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E小説(中出し・孕ませ・時間停止・催眠・環境変化など)
エロ小説のサイトですので18歳未満の方はお帰りください。傾向はマニア向け、作品中のほぼ100%中だし妊娠描写、付属性として時間停止・催眠・環境変化などです。
第五章「女性専用車両 破瓜編」
 俺の名前は、中畑道和。四十二歳で独身……なのはどうでもいいか。そろそろ髪が薄くなり始めた、どこにでもいる冴えない中年を想像してもらえれば、それが俺だ。
 どこにでも居るおっさんに過ぎない俺だが、一つだけ特別なことがある。
 催眠術師集団DLOの構成員だと言うことだ。俺は結成当初から参加してるメンバーなので幹部クラスと言ってもいい。もちろん、組織の幹部にふさわしくひと通り催眠技術を有している。
 俺はここ一年ほどDLOによる『女性催眠車両計画』を統括・実行している。
 近頃おなじみになった女性専用車両を、そのまままるごと集団催眠に陥れて管理しようという大胆な作戦だ。
 都市の日常にありながら、女性しか存在しない移動する閉鎖空間。集団催眠の舞台に、これほど持って来いな場所もない。
 開始から半年以上すぎて、特にトラブルもなく次第に女を犯すのにも飽きかけて来たところで俺が発見したちょっと変わった女。
 それが、立花アヤネだった。

 西應大学の二回生で、歳は二十歳。後で気になって調べたが今は都内に一人暮らし、実家は京都の名家出身でそこそこに裕福らしい。
 まあ彼女が優秀で、頭のいい大学に通ってるとか、日本史に名前の出てくる歌人のでた由緒ある家柄で生家の庭に重要有形民俗文化財に指定されてる庵があるとか、なかなかに華やかな経歴だがそこは問題ではない。そういう本人の資質や生育環境は、調べた限りでは彼女の特別性の原因ではない。
 立花アヤネは『女性催眠車両』に入っても規定通りの催眠にかからない特別な女だった。
 女性催眠車両に一歩足を踏み入れたら、俺は女性に見えるようになっている。男という異物が入り込んだら、すぐトラブルになるからそれは当然の処置なのだが、催眠車両すべての女が俺を女だと錯覚するなかで、立花アヤネ一人だけが俺をきっちり男だと認識していたのだ。
 彼女の強い意志を宿した瞳が、俺を見た時。
 ――女性催眠車両の催眠に掛かっていないたった一人の女の子を俺が見つけた時――
 俺は、頭をハンマーでガツンと殴られたような強い衝撃を感じた。
 俺は運命の稲妻に撃たれたのだ。
 眼の前がパァッと輝いて、世界に鮮やかな色彩が戻ったような気持ち。
 齢四十も過ぎて、女など欲望を満たすための肉の塊に過ぎないと達観したつもりの俺が、娘と言ってもおかしくないほどの若い女の子に自分の全てを変えてしまうような可能性を見つける瞬間をどう表現すればいい。
 もしかしたら俺は、こっ恥ずかしくて口にすることもはばかられるセリフだが、年甲斐もなく彼女に恋したのかもしれなかった。
 確かに彼女は、俺の恋慕に値するだけの価値を持った女の子だった。
 いつも垂らしただけの黒髪で、地味な服装をしている。だからパッと見は気が付かないが、アヤネはその没個性的な大人しい服装でも隠し切れないほどの見事なプロポーションをしていた。
 見ただけで、相手の裸を想像できる俺はその控えめで居て、隠そうとするからこそ逆に目立つ豊満な色香に、地味な服からちきれんばかりに盛り上がる巨乳や豊かなヒップの稜線に強く欲情した。
 容姿だって悪くはない、肌はキメ細かく白磁のように透き通っているし、優美といってもいい整った顔立ち、興奮気味に話すときに健康的に頬が紅潮する様も溜まらなくそそる。
 意に沿わぬことがあると相手が怯むぐらいに睨みつけてくる、内面的なキツさかいま見えるところがやや欠点かもしれない。
 まあ全体的に見て、秘してこそ花と言おうか、自己主張の激しすぎる都会の女に疲れた俺にとって、アヤネはまさに理想的な女の子に見えた。

 だが俺が本当に魅了されたのは、彼女の美貌でも、豊満なプロポーションでもなくて、彼女の芯の強い性格だった。正義感とでも言おうか、もし初めてあったあの日彼女が俺に注意しなければ、女性専用車両に紛れ込んだ闖入者であるこの俺と関わることを拒んで黙っていれば、俺は彼女のことを気づかずに見過ごしてしまっていたかもしれない。
 そうであればアヤネは俺の標的にならなかった可能性も高い。その意味では、彼女の正義感は本人にとって不幸であったともいえる。
 優秀だがまだ若くモノを知らぬ彼女が、年長者であるこの俺に辛辣な舌鋒を向けてくることさえも新鮮で気持ちよかった。
 もちろん女性催眠車両の中で、集団催眠がまったく効いていない立花アヤネを見つけた時、俺は大いに焦った。
 洗練に洗練を重ねたDLOの集団催眠技術だが、極稀にかかりの悪い女もいる。いや、初めて会った時のアヤネは全く術にかかっていなかったといっていい。
 なぜだろうか、原因を色々探った結果アヤネには催眠空間に発生する同調圧力が全く働いていないことがわかった。
 わかりやすくいえば『空気が読めない』女なのだ、アヤネちゃんは。
 その空気の読めなさは致命的と言ってもいいレベルだった。
 原因さえ分かれば対処はたやすく、俺は久しぶりに自分で労を惜しまず自分の催眠術をアヤネちゃんに向けて行使した。
 俺の個人的な催眠技術、会話の抑揚を使い、ワンツーマンで徐々に催眠に落としこんでいった。
 これで当面の危険はクリア。
 しかし『女性催眠車両』がまったく効かない女。計画の管理者として俺は、この不安要因を早急に除外すべきだった。
 排除するのは簡単だ。アヤネの通学時間から計画をずらせばいい。
 それなのに、俺はそれをしなかった。むしろ、アヤネの通学時間を徹底的に調べてそれに合わせさえした。俺は、誰もがイイナリになるこの環境にいささか退屈していたのかもしれない。

 女性専用車両で、たった一人俺をきちんと男だと認識する女の子。なかなかに刺激的でいいじゃないか。
 俺は、アヤネを相手にゲームを始めることにした。
 彼女の意志に反して、俺を女だと認めさせるゲームだ。
 さすが致命的に『空気が読めない』女の子。車内の全ての女性が俺を女だと言っても、俺が男だという自分の現実を曲げなかった。
 この半年間――彼女の車両での記憶は何度もリセットされたので今の彼女は自覚していないことだが――お互いに激しくぶつかり合ってここまできた。
 そうして、意固地なアヤネではなく周りの女性を責め立てることで、ついに俺を女だと認めさせることに成功した。
 自分の設定したゲームに勝利したことで、俺は満足した。
 このゲームの賞品は、アヤネ自身ということになるだろう。
 今度は、俺のことを女を思い込んだ彼女と遊ぶターンだった。

     ※※※

「なんで、黙って居るんですか」
 アヤネは俺の顔色を怪訝そうに伺いながら、不安そうに尋ねた。
「……んっ、すまん」
 俺としたことが、柄にもなく回想に耽っていたらしい。
「いや、いいんですけどね。私は、ミッちゃんとお話したいわけじゃないですから」
 場所はいつも通りの女性専用車両、アヤネの朝の通学時間だ。いつも通りに洗脳車両に乗り込んだ彼女は、すでに諦めているのか逃げる素振りも見せずに俺の前に相対した。
 そうして、車両はゆっくりと駅のホームから離れていく。洗脳車両のシステムが動き出すと同時に、時間の感覚が緩やかになる集団催眠も働き出すのでたった三十分足らずの運行が何倍にも引き伸ばされる、あくまで主観的にだが……。
「……ふん」
 アヤネとはもう半年以上の付き合いになるが、その記憶は彼女にはない。前回のゲームの記憶はリセットされた。
 俺を女と思い込み初めてからの一ヶ月の記憶しか、彼女とは共有できない。今日はなぜか、それを少し寂しく感じている自分が居た。
「また、黙りこむ今日はどうしたんです。今日は、まあそのいっつもおかしいですけど、特におかしいですね」
 責められるように、やや厳しい口調でそう詰られて、俺もようやく我に返った。アヤネの言うとおりだ、全く今日の俺はどうかしている。
「すまん、じゃあ早速服を全部脱いで全裸になってもらおうか」
「えっーなんで、そんな話になるんですか……」
 アヤネは不満そうだ。
「なんだよ、毎度のことじゃないか」
「だって」
「ほら、俺も脱ぐし、みんなも脱ぐぜ」
 そう言うと、俺はさっさとスーツを脱ぎ散らかして全裸になってしまう。俺が脱ぐと、同時に周りの女たちも脱ぎ始める。

 集団催眠にかかっているのだ、俺の声が聞こえた範囲の女たちはみんな服を脱ぐ。
「なんでみんな、ううっ……わかりましたよ」
 集団催眠が通用しないアヤネも、俺が個別にかけた暗示にはかかっているので俺の指示には従う。
 渋々と薄手の手袋を脱ぎ捨て、カーキー色のハーフコートを座席に脱ぎ捨てた。
「ほら、早く脱いで」
 俺は待ちきれなくなり、脱ぐのを手伝ってやろうとモノトーンカラーのタートルネックのセーターを引っ張った。
「いやっ、伸びちゃうから引っ張らないでください」
「早く脱がないからだ」
 セーターを剥ぎ取るようにすると、大きなブラのカップに包まれた豊満な彼女の胸が露わになる。寒いからだろう、下は厚手のレギンスの上にキャロットスカートまで穿いていたが、それも全て脱がさせる。
 今日のアヤネは珍しくロングブーツを履いている。靴を脱ぎ捨てて黒いソックスを脱いでいる彼女を見ながら、俺は良いことを思いついた。
「裸になったら、ロングブーツと手袋だけをつけろ」
「うええっ、なんでそんなこと……」
「つべこべ言うなよ、列車で素足になるよりはいいだろ」
「わかりましたよ……」
 レースのついた純白のブラを外し、ショーツをゆっくりと脱ぎ捨てると生まれたままの姿になった。たわわな果実のような胸を揺らしながら、アヤネはゆっくりと一度脱いだ黒いソックスを履き、カーキー色のロングブーツを穿く。
 そして、薄手の手袋を身に着けた。
「クックック、いいじゃないか」
「なんでこんな格好しなきゃなんないんですか!」
 惜しげも無く晒された裸体に、ロングブーツと手袋をだけを身に着けた姿で電車に立ち尽くすアヤネ。
 ただ裸に剥くより、よっぽど非日常的で……素晴らしい。

「……興奮するなあ、こういうのは」
「こんな変態みたいなの嫌です」
 アヤネは靴を履いて裸になるのがいつもより羞恥心を刺激するらしく、ほっぺたをリンゴのように真っ赤に紅潮させていた。
 もっと恥ずかしいことをしてやろうと、俺はアヤネに長椅子の上でM字に股を開くように命じた。
 そうして、自分の指で膣を開かせる。
 俺が顔を近づけて股を覗きこむとアヤネの穴の中には、純潔の証であるピンク色の粘膜が確かに張っていた。
「本当に処女なんだな」
「なんでそんなことを貴方に確認されなきゃいけないのかわかりませんけど。そうですよ私に男性経験はありません……見ての通りです」

