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E小説(中出し・孕ませ・時間停止・催眠・環境変化など)
エロ小説のサイトですので18歳未満の方はお帰りください。傾向はマニア向け、作品中のほぼ100%中だし妊娠描写、付属性として時間停止・催眠・環境変化などです。
八章下
「えっと……取り込み中のところすまないんだが」
 いつのまにか、マサキと希の二人が部屋に入ってきていた。
 そこに、座っている幸助と体操服を持ち上げて、ブラを降ろして乳をむき出しにしている望、誤解するなというのが無理な光景である。
「うぁ! マサキくん、違うんだ……これは」
「ああ、分かってるよ。望……悪ふざけが過ぎるだろ、幸助くんになら全部話してもいいとはいったが、誰もそこまでやれとはいってないぞ」
 そういって、呆れた顔で望に注意するマサキ。姉の希は妹の奇行には慣れっこらしくいつもの無表情を保って立っているだけだった。
「ごめんなさい、マサキ兄ちゃん。ほら、みんなに秘密にしてるとかって、結構ストレス溜まるんだよね。こういう機会少ないから、こうすっごくはっちゃけちゃったというか……富坂さんやさしそうだし、ちょっといいかなーとか」
「じゃあ、もう幸助くんにもらってもらうか……お前」
「うそー、いやー、冗談だから! 女の子を孕ませて捨てるとかマサキ兄ちゃんそんな鬼畜じゃないよね?」
 そういいながらも、口調に余裕がある望。全部冗談なのだろう、幸助はもう流されるままに翻弄されるしかない、まあマサキファミリーに関わると、いつものことだが。
 マサキは、「ふぅー」と深い深いため息をつくと、幸助に向かって謝る。
「すまんな、いつものことなんだよ。姉はちゃんとしてるんだが、妹のほうはちょっと性格に問題があってな。育った環境が問題あったのかもしれん」
「マサキ兄ちゃん、酷いよそんな私を困った娘みたいに!」
「お前が困った娘以外のいったいなんなんだよ……」
「困った娘ほど、可愛いとか……いうよね?」
「もう話が進まないから、お前は黙ってろ」
 幸助はもう呆然と見ているしかない。それでも、とりあえず誤解はされてないみたいだし、何か言おうと思って、幸助はついこんなことを言ってしまった。
「えっと、マサキくん……とりあえず、おつかれ」
 そうやっていってしまうと、マサキと望がすごい形相で幸助を振り返って「だめぇ!」という顔をしたが遅かったようだ。
 幸助の「おつかれ」という台詞を聞き終えた瞬間、さっきから部屋の入り口に立っていた希の顔が無表情のままに急速に真っ赤になっていった……と幸助が思った瞬間に、扉が粉砕して爆散していた。
 あっ!と思った瞬間に、すでに希の姿は見えなくなっている。ものすごいスピードで知覚できなかったが、たぶん扉を蹴り破るかして飛び出て行ったのだろうと思われた。
 あとには、飛び散った扉の欠片が舞うなかで、客間に三人が取り残されているだけだ。
「あの……俺なにか悪いこといったかな」
 そう幸助が聞くと、二人が「うんうん」とうなずく。
「駄目だよ……富坂さん、お姉ちゃんにあんな匂わすようなこといったら。やってるときは注意散漫になるけど、それ以外のときはすごく鋭いって教えたでしょ!」
 いや、そんなこと教わった覚えが幸助にはないのだが。
「お前らが覗いてるのぼくは気がついてたけどな。別にぼくは気にならんけど、希にばれないかとハラハラしたよ。幸助くん、希は妹と違ってとてもいい娘なんだが恥ずかしがり方とかの感情表現が少しだけ極端でな……扉で済んでよかったよ。覗いてたのがばれたりしたら、たぶん幸助くんの身体が、あの扉みたいになるから気をつけてくれ」
 気がつかないうちに、幸助はものすごく危ない橋を渡らされていたらしい。
「マサキ兄ちゃん酷いよ、また地味に私の中傷を会話に織り交ぜてたでしょ。扉の修理はまた道場の経費で落ちるだろうけど、何かあるたびにお姉ちゃんは家を破壊するし……後片付けする私がいなかったら円藤家は家庭崩壊なんだからね」
「はいはい、オマエイイコイイコ……」
「感情がすごくこもってない!」
 なんだかんだで、幸助がなんでこの家に来たのかもうわけが分からなくなってきた。とりあえず、望が扉の破片を片付けるというので、また奥座敷に通されて抹茶をいただく。マサキの入れてくれる香り高い抹茶を飲んでいるとほっとする。
 なにか腹立ち紛れに、希が道場のほうにまでいって暴れたらしくて、道場が大騒ぎになっていたが、とりあえず幸助には関係なので放っておくことにした。いつものことらしく、ゆったりとした着崩した着物姿のマサキも、泰然自若とお茶を点てている。
「それで……催眠アクセサリーはうまくいったんだな」
「ああ、あれは使える。使い方も身に付けられたと思う」
「そうか……」
 マサキはゆっくりと茶器を置き、抹茶を啜りながら悠然と微笑む。
「マサキには、感謝している。ルシフィアはあいかわらずだが、心は読み取られなくなったし、後始末も簡単にできるようになった、すでに外堀は埋められたと思う」
「焦らなくてもいいさ、いまはとにかく力を使いまくることで心を鍛えるしかない。限界を決めるのは能力ではなくて、それを扱う自分の心だということを覚えておけよ」
 マサキが遠い瞳で見つめるのは、かつて自分が通ってきた道行き。
「ああ……肝に銘じておく」
「また来てくれ、まだ相談しなければいけないこともある。少なくとも、ルシフィアに対峙する前には必ずな……」
「出来るだけ早く、マサキが学校に戻れるように力を尽くすよ」
「フフッ……焦る必要はないのだが、たしかに学校に行けないと時間があまりすぎてちょっと困ってはいるんだよ」
「なにか、俺で役立てることはあるか」
「いや……そういうことじゃなくて暇すぎて家族がまた増えてしまいそうでな」
 そうやって、着物の懐に片手を入れたままで茶を啜り、底知れぬ笑みを浮かべる畏友は、やはり幸助にはとても大きな男にみえるのだった。

