第二章「女性専用車両 連続中出し」 |
「順番にやるからお前たちも、裸になって濡らしておけ」 居並ぶ女性たちも、服を脱いでオナニーし始めた。異様な光景、なんで乗客の女性たちはオジサンの言うとおりになるのだろう。
オジサンのさもあたりまえのような口調を聞いていると、それが当然みたいな雰囲気が醸しだされているのは、私にも感じる。だが、それにしたって限界というものがあるだろう。 私は、自分が大掛かりなドッキリに引っかかってるのじゃないかと疑った。そんな疑いを持つ方がオカシイのだけど。アダルトビデオの撮影じゃあるまいし、女性客が電車で裸になってオナニーするなんて放送できるものではない。あるいは、新種のアダルトのドッキリカメラみたいなのがあるんだろうか。 念の為に、辺りを見回すが当然テレビカメラもなかった。念入りに辺りの人を観察してみるとオカシナ点もないではない。こんな異変が起こったら普通は、あそこ辺りにいる活発そうな女子高生の集団が騒いで携帯で写メを撮ったりするんじゃないかな。 誰も騒ぎなんか起こっていないって感じで、我関せずといった表情で電車に揺られている。オジサンの周りだけが異様な雰囲気で、裸の女たちがワイワイキャーキャー嬌声を上げながら、異常な興奮の中でオナニーに興じている。他の乗客は、その邪魔にならないように端っこに追いやられているのだ。 こんな異常な光景を目の前にして、車掌が飛んでくる気配もない。 そう言えば、この列車はいつになったら駅につくのだろう。さっきから外の景色が無限にループしている。いつまでもいつまでも、まるでドラマのセットのように見慣れた景色が続く。 こういうの何かの漫画で読んだような、集団催眠……。 バカげている。集団心理を操る催眠術というのは存在するにはするが、こんなオカルトめいた現象を起こすものではない。ファンタジーじゃあるまいし、これが催眠か何かだと認めてしまったら、それこそ私の頭がオカシクなったということだ。 私は精神異常者ではない、だから言い知れぬ恐怖に心臓がバクバクと高鳴っても、オジサンが女だなどと認めるわけにはいかなかった。 「ああ、そうかこれは夢」 「なんだ、現実逃避か。ホッペタでもつねってみろよ」 私のつぶやきを聞いていたのか、オジサンはそんなことを言ってくる。 古典的な方法だが、確かに試してみる価値はある。 夢が覚めないかとおもって、私は思いっきりホッペタをつねった。 「痛い……」 「なあっ、当たり前だよ」 「でもさっきからもう一時間ぐらい時間が経ってるし、おかしいです」 私の大学までの通学時間は、三十分ちょっとだ。 「時計見てみろよ」 「えっ……」 携帯の時刻を確認すると、電車に乗ってからまだ二十分程度しか経過していない。私は、起きるのに目覚ましがいらないぐらい体内時計には自信があるほうなのに。 (私の気のせいってこと?) 「アヤネちゃんだけじゃなくて、この車両全員の体感時間を遅らせてるんだよ」 「そんなバカなこと……」 確かに強い集中力によって時間感覚の操作は可能だとは、私も知っている。だけど、こんな広範囲にわたって他人を巻き込んでの遅延などありえない。 「女たちの準備が終わったみたいなんだけど、もう質疑応答はいいかアヤネちゃん?」 「ちょ、ちょっと待ってください」 本当に合点のいかないことばかり、私はオジサンの肩を掴んで引き止める。こういう不合理がどうしても許せない質なのだ。 「なんだよ、しつこいな。おいお前ら壁に手をついて腰を突き出せよ」 私が呼び止めているのに、オジサンは居並ぶ女の子たちに指示を出している。 「やっぱり、どう考えてもこんなのありえないです」 きちんと痛みを感じるけれど、でも私は目の前の現実をどうしても飲み込めない。 「夢だと思ってるならさ、一言『俺は女だ』って認めてしまえばいいじゃん」 「嫌ですよ、仮に夢でも自分でそう思ってないことを口にするなんて」 我ながら損な性分、愚かなこだわりだと思うのだけど。私は嘘をつくのが我慢ならないのだ。 オジサンは、さかんに自分を女だと私に認めさせようとしてくる。 もしかして、これが悪夢だったら『貴方は女です』と言った途端に目が醒めるかもしれない。 そんなことを思ってみても、それでも言えないのだ。 明らかに男を、女なんて認められるわけがない。
