第七章「妻か、便器か」 |
「それでは……」 茉莉香は、ベットの上で立ち上がると、ちょっと小首を傾げるようにして考えました。そして、しゃがみ込むようにして正志に耳打ちします。 (あの、髪は動きやすいように括ったほうがいいですか) 茉莉香の甘い吐息に耳をくすぐられて、正志は思わず笑ってしまいます。 (いや、ストレートのままで頼むよ。そっちのほうが好きなんだ) せっかくだから、正志も耳打ちで返しました。どうやらシナリオ以外のことはしゃべってはいけないと思っているらしいです。 立ち上がると、ナイトガウンを脱ぎ落とした茉莉香は、紫のレースがついた下着だけの姿になりました。 「下着も、脱いだ方がいいですか」 「いや、俺が外すよ」 茉莉香の背中に手を回して、ブラのホックを弾く……ととと、うまく外せません。茉莉香のブラは、ダブルホックですから片手では外しにくいのです。 不恰好な自分に苦笑すると、正志は後ろに回って両手でブラのホックを外しました。ぷるんと、たわわなオッパイが開放されます。相変わらずの巨乳です。 正志は、次にふっくらとしたお尻とすらりとした長い足にそっと触れてから、さっとショーツを引きずり下ろします。足首から、ショーツを外すと、前に回って裸体を鑑賞します。 気をつけの姿勢のまま、じっと突っ立っている茉莉香。そうしているだけで、美しいプロポーションだと感じます。 若々しい肌は透き通るように白く、とても人妻とは思えない瑞々しい張りがあります。輝くような裸体にしばし息を呑んだ正志は、ハッと気を取り直してカメラのレンズを覗きます。
「よし、初めていいよ」 本当はもうカメラを回しているのですが、正志はスタートを区切るためにそう言いました。 「えっと、深谷 茉里香(ふかたに まりか)二十三歳です。専業主婦をしています、夫とは結婚して二年になります」 「よし……」 カメラを覗きこみながら、正志は頷いて見せる。先を促されて慌てて茉莉香は口上を続ける。 「スリーサイズは上から90・60・85です」 本当か嘘か、なんかいい加減な数字を並べて見せる茉莉香です。 「ふーんオッパイはもうちょっとありそうだけどな」 シナリオにはないですが、ちょっとアドリブで混ぜっ返して見せる正志。 「胸はもうちょっとあるかも、最近測ってないのですいません。えっとそれで……、今日は同じマンションの住人の田中正志さんにタネ……、種付けセックスをしてもらう記念にビデオを撮ってもらってます」 茉莉香はアドリブにもちゃんと答えた上で、きちんと段取りをこなしています。聡明な茉莉香が、きちんとシナリオを記憶している証拠です。セリフも、よどみなく言えています。 「旦那の留守中に、他の男に種付けして欲しいなんて茉莉香は本当に変態だね」 「はい、私は変態なんです……普段、夫に抱かれているベットで、正志さんに抱いてもらうとすっごく興奮できていいんです」 シナリオ通り、順調で怖いぐらいです。自分の考えた卑猥なセリフを、茉莉香に言わせていることで正志は必死に興奮を抑えつけないと、正志の方がセリフをトチりそうなほど心臓がバクバクいっています。 「夫への罪悪感がスパイスになるってことか。生セックスはこっちも気持ちいいからありがたいけど、奥さんは結婚してるんだから妊娠はまずいんじゃないの?」
キラっと茉莉香の大粒の瞳が光りました。怒りか、悲しみか、茉莉香本人でないと、その心はうかがい知ることはできませんが、胸にこみ上げる気持ちで目が潤んでいるのでしょう。 そのまま泣きだしてしまうかもしれない正志は心配になりましたが、茉莉香はさっと腕で目をこすると毅然とした顔で続けます。 「それは正志さんと生セックスしていて、夫よりも……、夫よりもすっごく気持ちがいいから、このまま正志さんの子供が妊娠できたらどれほど気持ちいいかと思って……、その……、種付けセックスをすることを決意しました」 茉莉香は激情に震える声を抑えるように、言い募りました。きちんと言えていますが、どうも段取りを忘れているようです。 