泣き伏せている未央の姿にそれ以上の快楽を感じても居る。
「選べって言って、すぐ選べるような選択肢ではありませんよね。だから言いたくなかったのですが……あなたのお腹にはもう既に悪魔の種が潜伏しています」
「ずいません、私が悪いんですから。気を使わせて」
 ようやく落ち着いたらしい。たぶん泣き止んでいる。それでも、未央は顔をあげない。
「天使の種を入れ始めれば、悪魔の種は押さえ込めるから心配ありませんが、そうなるといずれは天使の子供を身に宿すことになります」
「天使の……天使の種を選んだら、お母さんになるんですか、私は」
「人間の子供と何も変わらないですよ……少なくとも外見上は普通の赤ん坊です」
 そういいながら、秋人の子供ならもしかしたら、似たような能力を持つ人間に成長する可能性もあると考える。秋人の両親も、ごく普通の人間のはずだったのだが。
 こんな力が、秋人一人で終わるのだろうか。遺伝する可能性もあるかも。
 そうすると、秋人は本当は人間ではないのか、もしかすると悪魔か天使の血族だったりすれば、不思議な能力の説明がつくのではないか。
 いつしか、そんなことを考えている自分に気がついて、秋人はおかしくなってしまう。
 自分でついた嘘に、飲み込まれてたら世話はない。
「分かりました……もう、しょうがないです」
 未央の諦めがあまりにも早くついてしまったので、拍子抜けしてしまう。
「いいんですか、考える時間ならまだありますが」
「いいんです。悪魔か天使なら……天使の種にします」
「……そうですか」
 もっともっと、迷って悩むのだと思っていたのに、意外とあっさりと決めてしまえるものなのだなと、秋人は未央に感心する。こんなに小さい女の子なのにと、尊敬に近い気持ちを覚える。
 そうして、秋人はこんな女の子を騙して犯しているのだ。
 何が悪魔、何が天使だろう。あまりにも俗物過ぎる自分ではないかと、自嘲の笑いが浮かぶ。
 そんな秋人の口元に浮かぶ声のない笑いを、目隠しされている未央は見ることがない。しばらく、二人は物言わずに、寄り添っていた。
 都会の喧騒が届かない未央の家は、時が止まったようだった。

     ***

 天使を降ろす準備をするために時間が必要だと、未央の家を飛び出た秋人。
 秋人の手には札束が握られている、気がついたように慌ててそれをバックにしまう。
 強い罪悪感からお礼をこれ以上受け取るのは遠慮しようとしたのだが、今日の未央は強引で縋るように、お金を握らされたのだ。
 そうなってしいて、断る秋人ではない。
「俺も、意気地がないな……」
 秋人は近くの小さな川の土手を歩いている。明るい外の空気、静かに流れるせせらぎは、秋人の心を落ち着かせた。
 その場でやってしまえばいいものを、覚悟を決める準備が必要なのは秋人のほうだ。
 予想よりも、早く未央が覚悟を決めてしまったので。
「言い訳だな」
 土手を下に降りていき、護岸ブロックの縁に座り込んで、せせらぎに顔を映す。
 川の流れは、ここ最近ぐっと綺麗になった。都会では死滅したと思われていた、メダカもトンボも、水質が綺麗になれば戻ってくるという。
 せせらぎに写った、秋人の歪んだ顔は相変わらず太く醜い。
 その自分の顔を見て、秋人は諦めにも似た、ため息をつく。これが現実だ、汐崎未央とはつりあう男ではない。
 ふっと、秋人の後ろに人影が写る。
(未央……)
 声は出さなくても、そういう形に秋人の唇が動く。
 驚きはすぐに理解に変わる。
 ふっとため息をつくと、秋人は諦めたような、どこかほっとしたような気持ちで振り返った。

 漆黒のゴスロリ服。オカルト一色の未央の家だとあまり気にならないんだが、外でみるとそれは装飾過多な真っ黒いドレスのようで、異様の一言に尽きる。
 家の近くとはいえ、よくこんな格好をして街を歩けるものだ。これから社交界にでも行こうっていうのか。
 そして服と同じぐらい黒々とした硬質の長い髪。久しぶりに日に当たったであろう青白い肌は、まるで陶器のような光沢をしている。
 それなのに、唇だけは紅も塗っていないのに鮮やかな赤だった。
 そうして、磨いたガラスのような澄んだ瞳が秋人を不思議そうに見つめている。
 秋人をその視線から守っていた目隠しは、ここにはない。

「よく……」
 形のよい未央の唇が小さく開いて言葉をつむぎだした。
 秋人は、すでに諦めていて、むしろ楽になったような気持ちだった。
 どうしてかは分からないが、未央にばれたと秋人は思ったのだ。
 だから、次の未央の言葉が自分を断罪するのを、少し微笑みを浮かべて待つ。それは心地よい痛みだ。自分の中の悪魔のような心から、解放される至福。
 秋人の罪と、未央の悪夢は、終わったのだ。

「よく……あの……よく、来るんですか」
「……はい?」
 秋人はその未央の意外な言葉に、呆けたように聞き返した。
「あの……すいません……前にもここに来てましたよね」
「ああ……はい」
 なんなのだと秋人は思った。たしかに前一度ここで未央と顔をあわせたことがある。どうしても目隠しをしていない普段の未央が見たかったから、未央の外出に合わせてそっと見かけたのだ。
 他人だから通り過ぎる未央を見送るだけで満足した。

 秋人が祓魔師だと気がつかれていない?