 幸助が帰ったあと、しばらくマサキは目を瞑り、黙考していた。そこに、ガラリと窓が開いて、庭から漆黒のゴシックロリータ姿の少女が入ってきた。一応、靴は脱いでから入るところあたりが折り目正しいが、黒ゴスロリに黒ニーソは、純日本家屋に恐ろしく不釣合いだといいきれる。
「富坂先輩の成長を急がせなくてよかったのですか」
「理沙か……幸助くんの護衛はどうした」
「自宅に帰るコースですから、平賀神社のほうには近づかないでしょう。今日の平賀芽衣子は神社で手伝いですから、もう監視は必要なしです」
 少し不機嫌そうに佐藤理沙は答える。
「そうか、お前がそう判断するなら……」
「富坂先輩の成長を急がせなくてよかったのですか」
 はい、大事なことなので理沙さん二度言いました。
 話が長くなりそうなので、理沙のためにお茶を点て始めたマサキ。理沙はちょこんと前に、正座したので飲むには飲むのだろう。
「急がせたら育つものも育たないだろ……平賀芽衣子は気がつき始めているが、間に合わなかったら、ぼくが抑えて見せるよ」
「いい手駒になりそうな人材を潰してですか。正直、愚手としか思えません。そんなことなら、最初から平賀芽衣子と富坂幸助を接触させるべきではなかった」
 自分の差配を愚手といわれては、さすがにマサキもムッとする。
「理沙……お前いうようになったな」
「私……こんな《監視役》みたいなのじゃなくて《策士志望》ですもん。アルジェ先生が暇なときに『マサキにそのうち必要になるからな』って言われて直々に『天才の一歩手前ぐらいになる軍師促成栽培コース』を受講しましたから」
 自分の師匠の名前を出されると、マサキも分が悪いようだった。
「なんだ……その怪しげなコースは。悪かったよ、つまらない端役を割り当てて。でもいま幸助くんに気が付かれずに守れるのは理沙だけなんだからさ」
 そうなのだ、幸助にはある程度気配を察知する力があるから、礼法を覚えた理沙でないと尾行しながらの護衛は無理だ。
「明らかに人材不足ですよね」
 そういいながら理沙は、ずずーとお茶を啜りながら、非難げな目を向ける。
「分かった人材不足は、そのうちなんとかする」
「……鳥取家の人間を使えば」
 理沙がそう小さく呟いただけで、さっきからやりこめられていたマサキから表情が消えた。
「あそこはぼくの自宅に近すぎる……後継者育成機関にするっていっただろ」
 マサキがそう口にするだけで、ピリピリと空気が冷え切った。そんな雰囲気に威圧される理沙ではなかったが、マサキの気持ちには配慮はする。
「甘すぎ……甘すぎですよ。やっぱり、貴方は盤上の王がお似合いです。《指し手役》は私に任せてくださいね」
 そういって、理沙は立ち上がって座っているマサキを抱きすくめるようにして、軽く接吻した。そうしてから理沙は、小さく口をあけてマサキの舌を自分の舌の先で転がすようにして舐める。お互いに抹茶を飲んでいたので、渋い味しかしなかった。
「んっ……そうやって、ぼくも手の中で転がしてやろうっていうのだろう理沙は」
 理沙から口を離してそういうと、マサキは自嘲するように苦い笑いを浮かべる。本当は理沙の手の中で、ではなくて。アルジェ先生の手の内で、いまも自分は踊っているのではないかと疑ってしまったからだ。一人立ちできたと確信できる今でも、その疑念は拭えない。いや、拭ってしまってはいけない。
「あなたのためになるなら、迷わずにそうします」
 そうやってマサキを抱きしめながら、熱っぽく見つめてくる理沙の目に嘘はなかった。でも、この娘の心を一度壊して、新しく創り直したのがアルジェ・ハイゼンベルグであるから。この娘の中にどんな爆弾を仕掛けていてもおかしくはない。
 これが「信頼はしても、信用はしない」ってやつか。そうマサキは思考して。そして、その言葉すらマサキに教えたのはアルジェ先生だと気がついて、我ながら難儀なものだなとマサキは、口を拭った。
 ぬぐった手ぬぐいに、理沙のつけている真っ黒い口紅がべっとりとついていた。マサキは、理沙にいざなわれながら、とりあえず《監視役》をさせるときはもうちょっと目立たない格好をするように注意しようと思うのだった。あと……黒ゴスロリは抱くときに、とても脱がせにくいから。
七章下
 マサキから与えられた、この催眠アクセサリーの効果を、幸助は山本姉妹で試してみることにした。ちょうど休日、時間を止めて、マンションに入ると姉妹はちゃんといた。
「せっかくの休みなのに……さみしいことだね」
 自分のことを差し置いて、そんなことをいう幸助。ただ男っけがないのは幸助としては安心できる。とりあえず、小さなイヤリングの形状をした催眠アクセサリーを二人の耳に付けてみた。
 一度、つければつけることを意識せずに付け続けるというのだが。
「とりあえず……時間を動かしてみるか」
 幸助は、いつもの巨大なぬいぐるみの影にうずもれるようにして、隠れる。机に向かって勉強しているらしい、山本佐知にとても近い。様子がよくわかっていいのだが、いつでも時間が止められるという幸助でなければ、怖くて居られないような場所だ。
 時間を動かし始めると、シャツにデニムだけというラフな格好の佐知は、ゆっくりと動き始めた。むき出しになっている腕からは、健康的な小麦色の肌がのぞく。いくら発展途上の胸とはいえ、ブラすらつけてないのはどうだろう。薄いシャツから、完全に乳頭が浮き上がってみる。
 室内だからいいのか、客でも来たらどうするつもりだ。そんな馬鹿なことを考えながら幸助は息を潜めた。特に、イヤリングをつけたことによって変化はない。勉強に集中しているようで、時々小さく呻いて考え込んでいる。ルビーのような赤いイヤリングは、佐知の赤みがかかった焼けた短髪に良く似合っている。
「佐知、休みなのに精が出るわね……」
 姉の麻美がコーヒーを持って佐知の机まできた、ぴっちりとした赤いスーツにタイトなスカートから、むき出しの太ももが覗くというセクシーな女性にしかできない、かっこいい服装なのだが、何故かその上にピンクのエプロンをつけるという台無しな格好をしている。料理でもしていたのか、それならスーツの上着ぐらい脱げと幸助は思う。外なのか中なのかはっきりしてほしいが、そんなチグハグな服装もスタイルのいい麻美が着ると、なぜか魅力的なものに見えるから不思議だ。
「姉さんこそ、デートはどうしたの」
 そうやって佐知がいうと、麻美は舌をちろっと出してばつが悪そうな顔をした。
「あんまりつまんない男だったから、逃げてきちゃったわよ……私はあれだわ、いまは休男期なのかも。いまは男はいらないってね」
「なにそれ……まあ、姉さんはモテるからなあ」
 そうやって、変な格好の姉のスタイルを羨ましそうに見る佐知。
「あんただって、可愛いじゃない。なんか急に女らしくなってきたし、あんたも彼氏でもできたんじゃない」
 そうやって勘ぐる麻美。
「まさか……そんなの居ないよ」
「あはっ、結構本気で言ってみたのに、はずれちゃったか。コーヒー冷めないうちに飲んでね、それにもうすぐテストなんでしょ、たくさん勉強しないと私みたいになっちゃうわよ」
「アハッ……姉さんみたいになれるなら、喜んで勉強放棄するんだけどなあ」
 そういって、佐知は控えめに笑った。彼女は、女性的な姉といつも自分を比べて、せめて勉強や運動ぐらいと、がんばっている。姉は姉で、自分にないものをたくさん持っている妹をひそかに羨んでいるのだが、二人のそんなかみ合わないところが姉妹の関係を上手くいかせているのかもしれなかった。

