後日談13「栗原綾子の不妊治療2」 |
五月、新緑の季節。先月末にまた生理が来てしまった栗原綾子(くりはら あやこ)の不妊治療は続きます。 先月の野外調教で、とあるマンションの住人に出くわしてしまってから、「もう二度と野外調教はしない」と綾子に拒絶されたものの(正志も『別の理由で』したくなくなったのでちょうど良かったらしいですが)普通の調教には、やけに素直に応じるようになりました。 それは、正志が驚くほどの変化です。 なにせあれほど嫌がってた動画のアップに積極的になり、ついに全身ヌードを前から撮っても良いと自分から言い出したぐらいです。 もちろん正面から映すといっても、顔を黒い皮のマスクで覆い隠す程度の配慮はしています。 綾子の美しい素顔を知っている正志は、動画の書き込みで「あれけっこう小顔で美人なんじゃない?」「マスクの下はどうせブサイクだろ」などと綾子の素顔について議論されているのを見るのも優越感があって面白いものでした。 なるほど個人特定の危険を冒してまで、多くの人がハメ撮りなどをサイトにアップしている気持ちも、実際に自分がやってみるとわかろうと言うものです。
一方で、どうして綾子がここまで素直になったのかと説明してしまえば、深谷茉莉香という『成功例』を知ってしまったことが大きいのでしょう。 実はあの四月の露出調教の後、綾子は茉莉香と二人だけでじっくり話す機会を得ていました。その影響があって、このように素直に正志を受け入れることになったのです。 勘が鈍い正志は、綾子と茉莉香が自分には内緒で通じ合っていることも気がついていませんし、綾子の態度が突如として柔軟になったこともおかしいとは感じていません。正志に対する茉莉香の反応も、それにともなって以前とは少し変わったはずなのですが、そっちのほうも全く気がついてもいませんでした。 相変わらずまったく考えが浅いというか察しが悪いというか、今回はたまたま綾子と茉莉香の競争意識のようなものが上手く作用したようなので、結果オーライなのかもしれませんが、正志はそのせいで後々驚かされる結果になるのです。
さて、場所は栗原家の寝室です。他のマンションの部屋と違って、最上階で豪華な間取りになっているマンションの最上階のこの部屋は一室が広々としています。テラスから差し込む柔らかい陽射しのなか、デザイナーズブランドとかいうやたら大きな白いシーツのかかったフカフカのベットが置かれています。 塵ひとつない綺麗で広々とした板間にベットが一つだけ、贅沢なスペースの使い方と言えるかもしれませんが、やや生活感に欠けて冷たい感じがします。しかし逆にその生活感の欠如こそが、夫は複数のベンチャー企業を経営する起業家であり、妻は有閑マダムとして都内を忙しく遊び歩いている、そんな夫婦の生活を表していると言えるかもしれません。 そんな部屋の真中で、裸になって転がされている綾子はまるで美術的に据え置かれた標本のようでした。 タイトルをつけるなら、そうですね『まな板の上の美肉』なんてのはどうでしょうか。なにせ、綾子はただ寝そべっているのではなく『裸になって転がされている』のですから。 ベットの上の綾子はただ裸になっているわけではありません。顔全体がSM用の黒皮のフェイスマスクで覆われて、眼は全く見えない状態です。口にはご丁寧にもプラスチックの無骨な塊が咬まされていて(いわゆるギャグボールですね)話すこともできません。 身体はM字開脚の姿勢で、黒いゴム製のロープでグルグル巻きされています。きわめて乱雑な拘束のされ方です。 正志は、どちらかと言えば手先は器用なはずなのですが、この縛り方を見るにつけて縄師としての才能と情熱には欠けていると言えるかもしれません。身体を縛りつけて、オッパイを変形させているロープは、まともな縛り方ではなくても拘束としては機能していますが、その道のプロが見れば「せっかくの素材が勿体無い」と呆れるほどに、いい加減な縛り方です。 あとは綾子の裸体をキャンパスにでも見立てたのか、動画であらかじめこういうの書いてくれと閲覧者に希望を募った隠語を適当にマジックで落書きしてあります。 書かれている落書きの文句は「おまんぽ」だの「おちんぽ挿れて」だのオリジナリティの欠片もありませんが、全体としてSMチックな雰囲気というか、虐げられている感は出ています。 縄による拘束も、身体の落書きも、ただの飾りに過ぎないので、そこら辺は大雑把でいいと正志は考えているようです。むしろ乱暴に扱うことで、綾子の心をより虐げているのかもしれない……とまでは考えすぎですね。 きっと正志は、ただ本能のおもむくままに、綾子を虐げているだけなのですから。