「強情だなあアヤネちゃん、しょうがないね。じゃあ俺はもうひと頑張りして自分が女だって認めさせるしかないね」 「どうするつもりですか」 私がそう尋ねると、オジサンは可笑しそうに腹を抱えて笑った。身体をくの字に曲げて、そのまま転がってしまいそうなぐらい抱腹絶倒した。 「フハハハッ、まさかこの期に及んでも分かんないとかありえないでしょ」 「その……」 わからないわけではないのだ、でも口にするとこの酷い現実を認めてしまうように思えて私は口ごもった。 「そこの危険日の女たちに次々中出ししていくからね、それで妊娠しなければ女だと完全に証明できるでしょ」 ニカッと暑苦しい顔に爽やかな笑みを浮かべるオジサン。 「そんなあ……」 あーやっぱり、そうなってしまうのか。 「まずはこの子かな」 オジサンは、適当に一番近くに居た女の子の後ろに陣取る。背が低い子で、よく見ると胸はつるぺたでまだ十代の前半に見える顔立ち。 ツインテールにしてる髪が、幼さを強調している。 「ちょっと、オジサン待って下さい。この子まだ子供じゃないですかッ!」 「えっ……、あーん小さく見えるけど違うでしょ。だって生理周期がわかる娘だけなんだから、ほらマンコ見てみてよ」 オジサンはなんのためらいもなく、その子のピンク色の肉のワレメを指で開いてみる。思わず私も膣中を覗きこんでしまって、自分で何をやっているのかと恥ずかしくなった。「ちょ、見ちゃったじゃないですか」 いや、私のことはこの際どうでもいい。恥ずかしさに耐えているのは秘所をむき出しにされたこの子だ。 私は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「ほら、ちゃんと開通してるでしょ。少なくとも処女じゃないよね」 オジサンはその子の膣に指を突っ込んで出し入れしながら、クチュクチュとイヤラシい音を立てた。 私はもう直視できない。 「生理周期を測ってるってことは、定期的にセックスしてる相手が居るってことなんだよ。小さく見えるけど、マンコの具合はしっかりしてるし……」 オジサンは独りごちて、しばらくワレメを弄ると少女に声をかけた。 「おい、お前は十八歳以上だよな」 「……はい十八歳以上です」 オジサンがそう言うと、そのままオウム返しに答える少女。 「いやいや、おかしいでしょ。だってほら脱いだ服、学生服ですよ! 小学生じゃないにしろ中学生ぐらいじゃないんですか!?」 このままだと年端もいかない少女がオジサンに犯されてしまうので、私は必死に抗弁する。 オジサンはうるさそうに私に向かって掌を振る。 「本人が十八歳以上って言ってるんだから、そうなんだろ。学生服って……、まああれだ高三で十八歳なんだろうよ。条例的にはオッケーだよな」 「うそっ、絶対まだ十代の前半ですって、こんな十八歳ありえないでしょ。ちょっと貴女本当のことを言いなさい、このオジサンに犯されちゃうわよ」 私がせっかくそう言ってあげたのに。 「私は十八歳以上です」 女の子は、そうまるでロボットのようにそう言い張っている。 なんだか既視感を感じると思ったら、オジサンが『自分を女だ』と言ってるのと一緒なのだ。 頭がおかしくなりそうだった。 「ほれみろ、アヤネちゃんがおかしいんだよ。疑惑が晴れたところで、さっそく挿れさせてもらうからな」 オジサンはそう言うと、少女の応答も聞かずに腰を突き入れてさくっと挿入してしまった。 「はわぁっー!」 少女が、変わった嬌声を上げる。 オジサンが腰を振るうたびに、「はぁぁ」だの「はわわ~」だのと喘いでいる。 その喘ぎ声の奇妙さに、私は声をかけるのも忘れて固唾を呑んだ。
「ひいっ、ふうっ、ひゃぁ~」 数字でも数えるように、リズミカルにピストンの速度に合わせて変わった叫び声をあげる女の子。 「くうっ、さすがにロリマンコは狭いな。これならすぐいけそうだ」 「ひぐっ、ひゃぁ、はぁぁ」 オジサンがさらに腰の動きを早めて、女の子の身体を両手で持ち上げたかと思うとそのまま駅弁ファックの体勢に持ち込む。 しばらくシーソーにでも乗っているかのように、裸体の少女がオジサンの上を激しく昇降して―― 「はぁ、いっ、イクッ!」 「俺もイクぞッ」 オジサンが女の子の身体を突き上げるようにして、絶頂に達した。 女の子も小さく口元から涎を垂らして、全身を痙攣させるようにオーガズムに浸っているようだ。そのままその小さい裸体をオジサンがどかっと、電車の座席に横たえると四肢をびくびくと震わせる少女の膣からタラタラと白い精液の塊が流れだしていた。 小刻みに震えている女の子が心配で、私はしばらく彼女の様子を見ていたのだが、その間にもオジサンは腰を付き出して居並ぶ女の子たちを犯している。 次に犠牲になったのは、二十代後半のふくよかな女性だった。 目の前に脱いだ黒い上下のスーツから察するに、彼女も勤め人。通勤途中のOLかなにかだったのだろう。 「次はお前の番だ」 「はい、十分に濡らしてあります」 女は従順そうな声で腰を付き出した。