「……わる」
 時間を止める幸助。とりあえず、催眠装置の効果を確かめてみることにしよう。佐知を抱えるようにして、ベットに運ぶ。佐知は、身体が軽いので運びやすい。短いジーンズと白いゴワゴワした子供っぽいパンツを脱がして、下半身をむき出しにする。
 運動で引き締まった太もも、その先にある女性器はいまだに無垢なものであったが、何度も幸助が犯したことによって、ようやくこなれてきている。ゆっくりとそれに舌を這わせるようにして下準備していく。
「あいかわらず……爽やかな味だな」
 オマンコに爽やかというのはおかしい表現だが、ちょっと酸味があって口の中が爽やかになるようなそんな味がする。成長途上で、過剰気味に運動しているせいか、それとも体質によるものなのか。
 女性によって、味が違うというのも、幸助は最近になって気がついた。佐知のまだこなれきっていない小さな穴を、味わうようにして舐め取っていく。佐知の呼吸がすぐ荒くなって、熱い息を吐き出した。
 若いせいもあるのだろうが、これで、佐知は性的な刺激に弱くて意外に濡れやすいのだ。舌がざわざわとして、幸助を興奮させる液体が次々とにじみ出てくる。吸えば吸うほどに、奥から次々と尽きせぬ泉のようで、女性の身体というのは不思議なものだ。
 幸助の口元がドロドロになるぐらい濡れきったところで、すでに勃起しているじぶんのものを、そこに這わせるようにして挿入していく。佐知の穴は、幸助が最初から少しずつ少しずつ広げてきたものだ。自分の形にぴったりと合うように締め付けてくる、細い襞の中へぷっくらと膨れ上がった自分の物を押し込んでいく。
「あいかわず、締め付けがきついな……」
 最近、ようやく一番奥まで入るようになったのだ。佐知の穴はもうジュルジュルになっているのだが、それでもいっぱいに突き入れると、まるで食いちぎられるような勢いで締め付けてくる。これは、佐知でないと味わえない感覚だが、きつすぎてすぐ射精してしまいそうに頭が熱くなる。
 気をそらすように、幸助は佐知の乾いた唇に舐めるように吸い付いていく。まるで口の中を陵辱するように、舌を激しく絡めて唾液を交換する。時間が止まっていても、佐知の呼吸は激しくなっている。鼓動を感じる、幸助の腕の中でちゃんと佐知は感じて生きている。
 シャツをもちあげるようにして、佐知のおっぱいを出す。薄い胸だが、触ってみるときちんと柔らかい。小さい乳頭でも、吸い上げるときちんとピクピクと痙攣して気持ちよがる。
「んっ……」
 佐知から色っぽい息が漏れた。声を出しても、意識を取り戻すわけではないことはこれまでの経験で分かっている。止まった世界で、意識をもって活動できるのは幸助だけなのだ。ただ、幸助によってもたらされた刺激までがないことになってしまうわけではないということ。
 佐知とするまでは、大きい胸ばかりに女性を感じて、貧乳なんてと思っていた幸助だが。薄い胸には、薄い胸なりの良さがあるといまは感じていた。刺激がダイレクトに伝わるし、自分の手でもいいように感じさせることができる。
「可愛いな佐知の胸は……」
 結局のところ、佐知が可愛いだけなのかもしれない。ベットでの佐知は、抱く前に見ていたより何倍も可愛いと思う。最近、どんどん可愛らしさを増していくようなのだ。それは、近くに居る姉も感じたらしくて可愛くなったとはいっていたが。
 佐知の肌は、健康的な小麦色をしている。ただ、日に焼けても黒みを増すだけでその瑞々しさまでは喪われているわけではないようだ。佐知の短い髪を撫でてやる、すこし乾いていてそよぐようで。それが心地よく感じる。
 幸助に何度も何度も蕩けさせられて、身体中を弄られて、それでもどこか佐知は爽やかで健康的な、少女らしさを喪っては居ない。だから幸助は、佐知を抱くたびにスッっとする気持ちよさがある。
 正常位で身体を押し付けるようにして抱きしめると、ビクッビクッと佐知の身体が震えた。佐知の目がトロンとして、黒目が増していく。イッてしまったのだ。時間停止の世界で、佐知に抵抗はないから、その身体はただ快楽を貪るためだけに動く。口が半開きになるが、それをだらしないものだとは思わない。
 涎を、舐めるようにしてもう一度佐知に深い口付けをして口の中のものを吸う。深く淫蕩で、それでいて爽やかで。幸助も限界を感じて、腰の動きを早めていく。
「佐知……いくぞ」
「んっんっ……はっ……」
 佐知は、またガクンッと身体を振るわせた。キュッキューと佐知の肉襞が、幸助のものを吸い上げるようにして痙攣する。
「出る……」
 幸助は、ドピュドピピュ! とためらわずに佐知の中に欲望を吐き出していく。
 幸助には、まるで自分の一物が別の生き物になってしまったよう感じた。ドクドクと佐知の中で鼓動するのが分かる。佐知のオマンコも、また別の生き物のように幸助の粘液をたっぷりと吸い上げていく。
 性器はきっと、独立した生き物なのだ。子種を吐き出して、精を受けて妊娠するためだけの機関。その快楽に引きずられるようにして、幸助は今日も佐知の中に精液をたっぷりと吐き出した。
「ふぅ……」
 さすがに、幸助も息をつく。佐知に与える最初の射精は、いつも長いものになるからだ。時間停止しているのでわからないが、たぶん一時間はたっているだろう。佐知を抱きしめて、抜かずにゆっくりとベットに寝そべる。すこし休憩だ。

