「袖触れ合うも多少の縁」 |
夏のある日、いまどきの女子高生げな少女が道をが歩いていると、一人の男が通りかかった。 男は、夏らしく浴衣を着ていた……まではいい。とにかく、その浴衣は真っ赤かだった。そして、何が楽しいのか満面の笑み……。 もう、それだけで怪しい人であるということがよくわかる。 笑顔がとてつもなく滑稽な、でも笑えないブクブクと太ったおっさんで、こうたとえるとおかしい気もするが、まるで化粧を落としたピエロみたいな笑顔だった。 関わると怖い、最近は危ない人が多すぎる。目をそらして歩こうと思った瞬間。おっさんがさっと、袖を振った。 その袖は、真っ赤でしかし袖の真ん中に行くごとに色が薄くなっていって、やがて黄色になって今度はグルグルと黒くなっていって、見れば見るほど少女の目を引きつけた。 おっさんは、ゆっくりと袖を回転させる。袖の柄は、一種のグラディエーションになっていて、色が変わっているのに色の境目がはっきりしない。まるで鳥避けみたいに円形の目玉のような柄だ。それに、一瞬だけ目を取られたと思ったのに、おっさんはもう目の前に来ていた。 女の子は、「逃げよう」と思ったが、逃げると刺激するかもと思うと、動けない。 どうしようか迷っているうちに、話しかけられた。 おっさんは、それこそピエロみたいに不気味に笑って、袖を振り続けたまま挨拶した。 「やあ、こんにちわ。お嬢さん」 挨拶されたら、返さないわけにもいかない。 「……こんにちわ」 「この袖をもっとよく見てくださいね」 「はい……へんな柄ですね」 「特注なんですよ、作るのに苦労しました」 「はあ……」 そんな話は、どうでもいい。とにかく、おっさんはなんか怖いし、早くこの場からは離れたかった。 「あの……それじゃ」 「ちょっと、まってください」 顔は笑っていても、いやだからこそおっさんの目は、やっぱり変質者の目だった。 「な、なんですか……」 「いや、ちょっと尋ねたいだけなんです。ぼくをみて、どう思ったか全部言ってくれますか」 「あの……そうですね」 「遠慮せずに、正直に答えてくださいね」 「はい……まず見て怖いと思いました。それから、刺激せずに通り過ぎようと思いました。だけど、袖が気になっていつのまにか話をしてしまいました」 「ふーん。正直に答えてくれていいですね、その調子で素直に答えてください」 「はい……」 「ぼくのことを刺激しないようにしないといけないと思ったのなら、ぼくの言うとおりに何でも対応しなければなりません。じゃないと、怖いですよ。わかりますか」 「……はい、ものすごくよくわかって困ります」 「あなたの名前は」 「浅賀涼子です」 「制服からすると女子高生ですね。近くの高校の……何年ですか」 「二年です」 「これから、どこにいくところでしたか。時間はありますか」 「これから、家に帰るところでした。時間は……」 「何か用事がありましたか、遅くなると家族に怪しまれたりしますか」 「用事は特にありません、怪しまれません……」 「そうですか、好都合ですね」 「いや……」 「もっと、袖の柄をよく見てくださいね。はい、ここで立ち話もなんなんで入りませんか。ここの近くが、ぼくの家なんですよ」 「入りたくないです……」 「ぼくを刺激したくないんですよね、だからぼくの言うことを聞きますよね涼子ちゃん」 「はい」 「じゃあ、着いて来てください」 男は、涼子を連れ立って近くの家に入った。なんの変哲もない住宅地だし、午後のまだ浅い時間帯なので目撃した人もなかった。いたとしても、特に騒いでるわけでもないので、おかしいと気がついたとは思えない。 「ここです、はい。中に入ってね」 「……入ります」 涼子は、おっさんから眼を背けるようにして、袖を見てそういった。 入ると、普通の住宅なのに普通ならリビングがある場所に簡易的なソファーベットが置いてあるだけだった。