余談ですが、綾子の秀麗な眉目を覆っている皮のマスクやスッと紅いラインを引いたような口を塞いでいるギャグボール、そして身体を拘束するロープに至るまで、去年の冬のはじめに岸辺 佳寿美(きしべ かすみ)の調教につかっていた物の再利用です。 潔癖症の毛のある綾子は、自分の顔や口に触れるものが他人がすでに使った中古品だと知ったら、きっとすごく嫌がるに違いありません。きちんと消毒していると説明しても、小うるさく騒ぐはずです。まあ、そこら辺は知らぬが仏と言ったところでしょうか。 (まったく、自分のマンコも中古品のくせに面倒くさいやつだよな) 正志は綾子が聞いたら怒りそうなことを心のなかでつぶやきながら、皮のマスクやロープで拘束されてベットの上で足を大股開きにしている綾子をジッとカメラで撮影します。 (ふふっ、撮り終わったら、子宮の方も俺の使用済みにしてやるからな) もちろん正志は、そう心で思うだけに留めます。自分の声が映像に入ってはいけませんから撮影中は黙って見ているだけです。そして撮りながら、縛られて身動きが取れない綾子の股ぐらに、ブンブンと唸りをあげる大きなバイブレーターを突っ込んでよがらせます。 形の良い乳房の乳首の先にも、ピンクローターを一つずつ括りつけて綾子を刺激することにしました。 そうして、カメラを向けたまましばらく放置です。 綾子は程なくして我慢しきれなくなったのか、何か叫び声とも嬌声ともつかない呻きをあんあんおんおんと漏らしています。 そうです、いまの綾子は口輪をかまされているので、叫ぼうが呻こうが涎がたらたら垂れるだけで、人間の言葉になりません。 正志は、動物のように戦慄くだけの哀れな女を、ただ自分が満足がいくまで撮り続けていました。 こうして見下して初めて、綾子を完全に手中に収めることが出来た征服感に酔いしれることができます。そこまでしないと満足できないのですから、正志の綾子に持っている劣等感も難儀なものですね。
「よおし、もういいぞ。よく頑張ったな」 正志はハンディーカムのカメラを止めて、綾子の口にかましたギャグボールを外してやります。 そうして、唇の周りに無残に垂れた涎を丁寧に拭いてやるのです。 身体の自由も視野すら奪われている綾子を眺めて、正志はたっぷりと満足できましたから、乱暴なプレイが終わった後は少し優しい気持ちにもなるのです。 「ハァ……ハァ……ありがとう、ございます」 バイブとピンクローターを外して身体の拘束も解いて楽にしてやると、綾子は絶え絶えの息をついて正志にお礼を言いました。 今この瞬間だけは、完全に正志が上です。正志が、綾子のすべてを支配しているのです。正志は、そう思うとだんだんとムラムラしてきました。 「このまま犯してやるからな」 「あっ、ちょっと待ってください」 「んっ、なんだ」 「あの犯すのはいいんですが、やるときに正志さんも目隠ししてくれませんか」 今日の調教をはじめる前に綾子が珍しく正志にプレゼントを手渡してくれたのですが、それはゴーグルタイプのアイマスクでした。 正志が、綾子にマスクさせて視野を奪うなら分かるのですが(実際に今も、綾子は顔の上の部分を覆う皮のフェイスマスクで視野を完全に剥奪しているわけです)この上で、正志までもが目隠しする理由がわかりません。 「ふん、いいぞ。かぶればいいんだな」 綾子の反応が眼で楽しめなくなるのは残念ですが、お互いに全く見えないなかで身体をまさぐり合うのも一興かと思えました。 何より消極的だった綾子が、自分から用意してくれたものなので、ここは乗るべきだと考えたのでしょうね。虐げる相手のお願いをホイホイと聞いてしまうのですから、やっぱり正志にSMの才能はないと言ってしまっていいと思います。