 しばらく、まどろみを楽しんでいた幸助であったが、立ち上がって佐知を下半身むき出しのままに、勉強机の前に戻して座らせる。下着とデニムはベットに置かれたままである。当然のごとく、その横には姉の麻美がいて佐知のほうを見ている。これは、実験にはちょうどいい環境だ。
「……かける」
 時間を元に戻す。佐知は、先ほどの性的刺激の余波が冷めやらないのか、顔を赤くして熱っぽい息を吐きながらも、参考書に向かっている。
「馬鹿なこといってないで勉強しなさいよねー」
「んっ……うん、お姉ちゃん」
 麻美は、自分の妹が上半身のシャツは先ほどのプレイで汗をかいて張り付いているし、下はむき出しになって股間から精液を少しずつ垂れ流しているという状況なのにもかかわらず、それに気がつかない様子で話しかけている。佐知も同様のようだ。
 どうやら、マサキからもらった催眠アクセサリーの効果は完璧といっていいようだった。
 麻美は、もう少し勉強の様子を見ていると、邪魔になるといけないからといってリビングへと降りていった。
 佐知は、本当に気がついていないのだろうか、前にもまして勉強に集中している様子である。幸助は、少し観察して効果のほどは確かめられたと思った。だが、ここまできて麻美のほうはやらないという手もないだろう。
 時間を止めて、リビングへと降りていく。リビングにはいないので、キッチンのほうを覗いてみるとやはりそこに麻美はいた。パスタと軽い添え物を作っているようだった。時間的には遅い昼食といったところだろうか。
 たぶん、麻美は昼を食べるつもりでデートとやらにいって、それでご飯も食べずに帰ってきてしまったのだろう。どんだけつまらない男だったのか知らないが、ご飯も食べないで速攻で帰るとか相手の男が少し可哀想な気がした。
 まあ、それもしかたがないかもしれない。赤いスーツをぴったりと着た、スタイルの良い肢体の麻美はどこからどうみても大人のいい女なのだから。ピンクでフリルのついたエプロンをつけてスープをかき回していなければであるが。
「どっちかにすればいいのにな」
 可愛い格好か、かっこいい格好か、どっちかにすればいいのに。チグハグな格好が、まるで変なプレイみたいなことになっている。とりあえず、太ももに張り付いた短いスカートをたくしあげるとエンジ色の透け透けなパンツが出てきた。
「うあー色っぽい」
 こんなパンツはいて、タイトなスカートで見えたらどうするつもりなんだろう。
「まあ、見えたらラッキーってことか」
 可愛くても、かっこよくてもいいが、色気の塊のような女であることに代わりはない。山本麻美二十四歳、女の一つの盛りの季節がそこにはあった。後ろから、あえてパンツの股に擦り付けるようにして、腰を動かす。
「ああっ……この感触もなかなかいいな」
 足をもっと広げて、後ろから突き上げてみる。パンツ越しなので、さらりとした感触が楽しめる。滑るような素材で、たぶんシルクかなにかだ。濡れそぼった幸助の亀頭を爽やかな感触で包み込んでくれるようだった。
 幸助は、悪戯心を感じてパンツはそのままにして犯すことにした。さっと手でめくると薄いパンツはいとも簡単に麻美の肉襞を露呈させる。そこに、さっきセックスでたっぷりと濡れた亀頭を押し付けていく。
 さすがにまったく濡れていないオマンコにするりと入ることはない。それでも、強引に入り口からこすり付けていくようにして押し込んでいく。幸助のほうがタップリと濡れていたからだろう、何回か突き上げるとにゅるりと奥まで入っていった。さすがに、濡れていない肉襞にピストンはきついのでそのまま入れたまま、濡れる前の襞の感触を楽しむようにした。
 前から、まだ皮の向けていないクリトリスをこするようにして刺激する。
「んっ……ふっあ」
 真っ赤な口紅を塗りつけた、小さい口をあけて熱い息を吐き出す麻美。高い声の佐知とちがって、麻美のトーンは少し低くてうちにこもるような声である。それが、隠微なアダルトさを幸助に感じさせる。
 下の肉襞も、やはり佐知とは違う。それなりに広さも容量もあって、濡れてない状態で突き入れても受け入れる余地があった。締め付けは佐知のほうが高かったが、それは別にガバガバというわけではなくて、麻美の肉の柔軟さなのだろう。
 後ろから、服越しに柔らかい胸を揉むようにしていると、少しずつだが麻美のオマンコも濡れだしてきた。まったくタイプが違うようにみえても、やはり姉妹だ。濡れやすいのは家系のようである。
 胸を向くのは面倒くさいし、スーツが駄目になっても可哀想なので、尻を触ることにした。麻美は、胸もいいが尻のむっちり感やボリュームも素晴らしい。ムチムチで、しかも垂れていない尻から太ももにかけてのラインは、これ自体が自然が生み出した芸術のように思える。
 日の当たる場所になんか出たことがないというぐらいに、白くて滑らかなお尻。麻美は、他の男ともセックスしたりするのだろうか。デートに出ているぐらいだから、逆にいま彼氏はいないのだろうが、それでもこれだけいい女だから他の男がほっておくはずもない。そう考えると、嫉妬を感じて幸助は突き上げる勢いを強くする。
「んっふっ!」
 突き上げるたびに、きゅっと締め付けて前かがみになって息を荒げる麻美。幸助はそんなことにも構わずに、腰を回すように突き上げてじわじわと愛液を出してきた、肉襞の感触を楽しむようにしてピストンを繰り替えす。
 さっき一発だしておいたから、結構無理が効く。他の男ともやってんのかな、やってないのかな。そんなことを麻美の白い尻を見ながら考えていると気持ちが高まってきて、幸助は思わず麻美の尻を軽く叩いてしまった。
 血管が透けて見えるんじゃないかというぐらいの白い肌である。幸助が叩いたところが、少し赤くなってしまう。それを見て、またムラムラと興奮する。
 麻美を覗き込むように顔を見る。きっと楽しく料理していたのだろう、笑顔のままで熱い息を吐いている麻美を犯す。
「なあっ……麻美、妊娠してくれよ」
 あえて乱暴な言葉をつかって、麻美を攻め立てる。静まり返ってる時間、止まっている麻美はただ、それには答えずに笑顔で息を吐いてうつむいているだけだ。こういうのも悪くはない。
 高校生で同級生の佐知は正直、孕ませてしまうのが可哀想な気がしている。普通に同級生としてクラスにいるんだし、最近よく話すようにもなっている。それでも、獣性にまかせて犯しているわけだが。
 それにくらべて、麻美のこなれた身体なら、むしろ孕ませてしまうのが自然だろう。付き合いの多いらしい麻美を自分のものにするには、むしろ妊娠させてしまったほうがいい。そう考えているから、幸助はいつも麻美のほうに多く出してしまうのだ。
「出るぞ、妊娠しろよ……」
 そうやっていいながら、下からグインッと腰を突き上げて射精する。麻美の子宮口にドピュドピュと白濁液がふりかかっていく。麻美の中で、ドクドクと自分の白い欲望の塊を吐き出してしまうと、麻美の腹を撫で回しながら、幸助は満足するのだった。
「今日はこのぐらいに、しておくかな」
 催眠装置がこっちにも働いているか一応テストをしておかなければならない、手元にあった小さなビンがちょうど良かったので、するりと麻美の愛液と精液でいりまじったドロドロのオマンコの中に挿入する。
「おー、落ちない」
 中々の締め付けである、香辛料かなにかが入ったビンを逆向きに差し込んでも、くわえ込んで落とさないのだ。見事であった。
 スカートをたくし上げられて、パンツをめくられて、そこにビンを差し込まれて料理している麻美の光景は、幸助の征服感を満足させるものだ。部屋の影に隠れるようにして、時間を元にもどす。
「あとは……あれ」
 体勢がちょっと前かがみになっていたのは気になったのだろう。自分の位置とかは性的なものとは関係ないので感知できるようだ。気を取り直したように、スープをゆっくりとかきまぜて、とろみをつける作業に戻る麻美。
 もちろん股からは精液を垂れ流して、ビンをくわえ込んでいるままだ。すこし息が荒いのは、オマンコに堅いものが挟まっているからだろう。それは性的なものなので、麻美は感知できないでいるというわけだ。
「ふぅ……よし、これで完成っと」
 パスタを茹で上げて、湯切りして皿に盛り付けた拍子に、股間に刺さっていたビンが抜けて、下に落ちてごろりと転がる。
「あら……どうしたのかしら」
 スカートはまだめくれあがっていたままだが、下に落ちたビンに気がついたらしく持ち上げて、不思議そうに見つめている。
「落としたのかな……なんか濡れてる」
 フキンで綺麗にふき取ると、麻美は料理にもどった。完璧に大丈夫そうだ、幸助はこのままこっそりと音を立てないで外に出る。この装置を使えば、もっといろいろ遊びができそうだ。山本姉妹の自宅からの帰り道、幸助はいろいろと期待を膨らませながら思案するのだった。
六章下
「うっ……んぐっ!」
 そんなふうに、自分の無力さをかみ締めていたところだったので、いきなり小さい手で後ろから羽交い絞めにされて、何かを叫ぼうと思って口をあけたところに放り込まれて飲み込んでしまったのはしょうがなかっただろう。
 薬か何かかを飲んだときのように、球状の小さな粒が喉を嚥下していくのがわかる。
 叫ぶのも忘れて、幸助は座り込んでしまった。
「すいません、毒じゃないですからしっかり飲んでください」
「飲んじゃった……なんか飲んじゃったよ」
 幸助なみだ目。喉の奥まで手を突っ込まれたのだから当たり前だ。
「緊急事態につき、誠に失礼いたしました」
 小さい子供が、見上げている。白衣に緋袴という異様な装束、巫女さんが着るような衣装をした小学生の女の子……が何故ここに。
 そう思考してすぐに彼女は子供ではないと分かる。なぜなら幸助は彼女を知っているのだから。目を白黒させて口つぐんでいる幸助に向かって申し訳なさそうに話しかけてくる声も、妹的容姿、妹的な声であり、今にも「お兄ちゃん」とか言いそうだったが。当然、言うわけもなかった。
「私は、特進科三年の平賀芽衣子といいます」
「……名前は、知ってるよ」
 巫女服の女の子というだけで、この学校には一人しかいない。魔王以上に有名人だ。幸助も去年、彼女が文化祭のときに体育館で祝詞を踊っているのを見た。いまは高三になっている、平賀芽衣子は吾妻坂市の西山に社がある平賀神社の一人娘だ。
 社といっても、小さい森程度なのだが。そこには晩年に日本中を旅行して、旅先で没したという江戸中期の天才発明家、平賀源内の墓がある。
 平賀神社は、彼を祭って建立されたという触れ込みの神社で、一応地元の学問の神様になっている。幸助も、受験前に行ったことがある。受験祈願のお守りと一緒に、源内まんじゅうとかも販売している、なんか宗教施設としての重みに欠ける神社だった。
 ただ芽衣子が有名なのは近所の神社の娘であるということではなくて、この小学生に見える百五十センチに満たない小さな体格である。いや、体格だけではなくて、もう見た目がそのまま女子小学生なのだが。なんでも、噂に聞いたところ事故か何かで成長がそこで止まってしまったらしい。
 小人症というのか、生まれつきそういう子供っぽくみえる大人を幸助も見たことがあるが、芽衣子はさらに稀なケースで、事故による後天的な脳機能の異変で成長が止まってしまったそうなのだ。
 クリクリとした大きな瞳に、少女らしい光沢のある肌は、そういう病気というよりは女子小学生がそのまま高校に来ていると思いたいぐらいだ。
 それにしても、彼女は本当に不老なのだろうか。その場合人間としての寿命はどうなるのか。興味は尽きないところなのだが、本人としてはこの体格でずっとやってきて苦労もあったのだろう、親しくもないのに聞けるような話ではない。
 いくら家業が神社だからといって、巫女服を着用して校内をうろうろするなど許されないはずなのだが、黙認されていた。教師からはマサキ以上の特別扱いを受けている少女。彼女は、それもしょうがないかと幸助が見ても思ってしまうほどの可憐さを持っている。
 明るく朗らかな性格で、小学校高学年の可愛い女の子にしか見えないのだから学内でも人気も高い。もちろん主に小動物的な意味であるが、一部の男子にはもっと特殊な需要もあるかもしれない。
 特進科だから学業のほうも問題ないのだろう。だからこそ、多少の奇矯な服装や行動は、教師からは放置されているのかもしれない。普通科の不良たちもマサキがなんとかするまで放置だったし、いまさらながらこの学校の教師たちはいい加減というしかない。