家具もテレビしかない。生活感がなさ過ぎるという印象だった。 「ああ、ぼく一人で間借りしているだけだからね。家具はなにもないんだ。その、ソファーにでも座ってよ」 「……はい」 涼子は焦っていた。自分の感覚がおかしい、なんでこんなおっさんのいうなりになっていつのまにか、知らない家に入ってしまったのか。 もうそれはいい、とにかくこの危ないおっさんと一緒の部屋に二人で居るのは 「危険だ、帰らなきゃ……」 「帰っちゃだめです。袖をよく見てね、忘れたんですか。君はぼくを刺激したくないから、私のいうことを聞かなきゃいけなかったんですよね」 「……そうでした」 「いいですか、ぼくが帰っていいというまで、ここから絶対に帰ってはいけません。わかりましたか」 「わかり……ました」 涼子は、困惑してしまった。危険だから逃げ出したいのに、危険を避けるためにはおっさんを刺激させてはならず、刺激させないためには、おっさんの言うことを聞かなければならず、おっさんは帰るなというので逃げ出せない。 おっさんが、質問するので今の気持ちを正直に言うと、刺激させなければ危険ではないから逃げなくてもいいという。なるほど、理屈ではそのとおりだと涼子は思った。 「早く帰れるように、ぼくの言うことをちゃっちゃと聞いてしまいましょう」 「わかりました……早く帰りたいです」 「じゃあ、まず服を全部脱いでください」 「……ええ、嫌ですよ」 「嫌なのはわかってます、でもあなたは嫌でも、ぼくのいうことを聞かなきゃいけないんですよ。そうじゃないと危険です」 「危険……あの、下着まで脱ぐんですか」 「下着まで脱ぐんです。嫌と危険なら、危険のほうが心配ですよね。だから嫌でもやるんですわかりますよね」 「はい……」 涼子は、おっさんを刺激させないために、しょうがなく制服を脱いで……ブラも取ってインナーもスパッツごと脱いだ。お気に入りのインナーだったので、なるべくおっさんに見せないようにするのが、唯一の抵抗だった。 「脱ぎました……いうとおりにしたから、帰してください」 涼子の危機感は、切迫していた。おっさんのまえで、裸になっているのだ。もちろん、胸と……下は手で押さえているがこれが異常事態でなくてなんだろう。 「まだです、手をどけて……そうだなオマンコを開いてください」 「オマ……って、そんなことしなきゃいけないんですか」 男は袖を振って、即すので刺激しないために仕方なく、ソファーに座ったまま涼子は自分の外陰部を開いて見せた。すでに、彼氏がいる涼子だが普通に性交渉はあってもゴム付きの本当におとなしいもので、こんな屈辱的なポーズをさせられるのは初めてで、悔しくて泣いた。 「そうだな、自慰をしながらぼくの質問にもっと答えてください」 泣いている涼子は、それでも仕方なく拙い自慰をした。週に自慰を何回するか聞かれて、二回とか答えたら淫乱だと罵倒された。彼氏のこととか、どういう性交をしているのかも、思い出して答えさせられた。やっぱりこのおっさんは、変態だったと涼子は思った。 「どうですか、そろそろ感じてきましたか」 そういいながら、じっとしてろと涼子に命じて、小振りのおっぱいを吸ったり揉んだりのやりたい放題。乳頭は、素直なもので、嫌がる涼子の意に反するようにピンっと存在を示した。 「この……うぅ、変態。こんな状態で感じるわけ……あっ」 涼子は情けなさで、ぽろぽろ泣いて顔もぐちょぐちょで化粧も落ちて酷い状態だったが、物理的に刺激を受け続けているオマンコが感じないわけがなかった。 「そういうわりには、どろっどろになってますね」 「あっ、触らないで」 ひょいっと、愛液をつまんでおっさんはドローンと指を粘つかせた。 「うっ……最低いぃ……」 こんな酷い状態だというのに、軽く腰を振るわせた。軽くイッタのかなとおっさんがいうと、顔を真っ赤にして涼子は顔を震わせた。 