口輪を外された綾子が、ハァハァと荒い息の下で、密かにほくそ笑んでいることにも、正志は気が付きません。 例えば「マスクをかぶったよー」なんて言っておいて。 本当はアイマスクなんてしなくても、フェイスマスクで覆われている綾子にはわからないのですが、妙なところで律儀な正志はきちんとアイマスクをして綾子と身体を重ねました。 「なるほど、見えないと変わった感じがするな」 正志は自分でやってみて、初めてされる側の気持ちが分かった気がしました。視界が奪われているからこそ、他の感覚が鋭敏になるということがあるのです。均整の取れた綾子の肉体を手でまさぐるようにして確認します。 暗闇の中で、相手の暖かさを肌に感じて、確かにそこに生命を持った女が存在すると確かめられたような気がしました。 よく考えるとお互いに目隠しなんかしなくても、カーテンを引いて電気を消せばいいだけなのかもしれませんが、これは気分の問題というものでしょう。 能動的に、お互いの視界を奪ってから求め合う行為はとてもアブノーマルで刺激的だと言えます。 初めての感覚にドキドキしながら、正志は綾子の滑らかな肌に手を滑らせて下腹部をまさぐりました。 そうして、アソコがしっかりと濡れていることを確かめるとぎこちない仕草で腰を擦り付けるようにして、ゆっくりと挿入していきます。 「ああっ、入ってきます……」 綾子の声が正志の耳たぶを優しく震わせます。聴覚と触覚に頼ったセックスは少しぎこちなくて、なんだか初めてセックスしたときのことをその興奮と共に思い出しました。 (悪くない、悪くない感覚だな、これ……) すごく敏感になっている肉棒で割るようにして腰を沈めると、正志の存在そのものが綾子の締めつけてくる牝肉の形を強く感じます。 そのまま綾子を抱きしめて、全身で愛撫します。 「はぁ、気持ちいいです」 さっきたっぷりとバイブレーターで身体をほぐされていた綾子は、気持ちよさそうに身体を震わせます。 視界を奪われて責められるということが分かると、綾子がどんなふうに感じていたのか何となく分かるのです。
(そうすると、こうか……) 腰を沈めながら、形の良い乳房をグイッと掴むと、ビクンビクンッ面白いように綾子が震えます。とても面白い反応です。見えないからこそ、次にどうされるか分からないことが絶妙な効果を生んでいるのです。 正志の方も目隠ししているので、綾子が次にどう反応するかまったく見えませんから、何度も抱いている身体がとても新鮮に感じました。 指で反応を確かめるように、ぎこちなく綾子の身体をまさぐり、尖った乳首の先っぽをちょっと噛んでみたりして綾子に声を上げさせます。 「ああっ、んはぁ……」 正志の耳たぶを震わせる、綾子の吐息がこんなにエロく感じるのは久しぶりでした。まるで、恐る恐る初めて綾子の身体を抱いたときのような初心を思い出します。 (目隠しプレイ、面白いじゃないか) まだ今日の時間はたっぷりとあります。すぐにイッてしまわないように、膣の中で動かさず陰茎を休ませてから、綾子の背中に手を回して形の良い尻の肉をイタズラに手で揉み上げるようにします。 「はぁん、ふぅん……」 綾子の大きな尻の肉を揉んで、悪戯に臀部のワレメを指先で撫でたりして、反応を探ります。マンコに挿入しながらお尻を弄ると、膣内にも反応が伝わってとても気持ちいいのです。 身体のどこかをまさぐるたびに、綾子は違う声色をあげて反応を返すので、まるで楽器を弾いているような陶然とした心地になりました。 しばらくそうやって綾子の身体を弄んでいると、不思議と正志の股間の奥底から獣のような凶暴な欲望が鎌首をもたげてくるのです。 「そろそろ激しくやるぞ」 正志はそう宣言して、さっと身体を引くと綾子の生足をガシっと掴みました。スベスベの太ももから足首にかけて手で触れて、その見事な脚線美をなぞりました。 目で見えないからこそ、綾子の肌のキメ細やかさに深く感じ入ります。綾子の太ももの感触はモチモチで、まるで赤ん坊の肌のようです。 (どんなエステに通ったら、こんなに瑞々しくなるんだろうな) 顔に無骨な皮マスクをかぶせようが、身体中に卑猥な落書きを書きまくろうが、こうやって手で触れるだけでパーツの美しさは変わらないのです。綾子はやっぱりお高い女だなと、自分とのランクの違いに引け目を感じてしまいます。 おっとそんなことを感心してる場合じゃないと正志は、両足を思いっきり押し開いて、そこにドンと身体を乗せます。 綾子がどれほど気位の高い女であろうが、いまは俺の自由になるんだと正志は思い切りました。 「そらよ!」 そんな気合と共に、綾子の足首を抱くようにしてグッグと腰を密着させて生殖器をすり合わせます。綾子の穴は気持ちが良いほどにスルッと正志の元気な陰茎を飲み込みます。 そのまま勢い良く、蕩々に蕩けそうな綾子の媚肉を分け入って、一番奥までえぐるように、硬いペニスでグイッと突き上げました。