「とにかく、時間がありませんので説明だけ先に。今飲ませたのは、封鬼の守りです。佐上ルシフィアの能力を減じさせる効果があります」
「そんな妙なものを……あっ、そうか、だから君だけはここに隠れていてもルシフィアに思考を読まれて見つからなかったのか」
 もう急な展開にも、いい加減慣れてきた幸助だ。理解も早い。
「そうです、彼女の読心術は鬼の力です。そして、うちは元々陰陽師ですから。鬼を完全に封じるのは難しいにしても、減退させることはできます」
「ふむ……」
 また、唐突で意外な展開だったが、ルシフィアの読心術を潜り抜けてみせたことで、幸助はその言葉を信じざるを得ないところだ。彼女がいうには、ルシフィアの能力というのは、鬼の力だという。だったら、幸助の時間を止められる能力も鬼なのか。
「いま、守りで奴の読心術を妨害できているのは私とマサキ様と、あなただけです。これ以上範囲を広げると、ばれてしまいますから。これはマサキ様に言わせると情報戦なのだそうです。鬼にばれたら、こっちが逆にやられてしまいます。私も高三で退学にさせられるとか、親が泣きますからね」
 そういって子供らしくはにかむ。さっきルシフィアがいってた退学うんぬんの話も、隠れてちゃっかりと聞いていたらしい。
「ちょっとまってくれ」
 幸助は、聞きたいことがたくさんあった。次々と新しい事実を出されて、思考も混乱の極みに達している。
「もう私は行きます。長居はするなというマサキ様の指示でした。もし聞きたいことがあるなら、神社まで来てください。あそこなら鬼の力も通用しませんから」
 そういって、呼び止めるまもなく給水塔の裏に消えていった。あそこからどうやって帰るんだ……幸助が気になって追いかけると、給水塔の裏の側面に縄梯子がかけられて、三年の教室に降り立った芽衣子が、窓から縄梯子を回収しているところだった。
「なるほど……ああいう風にすれば、別に側面を登らなくても給水塔の裏に出られるわけか」
 たぶん希もあそこから来たのだろう。いきなり、三年の教室から縄梯子で屋上に上がっていく二人を見て上級生たちが騒がないのはおかしいのだが。マサキが事前に催眠で違和感を感じさせなかったのかもしれない。そう考えれば、この事態はマサキにとっては予想外ではなくて想定内なのか。
 この展開は、マサキの策なのだろうか。
 とにかく、幸助は大人しく自分の教室に戻ることにした。自分がどう動くのかも決めかねたままで、この事態の急変は厄介すぎる。

「どうしたの、顔真っ青だよ」
「ああ……もう、どうしていいかわからなくてな」
 自分の席にへたり込んだ幸助に、隣の美世がパタパタと下敷きで風を送ってくれる。ああっ、この娘は和むなあ。
「悩み事なら、この美世さんが聞いてあげようじゃないか」
 そういって、楽しげに覗きこんでくる。そういえばこいつは人の厄介ごとに首を突っ込むのが趣味だったんだな。ある意味、美世の存在自体が幸助の悩みの一つなのだが、ぼかして聞いてみることにした。他者のアイディアも欲しい。
「もう、話が込み合いすぎて説明のしようがないんだが……自分のせいで起こった。友達と知り合いの喧嘩を止めたいんだよ」
 そう、普通科に陣取っているマサキたちと、特進科のルシフィアが衝突してしまったのは、こっち側に居る幸助が、その微妙なバランスを崩してしまったからだ。自分のせいと言ってしまってもいい、幸助は責任を感じて何とかしたいと思うのだ。それだけは、混乱した頭でも分かる。
「うーん、それは難しい問題だね。『奴との戯事はやめろ』って間に飛び込むとか?」
「それ……恋人が死ぬうえに片方が宿敵になるフラグだろ」
 美世に相談とか、我ながら弱っているなと幸助は思う。
「じゃあ、ウォークマンのボリュームを上げて部屋の片隅に蹲ってるとか」
「それもバットエンドじゃん……」
 突っ込む気にもなれない。ただ、幸助は美世と話していると不思議と少し心が落ち着いてくる。
「じゃあ、『生きろ!』ってギアスかけてみるとか」
「おまえ……伏字なしで堂々とそんなこと言うなよっ!」
「じゃあ……」
 美世は、著作権とかない幸せな世界に生きているらしかった。羨ましい限りだが、このまま続けさせると、この娘は何を言い出すか分からない。某企業の法務部とか、ジャスダックとか、いまは誰がどこで聞いているか分からない時代だ。
 いろいろ怖かったので続けようとする美世を口を押さえてさえぎる。
「いや……ありがとう。参考になった」
「また、つまらない相談を解決してしまった……」
 そう満足げに呟きながら、無邪気に笑っている美世が本当に羨ましい。この娘は何も知らないのだ、彼女だけはせめてそのままでいて欲しい。幸助は立ち上がる、いま彼に動く理由があるとすれば、せめてその程度のこと。時間を止めれば、まだ間に合うかもしれない。
「……わる」
 急速に、音を失っていく世界。慌てずに、だが迅速に。世界が止まりきるのすら待たずに、幸助は駆け出していた。マサキとルシフィアがぶつかるとしたら、やはり普通科と特進科の中間地点……食堂あたりに違いない。

 しかし、幸助は間に合わなかった。
 駆けつけた、食堂近くの通路に複数の人影。
 その真ん中で、マサキがぐったりと倒れていたのが見えた。
五章下
 ルシフィアに言われたことで、幸助は肩を怒らすようにしてここまできてみたが、こういう雰囲気に呑まれてしまって、なんだか肩の力が抜けてしまった。
「昼食がまだなら、一緒にどうだね」
 手をあげて、そういうマサキに頷くしかない。
 席につくと、きちんとメイド服の女の子が椅子を引いてくれる。
「ああっ……ありがとう……えっと」
「一年の佐藤理沙ですわ、富坂先輩」
 そういえば、そんな名前だったか。
 素直に席に座ると、白いナプキンが渡された。目の前に居るのに、音と気配がまったくない……マサキが面白がって気配を消して幸助に近づいてくることがあるのだが、それのパワーアップバージョンみたいな。ナプキンというのは、どうやって使うんだろう。汚れないようにするためのものだから、とりあえず膝に引けばいいんだろうか。
 テーブルマナーが分からない幸助がキョロキョロしているうちに、メイドの娘はトレイから食器を取り出して、置いていく。スプーンとフォーク多すぎだろう。
「まっ……マジに前菜からか」
 学校で、食器に盛られたサラダを食べることになるとは思わなかった。その間にも、理沙はスープを携帯コンロで温めている。学校で勝手に携帯火器もまずいとは思ったが、いちいちマサキたちに突っ込むのも疲れてきた。どうせみんなスルーしてるのだから気にしたら負けだ。
「食器は外側から使うんだよ……まあ適当でいいぞ。本当のマナーは食事を楽しむことだからな」
 そういって手を広げて、いつもの鷹揚な感じを出すマサキに幸助もほっとする。
 しかし、すぐさま理沙が横に居て耳元に口付けをするように何かをささやいた。さっとマサキの顔に影が走る。
「理沙は……仕える側にも最低限の礼節を求めるそうだ。面倒をかけてすまないが、なるべく食器を触れあわさずに、音を立てないように」
 そういってマサキもまた居住まいを正したので、仕方なく幸助もシャキっとしなければならない。料理は普通においしかったのだが、微妙な空気のままで言葉少なく食事を終えた。
 食事中、暇だったのでマサキと理沙の主従の関係を観察してみる。食器とこわごわと扱うスプーンやフォークが触れてしまって、軽く音をたてるたびに理沙に軽く睨まれながらだが。
 幸助が見るところ、マサキは多くの女子を従えているように見える。だが、それはよく見ると、マサキの周りの女子は、自分のスタイルというか方針はきちんと守っていて、実はマサキのほうがそれに配慮して合わせているところがある。
 マサキは、戯れに帝王学のようなものを幸助に話すときがある。主従のバランス、安定した支配のためには強引に押さえつけてはいけないというのだ。ルシフィアはマサキは人の心を操る力を持つといっていた。それなら、同じように人にはない能力を持っているのに、状況を完全にコントロールできているマサキと、力に振り回されている自分の違いはなんなのか。
 それは、先天的に力を授かったものと、後天的に力を使いこなそうと努力し続けてきた人間の違いかもしれない。ルシフィアは、マサキを小人といった。だが、その友人すらも偉大なものに見えている幸助はもっと小さいじゃないか。