「わかった、わかった。茉莉香の気持ちはよくわかったけど、態度でも示してくれるかな。カメラの前で」 セリフだけではダメなのです。シナリオでは、カメラの前でオナニーをしながらおねだりすることになっています。 「あっ、はい」 股をおっぴろげて早速、オナニーにとりかかるかとおもいきや、茉莉香は足を広げた姿勢のままで俯いて止まってしまいました。 「どうした」 「いえ……」 女というのは不思議な動物で、必要がなければ自分のマンコもウンコも不浄のものとして見たくないものなのです。普段オナニーの習慣もない茉莉香は、シナリオに書かれていた『股をおっぴろげておねだりする』と言う手順がよくわからないのでした。 おずおずと、股に手を伸ばして擦る。クリトリスの先を手でこするような大人しいものだ。そのぎこちない手つきをしばらく面白そうに見ていた正志ですが、埒があかないと思って手をだすことにしました。 「手伝ってやるよ」 後ろから、豊かな乳房を持ち上げるように掴むと優しく揉みしだきました。正志がリズミカルに胸を揉むと、それに刺激されたように茉莉香の自慰の手も早まっていきます。 「んっ、んっ……」 茉莉香が濡れるに従って、メスのいやらしい匂いが漂ってきます。又を擦る手もそれなりに形にはなっていましたが、まだ正志のイメージする絵にはなっていません。今の茉莉香は間男の子種を欲しがる淫蕩な人妻なのです。
「茉莉香そうじゃない、もっとよく自分のマンコを観察しろ。膣奥までちゃんと指を入れてみろ」 「はい……」 茉莉香は、言われるままにしっとりと濡れた陰唇の中へと指を挿入します。どう動かしたらいいかもわからず、かき回しているようです。ジュブジュブといやらしい音が響いて、プンプンとメスの匂いが強くなって来ました。 「よし、中指を思いっきり膣奥に押し込んで、コリコリした感触の突起を探せ」 茉莉香の細くて長い指先が、コリコリとした突起に届いたようです。 「……ありました」 「そこが子宮口だ。俺の子供を妊娠したいんだろ、だったらそこを刺激してイケるようにならないといけない」 「あっ、はい、がんばります……」 普通のセックスの絶頂とは違い、子宮口を刺激されてイクのはボルチオ性感と呼ばれるものです。 これには子宮口を意識することが必要なので、オナニーでたっぷり慣れさせる必要があります。 茉莉香がボルチオ性感帯でイケるようになれば、固く閉じた子宮口も多少は緩み、妊娠率は格段に上がるはずです。 幸いなことに時間はたっぷりとあります。 秋晴れの朝日が照らすベットルームで、正志はゆっくりと茉莉香の乳房を刺激したり、唇に吸い付いたりしながらじっくりと性感を高めます。 茉莉香が自分で子宮口を刺激してイケるようにアシストし続けました。 「どうだ」 「ああっ、いきそうです……あああっ!!」 見た目はさほど激しいイキっぷりではありませんでしたが、ジワッと額に汗を浮かべて茉莉香は叫びだしました。 そうして、ギュッと身体をこわばらせると、だるっと脱力しました。 「子宮口でイケたみたいだな。その感覚を覚えておくようにな」 「はっ、はい……はぁ」 茉莉香はぐったりと正志の腕の中で脱力しました。開いたマンコからは、ドロっと愛液がこぼれていました。
イキ終わって、トロンとした表情をしている茉莉香の唇が半開きになっていて、正志は思わず吸い寄せられるようにキスをしました。 口内に溜まっている甘い唾液は、ものすごく甘い蜜の味がします。正志は、射精するよりも、ずっと幸せな気持ちに浸っていました。 女をイかせるだけなのに、触れる肌から茉莉香の気持ちよさが伝わってくるようで、普通のセックスをするよりもずっと深く繋がっていられる気がしました。茉莉香の旦那だって、ここまで甘く蕩けそうな茉莉香の可愛さは見たことがないはずです。 唾液だけではなく、全身から甘い香りがします。全身の毛穴からフェロモンのような匂いが立ち込めて、その濃厚さに正志の股間はいきり勃っています。 