「嫌、もう嫌……早くやめさせて」 それでも、やめろというまでしろと言われたので、手が止まらない。自分の意思でしかたなくやってるはずが、自分が嫌でももう手が自動的に動くのが怖かった。それが、他人の手のようで、涼子は身体を震わせて本格的にイッテしまった。 「うぅ……もう嫌ぁ……」 涼子が身体を震わせるたびに、小振りのオッパイがプルンを震えて、おっさんも感極まったように震えた。 「涼子さん、もう……もういいですよ」 「……」 「手を止めて、いいです」 涼子が手を止めたとき、若いオマンコはもうぐちょぐちょだった。実は、三度もイッテしまっていたのだが、それは聞かれなかったので言わないで置いたが、肩で息をしている様子から、分かってしまうだろうと涼子は悲しかった。 「うっ……ううっ」 泣いている涼子にかまわず、オマンコをうまそうに舐め始めたおっさん。 「いやぁ……舐めないで」 自分の手でやってるよりはソフトな感じだが、それが逆に涼子にはきつく感じた。変なおっさんに舐められてるって嫌悪感もあった。 それでも、身体が動かなかった。なぜ動かないのかと考えて、動かないように言われたからだと涼子は思った。おっさんが、怖いから、刺激しちゃだめだから。恐怖で身体が動かないのだろうと思った。 「あー、薄味で爽やかですね」 そうして、おっさんは喜びにツルツルした顔で笑った。やっぱり変態だ。 「もう……満足したのなら帰してください」 「いや、まだ涼子ちゃんしか満足してないですよ」 そういって、ぴょこっとズボンを脱ぐと下着もはいてなくて、おっさんのカリのぶっとい、彼氏とは比べものにならないほどの巨根が姿を現した。 「きゃーー、なに脱いで、でぇ」 「なにって、酷いなあ。ぼくのほうがイかないと終わらないでしょ」 どういう理屈なのか、まったくわからないが、おっさんがそういうからにはそうなのだ。 「これを口で舐めるのと、下のお口でするのとどっちがいいですか」 「……どっちがって」 下のお口ってのは、オマンコのことだろう。私のあそこに、あの汚いものをハメられる……そう思っただけで嫌悪感がぞぞっと襲ってきたし、生なんてそんなの困るし。涼子は口で舐めるのも、嫌だが口なら……まあ間違っても妊娠しないし、吐けばいいしと思って口を選んだ。 「じゃ、上のお口ですね。フェラチオしたことありますか涼子ちゃん」 「ないです……」 「ソフトクリームを舐めてる気持ちでやればいいんですよ、難しいことはないです。でも、がんばらないと下のお口も使うことになるのでがんばりましょうね」 そういう、おっさんの口調が怖くて、涼子は必死でペロペロと舐めた。 「うーん、へたくそだけど、必死って感じがいいですね」 そういって、おっさんはぷっくらした頬を染めて喜んだ。よく見ると、髭の剃り跡が残ってて、まるで気持ち悪い中年のオヤジだとおもって、そのオヤジのチンポを必死になめている自分に気がついて、何でこんなことになってしまったんだろうと涼子は泣いた。 「おお、泣きながら……イマラチオ風ですね。いいですよ涼子ちゃん、喉の奥もつかって」 そういいながら、涼子の乳頭を摘んで引っ張りあげるので涼子は噛まないようにするのが必死だった。喉の奥を突かれるのも、もう嫌悪も通りこして本当に苦しいし。それでも、噛んだら何をされるか分からないから必死に我慢したのだ。 「おお……いきます。いきますよ、ソファーが汚れるといけないから全部飲み込むんですよ」 「ふぐぐぎゅふぐう」 そんなこと聞いてないと、言おうとしてそれでも舐め続けていたので、それがすごい刺激になってしまったのか。 「うあ……そんな技……いかん。イクゥ!」
ドピュドピュドピュウ……ドクドクドク