「佐上ルシフィアか……こっちを見ているな」
 マサキは、そんな幸助の黙考を見通すように呟いた。幸助が壁側を見ているので、マサキは食堂の中心を見ている。そう指摘されて、初めてルシフィアの視線が背中に張り付いていることに気がついた。幸助は、気配を感じるのが得意だ。知っている人間が、こっちを観察している視線ならば察知することができると思っていたのに、言われるまでまったく気がつかなかった。
 ルシフィアの視線を感じたときは、それは彼女が、ただ分かるように見ていただけで、気配を殺すことも出来るのかもしれない。あいかわらず、良いように遊ばれているというわけだ。
「マサキくんは、ルシフィアと知り合いなのか」
 幸助が尋ねると、マサキは面白がるように笑った。
「ルシフィアと知り合いらしいのは、君じゃないのかな。ぼくは女とウナギは国産に限るとおもっているから、いくら美人でも海外産は好かないよ」
「そういう話ではないんだけど……」
 そういって暗い顔をする幸助を、マサキは面白いものを見たように覗き込む。友達に覗きこまれているのはいいのだが、何故か隣に立っている理沙も一緒に幸助を覗き込んでいて、そうやって上目遣いをされるとなんかこうとても幼く見えて、幸助をさらに落ち着かない気分にさせた。
「ルシフィアは、読唇術を使うな」
 顔を近づけて、マサキにぼそっと言われた言葉に、幸助の身体が可哀想なほど跳ね上がる。
「そんな、人の心が……読める人間なんて、いるわけにないだろ」
 声が恐ろしいほど震えている。ルシフィアは、いまも二人の心を読んでいるはずだ、幸助がばらしたとなったら、どんな報復を受けるか分かったものではない。
「読心術……いや、幸助くん。違う、読唇だよ読唇、心じゃなくて唇のほう」
「読唇?」
「そう、ほらよくスパイ小説とかであるだろ相手の唇を読んで喋っている内容を聞き取る能力だよ」
「ああ……なんでそう思ったんだ」
「本当は、いま幸助くんが考えているみたいに読心術だと思ったんだがな、まあ完全に人の心を読めるなんて魔法があるわけはない」
「そっ……そうだな」
 そうだ、そう考えるのが常識というものだ。
「ただ、それに似て非なるものならばある。異常に発達した視力などの五感によって、唇の動きだけでなく表情や動作で周りの人間の全ての情報を読み取ってしまう人間というのがたまにいるんだよ」
「ふむ……」
 よく考えてみれば、ルシフィアは全てが分かるように見せかけただけで、そういう完全でない力の可能性だってある。そして、幸助よりは何倍も狡知に長けるマサキが彼女の力をその程度と見積もっているということ。
「そういう特別な人間は、たとえば預言者とか占い師とかになって、大統領のプレーンになって国を動かしてるような奴もいるそうだぞ」
「それはすげえな」
 マサキが面白い冗談を言ったように笑ったので、幸助もつられて笑う。高校生の男の子は、そういう大きな法螺話が大好きだ。違いがあるとすれば、二人とも本当にそういう特別な能力を持っているということだけ。
「まあ……だからできれば、敵に回したくはないんだけどな」
 そういってマサキは、真面目な顔をして声を潜める。もしかすると、マサキのほうが正しいのかもしれない。ルシフィアのいう読心術も、完全な力があるわけではなくてどこか穴が開いているかもしれない。そういう小さな可能性だけは心にとどめておこうと思った。
「ああっ……ルシフィアは別に俺の敵じゃないからな」
 それだけは友達にいっておこうと、幸助は強調しておいた。自分の友達が、ルシフィアと争われると幸助は困るのだ。
「それは、本当かな……」
 マサキは、静かに確認する。それはいいのだが、横で理沙も真面目そうな顔で一緒の動作をするので、幸助は噴出してしまう。表情の乏しい女の子だと思ったけど、結構面白い娘なのかもしれない。
「うはっ……ははっ、本当、本当だよ。だから大丈夫、心配してくれてありがとう」
「うむ、安心した。彼女に対する、君の反応がおかしいから脅されてでもいるんじゃないかと思ってたんだ。だが困ったらいつでも言えよ。あの女だけじゃなくて、ぼくたちにだって特別な力はある。そうだ、いまから見せてやろう……」
 それは、人の心を操る力というやつだろうか。とりあえず「目を瞑れ」と言われたので目を閉じた。何かされるんじゃないかとか、心配はしない、幸助は友達を信用している。安心に眼を閉じて、幸助の世界が暗闇に覆われる。
「幸助くんは、妙に気配に鋭いところがあるよな」
 そうやって、マサキは静かに声をかける。目を瞑っていても、幸助には分かる。目の前のテーブルにマサキは座っている、隣に理沙が立っている。
「ああ……」
 たしかにそうだ、こうやって目を瞑っていても幸助の耳には食堂の喧騒が聞こえ、どのテーブルにどれだけの人が据わっていて、誰が歩き回っているかなんとなく分かる。
 きちんと意識さえすれば、目で見なくても、いま後ろのテーブルで、たくさんの友達に囲まれて談笑しているルシフィアの姿だって手に取るように把握できる。
「じゃあ、ぼくたちの姿はわかるか」
 そういった途端に、マサキと理沙の気配が消えた。
 怖くなって、思わず目をあけると、何の感覚もなかったのに。目の前に理沙がいて、その細い腕がテーブルナイフを幸助の喉に突き当てていた。
「うあぁ!!」
 思わず、仰け反ろうとしたら後ろにマサキがいて幸助を羽交い絞めにしていた。さっきまで何の感覚もなかったのに、がっちりと関節を固められている。
「ふふっ、こういうわけだよ」
「なんだこれ、暗殺拳か、何か……?」
 幸助の頬をダラダラと伝う冷や汗を、ナイフを机に置いた理沙がさっとナプキンで拭いてくれる。
「実はな、これは西洋で発達した礼法ってやつでな」
「礼法?」
「まあ簡単に言うと、宮中とかでメイドや執事が音を立てないように床を歩いたりする技術だ、理沙が好きで覚えたんだが」
「ふむ……」
 ただの使用人の作法も、うまく使うとこんな暗殺拳みたいになるってことか。
「だから……んがっ」
 マサキが言おうとする口を、後ろから理沙がナプキンで押さえた。おいおい、それは幸助の汗を拭いたナプキンなんですけど……理沙さん?
「だから……富坂先輩もきちんとテーブルマナーを覚えてくださいってことです。さっきの食事の仕方では、合格点はあげられません」
 笑顔でたしなめられてしまった。とても小柄な理沙なのでやっぱり迫力不足。幸助が椅子に座っていても見上げなくていい目線だから。でも、素直に謝ったほうがよさそうだ。またナイフを喉につきつけられても嫌だから。
 マサキが言いたいことは言われなくても、幸助にはわかった。何度も言われていることだから。
 だからルシフィアにも対抗できると、困ったら自分を頼れといいたいんだ。この周りの評判は最悪だけど、本当はすごく気のいい男は。そういってくれる友達が一人いるだけで、もう幸助はルシフィアに負けていないのかもしれない。きっとそのような思考もトレースしているであろう彼女の意図など、もう気になりはしない。だから、先ほどまで感じていた憤りがスッと消えた。

 そうしてまた、学校帰りに山本姉妹のところに通う。通い妻というのは聞いたことがあるが、通い夫というのもあるのだろうか。佐知と麻美の、一番奥をこするようにして、欲望のたぎりを吐き出すだけで、何かこう頭の芯が真っ白に漂白されて、憤りがすべて抜け出てしまう快楽。
 中で出すのはいい加減やばいと思いつつも、その快楽は自分で止められるものではない。
四章下

 ようやく放課後、美世に挨拶だけしてすぐさま帰宅する。今日は一緒に帰るとは言ってこなかったので、心配は昨日だけのことだったのだろう。少しほっとしたような、残念なような。校舎から出て、ふと視線を感じて屋上を見上げるとルシフィアが居るのが遠目に見えた。
「あいつは、あそこが所定位置なのかな……」
 距離が遠いので表情までは見えないが、視線を感じたということは、やはりこっちを見ているのだろう。ためしに頭のなかで「バイバイ」と思考してみると、なんかものすごい勢いで両手を振っているのが見えた。
「なるほど、この距離でも相手の思考が分かるわけか」
 どれぐらいの距離まで可能なのかは分からないが、この分では学校の中でのことなら彼女は全て分かるのだろう。やっぱり、学校の中では駄目だな。お楽しみは学校の外でということだ。