「ふふっ、お前は殊勝な態度でなかなかいいじゃないか。手早く済ませてやる」 オジサンが女の後ろから、股間を突き出した。 先ほど少女に射精したばかりだというのに、オジサンの股間は一向に萎える気配をみせない。 もしかすると、バイアグラでも飲んでいるのかもしれない。 程なくして、この女も甘い吐息を吐き出した。オジサンも我慢せずとにかく腰を奮って相手はちょっと太めの女なので、その分だけ大きなオッパイを思いっきり揉みしだいたりした。 ほどなく射精する。 「おい、どこに出して」 「あの、これって妊娠しないんですよね」 一瞬の躊躇のあと、オジサンは答える。 「もちろんだ、俺は女だしな」 「じゃあ、中でいいです」 やはり従順そうな女はまぶたを伏せると、そう答えた。 「中でいいですじゃないだろ、中に射精してくださいだバカッ」 思いっきり肉厚のお尻をペチンッとスパンキングされる女。 「ごめんなさい、中で出して下さい」 「そうやって素直に言えば、ウウッ……」 オジサンは腰を激しく打ち付けると、深々と生殖器を結合させて震えた。 「はぁーん」 情けない声を上げ震える女の危険日の子宮に、ドクドクとオジサンの遺伝子の塊が流し込まれる。 ズルっと引き抜くと、また接合部からはドロっと精液が溢れる。 その量たるや、オジサンが今日何回射精しているのか考えるに超人的な精力といえた。 「ふうっ、なかなかのマンコだったな。遠慮無く孕むといいぞ」 「えっ、だって妊娠しないんですよね?」 肉感的な女性は、太ももに精液を垂らしながら慌てて聞き返した。 オジサンは次の女性に行こうとしていたのに呼び止められて、フンッと不機嫌そうに鼻を鳴らすと、少し考えて自分の脱いだ服のポケットからまたマジックペンを取り出した。 「うるさいこと言う奴はこうだ」 オジサンはペンで、女の腹に大きく『変態露出狂』と書いた。 「えっ、これなんなのです?」 太めの女はなおもきょとんとした顔でオジサンに尋ねる。その聴き方が、オジサンの神経を逆撫でしたようで笑顔が怖い。 「書いてある通り、お前はこれから露出狂になるんだよ。永久に露出趣味に耽溺して、裸で街中を歩いて、男にでもレイプされろよ」 俺の子供を妊娠するのがそんなに嫌ならな、と男は吐き捨てるようにつぶやくと次の女を組み伏せにかかる。
次は二十代前半ぐらいの少し痩せぎみの女だった。そのほっそりした背中に、マジックペンでまた落書きを始めるオジサン。 「なんて書いたんですか」 背中に何か書かれたのは分かったのだろう、頬も痩せ気味で髪の長い少しつり目の女子は不安そうに尋ねる。 「お前には『変態M女』って書いたんだよ。お前は一生変態M女だから分かったな」 「はい……Mですか……変態M女」 女は複雑そうな表情でまぶたを伏せると、口元でオジサンの言葉を繰り返した。 「分かったら、さっさと股を開け」 「はい、ただいま」 オジサンに促されて、車両の窓ガラスに手を付くと大きく肉付きの薄いお尻を上げる女。足が長くて、中々スタイルがいいので様になっているがオジサンは不満そうだ。 「違う、M女らしくおねだりをしろよ」 「あっ、すいません。えっと、私のオマンコにオチンチンをぶち込んでくださいっ!」 「よし、なかなかM女らしいな。ご褒美をくれてやる」 オジサンは我が意を得たりと、嬉しそうに笑うとそのまま覆いかぶさるにしてバックから挿入した。 居並ぶ女子たちは、皆あらかじめオナニーさせて濡らしてあるから、抵抗なくオジサンのそそり立ったものを受け入れる。 「はっ、ありがとうございます。ありがとう……、ございますっ!」 変態M女にされた女は、パンパンと腰を打ち付けられながらお礼の叫び声をあげる。 「ふへへっ、なかなかいいね。マンコの具合もキュッキュと喜んで締め付けてくるじゃないか」 これだけ出してもまだ、女体を楽しむ余裕があるらしい。