 ――処女

 ある統計によると、ハタチの処女率は60パーセントだという。
 俺から言わすと、嘘をつけと言いたくなる数字だ。こうして、何百人もの女の子にこの車両で股を開かせてきたが、アヤネの年代で処女は数えるほどしか居なかった。
 ほとんどが他の男の手垢のついた女たちだったのだ。
 もちろん俺はオッサンだから、いまさら処女厨でもあるまいし女の純潔なんか気にしちゃいない。
 むしろわざわざ処女を抱くなんて面倒臭いとすら思っていた。股から血は出るし、女は痛みで泣き叫ぶし、そんなにいいもんじゃない。
 でもそれでも、アヤネほど男の欲望を触発する白くてむっちりとした太ももを持ったこの女子大生が無垢なまま残っていたのには運命的なものを感じた。
 ちょっと大げさかもしれないけれど、その奇跡は俺を感慨に耽らせるのに十分だったのだ。
「もしかしたらアヤネちゃんは結婚するまでは純潔ってやつなのかな」
 俺はアヤネの太ももを力強く握ってぐっと股を開かせる。
「ええっ、なんですかそれ。違います、そんな古風なこと思ってませんよ。ただ私が男の人にモテなかっただけです」
 この指に吸い付くような柔らかい脾肉に、触れることが出来る男は俺が初めてになったわけだ。俺は、素直にその事実に感動した。
「ふうんモテなかったねえ、そういう事にしておこうかな」
 これほどの美貌で、高校生の頃はともかく、共学の大学に通っている今も男に口説かれないなんてことがあるだろうか。
 おそらくは言い寄る男がいても、断っているのだろう。アヤネちゃんに釣り合う男が居なかったってところなんだろう。
 あまり勿体つけるもんじゃないな、だから俺みたいな男が初上陸してしまうんだ。
「あああっ、痛いっ! 何するんですか」
 何するんですかって何するんだよ。

 俺が一思いに処女を散らせてやろうと、跨って腰を落とすと意外にも頑強に抵抗した。やはり、破瓜の痛みがあるせいだろうか。
「痛いわけないだろ、チンポを挿れるわけじゃないんだから」
「でっ、でも……」
「ほら、大人しくしろ。それともなにか、俺が男だって認めるのか」
「いえ、それは……分かりました。あのでも、痛くしないでくださいね」
 そりゃ無理だ、アヤネはびっちりと硬い膜が張っているタイプなのだろう。穴も狭いし、強引に挿入すれば痛いに決まっている。
「だから痛いわけないんだって、大人しく我慢しろ」
「いたっ、痛くないけど痛いですよ」
 言っている意味が分かっているのだろうか。俺は思わず笑ってしまう、俺だってこの狭い穴に挿れるのは苦しいよ。
 メリメリと音を立てて、これまで二十年間アヤネを守っていた処女の膜が押し開かれる。
「ふうっ、さすがにキツいな」
「痛くないけど、ウウッ……なんだろこの気分」
 アヤネは眼からポロポロ涙を溢している。いいね、感動的だ。
「やっぱり、お前も女だから処女を散らすとなれば感慨深いものがあるのか」
「だから、貴女は男じゃないから処女とか関係ないですってっ!」
 興奮した俺は思いっきり奥をえぐるように腰を落としてやった。
「あぎゃあああっ」
「やっぱり痛いのか、初めてだもんな」
「いた、痛くないけど、もうそれ以上動かないでください」
 やっぱりきつかったみたいだ、顔を真赤にして泣きはらしている。
「いや悪かったよ、あんまりお前が強情にセックスだって認めないからさ」
「女同士でセックスはできません」
 まだそんなことを言うのかと、俺は腰を引いてまた思いっきり打ち付けてやった。

「ひぎゃあああっ、止めてぇぇ、動かないで!」
「どうした、セックスじゃないし痛くもないんじゃなかったのか」
 俺はあえて意地悪にそんなことを言う。痛がってる生理反応のせいか、アヤネの膣の濡れは驚くほどいいから挿入できるが、やはり男を受け入れてない穴は狭い。俺だって、強烈な圧迫感に頑張って耐えているのだ。
 気を抜くと射精してしまいそうだ。
「……痛いですよ、分かりましたセックスだって認めますから、動かないでください」
「ふうん、最初からそうやって素直になればいいのさ」
 腰を密着させて、そのまま抱きしめるとアヤネは苦しそうに顔をそむけた。
「女同士だって、セックスできることもあるかもしれませんしね」
 まだそんなことを言っている。
 そういうふうに、自分の中で合理化するんならそれもまた良しだ。
「じゃあセックスすれば、女同士だって妊娠するかもしれないよな」
「そんなっ、するわけないじゃないですか!」
 まだそんなことを言う元気があったのか。俺はまた腰を打ち付けてやる。俺が無理やり押し込んだ肉に処女膜が削がれて痛いのか、苦しそうに顔を歪ませて瞳に涙を滲ませた。興奮する。
「あっ、痛い止めて動かないでください。ごめんなさい……」
「そうやって、素直に答えろよ。妊娠するかもしれないよなぁああ!」
「はい、そうですね。そうだと思います」
 口惜しそうに唇を歪ませながら、アヤネはそう答えた。無理やり言わせただけだ、本当にそうは思っていないと顔を見れば分かる。
 でもそれはいい。俺が、そのように思い込ませてやったのだから。
 中出しされれば、アヤネもこれまでの女たちと同じように孕むだろう。それなのに、本人はその危険を全く理解せずに、そのばかりで口だけ合わせておけばいいと思っている。その倒錯した状況が、俺を興奮させる。
「このまま中に出されたら俺の子供を妊娠するかもしれないけど、アヤネちゃんはそれでいいのか」
「はい、そうですね。えっと……」

 俺の顔色を伺っている。俺はニヤッと笑うと続ける。
「むしろ、孕ませて欲しいんだよな」
「えっ、ああはい。それでいいですから早く終わらせて」
 アヤネちゃんはそうは思っていない。この場限りで、痛いことをされたくなくて、俺のゴキゲンを伺うために俺に合わせただけだ。
「よし、じゃあタップリと中に出してやるからな」
「はい、お願いします……クッ」
 アヤネちゃんにお願いされて、俺はもう一度奥まで深々と挿入すると、あっけなく射精した。
 ドピュッ、ドピュルとアヤネちゃんのお腹の中に俺のエキスが注ぎ込まれる。
「どうだ、中に出されてるのが分かるか」
「はい、感じますなんか……」
 本当に感じているのだろうか、合わせているだけなのだろうか。苦悶の表情を浮かべるアヤネちゃんの顔色を見てもわからなかった。
 まあそれはどっちでもいいことだ。俺はただ、自らの欲望をアヤネちゃんの中に全部吐き出してから、腰を引きぬいた。
 その途端に、ぽっかりと俺の形に開いたアヤネちゃんの肉の穴からドロっと破瓜の赤と俺の白濁したエキスが入り混じった液体が、ポタポタと溢れていく。
「種付けしてやったぞ、良かったな」
「はい、ありがとうございました……」
 明らかに、ありがたくなさそうな顔で、アヤネちゃんはそれでもこれで終わったとホッと息を付いて安堵の表情を浮かべている。
 もちろんこれで終わりではない。
 何度も何度もこれから彼女が孕むまでまぐわって、アヤネちゃんが妊娠していく過程でどこで彼女が今度は俺が女ではないと認めるか。自分が本当に妊娠してしまったと認めるか。
 それをこれから、ゆっくりと楽しんでやろう。

 ふと車窓を見ると、まだ駅につくまでには時間がありそうだった……。

後日談18「完全なるハロウィン」
 十月三十一日、こうしてまた日は昇り、ハロウィンの日がやってきます。
 正志は、独り部屋で新しいカボチャマスクの具合を確かめます。
「いい出来だ、我ながら会心の出来栄えだな」
 昨晩の夜遅くまでかかって完成させた、新しいマスクです。
 よっぽど出来に満足が行ったのか、マントまで付けて変なポーズを取って悦に浸っています。
「クックックッ……我こそはジャック・オー・ランタン。ハロウィンの夜に彷徨うファントム」
 あーどうやら、わかりにくいですが「オペラ座の怪人」のモノマネをやっているみたいですね。バカはしばらく放っておきましょう。
 正志が、去年作ったカボチャは、まだ深谷家のリビングに飾ってあります。一番最初のカボチャマスクは古びて壊れてしまったのですが、二番目のカボチャマスクは製造技術の向上から一年経ってもまだ綺麗に残っています(きちんと防腐処理をやっていたんですね)。
 それを回収せずに、わざわざこうして新しいカボチャマスクを用意したのは、茉莉香の安産のお守りだからです。
 もうしばらく、茉莉香の第二子の出産予定日の年末まで深谷家のリビングに鎮座させておくつもりのようです。

 今年も子ども会では、ハロウィンイベントが開かれるはずです。
 もちろん独身者の正志は招かれざる客ですから、イベントに参加することはありませんが、そっとカーテンの内側から様子を伺います。
 ハロウィンイベントの動向をきちんと確認しておくことは、正志がハロウィンの夜に暗躍する助けになるからです。
 新マスク装着の興奮冷めやらない正志は、ちょっと気が早いですがマンションの外に出てしまいました。マンションの住人は、ほとんどがイベントの方に行ってるのですから、逆に出歩いても問題ないと言えるのです。
 カボチャマスクを被り、黒いマントを翻しながら、ちょっとした予行練習といったところです。
 不意に通路を見ると、マンションの目の前に銀灰色の猫が居ました。こんな高層階まで猫が入ってくるなんて珍しい。
「どっかで見たことがある猫だな」
 銀灰色の猫は、正志を見上げるとニャ~ンと鳴きました。
 その黄金色の瞳に思わず魅せられて、猫が階段を駆け下りていくのを、思わず追ってしまいます。
 猫は悠然とした足取りで、踊り場で正志を振り返って止まったりします。犬じゃあるまいし、まさか着いて来いと言っているわけでもないでしょうが、からかわれているのかもしれませんね。
 知らない猫に不審者そのモノの正志が近寄っても、その柔らかそうな鬣に触れさせてくれるとは思えませんが、つい追ってしまいます。
 あの滑らかな猫の背をひと撫ででもできればいいのに、正志は手を伸ばします。

「あーオジサン、こんなところにいた」
 真那ちゃんが、カボチャマスクを被った正志を見つけて声をかけました。
「いや、真奈ちゃん。オジサンじゃなくて、お兄さんでしょ……」
「はいはい、正志お兄さんちょっと来てくれるかな」
 真那ちゃんに腕を掴まれてしまいました。
「お兄さんでもなくて。今の俺はジャック・オー・ランタンなんだけど。ほらこのカボチャ頭を見れば分かるでしょう」
 真那ちゃんに捕まった正志は、ちょっと困ってしまいました。
 猫を追ううちに、ずいぶんと低層階まで降りてきてしまったようです。
 イベントの人たちに見つかると、マズいです。なにせ今の正志は完全に不審者ですから。
「そういうハロウィンの仮装なんでしょ」
 あたふた慌てている正志を、腕を掴んだまま真那ちゃんが見上げています。
「仮装っていうか、俺は本物なんだけど」
 まだ言っていると、正志を呆れたように真那ちゃんはため息をつきました。
 こういうときはどっちが子供だかわかりません。
「もう、つまんない冗談いいよ正志お兄さん。それより、お母さんたちが呼んでるからこっちきてよ」
「えっ、いやちょっと待って、お兄さんって呼んでくれるのは嬉しいけどさ」
「待たないよ」
 今の正志はジャック・オー・ランタンなのです。
 それなのに正志はそのまま、子ども会がハロウィンパーティーの準備をしている広場まで引きずられてしまいます。
 真那ちゃんが正志を引く手は、なぜか正志に逆らえないほどの強い力を感じました。