深く激しく興奮しているのに、どこかまだ頭の一部分は冷静さを保ったままで明晰です。女を完全にイかせてやったつかの間の万能感のせいでしょうか、正志は自信と力に満ち溢れています。 「茉莉香、ヨガってるとこ済まないんだが、続きできるか」 「はい……」 茉莉香は頷くとベットに腰掛け直し、ほんの数瞬だけ黙り込みます。おそらく次はどういう段取りだかを思い出して、おねだりを続けます。 「……人妻のトロトロのオマンコにどうか種付けしてくださいっ!」 接写するカメラに向かってお尻を持ち上げ、指でニュプッと濡れそぼって充血したオマンコを奥の子宮口まで見えそうなほどに開いて見せる。 一回、ボルチオ性感でアクメを感じたことで、開き直ったのでしょうか。頬を桜色に染めて、笑みを浮かべるの様は茉莉香は正志のイメージした『淫蕩な人妻』に近づいてきています。 「むふ、いいぞもっとおねだりしてみろ」 「お願いします、私とオマンコ、オマンコしてくださいっ!」 普段は貞淑な若奥さんをやっている茉莉香に、隠語を連発させて正志は満足そうに頷きました。日頃とのギャップが、興奮を高めてくれるのです。
「よし、そこまでおねだりされちゃあ仕方ないな。一肌脱いでやるか」 一肌どころか、もう正志も真っ裸になっているのですが。 恩着せがましく、わざとらしい正志のセリフに不満の色も見せることなく茉莉香は微笑みました。 「ありがとうございます」 不満を押し隠して茉莉香の蠱惑的な唇には淑女の微笑み、でもよく見ると目は笑っていません。 その澄んだ瞳を、また愛欲に狂わせてみたいと正志は思います。正志はカメラ位置を確認してから、茉莉香をベットに押し倒しました。 「いくぞ、茉莉香ッ!」 そうして準備万端の女性器に、はちきれんばかりに勃起した一物をあてがってぐっと挿入しました。 そのまま正常位の姿勢で、腰を一気に奥まで進めます。 「あっ! ああっ!」 狂おしい嬌声。これも演技なのでしょうか、それとも本当? それは身体を重ねていけばわかることです。しばらくは無言で、一心不乱に腰を振るいました。 硬い一物で、茉莉香の膣全体をこすりあげるような激しいピストン。突き上げるたびに、茉莉香は気持ちよさそうにメスの悲鳴を上げました。 女の喘ぎは、男を射精へと導きます。 まだ気をやってはもったいないと、深々と膣奥を突き上げてから正志は腰の動きを止めました。 「茉莉香、いっそのこと俺と結婚しないか」 「ええっ、私は夫が居ますからッ!」 「だから今の旦那と別れてさ、俺の子供を妊娠してくれるんだからソッチのほうがいいだろ」 茉莉香の答えは聞かなくても分かっているのです。
「ダメですッ、それはダメ」 髪を振り乱しながら、首を横に振ります。そんなにまで嫌がらなくてもと、正志でも思ってしまいます。 「俺の子供を妊娠したいほど愛してくれてるんだろ、だったらいいじゃないか」 「ダメです、そんな意地悪なこと言わないでください」 (やはりダメか) そう正志は思います。もちろん口説けるとは思っていませんでしたが、やはり少しだけ気落ちしてしまうものです。 「じゃあ、俺の子供ができたら旦那の子どもとして育てるのか」 「そう……、そうです。そうしますから、どうぞ種付けだけなさってください」 「ひどい女だな、茉莉香は……、俺は種馬扱いか」 そう詰りながら、正志は苦笑しています。 「ごめんなさい」 茉莉香は、憂いにしかめた眉を正志に向けました。シナリオは、ここで茉莉香に一つの選択権を与えていたのです。もう諦めて、離婚して正志の妻になる選択が一つ。 そして、それが嫌なら…… 「それじゃ、お前をこれから奴隷として扱うぞ。いや、性奴隷なんてもんじゃないな。お前は俺の欲望を受け入れる肉穴だ、精液便所にしてやるよ」 「はい……、どうか私を正志さんの精液便所にしてください」 ……正志の妻となるのが嫌ならば、精液便所になれというのがもう一つの選択肢なのでした。 「フンッ、俺の妻にしてやるって言ってるのに、本当に茉莉香は変態なんだな」 そう楽しげに罵る正志でしたが、口元にはやはり苦いものが混じっていました。精液便所に落とされてまで、正志の妻になるのを嫌がるのかと思ったのです。 (がんばって気持ちよくしてやったのに……) 正志が行ったのは、本当にねちっこいセックスでした。何度も何度も茉莉香にエクスタシーに至らせました。量でも質でも、茉莉香の夫に劣っているところがあるとは思えません。 違いがあるとすれば、やはり愛の有無か。そう正志は思いました。催眠でも、貞淑な人妻の最後の一線は崩せなかったのでした。