「ひああああぁぁぁー」 壊れそうなほどの勢いで、綾子の膣奥が暴力的な突き上げを喰らいました。膣奥のそのさらに奥にある子宮にジーンと響くような振動が伝わると、綾子の心までも強く震わせます。 そうしてすぐにピストン運動が始まります。綾子の膣襞を陰茎の肉傘で嬲るようにズルッと引き、またドンッと突き上げるのです。 一番奥を反り返った陰茎の先でゴツンと突かれるたびに、骨盤ごと子宮を揺さぶられているみたいで、綾子は悲鳴を上げます。 「ひゃんっ」 穴の中をズルズルと硬く太いホースが擦れるたびに、綾子の蕩けそうな内蔵がドロドロのグチャグチャに掻き乱されます。正志の凶暴なピストン運動は、まるでそのために作られた律動機械のように、ドンドンと加速していきます。 「ひっ、ひあぁ、あああぁぁ!」 あまりにも激しい責めに、思わず綾子は苦しそうな悲鳴をあげました。正志の全体重を落としこむような乱暴な縦運動に全身が翻弄されます。吹き飛ばされそうで怖くて、綾子は必死に正志の肩に手を回します。綾子の形の良い乳房も、正志のピストンに合わせて面白いぐらいにブルンブルン震えました。 悲鳴を上げていても、綾子は痛いわけではありません。ずっと求めていた刺激を与えられてとても気持ち良いのですが、その気持ちよさが激しすぎて幻痛を感じるぐらいなので叫んでしまうのです。 鮮烈な快楽が突き上げられる下半身から脊髄を通して脳に駆け上がってくる衝撃に、悲鳴を上げずにはいられない。 まるで他人のように自分の喉を通してひゃんひゃんと出る音を聞きながら、綾子は身体の細胞一つ一つが、喜びの声をあげているように感じました。 それまでのバイブレーターという人工の機械で与えられた感触と、男の生の生殖器が与えてくれる刺激は全然違います。 生の粘膜と粘膜が触れ合う子作りセックスの感覚は、どのような人工物を使っても再現できない気持ちよさなのです。
ここまで感じさせられてしまっては、相手が綾子のような美しい女とはとても不釣り合いの醜い男であるなんてこと、もう関係ありませんでした。 綾子は身体と心を震わせて泣き叫びながら、ただ触れ合う肌と肌、生殖器と生殖器を通して与えられる快楽と愉悦を求めることに、必死になっていました。 綾子は、激しく揺すぶられるマンコからジワァァッと愛液を垂れ流して、ただ正志が自分に精液を与えてくれる瞬間だけを待ちわびます。 生殖器がいやらしくこすれ合う、グジュブジュブジュブジュと言う音だけが視界を奪われた暗闇の世界で響き渡ります。 ただそれだけが、綾子にとっての全てでした。 「イクッ、イクッ」 綾子は目の前の暗闇がパッと輝いて真っ白になるほどの強い閃光を感じます。絶頂です、思わず綾子の内股にグイッと力が入ります。そんなことをしては正志のピストン運動が妨げられるのですが、綾子は自然と長い足首を正志の太い腰に絡めて必死に抱きついていました。 綾子が性的絶頂を感じると同時に、綾子の膣も全力で擦れる正志のものに食い付いて離れませんでした。
全身で、綾子が正志を求めて絡み付いてくるのを感じると正志の方もさすがに腰の奥から熱く滾るマグマが吹き上がってくるのを抑えることができません。 綾子の膣は恐ろしいほどに陰茎を吸い上げて、そのホースの先から子種を注ぎ込んでくれる瞬間を待ちわびています。 「綾子、そろそろいきそうだ」 「くだふぁい、ください……」 綾子の蕩々に蕩けた声を聞くだけで、正志の方も気をやってしまいそう。腰の動きを止めて、気持ちを引き締めて、綾子の形の良い胸が変形するまで五本の指で強く握りしめながら言いました。 「誰の子種が欲しいんだ言ってみろ」 「田中さんです、田中さんの赤ちゃんが欲しいんです」 さすがに長年に及ぶ調教の成果が出ています。 こんなにドロドロのグッチャングッチャンにしてやっても、そう答えるようになっています。 もちろんこんな受け答えは、そうするように何度も何度も正志が教えこんだセリフですが、もしかしたら今だけは、綾子も口先だけでなく心の奥底から望んでくれているのかもしれない。 自分の子供を欲しいと望んでくれているのかもしれない。 正志はそんな自分勝手な想いに、今だけは浸っていたいのです。 