 だったら偶然、秋人に未央が声をかけたというのか。それはありえない。醜い秋人が通るだけで、みんな嫌なものを見たという表情で目をそらすというのに。未央が、何の用事があって秋人みたいな醜い男に声をかけるというのだ。

 だから秋人は、未央が分かっていてわざと自分を弄っているのだと考えた。あるいは、そこの草むらにでも警察を潜ませているのか。そんな邪推すら浮かべながらも、秋人の心は落ち着いていた。
 無言、せめて最後まで笑っていようと秋人は思った。こうなってみてから気がついたのだが、秋人はもう逮捕されるとか、裁かれるとかは不思議と恐くなかったのだ。
 それはいざと覚悟を決めれば秋人は能力者だからということもあるのだが、その何倍もぎこちない笑みを浮かべて立っている未央に、どう思われているかだけが恐ろしかったから。そのほかのことは、秋人にはもうどうでもよくなっていた。

「……私ね。死のうと思ってたんですよ」
 無言で、秋人の後ろに座り込んだらしい未央は、唐突にそんなことを呟いた。
「はい」
 いきなりこのセリフは、超危ない電波女だと誤解されても仕方がない。
 普通の人ならビビって、早々に逃げ出すかもしれない。秋人は未央のことをよく知っているから、それほど驚きもしないが。
「すいません、急に、こんな、変な話を、知らない人に……おかしいですよね」
「いいですよ、聞きますから。全部話してください」
 声がいつも話している祓魔師と同じだから、未央が気がつかないはずがないと秋人は思っている。それでもばれてない可能性を考えて、声のトーンを微妙に変えたりして、どこまでも往生際が悪いのが、この秋人という男なのだが。
「……ずっと、この川を見るたびに死のうと思ってたんです」
「ふっ……ふむふむ」
 やっぱり、自殺願望の話からやり直すのかと苦笑する。未央にとってはそれが大事な話なのだろう。電波かどうかは別にして、やっぱり変な女の子だ。
 普通の会話はぎこちないくせに、こういう危ない話になると妙にハキハキと澄んだ声で楽しそうに話すのが、秋人の知る汐崎未央という女だった。
「でも、家に帰るとやっぱり生きていたくて。ずっと、その繰り返しで」
「……ありますね、そういうこと」
 若い頃は、そういう虚無感に襲われることもある。特に未央のような境遇ならそう思ってしまっても仕方がないではないか、そう分かったように考える秋人も、本当はそれほど老成しているわけでもない。
 浅い部分を掬い取っただけで相手を分かったと、安易に考えてしまうことが、秋人の若さだった。
「ありますか……そんなの私だけかと思ってたんですけど」
「そうでもないですよ」
 そういって秋人は力なく笑う。秋人なんて、自分の顔を見るたびに死にたくなっているのだ。自殺願望ぐらい大したことではない。
「だからなのかな……すいませんっ。知ってる人かと思ったんです。私は、知ってる人なんてほどんといないから、そんなことあるわけないんですけど」
 未央の口調がまた少し早口に、たどたどしくなる。言いたいことが分かるような、分からないような。相変わらず、未央は未央だった。
 いつまでもそんなことを言っている未央を遮るように秋人は聞く。
「いまは貴女は……生きようと思っていますか」
 秋人は未央の目を見るのが恥ずかしい、醜い自分があのガラス玉のように透明な目にどう映っているのか知るのが恐い。だけれど、目をそらさずに聞いた。
「はい、それはもう」
 そうか、その言葉を聴いて秋人は立ち上がっていた。

「あっ……あの」
「ありがとうございます、おかげで踏ん切りがつきました」
「えっ……よくわかんないですけど、よかったですね」
 ぎこちなく笑顔を見せる未央を食い入るように一瞬だけ見て、秋人はじゃあとその場を立ち去る。
 もちろん草むらには警官が潜んでいたわけでもないし、未央は自分を祓魔師だと気がついていたわけでもなかったのだ。
 それではなぜ、未央は秋人に声をかけたのか。いろいろと想像をたくましくすることはできる、たとえば川を見て死を考えていた未央は、同じように川べりで落ち込んでいる秋人を見て、似たような同情を感じたのではないかとか。
 そこらへんの事情はどうでもいい。そして勘違いしてはいけないことがある。これは必然でも、奇跡でもない。
 これはただの偶然――それを、誰よりも秋人自身が強く理解している。

 もしも、神や悪魔といったしっかりしたものがあるのなら、秋人の能力はもっとちゃんとした人間に渡っていたはずだ。強い思いを持った無私の善人、鋭い野心を持った強固な悪人、誰かもっと相応しい人の手に渡れば、秋人の力でどれほど大きなことを為しただろう。
 この力が秋人のようなどうしようもない小悪党に与えられたのは、ただの偶然。
 未央とであったのも、秋人が未央を選んだのも、ただの偶然。
 ただの偶然の重なりだけが、秋人を生かしてくれる。他は、みんな敵だ。
 そして、偶然のサイコロが、秋人の唯一の味方が。
 躊躇わず進めと道を指し示してくれたなら。

 進んでやろうじゃないか。それはしっかりしたものでも、確信がもてるものでもなくて、ひどく曖昧模糊とした霧の中を手探りで進むようにしか掴めないものだけど。
 秋人はそれでも未央を掴んで、引き摺って連れて行こう。
 そして地獄でも天国でもない、そんな先も見えないもどかしい日々を。
 いけるところまで一緒に生き続けるのだ。たとえそれが、罪悪であったとしても。

 不純な愛情と、純粋な欲望と、あと何があれば秋人は満たされるだろうか。

 それはきっと、悪魔に誘われるままに、実際に手の取って齧ってしまわないと、味わえない……舌が蕩けるほどに甘くて、ほろ苦い『禁断の果実』なのだろう。


プロフィール

ヤラナイカー

Author:ヤラナイカー
おかげさまでプロ作家になって五年目です。
ボツボツと頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします。
(プロフの画像、ヤキソバパンツさんに提供してもらいました)



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