涼子は、飲み込めといわれたので、ものすごい嫌悪で頭が遠くなりながら何かを飲み込んだ。飲み込むのは本当に苦しくて必死で、ぐっと飲み込んだあとにゅるっと、口を離して肺で息をした。 そうして、ああおっさんの精液を飲んでしまったのだと自分が汚れたと感じた。 「ああ、涼子ちゃん。ちゃんと、最後まで奇麗に舐めなさい」 そうきつく厳命するおっさんの顔から眼を背けて、背けたらそこにあの赤いグルグルの袖の模様があって……そうこうしているうちに、涼子は一心不乱に舐め取っていた。まるで、犬みたいだと思った。 おっさんのチンコは、まるでしょぼくれたおっさんとは、別物みたいに元気だった。あれだ出したのに、あれだけ涼子の食道を汚したのに、まだピンピンと存在感を保っていた。 「あれれ……、一発では満足できませんね。やっぱり下のオマンコかなあ」 「そっ、それだけは勘弁してください!」 涼子は、もうどうでもいい。死んでもいいや、とすら思った考えを吹き飛ばすように首をふった。死んでもいいが、おっさんとセックスするのだけは嫌だ。 「おねがいします! このとおりお願いします。一回でも、何回でも満足するまでフェラチオさせていただきます」 涼子は必死だ。このおっさんは、怖い。やるとなったらやる。 「しょうがないな、じゃあもう一回だけ。そのかわり、もう一回で満足させられなかったら、セックスするんだよ」 「そんなあ……」 「じゃあ、いまからセックスする」 「わかりました、やります」 さっそく、涼子は急いで取り掛かる。前の必死さの十倍の、もう決死だった。 「ベロベロベロ、お願いしますから全力で気持ちよく全部だしてねぇ!」 おっぱいを振り乱しながら、何も言わないのにチンコも玉も舐める。 「おっぱいも触って、とにかく気持ちよくなってください」 なんと、そういう知識があるのかおっさんのちぢれ毛が生えた乳頭にまで吸い付いた。 「おほ、こういうのもしてくれるんだ。サービスいいね」 死ねと思いながらも、涼子は必死だった。その必死さに呼応するかのように、おっさんの立派なものは豪快に脈打ち。 「おお、気持ちいいぃー」 大放出!
ドピュドピュドピュウ……ドクドクドク
ソファーを汚すなという命令もちゃんと聞いて、言われずに飲んだ。 「ハァハァハァ……どうですか、満足しましたか」 「うーん、とりあえず舐めてみて」 涼子が、刺激をしないように恐る恐る舐めて奇麗にすると。 「ああ……なんで、立っちゃうのぉ」 涼子は絶望した。おっさんのものは、二回出したことも関係ないように、むしろさっきよりも元気に立ちあがったのだった。 「うぅ……」 「しょうがないよね、約束だから」 「いや、絶対にいや! セックスだけはいや! 怖い……」 「ほう、ちょっと袖見てね。何が怖い?」 「おっさん絶対生で入れるでしょ、ゴムとか付けてくれるならまだしも、生は駄目。妊娠が怖い。生理日今月の初めだから……計算なんかしてないけど、危険! 危険すぎるよ今日は、おっさんが怖いのの百倍怖い、できない」 滂沱のように、涙を流す涼子。こんなに泣いたのは人生で初めてかもしれない。 「ふーん」 「お願いだから、ゴムつけて。コンドームつけてくれたら、もう……してもいいから」 このおっさんは、やる。それはわかってる、それなら被害を最小限に懇願だった。 「ふーん」 おっさんは、笑った。最初笑ったとき、わからなかったが、本当に意地の悪い笑いだったのだ。そして、怖い。 おっさんは、ソファー以外の唯一の家具である棚からトンと何かを出した。 「ナイフ……それ、どうするつもり」 「……まず、最初に宣言しておくけどぼくはゴムはつけない。生派だからね。自分が気持ちよければ、君がどうなろうと知ったこっちゃないんだ」 「……」 すごみを聞かせたおっさんの声に涼子は凍りついた。 「もし、ぼくとセックスするのが死ぬより嫌なら。このナイフで喉を突いて、突いて突いて突きまくって死になさい。ぼくのチンコに突かれるより、ナイフで刺されたほうがマシだというならそうしなさい」 涼子は、声を枯らして泣いた。ボロボロだった。