「いいんだな、旦那の子供じゃなくて俺の子供で!」 だからくどいほどに何度も言うのです。 「夫のじゃなくていいです、田中さんの赤ちゃんでいいから私に中出しして妊娠させてください!」 「よしっ、そんなら俺の子種をくれてやるっ」 正志は散々にそんなことを言わせて満足すると、綾子の手足を絡ませたブロックが吹き飛ぶぐらいにさらに小刻みで性急に腰を振るいました。 あとはもう射精の瞬間まで、ゼロ秒感覚で脳が焼き切れそうなほどの射精直前の快感を反芻しつつ、全力のピストン運動で綾子の膣を味わうだけです。 「あああっ! イクッイクッイクッイクッイクッイクッ!」 グングンッと綾子の膣の中で、正志の凶暴な陰茎が膨れ上がりながら擦れ合うので綾子もまた怖いぐらいのオーガズムを感じます。 「出る――ッ!」 正志の叫びと共に睾丸から発した怒涛の精液は、その勢いのままで陰茎を通って綾子の膣奥にハマりこんだ亀頭の先から飛び出しました。
ビュルーッ! 激しい音を立てて、湯気が出そうな程の熱い精液の塊が綾子の膣奥に吹き出していきます。 赤黒い亀頭の鈴口に擦り付けるほどの位置に綾子のピンク色の子宮口があって、ドピュドピュルと飛び出してくる精液の迸りの出口はそこしかありませんから、全部綾子の子宮へと流れこんでいきます。 下腹部にジワーっと流れこんでくる新鮮なオスの遺伝子を感じて、綾子は心も身体も蕩々に蕩けてしまいそうになりました。 それは正志もそうなのです、ピッタリと身体を重ねて生殖器同士を合体させて絶頂に達した瞬間というのは、二つの生き物がひとつになった瞬間に違いありません。 まして、お互いに目隠ししているのですから邪魔になるものは存在しません。 ただ綾子と正志はお互いの命の暖かさを触れ合う肌に感じるのみで、そんな中で新しい命が生まれるとするなら、それはエロさを通り越して神性なものすら感じる瞬間でした。
まあ、そんな感じで正志は完全に綾子と一体になった世界にぶっ飛んでいたので、突然、誰かにお尻を掴まれたことにすら最初は気が付きませんでした。 正志のお尻に誰かの手が触れても、正志はまったく声も上げないので、今度は掴むだけじゃなくて、手の平でペチンペチンとお尻を叩きます。 最初、綾子は妙なことをするなと考えていた正志も、綾子の手足は自分の肩と腰にピッタリと張り付いていることにようやく思い当たります。 そもそも正常位の体勢で組み敷いて抱きしめているのですから、正志のお尻に手が触れるなんてことはありえないのです。 (そうすると、この俺のお尻を叩いている手は誰のものなのだ……)
「うわあああぁぁぁ!」 正志は思わず野太い叫び声を上げました。 ハロウィンのジャック・オー・ランタンを名乗ってる癖に、正志はホラーには弱いようで本当に情けないですね。 まあ、まったく見えない第三者が自分の尻を触っている。しかも、自分は目隠しまでして綾子と絡み合って全くの無防備の状態なのですから、叫んでもしょうがないかもしれませんね。 「うふふっ、びっくりしましたか正志さん」 聞き覚えのある声が、後ろから聞こえました。 「……ま、茉莉香かぁ?」 そう言う正志の声は、まだ震えています。 (確かに茉莉香の声だ……) そう思ったら正志のお尻に触れている指の感触だって、とても馴染みのある感触です。茉莉香の指だと、目隠ししていても正志にはすぐわかりました。 「驚きましたか?」 「びっくりしたなんてもんじゃないよ……」 射精の直後に、ホラー展開をやられたんですから。腰が抜けて、立てなくなってしまっています。せっかくビンビンに勃起していた正志の陰茎も綾子の膣の中でショボショボに小さく成っているに違いありません。 「なんで茉莉香が、こんなところにいるんだ」 「おっとそのまま、そのままですよ……綾子さん、正志さんに抱きついて離しちゃダメですよ」 綾子は言われるまま、正志の身体に抱きついて離れません。 (このシチュエーションは、一体何なんだ……) 確かに目隠しをしている自分のお尻を触ったのが茉莉香で安心しましたが、正志はよくよく考えてみても、なんでこんな状況になっているのか皆目見当も付きません。 まさかこれが、最初から計画されて準備されていた茉莉香の罠だったとは、この期に及んでも正志は気がついてもいないのでした。
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