 正志は、真那ちゃんと一緒に歩いているところを他の人に見つかると本当にマズいのにどうしようと思います。
 ハロウィンの魔術で何とか切り抜けられるでしょうか、正志がそんなことを思案しているうちにマンションの庭園までやってきてしまいました。
 魔女やお化けの扮装をした子供たち、箱詰めしてあるお菓子を配るお母さんたち。正志と同じカボチャ頭の格好をした子供もいます。
(これなら目立たないかな)
 この期に及んでそんなことを考えている正志ものんきですね。ハロウィンは子供のためのフェスティバルなのですから、大の大人なのにカボチャを冠っている正志は目立つにきまっています。
 図々しい正志も、さすがにこれは紛れてるなんて過信できませんでした。マンションの子ども会の人たちの目がみんな自分の方に向いている気がします。
 まるでダンゴムシが石の下から無理やり追い出され、陽の光の下に晒されたような居たたまれない気分です。
「……」
 正志は、ついに黙りこんでしまいました。場違いな自分を意識して、この場から早く離れたい焦りはあるのですが、正志を牽引する真那ちゃんの小さな手をどうしても離すことができないのです。
「お母さん、正志オジ……お兄さん連れてきたよ!」
 真那ちゃんは、母親の前で正志のことをどう呼んだらいいか迷って、オジサンとお兄さんが混ざってしまいました。
「今年もその格好なんですね……」
 しばらくぶりに見る佳寿美の顔は、まるで別人のように見違えました。やや険のあった瞳は優しい色に変わっています。その静かで落ち着いた物腰から、うちに秘めた活力を感じます。
 だからでしょうか、正志がこれまで美人だが騒がしくてキツい女だと思っていた佳寿美が、優しくて可愛らしい母親に見えました。
 それは出産を終えて赤ん坊の母になったからかもしれませんし、もしかすると今の母性に溢れる佳寿美こそが本当の彼女で、いままで正志が厳しい眼差しを向けられていたことで、そのように思い込んで見ていただけなのかもしれません。
 正志と佳寿美の間に、もう前のような刺々しい敵意はありません。その代わり、その間には佳寿美が押しているベビーカーがあって、そこに可愛らしい男の赤ちゃんが寝ています。
 真彦(まさひこ)くんです。
 誰にも言うことは許されませんが、正志と佳寿美の間にできた、初めての男の子でした。正志の種とは思えないほど、溌剌とした可愛らしい赤ちゃんです。
 あるいは正志も、赤ん坊の頃はこんなに無垢な寝顔をしていたのかもしれませんね。

 自分の息子である真彦を見る目は、さすがに正志でも優しくなります。その愛らしい寝顔を一目見ただけで、心が震えるほどの暖かい喜びに包まれます。
 一瞬、ここが正志にとって場違いな場所だなんてまったく感じられなくなるほどに輝いて見えました。
「ああ、正志さん来てたんですね」
 すでに妊娠八ヶ月の大きなお腹を抱えた深谷茉莉香が、ゆったりとした動きで歩いてきて正志に声をかけました。
 茉莉香の手に引かれて、正志の娘、茉悠(まゆ)も一緒にいます。茉悠も危なげなく歩けるほどに成長しました。茉莉香は優美で女性らしさに溢れているし、娘の茉悠もその美しさは母親譲りで将来が楽しみです。
「いや俺は……」
 茉莉香に答えようとした途端、正志の後ろから聞き覚えのある澄んだ声が聞こえました。
「田中さんも参加されるんですよね」
 そう有無を言わさぬ調子で声をかけた栗原綾子は、妊娠五ヶ月でそろそろお腹が目立ち始めています。妊娠の影響で女性らしい身体つきになったせいでしょうか、優しいクリーム色のゆったりとしたマタニティードレスのせいでしょうか、どこか硬質で隙がなく人を寄せ付けないような美貌だった綾子も、人付きの良い優雅な物腰を手に入れています。
 もちろん巻いているストールの着こなしは相変わらず瀟洒で、妊娠中にも関わらず身体のラインをしなやかに見せていますから、女伊達はむしろ妊娠してから上がったようでした。
「いや、ここに俺がいたらマズいだろ」
 正志がそう言うと。
「マズいことはないでしょ」「正志さんも参加してもいいんですよ」「あれ、どうしてですか?」
 佳寿美に、茉莉香に、綾子に、口々に返されて、正志はもう一度黙り込みます。
 そうして、ほんの少し考えてからようやく気が付きました。

 自分は、ここにいても、良いのだと。

 ここで正志を囲んでいる皆は、正志の知り合いです。
 いや、知り合いどころではありません。それどころか、とても心身ともに深い関係を持った女性ばかりです。
 そして、その愛する女たちとの間には血肉をわけた子供たちがいます。
 いまだに正志は独り身です。
 けれど……ここにいるみんなは、まとめて正志の家族なのです。
 もう、ハロウィンの夜に冷たい自分部屋に潜んで、厚いカーテンを敷いた窓の隙間から暖かいハロウィンイベントを、たった独りで覗いていなくてもいいのです。
 真那ちゃんが、正志もイベントに参加するようにと呼びに来てくれたのです。だから、正志が参加していても誰もおかしいと思う人はここにはいませんでした。
 そうして、正志の眼から温かい液体が溢れました。
 なんで俺はこんなことで泣いているんだろうと、正志は気恥ずかしくなります。
 でも、カボチャマスクだから頬を流れる涙を拭くこともできません。誰にも泣いていることに気が付かれないのは、幸いと言えたかもしれませんが。
「うう……」
 その正志の小さな泣き声は、すぐそばで正志の手を握って離さない真那ちゃんにだけ微かに聞こえたようです。
「正志お兄さん泣いてるの?」
 見上げてそう心配そうに尋ねる真那ちゃん。
 正志は、大きなカボチャ頭を横に振りました。
「ううん、笑ってるんだよ」
 そうです、正志の作ったカボチャ頭は泣いていません。ハロウィンのジャック・オー・ランタンは、いつも笑い顔でいるのです。
 悲しい伝説に囚われて、そのことをどうして誰も気が付かなかったのか。
 正志は、力を込めて暖かい真那ちゃんの手を握りしめました。
 彼はこの日、この瞬間、求めて止まなかった大切なモノを手に入れました。
 いやもうそれはとっくの昔に、正志の手の中にあったのです。
 ただ、その幸せがそこにあることに、彼が今日まで気が付かなかっただけなのでした。

 ハロウィンの夜にさまようカボチャ頭の幽霊、ジャック・オー・ランタン。

 伝説によると、彼は生前悪賢い遊び人だったそうです。
 悪魔を騙し、死んでも地獄に堕ちることがない契約を取り付けたまでは良かったのですが、死後生前の行いの悪さから天国に行くことを拒否され、悪魔との契約により地獄に行く事もできなかったと言います。
 悪は必ずその報いを受ける。よく出来た物語なのかもしれません。だが、それは余りにも悲しいバットエンドともいえます。
 だから、そこでジャックの物語を終わらせないのです。
 咆哮する魂が求め続けるかぎり、その悲しい欠乏が生き続けるかぎり、きっと物語に終わりはありません。
 そうしてもしかしたら、流浪する魂は東方の地で安住の場所を見つけるかもしれません。この東の果ての生まれつき性質が浮ついた民は、海外からの文化を無制限に受け入れます。そして、悲しい男の伝説すらも自分たちの都合が良いように、どんどん改善してしまうのです。
 恐ろしげな魔女の集会は愛らしい魔法少女のパーティーに、おぞましき古の悪魔たちはユーモラスでコミカルな妖怪大行進に、そして涙も枯れ果てたカボチャお化けにも瑞々しい愛の潤いを与えましょう。
 与えられたって構わないですよね。だって厳しい神の目が届かないこの地では、天国も地獄も、全部が陸続きの場所に存在するのです。
 だから孤独なジャックだって、長い長い流浪の果てに、求めて止まなかった天国にたどり着いてもいいのです。
 さあ手を伸ばしましょうジャック。
 貴方が手を伸ばしさえすれば、心に思い描いた幸せも、渇望して止まないハッピーエンドも、すぐそこにあるのだから。

 最後にもう一度、ハッピーハロウィン! 幸せなハロウィンをお過ごしください。

「イタズラか、犯しか」後日談 終了 著作ヤラナイカー
後日談17「真那ちゃんとしよう」
 時折、正志は岸辺家にも寄るようになりました。出産を間近に控えた佳寿美の様子を見に行くためですが、彼にはもう一つ目的があります。
「じゃあ、真那ちゃんをちょっと借りてくな」
 学校帰りの真那ちゃんを家に誘うためでした。
「真那、オジちゃんの家にいっても大人しくしてるのよ」
 あれほど、娘に近づく正志を警戒していたのに……いつの頃からか佳寿美は、真那ちゃんが正志の家に行くことを拒まなくなりました。
 佳寿美が真那ちゃんに言い聞かせている声を聞いている正志は(やっぱりオジサンって俺を呼ばせてるのは佳寿美なのかよ)と渋面になったりしています。まあ、正志にさんざんオバサン扱いされた佳寿美の意趣返しってところなのでしょうか。
 佳寿美がもし、真那ちゃんと正志の接触を拒めば正志は『契約書』を持ちだそうと思っていたのですが、どうやらそれは無駄になりそうです。
「お邪魔しますー」
 勝手知ったる他人の家とばかりに、真那ちゃんはたびたび正志の家にお呼ばれに行きます。
 それを見る正志も、嬉しそうです。
「じゃあ今日も、性教育を始めようか」
 最初はお茶やお菓子を出していた正志も、最近ではいきなりこれです。
「ハーイ」
 真那ちゃんもいい返事で、パーカーと下に着ていたシャツを脱いで、黒いスカートをストンと落としました。
 上下とも小さいフリルのついた綿の下着姿になりました。
 そうして、ソファーに座ると猫の柄のついたニーソックスを履いた二の足を正志に差し出します。
 まだ秋口でそれほど肌寒くない季節ですが、真那ちゃんが風邪を引かないよう念の為にエアコンをつけると、くるくると巻くように靴下を脱がせました。
 まだ子供だから当たり前ですが、本当に触れたら折れてしまいそうなほどほっそりとして真っ白い足首です。
 そうして今度はブラジャーの肩紐を外します。