「よし、茉莉香お前は今から俺の精液便所だ、二十四時間俺の欲望を受け入れろよ」 「はい、私は正志さんの精液便所です。いつでも私の中に出してください」 もう茉莉香は、俺の精液便所だ。孕ませ人形だ。そう正志は思うと、あえて荒々しく自分の欲望の赴くままにマンコにチンチンをぶち込み続けます。 さっきまでの愛情の混じった甘い交合ではなく、とぐろを巻く二匹の蛇が重なりあい、お互いの身体を貪り合う愛撫です。 「よし、お前のマンコもクチマンコもケツマンコも俺のものだからな」 「はいっ、そうですっ! 全部正志さんのものですっ!」 貪るように、茉莉香の裸体を力強く掻き抱きました。 「旦那にもう挿れさせるんじゃねーぞっ!」 「はいっ、絶対に正志さん以外に挿れさせませんっ!」 茉莉香もまた、力強く抱きしめ返すことでそれに答えます。足をおもいっきり開いて、正志の腰に巻きつけていました。 だからこそ、茉莉香の肉穴のもっとも深い部分を正志の先っぽがえぐることができたのでした。 「よーし、約束だぞ。ご褒美に中に出してやるからな」 深々と腰を突き上げた正志は、亀頭に強くこすれるコリコリとした感覚を感じます。子宮口がほどなく射精されるはずの精子を吸おうと、降りてきているのかもしれません。 女の身体とは不思議なもので、孕まされることがきちんとわかっていて、そのための準備を整えるのでした。 「ああっ!」 感極まった、茉莉香の叫び声。膣がきゅうううと絞まりました。締まるではありません。まるで吸い付くように強く、陰茎全体が引き絞られました。 「うあああっ、茉莉香あっ!」 これにはたまらず、ついに正志も気をやってしまいます。
ドンッと、腰をハンマーで叩かれたような激しい射精。
ドクドクドクン……。
引き絞られた茉莉香の小さな膣が、正志の全てを吸い尽くす勢いで飲み込んでいきます。正志は、まるで自分の魂までもが全て吸いだされたように感じて、頭が真っ白になりました。 下半身がぽかんと浮かんだような脱力感。ただ強く握りしめた茉莉香の乳房の感触だけが、いまここに生きているとかろうじて感じられるほどの感覚。 ブワッーと視界が真っ白に、世界がクリアになっていきます。 自分の感覚を引き戻すために、正志は茉莉香を強く抱きしめました。 きちんと肉の暖かさを持って、茉莉香は抱きしめ返してくれています。重なりあう身体は、境界線がぼやけてしまいまるで一つになったみたいに感じました。
射精後の冷めた感覚、全ての毒気を抜かれた心地よさ。 「くふうっ」 しばらくして茉莉香が、そんなため息を吐き出しました。 「はぁ…‥どうだ茉莉香、ちゃんと全部中に出してやったぞ」 「ありがとうございます」 茉莉香はちゃんとお礼を言いました。 「ちゃんと孕めよ」 「はい、正志さんの赤ちゃんを…‥妊娠します」 規則的にそう返す茉莉香を苦笑して見つめると、正志は腰を引きました。 茉莉香のヌルッとした股から、正志が柔らかくなった陰茎を引き抜くと、ドロっとした精液が股からこぼれました。 中に全部入ってしまったと思っても、やはり大量に射精したので外にこぼれてくるのです。黄味がかった濃いやつが、ぽっかりと口を開けた陰茎から滝のように漏れだしています。 中出しした証を満足気に見つめると、正志は力尽きたようにドサッとベットに上に転がりました。 さすがに精力旺盛な正志も、すぐ再開は無理です。 しばらくは、茉莉香とベットに寝転んでいることにしました。
|
|
|
|