 駅で電車を待っていると、女の子に声をかけられた。
 ちょっと日に焼けて赤茶けた感じの焼けた髪に、健康的な小麦色の肌。やや胸は発展途上で残念な感じではあるが、スラッとしたタイプで顔も整ってるし、明るい活発な雰囲気。同じクラスの山本佐知だった。
「富坂くんじゃん、そういやさー君、お昼休みに希と話してたでしょ?」
「えっ……えっ、ああ、うん」
 同級生が居るなとは思ってたんだが、美世以外の女子に声を駆けられるとは思ってもいなかった。時間停止の初めての日のあれがなければ、名前も記憶してなかったと思う。相手は、ちゃんと幸助の名前を覚えていたらしい。普通はクラスメイトの名前ぐらいは覚えているものなのかもしれない。
「私も陸上部なんだよね、部活の後輩だからさ。どういう関係なのかなと思って」
「ああっ……友達の知り合いって感じかな」
「そうなんだ、いやぁーあの娘、悪い子じゃないんだけど寡黙っていうか、余計なこと話さない子だし。それに、男にあの娘から話しかけてるの珍しいなと思って」
 そういって、興味深げにこっちを見てくる。そうか、もしかしたら希の男友達じゃないかと思ったのかもしれない。
 友達というのは含みをもった言葉で、本当の友達ならありえるが、ボーイフレンドとしてならあんな美人と凡庸な幸助は釣り合いが取れているとは言いがたい。だがそれが、逆に興味を引いたのかもしれない。
 結局、佐知とは同じ方向の電車に乗ることになり、話していた手前一緒にいることになって手持ち無沙汰でもあるので幸助からも聞いてみた。
「今日は陸上の練習はないの?」
「あっ、うん部活も休みの日はあるよ。それでも、候補選手の希とかは自主練してるだろうけどね。私はスポーツ推薦使えるほどできないから……まあ勉強も頑張らないといけないわけでね」
 そういって、小さく舌を出して笑う。特進科の授業についていきながら、運動部も両立するというのは口で言うほど簡単なことではないだろう。勉強する時間も限られてくるわけで、偉いなと思う。
 今日も飯野駅で途中下車する幸助であったのだが、佐知も一緒に降りてきた。
「あっ……」
「あれ、富坂くんも飯野だっけ?」
「いやっ、俺はちょっと用事があって途中下車」
「ふーん、私の家ここのマンションだからさ」
 まさか、飯野で降りるとは思わなかった。少し運命的なものを感じる。幸助は、しばらく飯野を自分のテリトリーにしようと考えていたのだから。
 そうして、山本佐知がそこに住んでいるというのなら、それはもう幸助のテリトリーの中にいるということなのだ。
 駅前で「じゃね」と別れる。警戒もなく、佐知は歩き出していく。少し距離を置いて、後ろからついていく幸助。まるでストーカーだ。
 もちろん無理はするつもりはなかった、むしろちょっとした遊び。運試しをしてみたい気持ちといったらいいか。正直なところ同級生を襲う対象にするというのは幸助にとっても、多少の罪悪感もあったから。
 マンションは駅前からすぐだった。入り口は透明の二重扉になっている、最近は警備が厳しいのだ、佐知が入り口に入ったところで時間を止める。郵便受けで確認したら、山本は一軒しかなかった。五階だ。そうして、そのまま回り込んで外の非常階段から五階に入れてしまう。
 五階の通路の影で、時間を元に戻した。やがてエレベーターで佐知が自宅前にやってくる。鍵を開けたところで、また時間を止めてみる。別に計ったわけでもないのに、見事なタイミングで、ちょうど扉を開けて入ろうとするところだった。
「これは、しょうがないよな」
 運命なら、逆らうべきではないのだろう。幸助の自分勝手な言い分だが、佐知はそういう運命だった、ということなのだ。
 ためらわずに、マンションの部屋の中に入っていく。
「もしかすると、佐知は一人暮らしなのか……」
 一人では大きすぎる、家族で暮らすには少し小さすぎる3LDK。一階に、結構高級そうなソファーと、でかい薄型テレビが鎮座している。シンプルだが、柔らかい色彩の壁紙。高校生の女の子の部屋とは思えない、とても落ち着いた雰囲気だった。
 二階は、ロフトになっており、でかいベット鎮座しているのでそこが佐知の寝室らしかった。
「うわ……けっこう意外」
 一人で寝るには、大きすぎるダブルベットだが男と同棲でもしてるんじゃないかと疑う必要はないかもしれない。その約半分を熊やライオンなどのぬいぐるみの小山が占拠していたからだ。女の子の部屋にぬいぐるみがあるのはおかしいことではないが、大小あわせて百体近くあるのはちょっと買いすぎじゃないだろうか。なぜかぬいぐるみはそのほとんどが大きな猛獣系で、そこらへんが佐知らしさなのかもしれない。
 そのぬいぐるみの間にすっぽりとはまり込むようにして隠れてみる。
「あー、けっこういい塩梅だなこれは」
 ぬいぐるみが肌に触れる感覚は、けっこうサワサワして心地がいいものだった。もしかすると、こういう用途で造られてるのか抱き枕みたいな感じで。佐知もこうやって寝ているのかもしれない。そう思うとなんとなくいい香りがするような気がした。
「かける……」
 時を戻す。
「あー疲れたなあ、もう」
 そんなこと言いながら、何故かロフトに上がってきてベットの目の前まで来る。やばい気が付かれたかと一瞬思ったが、そうではないらしい。鼻歌を歌いながら、わざわざ幸助の目と鼻の先で着替えを始める。
 薄紅色のスカーフに淡いグレイの制服、進学校だからしょうがないのだが、あまり女子にデザインの評判がよろしくないそれを、ぱっぱと脱いでベットに放り投げる。
 下着姿になって、ベットに寝そべった。佐知の頭の位置が、もう思いっきり幸助の隣にある。佐知は、ただだるくて寝そべっただけなのだが、それに無言の圧力を感じて幸助は力を発動。
「……わる」
 時間停止、止まったのを確認してからゴソゴソとぬいぐるみのなかから姿を現す幸助であった。
 目の前には、下着姿の佐知。
「スポーツブラ……ってやつか」
 幸助は目を疑った。高校にもなって、青いスポブラって。小学生がつけるものじゃないのか。
「まあ、おっぱいも小学生サイズだしな」
 佐知は、辛うじてAカップであった。ある意味、希少価値といえた。ショーツも青いスプライトの入った軽くて子供っぽいものである。ただ焼けた小麦色の肌はテラテラと輝いていて、魅惑的過ぎた。ほとんど、意識せずに魅力のないブラとショーツを剥ぎ取っていく。
 それは幸助にとってとても自然な行為のように思えた、幸運の女神に背中を押されるようにしてここまできたのだから。そうして、自分だけが許されている時の止まった世界の万能感が罪悪感や抵抗を完全にねじ伏せてしまい、幸助の欲望を加速する。
 気がつくと、つい力を込めて佐知の身体を抱きしめてしまっていることに気がついた。慌てて、手を離す。あたりまえだが、佐知は大人しいものだった。痛みも感じないのだから。髪を撫でる、まるで太陽に触っているような、暖かく思ったよりもサラサラとした軽い頭髪。
「悪くはないな……いや、いい」
 佐知の身体は幸助より、小柄で抱きやすい。その上で、適度に筋肉もついて引き締まっていて、ちゃんと女の子の柔らかさを十分に感じさせる。張り詰めた弓のような、しなやかな身体だった。
 十七歳の少女の身体。砂糖を焦がしたような香りが、佐知から漂ってくる。カルメラ色に日焼けした肌はどこを触っても滑らかでそれが幸助を夢中にさせる。
 気がつくと、小さい胸を揉みしだき、身体全体を嘗め回す勢いで舐めまくっていた。小さい胸に、申し訳ない程度に張り付いている乳輪も嘗め回す。
「はあっ……」
 立ち上がった乳頭に噛み付くように吸い付くと、佐知は小さく声をあげた。
 面白いようにピクッ!っと震えて、幸助の身体がこわばる。
 暫しの沈黙、裸の佐知を抱いたままで、固まる。
「怖いなっ……ふぅ……」
 時間は止まったままだ。安心する。前にもこれぐらいの声がでることはあったじゃないか。きっと、声ぐらいは出るのだろう。佐知は、意識を取り戻したわけではない。こちらを認識しているわけではない。落ち着け幸助。
 少し頭が冷えた幸助は、自分も制服を脱いで裸になる。自分の全身で、佐知を感じる。佐知の身体を確かめるように、全身に触れていく。
 痛いほどに勃起したものを佐知の身体に、こすり付ける。
「どうなんだろうな」
 佐知は性経験があるのだろうか。あるとないとでは、大変さが全然違うはずだ。
 さっき乱暴にはずした青いスポブラが目に入る。
「これはないよなあ……どう考えても」
 ベットに身体を押し上げて、股を開くようにして佐知のオマンコを覗き込む。産毛のような薄い陰毛に、ほとんど縦スジを押し開いていくと、薄いピンクの肉襞が覗く。そうして、その奥。
 指で触るのも可哀想なぐらい儚いものであったので、そっと舌で押し開いていく。ちょっと苦い味がする。口当たりは悪くない。まるで、バターを舐め取る犬のように一心不乱に舌でなめまわして押し開いていく。
 処女を知らない幸助にも分かるぐらいに、それは未通であった。本当に自分の屹立したものを受け入れられるのか不安になるぐらいに。
 それでも、やっぱり高校二年生だ。舐めて舐めて、むき出しになったクリトリスを舌で弄んでいるうちに、佐知の穴は少しずつ開き始めてくる。少しずつ、奥まで舌を入れられるようになってきた。
 最初苦かった味は、次第に甘酸っぱい独特な味が染み出してくる。舌に、肉襞を絡めるようにして、さらに奥へ奥へと挿し開いていく。
「これだけ濡れれば……いいかなあ」
 血が出るかも知れないと思った幸助は、佐知のお尻の下にバスタオルを引いて準備完了だ。幸助のものも準備完了しすぎて、もうすぐに射精してしまいそうだ。
 腰を押し付けて、強引に押し込んでいく。
 佐知の処女膜は、メリメリと音を立てるように押し開かれる。
「いっ……」
 佐知の目から、涙が一粒こぼれた。苦悶の表情を浮かべて呻く、余りにも締め付けがきつすぎて、それに幸助が気づくことはなかった。
「これはっ……なんというかきついな」
 気持ちよくはあった、むしろこなれたオマンコよりも締め付けは厳しくまるで隙間なくぴったりと幸助のモノの形に広がっていく。
「ふぅ……」
 ようやく、一番奥まで挿し入れることができた。ここまで入れるので、一汗である。
 スッと、接合部から血が一筋流れる。破瓜の血というものだ。
 痛みに顔が歪んでいるだけで、少し痛みに呻くだけで、積極的な反応はなにもないので、処女に対する配慮もなにもない。
 処女のこなれていない膣をえぐるように、押して引いて押して引く。ただ、自分の快楽のために、腰を振るだけのことだ。
「うっ……そろそろ出る」
 ドロドロと、なんの容赦もためらいもなく、同級生の膣の中にたっぷりと白濁液を吐き出して、汚し回ったのだ。本能の趣くままの暴挙だった、乱暴だった、乱暴すぎた。
 幸助はいささかの興奮状態にあるとはいえ、いくらなんでも昨日まで童貞だったような男が出来る所業ではない。
 ドクドクと、自分の遺伝子を佐知の中に吐き出してしまってすっきりしたあとで、少し頭が冷静になる。
 自分でも、なぜここまでひどいことがやれてしまうのか不思議だった。しかも相手は行きずりの女じゃないのだ、同級生なのだ。俺は良心が傷つかないのかと自問する。答えはない。
 しいてある、タオルを取って、接合部から流れてくる自分の精液と処女の鮮血と愛液が交じり合ったピンク色の粘液をふき取っていく。
「これは、ちょっと後始末しないといけないかな」
 とりあえず、痕跡がなるべく残らないようにオマンコの中を部屋にあった麺棒などで掃除する。とりあえず、当面わからなければいいやって程度に。
 濡れタオルで、一応汗もぬぐってやると、佐知に下着を着せる。自分も服を着てまたぬいぐるみの山の中に隠れる。
「かける……」
 どうなるか、観察しようと思ったのだ。無数のぬいぐるみにまぎれて、疲労感に少しぐったりとしながら、観察する。
「あっ……わたし」
 なるべく元の位置にもどしたつもりだったのだが、まるで気を取り戻したように声をあげて身を起こそうとする佐知であったが。
「……いいっ、いいっ!!」
 もはや痛いという声もまともにあげられないほどの激痛を感じて、お腹を押さえて蹲った。
「なにっ……お腹いたい、私……病気……かな……」
 佐知はかぼそく呻く。生まれて初めて味わう痛みに深い恐怖を味わう。ポロポロと泣き出していた、痛くて痛くて、それでも、それはなにかそれだけではないような。自分が何かとても可哀想なような女の子になってしまったような。そんな「自分が可哀想」という気持ちで、深い自己憐憫に包まれていた。
「どうしたんだろ……痛いし……わた……し」
 あとはもう、声にならないか細いうめき声をあげて、弱々しくのたうつだけだった。