 蓋を外すように正志が恐る恐るブラのカップを外すと、ほんのりと膨らんだ胸が露わになります。乳暈が仄かに桜色でプックラと膨らんでいますが、乳首はまだほとんど発達していません。
 発達途上の胸はあまり刺激すると痛いそうなのですが、正志が揉んでも痛いとは言わないので本格的に乳房が発達するのはこれからなのかもしれません。将来有望ですね。
 そしてスルッと白い綿のパンツを下ろすと、子供らしい少し膨れた下腹部にほっそりとした股ぐらが露わになります。
 その驚くほどの色素の薄さ、ワレメといいますがほんのりと盛り上がった恥丘に本当に縦筋が入っているだけで発毛はほとんどみられません。
 全体的に華奢なのは第二次成長期につくはずの皮下脂肪がまだついていないからなのでしょう。
 その小さな身体には、性的な興奮とは違う輝くような生命の美しさがあります。
 真那ちゃんを脱がして見るたびに、正志は優れた芸術作品を前にしたような感嘆たるため息をつくのです。
「どうしたの?」
「ああ、ごめん始めようか」
 そう言うと正志はおもむろに、真那ちゃんの股ぐらに太い指を這わせます。
「ここがクリトリスなんだけど分かる」
「わかんないよ~」
 真那ちゃんの小豆は本当に小さな小さな粒にしか過ぎません。ここに触れると気持いいよと、ほっそりした指を持って自分で触らせるようにしますが、真那ちゃんはわかんないみたいです。
 仕方がないので正志は自分の舌で真那ちゃんのクリトリスの皮をめくるようにペロペロと舐めまわします。
「どんな感じがする?」
 時折顔を上げて、真那ちゃんの反応を確かめます。
「ううっ、わかんない。くすぐったいよ」
 しかし、いまいちまだわからないみたいですね。

 発達未了の陰核だけではなく、薄い色素のワレメ全体を舐めても、返ってくる答えはくすぐったい、変な感じがするのみです。
 それでも、花開けせようと執拗に舐めまわします。
「あははっ、オジサンなんか変な感じになってきたよ」
「オジサンじゃないだろ」
「うっ、うん、じゃあ正志お兄さん……。すごく、くすぐったいよぉ」
 本当にくすぐったいのか身を捩ります。
 それでも、正志は許さずにほっそりした太ももを押さえつけるようにして執拗にクンニリングスを続けます。
 唾液だけでも十分な湿り気になってくると、正志は真那ちゃんの小さなワレメの中にも舌を這わせます。ピンク色の粘膜を優しく舌でノックするのです。そこはまだ、誰の手にも触れない無垢な部分で、ピンク色の粘膜の中心に小さく穴が開いているのが分かります。そこに湿り気を与えるように、正志は一心不乱に舌を動かします。
 ただ舐めることだけに集中しています。
「あ……、やああ、んっ」
 そうすると、むずがるように身をよじってクスクス笑っていた真那ちゃんの声に変化がありました。
 声も心なしか湿ってきたように感じます。
「ああんっ、ああ変な感じがするよぉ」
 その変化に背中を押されるように、正志は舐め続けます。
「はあぁ、ふぁん!」
 真那ちゃんの動きが、腰を上下させるものに変わりました。
 ビクビクとエビ反りになって、身をブブルルルッと震わせました。
「どうしたの、大丈夫」
 あまりに違う反応だったので、正志も顔を上げて真那ちゃんの顔を覗き込みました。
「はぁ、はぁ……ううん、なんか変なの来た」
 顔を赤くして息を荒げています。絶頂……ではないのでしょうが、もしかしたらオーガズムの芽生えなのかもしれません。もっと舐め回していると、段々と股は唾液以外の湿り気を帯びてきました。
 舐めているので、味の変化がわかるのです。

 ただの水っぽい味だったのが、仄かに酸味のある味が交るようになってきました。ほんの少し内側の粘膜から粘りが出ています。
「ああっ、変だよ、変だよ」
 正志も舐めすぎて舌の根が痺れて来たのですが、真那ちゃんの良い反応に押されるようにして犬のように無心に舐め倒します。
 クリトリスも舌で丁寧に皮を向いて、カスが出ることなんて気にせずに舐めて吸って舐めて吸ってを繰り返します。
 真那ちゃんの腰の動きがリズミカルになってきました。
 まるで舌で真那ちゃんとセックスしているようだと、正志は興味深く感じました。クンニリングスを面白いと感じたのは初めてかもしれません。
 舌で犯している征服感があるのです。
「ああっ、変だ。変だよぉぉ、あああーっ!」
 真那ちゃんは身体をまたブルブルっと震わせると、腰が抜けたようにソファーにグッタリと身体を倒してしまいました。
 全身からブワッと汗がでて、栗色の髪が濡れた額に張り付いています。
「はぁ、どうだ気持よかったか」
「はぁはぁ、わかんないけど。うん気持よかった……のかも」
 さすがに正志も疲れました。
「まあ徐々に分かるようになってくればいいよ。よーしじゃあ、今度は俺が気持ちよくさせてもらおうかな」
「はぁ、おチンチン舐めればいいの?」
 真那ちゃんはまったく恥ずかしがらずにそんなことを言います。
 まだ、自分の言っていることが恥ずかしいことだとは分かっていないのかもしれません。

「いや、今日はマンコで素股させてもらうよ」
「スマタってなに」
 真那ちゃんには分からないのも当然ですね。
「俺のおチンチンを真那ちゃんのオマンコを擦り付けることだよ」
「オマンコって真那のここ?」
 真那ちゃんは、自分の股を指差します。
「そうだよ」
「でもここはオジ……お兄さんのおチンチンは入んないよ」
 自分でもさすがに分かるようです。まあ舌を押しこんでも、深くまでは挿入できないのだから当たり前ですね。
「擦り付けるだけだよ、ほら自分で脚を開いてワレメも指で開いてみてね」
「はーい」
 真那ちゃんは指で自分の恥丘を押し開くようにします。舌で何度も馴染ませたせいでしょうか、まったくの未発達の花びらも少し開いてピンク色の粘膜を覗かせています。
 下半身裸になると、そこに正志は勃起した赤黒く勃起した亀頭の先を突きつけます。
「痛くはない?」
「うん、大丈夫だけどまた変な感じがする」
 痛みはないようなので正志はさらに先っぽを動かして、粘膜をすり合わせます。
 このまま思いっきり体重をかけて伸し掛れば、きっと真那ちゃんの処女膜はあっという間に裂けて、もしかしたらセックスできてしまうかもしれません。
 でもそんなことをすれば、きっともう二度と家には来てくれなくなると思い、正志は我慢することにします。
 いや、正志はもとから、真那ちゃんに傷を残すようなことをするつもりはないのです。
 ただ、黒い欲望を真那ちゃんに対しても感じていて、乱暴な妄想をしてしまうからこそ、この微細な刺激でも気持よくなれるのだと言うことなのです。
 真那ちゃんで素股を(股でこすっているわけではないのですから、本当は素股にすらなっていませんが)するという行為だけで、十分に興奮します。

「ねえ……正志お兄さん、これってセックスじゃないの」
「おや、素股はわかんないのに、セックスは……知ってるのか。そうだよ一応セックスになるかもしれない」
「赤ちゃんできちゃうんじゃない」
「アハハッ、まだ真那ちゃんは生理来てないから赤ちゃんはできないよ」
 まだ学校で性教育を学んでない真那ちゃんも、実地でこれが妊娠する行為だとは知っているようなのです。
「生理って何?」
「教えたじゃないか、赤ん坊の元になる卵がまだ真那ちゃんはできてないから生理はこないんだよ。だから、いくら精子を入れても赤ちゃんはできないよ」
「うーん、わかんないけど。……わかった」
 精子だの卵子だの言っても、まだ真那ちゃんには難しいみたいですね。でも、赤ちゃんが出来ないということは分かった様子でした。
 正志は真那ちゃんに口づけをして、射精したいもどかしい気持ちを堪えられずに、ピッタリと膣口に亀頭の先を当てたまま陰茎を自分でこすります。
 フィニッシュへと至る快楽を、少女の膣口の先に触れるだけでは得られなかったようです。
「ンチュ、ンチュ……」
 少女の唇に舌を這わせて、中に押し込んでいきます。本当は、膣にもぶち込んでやりたいところですがそこは先っぽを合わせるだけで我慢。
 その代わりとでも言うかのように、たっぷりと舌をつっこんで口内を蹂躙します。真那ちゃんも、殊勝なことに小さい舌を正志の舌の動きと合わせて甘い唾液を出してくれました。
 少女の唾液を舌でたっぷりと味わいながら、正志は陰茎を擦り絶頂に達しました。
「うっ……」
 ビュルーッと正志の亀頭の鈴口から、真那ちゃんの少し開いたワレメに向けて精液が吐き出されていきます。
 ドロッとした精液は真那ちゃんのマンコの中も外もドクドクドロドロと汚していきます。膣口は処女膜がぴっちりガードしているので、さすがに中へはほとんど入りません。
 正志にできるのは自分の陰茎を指であやつって、真那ちゃんの膣壁に精液を擦り付けるだけです。

 そうして、しばらく射精の余韻に浸ると真那ちゃんのお尻を手で上げるようにして、股からソファーの上にまでこぼれ落ちてしまった精液の塊を濡れタオルで吹きました。染みにならないといいですけどね。
 そのようにして、真那ちゃんの性教育は続いていきます。

     ※※※

「赤ちゃん産まれそうなんだって」
「うん……」
 ついに産気づいた佳寿美は、よりにもよって家の留守を正志に任せてしまいました。
 正志もまさか病院についていくわけにはいかないので、待っているしかないのですが、そわそわと不安になります。
 無事に産まれてくるだろうか、経過は順調とのことでしたが、結果は産まれてくるまでわかりません。
「真那ちゃんの弟なんだよな、近くの産婦人科っていうとあそこか」
「オジサンちょっと落ち着きなよ」
 部屋の中をウロウロする正志があまりに浮き足立っているので、真那ちゃんは呆れています。
 子供のほうが、よっぽどしっかりしています。
「そうだ君のお父さんはどうしてるの、病院に行ったのか」
「お父さん今スウェーデンだもん、すぐには帰ってこれないよ」
「あー、そうかなのか、こんなときになあ」
 よく考えたら、父親が居るのに真那ちゃんを正志に預けていくわけがありません。輸入雑貨商のこの家の主は、よりにもよってこんなときに海外に商売に行っているようです。子供が可愛くないのかと、正志はちょっと憤ります。
 それは、仕事の都合というものを理解できない正志の想像力のなさなのですが、だからこそ(自分がここを守らないと)と決心する当たりはまあ好感が持てます。
「まあいいから、オジサン落ち着こう」
 真那ちゃんがオジサンと言っても、なかなかいつものツッコミが返って来ません。
 正志は、よっぽどテンパッているようです。
「うんわかった、落ち着こう。真那ちゃんじゃあセックスでもしようか」
「アハハ、それは落ち着き過ぎだよ」
 もちろん冗談でした。冗談にしても最低の部類ですが、ようやく正志が落ち着いてくれたかと真那ちゃんもホッとします。
「じゃあ、そうだなご飯でも作って食べようか」
 もうすぐ夕飯の時間です。正志でも腹が減ったぐらいなのに、育ち盛りの真那ちゃんが空腹でないわけがありません。