さっき、人生で初めての勢いで泣いたと思ったが、そんなものじゃなかった。おっさんは本気だ。死が、目の前にあるのだ。声も出なかった。 「……ι」 「なに?」 「……死にたくないです」 おっさんは、笑った。悪魔の顔だった。 「もう、そんな今にも死ぬような顔して。おっさんも、君を殺したくなんてないよ」 そういって、おっさんはナイフを棚に閉まった。やさしげに、涙を袖といっしょのあいまいな赤色のハンカチで拭いてあげながら。 「ただ、こんな選択させるだけじゃかわいそうだ。こうしよう、生で挿入するけどある条件さえクリアーできれば、外に射精してあげるよ」 顔を輝かせて、涼子は初めておっさんのきたない顔を見上げた。天使の微笑みに見えた。最後の希望だった。 「そ、その条件って!」 「それは、選択するまで発表できないなあ。難しい条件だけどね、あと条件出す代わりに失敗したときは、罰ゲームも待っているよ」 中出しされて、妊娠させられる危険以上の罰があるなんて、このときの涼子には思えなかった。 「分かった、分かりました……」 「死ぬより、条件付きのセックスのほうを選ぶんだね」 そうやって、覚悟を決めさせるために袖をまたグルグルを回して答えさせた。 「条件付きのセックスを選びます」 キッとした顔になって、立ち上がった。死ぬよりましだ、体力の限界に挑戦してやる。なんだってこいという顔だった。そういう風に、おっさんがうまくしむけたわけだが。 「じゃ、条件を発表します」 無言で、じっとおっさんを睨む涼子。もう、キモイとかそういうことを思う余裕もなかった。 「条件は、ぼくが射精してしまうまでに、涼子ちゃんが十回イクことでーす」 「て……えぇぇぇ!!!」 涼子が、抗議の叫びを上げた。もう、ここは住宅地のはずなのに、世界中の人に裸を見られてもいいから誰か助けてという叫びだった。 「そんなの、無理にきまってるじゃない。土台無理よ!」 「人間の体力の限界に挑戦って所だね、十回イク人ってのはいるよ。軽くでも、カウントしてあげるから、もしかしたら出来るかも」 「私……彼氏としたとき軽くでも三回もいったことないよ。しかも、その間に彼氏二回イッてるし」 抗議は聞き届けられないことは、もう痛いほど分かっているのに言ってしまう。おっさんのニヤつき顔。、またも、涼子の顔に絶望の死相が浮かぶ。 「まあ、なるべくぼくもイかないようにがんばるからさぁー」 涼子は固まってしまった。信用できるわけがない。 「あと、罰ゲームのほうなんだけどね。もし、うーんもし、万が一にだよ、君が十回いかないうちに私が限界に達して射精してしまったら……」 おっさんは、発表にタメをつけて雰囲気を盛り上げているが、絶望している涼子はリアクションが悪い。 「涼子ちゃんは、喜んでぼくの子供を妊娠する」 また、涼子は人間の声とは思えないほどの大きさの叫びをあげた。あの、壁に敷き詰めてあるウレタンは飾りじゃなくて、防音のためなんだなとこの時、なぜかとても覚めた気持ちで冷静に思った。 おっさんは、また覚悟を決めさせるように、袖をグルグルと回した。そうされると、不思議と涼子は、やらなくてはならない。覚悟が決まってしまうのだ。 「するって約束だからね、もう自殺はしちゃだめね。あのね、喜んでぼくの子供を妊娠するというのは、ぼくがイクときはちゃんとイクって合図するから、ちゃんと子宮口を開いて、ありがとうございます貴方の子種を頂きますっていうの。そして、愛情を込めてぼくを抱きしめて最後の一滴が射精し終わるまで、自分が思いついた孕む女の喜びを一心に表現すること。そして、終わってから精液をこぼさない様に、五分はその姿勢ね。わかった」 話してある間中、呆然とした涼子の目の前で袖はグルグルと回っていた。 「………………わかりました」 涼子の快諾を聞いて、おっさんはまた満面の笑みを浮かべる。 