男はゆっくりと腰を打ちつけながら、女の乳首を指で弄んでいる。 「あっ、あっ、最高です、ありがとうございますうぅ!」 すっかりM女らしい嬌声をあげて、女はオジサンの愛撫を受け入れる。 「ふうっ、ゆっくり楽しみたいところだがケツカッチンだからな。そろそろ出すぞ」 「あっ、あっ、中に、中に出して下さい」 当然M女なら、そう答える。 オジサンは嬉しそうに、「知らない男の子種で孕んでもいいのかよ」と女を詰った。 「いいんです、ダメだけどソッチの方が気持ちいいからぁ、お願いします遠慮無く中出しして」 「俺は知らないからな、勝手に孕んでどっかで産んでろよ」 オジサンは、嬉しそうに感極まった顔で腰を激しく打ち付けるとやがて動きを止めた。ドクドクと痩せ気味のM女の膣に欲望を吐き出しているのだろう。 ズルッと陰茎を引き抜くと、さすがに勃起はもうしていない。それでも、最後の射精も精液の量は十分だったようでしばらく経つと、ポタリポタリと車内の床に中出し精液が滴り落ちた。 自らの膣口から垂れた精液を、M女はうっとりとした表情で見下ろしている。 「ふうっ、なあいつまで続けるんだ。いい加減俺を女だと認めろよ。そうじゃないと、さすがにもう体力の限界だよ」 オジサンは、ぐったりしている少女を介抱している私のところにきてそう声をかけた。オジサンの顔を見ると、目のくまが酷くて少しやつれているように見える。超人的な精力を誇る男だったが、疲れているというのは嘘ではないようだった。 「貴方さっき、そこの女性に自分は男だみたいなことイイましたよね」 私がそういうと、オジサンはグッと身をのけぞらせた。いちいちオーバーリアクションだなあ。 「なかなか痛い所をついてくるじゃないか、あれはあれだよ言葉の綾ってやつでな」 その方が気分が出るだろと言うオジサン、そんなこと私の知ったことじゃない。 オジサンが何度女性に中出しをかましても、私のセリフは決まっているのだ。 「何をどうしようと、あんたは男よ!」 どうしてか居並ぶ女性には、みんなオジサンが女の人に見えるらしい。けれどそんなことで『男を女だ』なんて認めるなら最初から頷いている。 筋の通ってないことは、私は絶対に認められない。 「ハァ、みろよ。すっかりクリトリスが萎えてしまった。これでも俺は男か?」 オジサンが、私を言う。一体、何度目の質問だろう。きっと私が認めるまで同じ事を聞きつづけてくる。 そういう手口なのだと、私は本能的に気がついていた。
オジサンも疲れているようだけど、私だって心身ともに疲弊している。大きく深呼吸するけど、車内は息苦しい。 辺りは、愛液と精液の入り交じった澱んだむせ返る匂いで満ちているのだから当たり前だ。 そこには、精力絶倫のオジサンに中出しされてぐったりする真っ裸の女性がぐったりと幾人も転がっていて、他の乗客はまるで無関心を装うように、この輪姦ショーを遠巻きに見つめていた。 「だって、何をどう言われてもオジサンはオジサンでしょう」 オジサンは、私のその返答を聞くと、やれやれと私の近くの座席に腰を下ろした。 「アヤネちゃんは頑固だな……、そして残酷だ」 「なんで私が残酷なんですか?」 たくさんの女性を犯して回ったオジサンではなく、なぜ私が非難されなければならないのだろう。 そんな言われはこれっぽっちもないはずだ。私は何も悪くない。 「そりゃ、十月十日後にわかるんじゃない。俺に中出しされた女たちが妊娠するかどうかは、しばらく経たないとわかんないもんね。おや、そろそろ駅に付くね」 電車は、いつの間にかゆっくりとホームに滑り込んでいた。無限に続くかと思われた惨劇は幕を閉じるのか。 確かに私が降りる停車駅だ、しかし座席でいまだ倒れている少女や、この車内の惨状を放って一人で逃げていいものだろうか。 私が迷っていると、列車はホームに到着してプシューと音を立てながら、ゆっくりと扉が開いた。 ふわっと、澱んだ車内の空気が晴れて、外の風が流れてくると私は悪夢から目醒めた心地がした。開いた扉からは、朝日が差し込んでくる。 外は明るいと思った。 「どうした、早く降りなきゃ大学の講義に遅れてしまうんじゃないかな」 オジサンにそう言われて、ハッと時計を見る。 今日は基礎教育科目だから、どうしても出なければいけない講義なのだ。 こんな現場に遭遇して、講義も何もないものだが、後から考えればそのような理由で私はこの場から一刻も早く立ち去りたかったのかもしれない。
私はすべてをなおざりにして去る罪悪感を感じながら、後ろ髪引かれる思いでホームへと降り立つ。 後ろから、オジサンの「アヤネちゃん、また会おうなー」という声が追いかけてきた。もう会いたくない。 私は耳をふさいで、階段を駆け下りた。 何も聞こえない、聞きたくない。私は、全てを振り切るように走り続けた。 自分の安全で安心な、日常に向かって。
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