 料理のできない正志は不意に茉莉香が作ってくれたらと思いますが、茉莉香には茉莉香の家庭があります。
 一食ぐらいのことですから、乾麺でも茹でて食べたらいいかとも思います。
「じゃあ、私作るよ」
 真那ちゃんが手を上げて、そんなことを言いました。
「えっ、真那ちゃん料理できるの」
 正志は驚きます、まあ小学生の女の子ですからね。お母さんの料理の手伝いならわかりますが、出来ないのが普通だと思います。
「できるっていっても、カレーぐらいだけどね。調理実習で習ってるし、お母さんと一緒に作ったことあるから何とかなるでしょ」
「うーんそうか」
 ちょっと正志は不安そうな顔をします。
 真那ちゃんはそれに頓着せず、冷蔵庫を漁って材料を確かめます。
「野菜とお肉はあるし、カレーの元もあるし、いけるいける。ジャガイモとか人参剥くのオジサンも手伝ってよね」
 ピーラー(皮むき器)を渡されます。
 まあこれなら、包丁で剥くよりは上手くできるでしょう。
 カップ麺よりはいいかと、正志も大人しく野菜を剥くのを手伝うことにしました。
「おっと危ない、お米炊くの忘れるところだったぁー」
 そんなことをつぶやきながら、やや危なっかしい様子で真那ちゃんのクッキングが始まります。手足が短くて調理のやりづらそうな真那ちゃんを手伝いながら、やろうと思えばなんとかなるものだなと正志は思いました。
 きっと真那ちゃんと一緒でなければ、きちんとした自炊をしようなんて考えたこともありません。独りで居たときはそんな気にもならないし、茉莉香たちと一緒にいるときは相手にやらせっぱなしになってしまっていました。
 真那ちゃん相手だからこそ、正志は自分で慣れないことをやろうという気にさせられるのです。
 これが家族を持つ男の成長なのかと、正志は感慨にふけったりしています。ちょっと大げさですけどね。

「やってみると面白いもんだな」
「そうでしょう、私も料理の手伝いは嫌じゃないもん」
 炊飯器からお米が炊けるいい匂いがしてきました。
 カレーの方も、具を入れて煮込むだけですからなんとか形にはなっているようです。出来上がった途端に、さっと皿に配膳して二人でカレーを食べました。
 本当はカレーももっと煮込んで、お米も蒸らすといいんですけどね。
「どう美味しい?」
 真那ちゃんは先に一口食べた、正志の顔色を伺います。もしかしたら、毒見のつもりかもしれません。
「うん、美味い。家庭のカレーの味だな」
 味の方も、幸い上出来な仕上がりだったようです。
 正志が美味しそうなので、真那ちゃんも安心して食べます。
 さすがにジャガイモの芽を取るのを忘れたりするような、致命的なミスはありませんでした。
 真那ちゃんも正志も二杯ほど食べて、満足します。
「お風呂炊けたよオジサン」
 真那ちゃんは割とテキパキと家事をこなしています。
 お風呂もさっと流してボタン押すだけなのですが、十一歳にしてはよくやっています。普段から身重のお母さんを手伝ってたのが生きてますね。
「一緒に入ろうか」
 正志がそう言うと、真那ちゃんはちょっと考えてから。
「うーん、いいよ」
 そう頷いて、脱衣所に駆け込みました。

「真那ちゃん、いつもはお母さんと一緒に入ってるの?」
「バカにしてるでしょ、私はもう一人でお風呂に入れるよ」
 岸辺家のお風呂場も、ほとんど作りは一緒ですから風呂桶もほぼ一緒の大きさです。例えばこれが茉莉香となら一緒の湯船に入ればいっぱいっぱいになってしまいますが、真那ちゃんとなら余裕があります。
 ザブンと二人で入っても、お湯が溢れることもありません。
 普段はくくっている髪を解いていますから、湯船の中に真那ちゃんの長い栗色の髪がふわっと広がります。
 ソフトクリームみたいに真っ白い肌と、しっとりと濡れた栗色の髪のコントラストが綺麗です。
「そうかー、真那ちゃん大人だからなあ」
 正志は、わざと真那ちゃんをからかうように口調を真似して言いました。もう何度も聞いているパターンですから先回りです。
「そうだよ、もう大人だからねぇ」
 真那ちゃんはそれを相手にせずに、自分の口癖を繰り返しました。
「オマンコ触っていい」
 正志は、湯船のなかで柔らかい真那ちゃんの身体を抱き寄せると、臆面もなくそんなことを尋ねます。
「ちょっとならいいよ」
 背中から手を伸ばして、正志は真那ちゃんの股をまさぐります。
 未成熟な真那ちゃんの入り口を開いて、何とか感じさせようとする円を描くような触り方。正志の方も、それを受け入れる真那ちゃんの方も慣れたものです。
 湯船でのぼせたのか、それとも多少は感じているのか真那ちゃんのホッペタが紅潮していきます。
「オッパイは、あんまり気持ちよくないよ」
 正志のイヤラシい手が伸びて、まだ蕾のような小さな乳首を刺激すると真那ちゃんはそう言って身を捩りました。
「おおそうか、んっ……乳首は気持ちよくないってことは、オマンコは気持ちいいのかな」
「……」
 真那ちゃんが俯いて黙ってしまうので、正志も妙に興奮してしまいます。

 あっけらかんとしていると思えば、大人のような反応を見せることもあって、少女というのは複雑なものだなと、正志は思うのです。
 湯船の中で柔らかい身体を抱きしめて、しばらく指先でクリクリと真那ちゃんの小粒を弄っていると、指先に滑りを感じました。ただのお湯とは違う感じです。
 どうやら少しは、濡れるようになってきたようです。
「俺のチンチンが入るように、穴をよく、ほぐして置かないとな」
「ええーっ、挿れるの?」
 真那ちゃんは、ビックリして振り向きます。
「無理には挿れるつもりはないけど、いずれはな……ほら、真那ちゃんも大人なんだろ」
「そんなとこは、まだ大人にならなくてもいいよぉ」
 そんなことを言われると、正志の股間はムクムクと反応して大きくなります。このまま真那ちゃんをすぐにでも大人にしてしまいたいような強い欲望を感じますが、むしろそれは先にとっておいて子供のままの反応を楽しみたいような、正志はそんな相反する気持ちで揺れるのです。
 太い指先で真那ちゃんの女の子の中を確認しながら、湯船でポカポカに温まるのは幸せな気持ちになるものです。
「でもさ、お母さんの代わりをしてくれるんなら、やっぱり挿れられるようにならないとダメでしょ」
「あっ……、そうか。うん」
 真那ちゃんは、そう言うと頷いてくれます。
 もちろん正志は、酷いことをするつもりはないのですが。
「じゃあ、指一本だけ。小指の先だけ中に入れてみていい」
「う、うん……でも痛かったら、すぐ止めてね」
 言われるまでもありません、正志はゆっくりと真那ちゃんの中に小指を差し入れました。
 濡れているせいか、湯船の中のせいかやけにあっさりと小指をの中ほどまでズブリと受け入れてくれます。
「どう、痛くない?」
「ううん大丈夫だけど、変な感じがする」
 変な感じかと正志は呟いて、大事を取ってこれ以上は押しこむのを止めました。小指だけでも、狭い膣穴はかなりの圧力をもって締めつけてくるのです。
 こんな穴の中に、正志の太いものを差し込むとかやっぱり無理なんじゃないかと思えてきます。
 それ以上挿れない代わりに、小指を上下させて穴を押し広げるようにしました。
 ズプズプと小指でピストンできますが、どうにも穴が広がっているようには感じません。
 ここまでかと正志は思います。

「じゃあ、今日も真那ちゃんのオマンコで素股してもいいかな」
「うんいいよ」
 もう慣れたものなので、真那ちゃんは湯船の中でお尻を浮かせるようにすると、自ら正志の股の上に腰を下ろして自分の穴を正志の完全に突起している肉棒の先っぽに押し当てました。
 このまま正志が強引に押し込んで乱暴されるとは思っていないからこそできることです。その程度には、正志も信用されているのです。
 痛いほど勃起してビクビクと震える亀頭の先に、妙にヌルヌルとヌメる少女のワレメの感触を感じます。
「じゃあ、こするからね」
「う、うん。強くしないでね……」
 真那ちゃんがこすりやすいようにお尻を浮かせてくれているのでその下に滑りこませた腰を動かして、膣口を擦り立てます。
「気持ちいい?」
 本当にセックスしているわけではないのですから、気持ちいいわけがないのですが、反射的にそんなことを聞いてくる正志もそうとうなものです。
「わかんないけど、お股におチンチンがあたってるのは分かるよ」
 真那ちゃんにそんなことを言われて、正志は興奮してしまいました。思わず腰の動きが早まり、ニュルッと勢いよく真那ちゃんの穴の中に陰茎が滑りこんでいきます。
 水流の力もあってか、思いの外勢い良く突き刺さってしまいました。亀頭の先を締め付ける穴の締りの強さに正志は思わず呻きます。
 それよりも、心配なのはメリッと音を立てて、真那ちゃんの中が広がったような気がしたことです。
「大丈夫痛くない?」
 正志は慌てて、真那ちゃんに尋ねます。
「ううん大丈夫だけど」
 どうやら、膜がお風呂でふやけて緩んだのかもしれません。バックから座位で挿れているのもいいのかもしれませんね。
「そうか、痛くないならいいけど。このままいかせてもらうね」
 亀頭が完全に真那ちゃんの中に入っています。
 このまま力強く押し込んでしまえば、膜を散らせることもできるのでしょうが正志はそれはしません。
 それよりも、とりあえず繋がったことで十分満足できるのです。
 事セックスに関しては、正志は大人の余裕を、多少は持っているのかもしれませんね。
 真那ちゃんの穴の中で、亀頭を挿れたり出したりしながら、興奮を高めていきます。しかしそれだけでは射精に至るまでの快楽の量が足りません。
「真那ちゃんの中に出してもいいかな」
「うんいいよ。出していいよ」
 そんなことを言わせながら、腰をお湯のなかでゆっくりと上下に動かします。正志も興奮で息が荒くなっていますが、真那ちゃんも茹だってほっぺを紅潮させてポケッとしているようです。
「赤ちゃん妊娠してもいいのかな」
 調子に乗った正志は、そんな最低なことを言います。なにせ真那ちゃんの母親は、いま病院で弟を出産しようって時ですからね、最悪のタイミングです。
「ええー、なんで赤ちゃんできないんじゃないの」
 真那ちゃんは少し怒ったように口を尖らせます。さすがに温厚な真那ちゃんでもこれは怒ります。
 しかし、自分の股ぐらに凶器を突きつけられている状態では身動きは取れません。
「もちろん今はできないよ。真那ちゃんの身体はまだ赤ちゃんができる準備ができてないからね。でもこれが子作りの行為だってのは知ってるんでしょう」
「うん、それはそうだよね」
 それは真那ちゃんも知っています。
 なぜなら、実例を見ているのですから。
「真那ちゃんも、もうすぐ大人の身体になるんだよ。そうしたら、俺が真那ちゃんのオマンコに精液を出したらどうなるかってのは分かるでしょう」
「うん……」
 真那ちゃんは頷くしかありません。でも、そんなつもりじゃなかったのです。自分に赤ちゃんができることなど、まだ彼女には想像もつかないことです。
 母親が妊娠して出産に至る様子を見ているからこそ、自分もああなるとはちょっと考えられないのでした。
「じゃあ、真那ちゃんも俺と赤ちゃんを作っても良いってことだよね」
 正志は得意げにそんなことを言いながら、鼻息荒く亀頭の先を擦りつけて真那ちゃんの赤ちゃんを作る入り口を刺激します。