「なあに、十回先に気をやればいいんだから、涼子ちゃんならできるよ。ああ、あとイッタ振りしても分かるからね、ちゃんとイかないとカウントはしない」 そういえば、おっさんの名前聞いてなかったと涼子は思った。できなければ、名前も知らない人とセックスして、失敗したら……その人の子供を妊娠するのか。聞こうと思ったけど、向こうが言わないのにと思って悔しくて聞くのをやめた。 「じゃ、ソファーをちゃんとベットにして始めようか。ファイト!」 どうせ、無理なのに涼子は必死になって取っ組み合いを始めた。涼子だって、彼氏とだけだがセックスの経験値はある。相手をイカせるのなら、簡単なのに自分がイクなんてどうやったらいいのか、とにかく涼子は必死にお願いして。先にオナニーして、イキそうになってから、入れてもらうことにした。 せめてそれぐらいがハンディーがなければ。刺激してやらなければ、彼氏のものだと萎えて入らないこともあるのに、現役高校生の男と比べてもおっさんの持続力はたいしたものだった。 オナニーを見てるだけで、ギンギンの状態を維持して、ぶち込む。 「じゃ、入れるよ」 ずぼっと入って、物凄いピストンが来た。早くも、一回イッタ。 「あぁぁあ」 わけが分からなくなった、いいんだわけわからなくてと思って、こっちからバンバン動いた。 「オッパイ吸って!」 自分をいかせないといけないのだ。おっさんに、ちゅーと右を乳を吸ってもらってるあいだ、必死に左の乳をつねった。もう乳頭をちみぎった見たいな、敏感すぎて普通なら痛いはずなのに、凄い快楽を涼子にもたらした。 小刻みに、コントロールできない動きでガクガクと腰を振るわせる涼子。 「二回目だね」 オナニーのときのコツを思い出さないと。中学生のときは、これでも連続でオナニーし続けたことがあった。回数までは数えてないけど、とにかくやらないと。 ぎゅっと、自分でクリトリスを剥いて、というか気がついたら剥けていたのでそれを嬲った。彼氏と定期的にやるようになってからは、自分でこんなに強く刺激するのは久しぶりだった。 その間も、執拗なピストンを繰り返しておっさんは膣を刺激してくれる。カリがひっかかって気持ちいぃ。 「三回目、だね」 涼子はこんなに、わけわからなくなってるのにおっさんは冷静だとぽーと思った。もしかしたら、十回イケるかもしれない。諦めたちゃ、駄目だがんばらないと。気持ちが覚めたらおしまいなのだ。 「もっとぉーもっと、突いて! おっぱいも吸って」 おっさんは、オッパイだけじゃなくて、首筋から肩からとにかくいろんなところを舐めたり刺激したりしてくれた。そのたびにイって、連続でイって……。 「七回目……だぁ」 多分、軽く二回連続ぐらいでイッタ。ちゃんとおっさんはカウントしてくれてる。もうちょっとだ、神様と涼子は祈る気持ちで腰を振った。こんなに、一心不乱にしたことは生まれて初めてだった、もう二度とないだろう。 「八回目……くぅ」 限界だった、何かが壊れた。心の壁みたいなのが、すっと壊れた。ずっと抱えてた悩みや不安もなくなった。おっさんは、見知らぬ汚いおっさんじゃなかった。自分を気持ちよくしてくれる……神様だった。 「司会者は、九枚当たりで二枚取る。知ってる?」 だから、そんなおっさんの冷酷な言葉も耳に届かなかった。 「もう、ぼくも限界だからイクよ。ほら、ありがとうだよ、涼子ちゃん。気持ちよかったよ」 「はぃ……あぁ……はぃ……ありがとうございます」 「だから、もうぼくも限界だって。涼子ちゃん、ぼくはイク! ぼくは涼子ちゃんの膣内で射精するの!」 涼子の頭でさっきのおっさんの命令がフラッシュバックした。 「はい、ありがとうございます! 貴方の子種を頂きます!」 「よし、イクぞ。子宮口開けて受け取れ!」 「私も、イクぅ……」
ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!!