 助けることもなく、こうやって苦しむ姿をただぬいぐるみの中に潜みながら見ている幸助はいったいなんなのだろう。
 罪悪感なのだろうか、それともどういう結果が訪れるのかという好奇心に過ぎないのか。そのどれとも着かない複雑な感情を抱えながら、ただ確かに分かっている自分の心は、快楽の果ての心地より疲労と、腰に漂う余韻を感じているということだけだった。
 佐知の体臭が仄かに匂う、ぬいぐるみに包まれながら、ただ苦しむ佐知にひっそりと寄り添うだけで幸助は残酷にも満足を感じていた。
 自分でもやりすぎだとわかっていたのだが、悪魔的な快楽は自分を塗りこめて行く。

 そのとき、鍵を開ける音が聞こえて、マンションの扉が開いた。
「ただいま……佐知かえってきてんのー」
 玄関から聞こえて来たのは若い女性の声だった。
 ドタドタと、ロフトを昇ってくる。
 その姿を見て、幸助は思わず叫び声をあげてしまいそうになり、手で口を押さえて声を押し殺した。
 やってきたその娘は、昨日スーパー銭湯で抱いた風船おっぱい女だったからだ。
「お姉ちゃん……」
 お腹を押さえながら、苦しげに佐知は小さく呟いた。
「どうしたの佐知……下着で」
「私、お腹が急に痛くなって……身体も変だし……私……」
「うあー、大丈夫具合悪いの、とりあえず服を着なさい。
 佐知の姉らしい風船おっぱい女は、さっさとTシャツと短めのパンツをクローゼットから取り出して佐知に着せる。それが佐知の部屋着なのだろう。
「うう、ありがとうお姉ちゃん」
「私が、早く仕事あがってきてよかったわー、病院行く? 救急車呼ぼうか?」
「んっ……そこまでじゃないから、少し痛みも収まってきたみたい」
「お腹痛いのは……悪いものでも食べた?」
「いや、そんなことはない……」
「じゃあ、急な生理痛かなにかかしらー」
「それも、まだ先のはずなんだけどね」
 巨乳と貧乳、正反対でもどこか似通った面影の姉妹は、そんな会話を続けている。幸助は、耐え切れなくなって、時間を停止させた。

「ハッ……ハハッハハハハハハハハハ!」
 ぬいぐるみの山から飛び出して嘲笑をあげる。佐知は寝そべり、昨日幸助が抱いたその姉は心配そうに佐知を見つめていた。なにか、面白くてとてもおかしかったのだ。
 ゆっくりと、風船おっぱい女の胸を掴む。昨日といっしょで、やけに柔らかくて優しい胸だった。それを乱暴に揉みしだくかきむしるように乱暴に。
 ふと、女が横においたカバンに気がついた。無言で、カバンに手を突っ込むと。鍵が出てきた。きっと、さっき鍵を開けてすぐカバンにつっこんだのだろう。
「これ、マスターキーだよな」
 マークが入っている鍵が、マスターキーだと聞いたことがある。とりあえず、外に出ると表札を見る、姉の名前は麻美だった。
「ふぬ」
 止まった世界を幸助は歩く。マスターキーならスペアーキーを造ってもらえると聞いたことがある。駅前のビルには、たしか鍵屋もあったはずだ。
 やはり、運命なのか。そうであれば、このまま突き進んでみよう。そう考えた幸助にそうだと返事をするように、夕日に反射して鍵はオレンジ色に光を放つのだった。


プロフィール

ヤラナイカー

Author:ヤラナイカー
おかげさまでプロ作家になって五年目です。
ボツボツと頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします。
(プロフの画像、ヤキソバパンツさんに提供してもらいました)



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