「オジサンとって……、でもそれはやっぱりダメだよ」
 真那ちゃんはつれないことを言います。
「なんでダメなの」
「だって結婚しないと赤ちゃん作っちゃダメなんだよ!」
 真那ちゃんはちょっと大きな声でそう言いました。お風呂場に、その叫びが響き渡ります。
 それは、結婚していないのに子作りをしてしまった自分の母親と正志の両方に言いたいことでした。
 真那ちゃんはよく母親を見ていますから、佳寿美が十分それで悩んでいることも知っていますが、それでも納得できるかといえば全然できません。
「じゃあ、結婚したらいいのか」
 正志は、自分が母親の件で非難されていることに気が付かないのか、そんなトンチンカンなことを呟いています。
「結婚したらって……、それならいいけど」
 真那ちゃんにとっては、このオジサンは何を言っているのだろうって感じです。
「じゃあ真那ちゃんは、今誰か好きな男の子とか居る」
「えっ、いきなりそんなこと聞かれても……、特にクラスにはいないけど」
 正志はもしかしたら、正志のことが好きだと答えて欲しかったのかもしれませんね。まあそんな都合のいい話はありません。
「じゃあ、俺と結婚したらいいよ。それなら赤ちゃん作ってもいいんだろ」
「それは、ええっ、私がオジサンと?」
 まあ真那ちゃんにしたら、そんなこと考えたこともありませんよね。
「そうだよ、真那ちゃんはお母さんの代わりをしてくれるんだろ。だったら俺と代わりに結婚してくれればいいよ」
 正志も、こんなバカな話を本気で言っているわけではありません。
 ただ亀頭をこするだけの刺激で、射精するまでの興奮が欲しかっただけです。
 しかし真那ちゃんにとっては、冗談では済みません。目を白黒させて、困惑しています。それでも言われたことを真剣に受け止めて、考えては居るようでした。彼女にとっては、自分の小さな股間に、男のモノを擦り付けられているんですから、冗談で流す話にはなりません。

「どうなの、結婚してくれるのしてくれないの」
「ああー、でも私まだ結婚出来る歳じゃないし、困るよぉ」
 真那ちゃんはそういう逃げを打ちました。逃げですが、まあ当たり前ですよね。小学生に求婚するほうがバカなんですから。
「じゃあ結婚できる歳になったら結婚してよね」
「ああーどうしよう、ううーん、じゃあ大人になったら考えるっ!」
 ちなみに真那ちゃんは、結婚できる年齢が何歳なのかも知りません。
 だから漠然とそう答えるしかありませんでした。
「じゃあ、大人になったら俺の赤ちゃんを産むんだぞ」
 正志はこんなバカな話をしながら、しっかりと興奮していて声がだんだんと甲高くなっています。
「あー、赤ちゃんは結婚してからじゃないとダメだからね!」
 真那ちゃんは冗談と思っていませんから、必死にそんなことを言い返します。
「よしじゃあ、赤ちゃん作ってから結婚しような」
「違うっ、赤ちゃんは結婚してからっ!」
 興奮した真那ちゃんが、湯船の中でバタバタと暴れたせいで、さらに股間の中に正志のモノがめり込んでいきました。
 メリッ、メリッと強くめり込んでいって亀頭の先どころか陰茎の中ほどまで挿入されます。伸びきった処女膜が、少し切れてしまった程です。
 そうなると膣穴はあまりにも強い締め付けですから、正志もようやく射精に至るまでの刺激を受けることができました。
「よし、真那ちゃんの中に精液出すぞ」
「あーん、ダメだよ! まだ赤ちゃんはダメッ!」
 さっきまで中に出してもいいと言っていたのに、正志の変な冗談のせいでダメに変わってしまったようです。
 しかし、そんな真那ちゃんの拒絶も虚しく射精欲が限界に達した睾丸は収縮を繰り返して陰茎に向けて精液を送り出していきます。

 真那ちゃんの中で触れた亀頭の先は、ドピュッ!とまだ誰の手にも触れていないピンク色の膣奥に向けて白く濁った精液を迸らせました。
 ドピューッと噴き上がった精液は、真那ちゃんの処女膜に開いた小さな穴の奥へと流れこんでいきます。
 そうして、たっぷりと緩んだ膣穴に入り込んで未成熟な子宮口の先までも粘着性の高い精液で汚していくのでした。

「ふうっ……」
 正志が満足して腰を引くと、湯船の中のお湯の中に白い精液の塊が流れだしていきます。精液はタンパク質の塊ですから、お湯の中ではすぐ凝固して白い帯になって流れていきます。
「ああーん、中でダメっていたのにぃ……」
 ちょっと切れてしまった真那ちゃんの破瓜の血も一緒に流れていくのですが、その一筋の赤はすぐ湯に溶けて見えなくなってしまいます。
 だから真那ちゃんが、この日ほんの少し初体験をしたことは正志にも、当の本人にも気が付かれないことでした。
「ごめんごめん、ほら身体を洗ってやるから怒るなよ」
「ううっ……、本当に赤ちゃんはまだダメだからね。分かってるのオジサン?」
「わかってるけど、真那ちゃんもいい加減、オジサンはダメだからね……」
 そんなことを言い合いながら、二人は湯船に上がるのでした。

 お風呂でたっぷりと温まると、正志はベットで布団にくるまって真那ちゃんを抱くようにして一緒に眠りました。
 安らかに眠る真那ちゃんの可愛らしい顔を見ていると、正志も落ち着きます。
 佳寿美の方は大丈夫だろうかと不意に頭をよぎりましたが、正志は心地良い疲労感がもたらす眠気には耐えられずまぶたを閉じました。

 岸辺佳寿美が、近所の病院で無事に男の子を出産したとの連絡が入ったのは、二人が朝遅く起きだしてきた後の事になります。
後日談16「臨月の岸辺佳寿美」
 マンションの敷地にある芝生のベンチの前で、正志がぽつんと佇んでいます。平日のこの時間は、綾子か茉莉香と一緒に居ることが多いので珍しく一人です。たまたま、今日はそのどちらとも都合が悪かったのです。
 季節はもう夏が過ぎ去り、秋になろうとする九月。
 ちょっとベンチを眺めて、ベンチに腰を落ち着けました。どうやら散歩がてら歩いてきて、ここで休憩しようかどうか考えていたようですね。
 今年の残暑はあまり厳しくなくて、今日は綺麗に晴れていますから物思いに耽るにはちょうどいいロケーションでしょう。
 正志は、またハロウィンの季節がやってくることを感じて、今後をどうするか空に浮かぶ大きな雲を見上げながら、少し一人で思案したいところなのでした。
 しかし、好事魔多しと言いますか、すぐに可愛らしい声に正志の思考は妨げられます。
「オジサン! こんにちわ」
 このマンションに住んでる小学校五年生の女の子、岸辺真那(きしべ まな)ちゃんです。見知った顔というどころではありませんね。彼女の母親とセックスして孕ませるシーンを、真那ちゃんに見せたことがあるのですから。
 ある意味で3Pの相手といっても過言ではありません。
「真那ちゃんか、学校の帰りかな」
「あっ……そうだ。あの、お久しぶりです」
 いつもの元気な真那ちゃんと思いきや、なんだかモジモジとしてよそ行きの声で挨拶をやり直されました。
 なんで急に敬語? と思いながら、正志も会話を返します。
「うん、ホントに久しぶりだね」
 いきなり畏まって敬語を使われたせいでしょうか、なんだか真那ちゃんも少し雰囲気が変わった気がしました。
 服装が違うのかなとマジマジと見てみます、赤色のジャケットを羽織って黄色の短いスカートの裾が風に揺れてます、ほっそりした太ももは剥き出しで健康的ですね。
 最近よくみる猫柄のニーソックスを履いていて、靴は動きやすそうな白いシューズです。どうやら今日は学校の帰りではないようだと思いました、真那ちゃんの小学校は確か制服でしたから。
 私服の雰囲気が変わっただけじゃなくて背も少し高くなって、栗色の髪もだいぶ伸びてサイドテールに結んで肩からサラッと下げています。ツルンペタンだったはずの胸が、シャツの上から少し盛り上がっているのが分かります。
 確か真那ちゃんは誕生日が近いはず、もう十一歳になるわけです。第二次成長期ですから著しい成長がある時期です。色っぽいとまでは言いませんが、女の子らしい可愛さが増しましたように感じました。
 そうだ、誕生日プレゼントというわけではないけどと、正志はポケットから包み紙に入った飴を取り出しました。
「これをあげよう」
 正志は、持っていたミルクキャンディーを渡します。さっき食べてみたら甘めの味付けだから、真那ちゃんにもいけるはずです。
「ありがとう、オジサンのくれるお菓子美味しいよね」
「オジサンじゃなくて」
 もう無駄だと思いますが、それでもしつこく訂正します。
「えへっ、ごめんなさい。お兄さんでした」
 どうやらこれは、からかわれたようです。さっきまでように神妙にすましていたら、年長さんらしく少しだけ大人びて見えたのに、悪戯っぽくちろっと舌を出す仕草は子供そのものです。
 都合よく大人にも子供にも成れる年頃が近づいているのでしょう。やれやれ、子供の成長は早いと、正志は苦笑しました。
 これまで偶然会った時には、必ず餌付けするように真那ちゃんにお菓子を上げていますが、正志の上げるお菓子はみんな茉莉香の手作りです。しかも、このミルクキャンディーは正志専用で……つまり、茉莉香の母乳が材料に含まれているわけです。
 大丈夫かなと迷いますが、栄養豊富で女の子の発育にはいいはずだと正志は自分で納得します(たぶん茉莉香にバレたら怒られますねきっと)。

「何やってるんですか!」
 向こうから、手提げ袋を下げた岸辺佳寿美(きしべ かすみ)が慌ててやってきます。そういえば彼女も臨月で、出産予定日が近いはずです。
 もう大きなお腹をしてるんだから、誰が見ても一目でわかります。
 どうやら、この母子は連れ立って買い物にでも行っていたのかもしれませんね。
「ただ話をしてただけだよ」
 妊婦の佳寿美が転んだりしたら大変だと思い、慌てて立ち上がった正志でしたが、彼女はそんなことを気にせずに娘の前に出ます。
「どうだかっ」
 娘を庇うようにする仕草は母親らしいとは言えますが、正志は本当に嫌になるほど信用がありませんね。
「佳寿美は相変わらず頑なだなあ、まあそういうとこも嫌いじゃないけどさ」
 苦笑する正志に、佳寿美は食って掛かります。
「なんで貴方に好かれなきゃいけないんですか、そんな言われはないですよ」
 これには正志もハハッと苦笑するしかありません、『俺に好かれるようになれ』とは言ってません。けれど『言われ』の方ならありまくりじゃないかと、正志は思うのです。
 むしろ佳寿美は、従順では面白くない。キーキー怒ってくれるぐらいのほうが、正志も責め甲斐があって、嬉しくなってしまいます。
 嫌いではないという気持ちは嘘ではありません。もちろん茉莉香や従順になった綾子のことは愛していますが、アナルを掘り上げられても悪態ついてくる、負けず嫌いの佳寿美のことだって憎からず思っていました。
 だからこそ、ついついイジメたくなって余計に嫌われてのですが。
 少なくとも、自分の子供を産ませてやりたいと思うほどには、好きな女なのでしょう。
 正志の好意の証拠が、佳寿美のお腹を大きくしているのですから、言うまでもありませんね。

「真那ちゃんは可愛らしいのに、なんで母親とこうも似てないかね」
 売り言葉に買い言葉で、正志も挑発するように言うと、佳寿美は倍の強さで言い返してきます。
「貴方には関係無いでしょ!」
「いや、関係はあるだろ」
 そのトーンを下げた、真面目な言葉の響きに佳寿美はグッと押し黙らせられます。本当に、冗談ではないのです。
 以前よりも、ほんの少しだけ正志も、人間的に変わったのかもしれませんね。怒っている佳寿美に、ツッコミを入れて冷静にさせる程度には声に迫力がでてきました。
 日々成長しているのは、真那ちゃんだけではないのかもしれません。