さっきの喉の奥に感じた射精の勢いの倍は来た、膣はぐっと絞めて子宮口はぐっと開いて、涼子のオマンコはまるで生き物のようにゴクゴクと精子を子宮へと飲み込んでいく。 「ぁ……来てます。幸せです……ありがとう」 おっさんは、真っ白になった世界で涼子の頭を静かに撫でた。神様のようだった。 「このまま、動かないでください。精子溜めますから。受精してるといいです」 そうやって、涼子は最初のこまっしゃくれた女子高生がどうしてこんな透き通った笑顔ができるのかと思うほどの、聖母のような顔になった。 「こうしていると、幸せ……ぁ、まだチンコが動いてる……」 涼子は、おっさんとまるで神様と聖母のようにきっちり十分間しっかりと愛し合って抱き合い続けて、驚いたことにおっさんのものは萎えることもなく、涼子の膣はおっさんのチンコと一つの生き物になってしまったようだった。ツガイってこういうことなんだって涼子は思った。 そして、そんな至福の波はゆっくりとまた絶頂を迎えてもう一度。 「せっかくだからもういっかい、涼子……孕めよ」
ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!!
「あぁ。もう一度、ありがとうございます」 見事な駄目押しの射精をかましたのだった。満ち足りた幸せの中で、静かに涼子の意識は途絶えた。
はっとして気がついたときは、ソファーベットですでに服も着せられて寝かされていた。服を着せてもらってなかったら、夏でも風邪引いていたかもしれない。 夏のさなかだったので、まだ外は空も青々として明るかったが、部屋に時計がないので携帯を取り出すと、時間はすでに夕刻になっていた。 あれほど、激しくしたのに、汗一つかいてないなんてと目の前のおっさんを見たらおっさんもちゃんと例の浴衣姿だった。寝ている間に身体を奇麗にしてくれたのかと、思った瞬間に夢のようにぼんやりとしていた……フェラチオとセックスと……中だしの一部始終が思い浮かび。 「ギャー」 ばたっと、またソファーベットに倒れこんだ。 「あのー、そろそろ起きて、今日は帰ってくれるかな」 おっさんは、もう興味を失ったようにそういった。涼子は、迫り来る絶望を避けるように、不貞寝した。ベットにすがりついて現実逃避した。 そうして、でも目の前にいるおっさんが気になって薄目で見ると本当に薄らぼんやりしたキモイオヤジで、来てる服が変なだけで、あんなに怖かったり、優しかったりするわけがなかった。しょぼいオヤジだった。 「……私、もう帰ってもいいんだ」 そう思った。 「あのさ……もう帰るけど、こんなの全部夏の夢だよね。白昼夢ってやつだよね」 よくよく考えても、まったく完全な記憶があっても、おっさんの中だしを喜んで受け入れるなんてありえないと思えた。 おっさんは、ぼーと突っ立ってたが。あの笑いを浮かべた。その瞬間に怖くて、悪魔で、神様みたいなおっさんになった。 「ヒィ……」 「あのさ、ぼくは今日は帰ってもいいっていったんだよ。明日も君は来るんだよ。できれば、同じ時間に来て欲しいな。都合つけてさ」 「……なんで、明日も」 そんな馬鹿な。もうすべて終わった悪夢が終わって、朝になったのに時計の針が逆回しになってまた夜に戻るホラーのラストを思い出した。 「だって、君は約束したでしょ」 「何を……」 「ぼくの子供を妊娠するって、妊娠するまで続けるんだよ」 三度目の悲鳴をあげて、涼子は叫びながら逃げ帰った。家に帰って、悪い夢だ。全部夢だ、忘れようと忘れようと全力で忘れようと忘れようと忘れようと忘れようと忘れようと忘れようと忘れようと。
家でも、学校でもずっと寝た。そうして、何もかも本当に忘れて晴れやかな気持ちになって、涼子は歩き続ける。
昨日と同じ道を、一緒の時間に一緒のように。
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