「それはその……、でも貴方にそんなこと言われる筋合いはありません」
「だから筋合いもあるよなあ。ほら、俺との契約書はどうしたんだよ」
「……これですか」
 手提げ袋から、丸めてくしゃくしゃになった『契約書』を取り出しました。忘れないように毎日読めと命じられて、持ち歩かされているのです。
 どうやら今日の日まで、佳寿美はずっと契約は守っていたようでした。
「なあ、関係あるだろう」
「いっ……意味がわかりません。私はちゃんと契約を守ってますよ。だからもう解放されて、貴方とは何の関係もないはずです」
 佳寿美がプリプリと怒って敵愾心を剥き出しにしているのは、嫌悪感というよりむしろ恐れからだったのかもしれません。
「確かに解放するとは約束したが、俺と無関係ってのは違うだろ。アンタのお腹の中の子供は誰の赤ちゃんなんだよ」
「それは……」
 佳寿美の口からは言えないことです。でも持ち歩いてる契約書にはきちんと書いてありますからね。
「そのことをアンタの旦那が知ったらどう思うかなあ」
「卑怯ですよ……おっ、脅すつもりですか」
 そんな怖い顔をしたら、正志は苛めたくなってしまいます。わざとニンマリと悪い顔でほくそ笑んで見せますが、軽い遊びで、本当に追い詰めるつもりもないのです。
「卑怯か、あいかわらず酷い言われようだなあ。別にアンタの生活を壊すつもりはないんだけど。ちょっと家にお邪魔してもいいかな」
 佳寿美があまりに反抗的なせいで、触発されて正志の気が向いてしまいます。
 正志に家行ってよいかと言われて、、佳寿美に断れるはずもありませんでした。

     ※※※

 岸辺佳寿美のマンション、あいかわらず高価な輸入雑貨が立ち並ぶ、豪奢だけどせせこましいリビングです。真那ちゃんにちょっとお母さんと話があるからと断っておいて、二人で寝室にこもります。
「そんな怖い顔するなよ、本当に酷いことをするつもりはないんだ」
「そんなこと言って、私にまた……」
 佳寿美は、泣きそうな顔になっています。
 確かに佳寿美は正志とほぼ同い年ですが、目付きがちょっとキツイだけで、眉目は整っていると言えますし、セミロングの栗色の髪もしっかりパーマを当ててふるゆわな感じにしていますから、十分に美人妻で通ります。
 カジュアルなマタニティーウエアも、よく似あってますし、いつも身奇麗にしているのも好感が持てます。
 気の強そうな佳寿美だからこそ、追い詰めて困らせてやるとちょっとそそるのです。胸もお尻も大きめで肉感的ですし、妊娠して大きなお腹を抱えているのは本当はマイナスのはずですが、正志にとっては愛おしいものにみえます。
 なにせ自分の子供を孕んでくれた女なのですから憎いわけがありません。
「お腹撫でてもいいかな」
「へっ」
 酷いことをされると思っていた佳寿美は、ぽかんとした顔をしました。
「お腹だよ、俺の子供なんだから、産まれる前にちゃんと確かめて起きたかったんだ」
「勝手にしたらいいじゃないですか」
 佳寿美は、寝室のベットに座るとそっぽを向いてしまいます。正志は、その隣に座るとそっと手でお腹を撫でました。
 柔らかいのに手にしっかりと張りのある硬質な感じが伝わる。妊婦のお腹というのは不思議な感触がするものです。
「もうすぐ産まれるんだなあ……」
「一体何がしたいんですか」
 なにせ脅されて部屋まで押しかけてこられたのです。乱暴されるかもと思っていたのに、優しくお腹を撫でるだけの正志にちょっと不気味なモノを感じます。

「だから言ってるじゃないか、俺の子が産まれる前にこうやって触れて起きたかっただけなんだよ」
「あんまり俺の子俺の子言わないでくれますか。万が一誰かに聞かれたら、私たち母娘はお終いなんですよ」
 佳寿美は、正志にそう釘を刺します。
 ずっと放ったらかしにしておいて、臨月になっていきなりやってきて俺の子宣言されても嬉しくもなんともないものです。
 むしろ、佳寿美にとっては、今更何を言ってるんだって感じです。
「そこも話して置かないとな、もし万が一旦那の子供じゃないってバレたらさ」
「だから怖いこと言わないでくださいよぉ……」
 それは佳寿美がもっとも恐れていることなのです。
 言われるだけで、脅迫を受けているに等しいことです。
「ああすまん、そうじゃなくて、いやそういうことなんだけど。万が一離婚とかになったら俺の所に来いよ」
「はぁ、一体何を言ってるんですか」
 正志の言っていることが、佳寿美には本当に理解できませんでした。
「だから、契約書には夫の子供として育てるって書いてあるけどそれができなくなったら俺と一緒に暮らせばいいだろ」
「バカなこと言わないでください」
 佳寿美は、考えてもいないことでした。
 夫に露見したら破滅だとは考えて恐怖していましたが、よりにもよって自分を虐げてきた正志のところに身を寄せるなんて……。
「バカなことじゃないだろ、俺の子なんだから。真那ちゃんも連れてきていいよ、一緒に引き取って俺の娘として育てるから」
「いや、あの……」
 佳寿美は怒るよりも呆れるよりも、あまりに突拍子もない話についていけないでいます。

「もちろん、無理にそうするなんて言ってないからな。契約書の契約はきちんと守るし、ただ万が一のときは俺の所に来ることも考えて欲しいってだけでさ」
「はぁ……、驚いて言葉も無いですよ」
「文句はあるみたいだけどな」
 正志がすぐそんな風に返すので、佳寿美はすぐカッと眉を吊り上げます。
「混ぜっ返さないでください! だいたい貴方は私と真那にどんな仕打ちをしたかもう忘れたんですか」
「そりゃ忘れてないよ。俺がしたことは酷いことだと思うけど、でも佳寿美のお腹の子は、俺のには違いないだろう」
 臨月の丸いお腹を撫でさすりながら、正志はシミジミと言います。
「それはそうですけど……」
「だから万が一のときは、お前たちは俺が守るから、一緒になろうってことだよ」
 佳寿美は、まだ正志が冗談を言っているのか、それともそんなありもしないことを言って嬲っているのかと思いました。
「守るって、だって貴方は私のこと嫌いなはずでしょう」
「佳寿美のことは、ずっと好きだって言ってるじゃないか。今の旦那と万一離婚することになったら、俺が佳寿美と結婚してもいいと思ってるから言ってるんだよ」
 正志の方が『結婚してもいい』とは偉そうな話だと佳寿美は反発を感じます。
 しかし、それ以前に、これまでの正志の言動から考えて、言っていることが信じられません。
「私のこと、オバサンオバサンって散々バカにしましたよねえ」
 佳寿美はこの機会に、正志にされた仕打ちを思い出して一番気に障ったことを話しました。だいたい正志も同い年なのに、佳寿美だけオバサン扱いとか(どう考えても正志の方がオッサンに見えます)思い出すに腹立たしいことです。
「いや、それはごめん。あれはそういうSMプレイだと思ったから言っただけで、本当はずっと魅力的な女性だと思ってた。じゃなきゃ、自分の子を産めなんて言わないよ」
 佳寿美の手を取って熱っぽく語ります。ほんとに正志も、どこまで本気なんだかわかりませんね。
「今更そんなこと言われても、信じられるわけありませんよ」
 佳寿美の怒りと不信はごもっともです。

「まあいきなり信じろってのが無理だよな。でも契約書は俺の子供を慈しんで育てるってあるだろう。もし万が一それに支障が出たら、俺のことを頼ってくれって言っておきたかっただけだ」
 正志は、ベットから立ち上がると「邪魔したな」と寂しそうな顔で笑いかけました。
「ちょっと待ってください」
「ん?」
「これで終わりですか」
 話が呆気無いほど終わったので、佳寿美はそれにも驚きました。
「ああ終わり、これが言いたかっただけだから」
 正志は、本心を言えば何かいやらしいことでもしてやろうかどうか、迷っていたのです。
 でも今の佳寿美に何か彼女の意志に反するようなことをやれば、きっと二度と何を言っても信じてもらえなくなると思ったので、避けたのでした。
 ここで紳士的に帰れるだけ、正志も成長したと言えるのかもしれませんね。
 正志が部屋を出る時にちらっと後ろを振り返ると、佳寿美はうつむいて自分のお腹をさすっているようでした。

     ※※※

 正志が、岸辺家のマンションから退出して家に帰ろうとすると、後ろから呼びかける声があります。
「おじさん!」
 サイドテールの髪をピョコピョコと揺らして、追いかけて来たのは真那ちゃんでした。
「お兄さん……って、やっぱ言ってくれないのかな」
 いい加減、諦めたらどうでしょうか。
「お母さんにまた何かしたの」
 真那ちゃんは物言いたげな目付きで、正志を見てきます。こういうところは、ちょっと母親の佳寿美にも似ていますが、佳寿美の切れ長の瞳に比べると真那ちゃんの可愛らしい瞳はクリっと大きいので迫力にかけますね。
「いや、何もしてないよ」
 そう言う正志のことを探るように見つめながら、真那ちゃんはポツリポツリと正志に訴えかけました。
「あのね……うちのお父さんは、弟が出来て嬉しそうにしてるけど、お母さんはときどき辛そうにしてるの……だから」
 そんな話を聞いて、そうかと正志は思います。
 岸辺家には岸辺家の事情があって、正志が行くことはどんな形であれ家庭を掻き乱すことになるのだと真那ちゃんは言いたいのでしょう。
「もう君のお母さんには手を出さないから安心するといいよ」
 父親と母親、そして正志との関係に真奈ちゃんが、文字通り小さい胸を痛めていたのだとしたら、それを可哀想だなと思うぐらいの気持ちは正志にもあります。
「あのね、お母さんの代わりなら私がするから……」
 真那ちゃんは、そんなことを言い始めました。
 正志は、母親に手を出さない交換条件に真那ちゃんがしろと脅しをかけているわけではないのです。
 真那ちゃんはお父さん似なのかなと思っていましたが、ここらへんの早とちりな性格も、お母さんに似てきているのかもしれません。
 誤解を解くには、そんなことはしなくていいと一言言えばいいだけなのに、正志は真那ちゃんを手招きしてこう言いました。
「そうかそうか、じゃあ俺のマンションまで一緒に来てくれるかな」
 つい悪戯心が出て、正志はそんなことを言って真那ちゃんを部屋に連れ込んでしまいます。
 大の大人が女の子を部屋に連れ込んだ段階で言い訳できないことですが、この時点で正志は、本当に彼女を佳寿美の代わりにするつもりなどありませんでした。
 成長著しい真奈ちゃんの身体の変化を見てみたい、そんな欲望や邪念が無かったといえば嘘になるでしょうけれど。
 娘に手を出せば、佳寿美に手を出さなかった意味がなくなってしまいます。
 家に上げてお菓子でも食べさせようかと思っただけです。

     ※※※

 さて、真那ちゃんを連れて、正志の自宅であるマンションの部屋に帰宅しました。
「割と綺麗にしてるんだね」
 真那ちゃんも女の子なのか、正志の部屋に上がってそんなこまっしゃくれたことを言います。
「まあな」
 そう正志は短く、答えるしかありません。十一歳の女の子を家に上げただけなのに、その言い方に女性を感じて、妙に緊張してしまっているのかもしれません。
 今は綺麗ですが、かつての正志の部屋は、こんなもんではなく荒れ放題に荒れていました。
 万年床を中心に、本だのゲームだのフィギュアだのオタグッズが立ち並び、大きなパソコン機器の配線が無秩序に張り巡らされて、一人暮らしで広々としたマンションの一室を使ってるのがもったいないような、乱雑の極みのような汚い部屋でした。
 しかし、最近は意外にも片付いていて小さいお客さんを招いて、お茶を出すぐらいのことはできるぐらいのまともなリビングになっています。
 茉莉香が時折、正志の部屋にも立ち寄るようになって、それとなく掃除してくれたこともあるのでしょうが、床が見える程度に綺麗になったのは物自体が少なくなったということがあります。
 かつての収集物の代わりに、棚に鎮座しているのは、ハロウィンのお面であったり新しいカボチャ頭の試作品であったりします。
 不思議なもので、ハロウィンの魔法が使えるようになってから、パッタリと物への執着が薄れて邪魔なオタグッツをほとんど処分したことで、部屋も片付いたのでした。
 まあ栗原家や、深谷家に行くことが多くて、部屋に戻ることが少なくなったのですから生活用品も減って、片付くのは当たり前だと言えるかもしれませんね。
 大きめのソファーにちょこんと座って、真那ちゃんは出された紅茶をフウフウして飲んでいます。
「ほんとにお砂糖もミルクもいらなかったのかな」
「もう子供じゃないんだからいらないよ」
 いや大人でも、砂糖やミルクぐらい入れて飲む人のほうが多いと思うのですが、もう子供じゃないと主張する真那ちゃんは、大きめのマグカップを両手で抱えるようにして正志が適当にティーパックで淹れた紅茶を飲んでいます。

「じゃあ、飴でもどうかな」
 お茶受けもないので、正志は持っている飴をテーブルの上に出しました。
「ありがとう、これ美味しいよね。濃厚でクリィミーで、本当の牛乳の味がするね」
 牛乳じゃなくて、茉莉香の母乳が入ったミルクキャンディーなのだと教えてあげれば、この子はどんな顔をするだろう。そんなことを思って飴玉を無心に舐めている真那ちゃんの無邪気な笑顔を眺めて、正志はほくそ笑みます。
 まあ、正志がそういう余計なことを言うとたいていやぶ蛇になるだけだから結局言わなかったようです。珍しく賢明ですね。
(お茶うけぐらいは買っておくべきだったかな)
 正志はそんなことを考えながら飴を舐め舐め紅茶を飲んでいる真那ちゃんをしばらく見つめていました。
 家に女の子が来るってのは良いものですね。普段は殺風景な正志の家も、明るくなったような感じがします。
 気まぐれに言ったことですが、佳寿美と結婚して真那ちゃんを引き取る未来があっても良いなと正志は思うのです。
 もう付き合いの長くなってしまった茉莉香の家庭を崩壊させるのはかなりの罪悪感を伴う行為ですが、よく知らない岸辺家の家庭が崩壊しても、正志にとってはたいして苦にもならないことです。
 佳寿美が産んだ子供と、真那ちゃんと四人で暮らせたら、それはそれで楽しい日々になるんじゃないかと、正志には思えてしまうのです。
 家族が居てくれれば、つまらない日々の生活にも張りが出るんじゃないかと……。

 そんなことを考えていたので、真那ちゃんが突然立ち上がると机をぐるっと回ってきて、正志の横にちょこんと座ったのに少し驚きました。
「んっ、どうした」
 正志は、お茶のお代りがいるなら淹れてくると言おうとしたのですが。
「えっとその……おチンチン舐めればよかったのかな」
 真奈ちゃんが急にそんなことを言い出すので、正志は飲みかけの紅茶を「ブホッ」と吹き出しました。
「あっ、大丈夫!」
 紅茶が変なところに入って、ゲホゲホと咳き込んでる正志の背中をさすってくれます。

「あ゛あ゛……ありがとう。突然だったからビックリしたよ」
「驚かせてゴメンナサイ。でもお母さんの代わりに来たんでしょう」
 真那ちゃんに上目遣いにそう言われて、正志はそう言えばそんな話だったなと頭をかきます。
 正志は、子供相手だからといって止めるような強い倫理観の持ち主ではありません。興が乗ったからという理由で、佳寿美の代わりに真那ちゃんにフェラチオさせたことすらあります。
 しかし、佳寿美と結婚して真那ちゃんが娘になる未来を夢想した途端に、その自分の娘になるかもしれない相手にフェラチオさせるのは、かなり抵抗があります。
「やっぱり、真那ちゃんじゃ君のお母さんの代わりにはならないからな」
「そんなー、困るよぉ……、じゃなかった困りますぅー」
 また敬語。
「どうして敬語なんだ」
「だって目上の人には丁寧な言葉を使いなさいって習ったから。もう私も子供じゃないし……」
 ふうんと正志は思います。
 いまの学校は良いことを教えるんだなと思いました。どう考えても子供は子供ですが、年長組にもなると違うってことなんでしょうかね。
「もう大人だっていうなら、俺をその気にさせてみてよ」
 正志は、真那ちゃんをからかうようにそう言いました。
「分かった、ちょっとジッとしててよ」
 真那ちゃんは、ソファーの上で立ち上がると正志の大きな頭を小さい手で抑えるようにしていきなりキスをしてきました。
「んんっ!」
 正志は思わず呻いてしまいます。
 いきなりキスされたのにも驚きましたが、真那ちゃんの小さな舌先から正志の口の中にコロッとした甘い塊が入ってきたからです。
 その甘い味は馴染み深い、茉莉香の母乳の味でした。
 まさか、こんなところであげたキャンディーをお返しされるとは思っても見ませんでした。

 正志が舌で押し返すようにすると、ミルクキャンディーがまた真那ちゃんのお口の中に戻っていきます。
 そうして、また真那ちゃんのほうが正志の舌の上にキャンディーを乗せてきました。そうして何度か往復させているうちに飴玉は溶けて無くなって、今度は真那ちゃんの唾液の味が濃厚になってきました。
 真那ちゃんの唾液は、高原の朝づゆのような爽やかな味がします。舐めても飲んでも、一向に苦になりません。

「ぷはぁ、どう?」
 ディープなキスを終えて、そう聞いてくる真那ちゃんは期待につぶらな瞳を輝かせています。
「いや、驚いたよ。どこでこんなの習ったんだ」
 真那ちゃんの舌は小さくて短く、正志とたっぷりと舌を絡めるほどの長さもありませんし、大人の女の舌技に比べればたいしたことはありません。
 しかしキャンディーを使う創意工夫は見上げたものです。茉莉香の母乳の味がするキャンディーのせいもあるかもしれませんが、ちょっと正志も興奮させられて、恥ずかしながら勃起してしまいました。
「漫画に書いてあったんだよ、こういうキスのやり方」
「そうか……」
 真奈ちゃんが読んでる漫画っていうと、少女漫画でしょうか。小学生の女の子が読むにはちょっと早すぎるのではないかと思います。
 真那ちゃんオリジナルではないにしても、漫画の手法をそのまま使ってくる大胆さは末恐ろしい子です。
「興奮したでしょう、じゃあおチンチン舐めてあげるね」
「う、うん……」
 正志はなんだか、モゾモゾしてしまいます。
 真那ちゃんが自分で脱がそうとして苦戦しているので、正志はズボンとパンツを自ら脱いでソファーにまた腰掛けるのですが、子供相手に本気で興奮している事実に、少し当惑している自分もいます。
 子供相手のキスなんかに興奮している自分を情けないと思いつつ、その事実で陰茎が余計に硬くなっているのです。
 なんだか普通の興奮とは違い、胸がモゾモゾしてしまって正志は思わず眼をつぶってしまいました。

「舐めるよー」
 そんなこと言わなくていいのに、いちいち言ってから正志の反り返った陰茎に小さい唇をつけます。
 真那ちゃんが口をめいいっぱい開いて飲み込もうとしても、陰茎の半分ぐらいまでしか飲み込めません。
 それでもチロチロと小さい舌を這わせて、必死に唇を上下させています。
 フェラチオの技巧でいえば、まだまだ。
 しかし、正志の胸の鼓動はやけに激しくて、ハァハァと熱い吐息がこぼれています。
 真那ちゃんは何も言わず、自分なりに必死に唇を動かしてくれています。
「……っ、はぁ……、はぁ……」
 年端もいかない少女の舌技にこうも興奮させられているなんて、まるで童貞のガキみたいだと正志は自嘲して笑いました。
 自分はおかしくなったのではないかと思うほど、全身が震えます。
 ほんの半年ほど前に、佳寿美と一緒に嬲っていたときは、こんなにも興奮しなかったのに。そう思って、真那ちゃんを眺めていると、頭を動かすたびにサイドテールの揺れる毛艶の良い髪はきちんと手入れされていますし、前とはどこか違うのかもしれません。
 大きすぎる正志の陰茎を咥えるのに必死になっているのか、リンゴのように真っ赤になっているホッペタも、それに負けないぐらい紅い唇も、よく知っている真那ちゃんのものなのに、その潤んだ憂いを秘めたような眼差しに女を感じます。
 腰が浮き上がるような気持ちよさを感じながら(そうか大人になったのか……)と正志は思いました。
 そうかと思いながら、それは正志の頭の中で明確な言葉にはならないのですが、その瞬間に正志が思った想いをあえて説明すれば、前までの真那ちゃんはフェラチオの意味をよく分からずに嫌々やっていたのに、今の真那ちゃんはフェラチオの意味を明確に理解して、正志を気持よくさせるために自ら率先して舐めているのです。
 ギンギンに膨れ上がった赤黒い亀頭の先を、真那ちゃんの小さい舌先が這いずる心地よさの中で、正志はその違いにようやく気が付きました。
 まるで、だから射精してもいいんだと言うように、金玉がグルングルンと膨れ上がって射精欲が高まっていきます。
 真那ちゃんはやはり大きすぎる陰茎を舐めるのに苦労して大変そうですから、さっさと射精してしまうほうがいいのです。
「……っ、出るぞ」
 真那ちゃんは、正志にそう言われても喉の奥まで咥えて飲み込むなんてことはできませんでした。
 ビュルルーッと亀頭から精液が飛び出すと、飲み込むこともできず精液はお口の中に溜まっていき頬を膨らませています。
 目を白黒させて、思わず唇から陰茎を外してしまい、解放された正志の亀頭の先がビュルっと真那ちゃんの小さな額にめがけて精液を吐き出しました。
 半ば口内に受け止め、半ば顔射されて真那ちゃんは陰茎を掴んだまま硬直しています。
「んぐっ、うう……」
「ほら、ティッシュにペッとすればいいよ」
 見かねた正志が、テーブルの上のティッシュを差し出すと、真那ちゃんは顔の精液をティッシュで拭きました。
「髪についちゃったか」
「ううん、大丈夫……オジサンのやっぱり苦いね」
 真那ちゃんは口内に入った分は飲んでしまったのかそう言うと、ティッシュで顔を拭いて笑いました。
「オジサンじゃないって……」
 なんともバツが悪い気持ちで、言葉を濁しながらも、ちゃんと終わったら舌で綺麗に舐めろとは続ける正志でした。
(そうだ、これは教育……、真那ちゃんへの性教育だからな)
 娘になるかもしれない相手を汚してしまった正志は、自分の中でそのような合理化をはかったようです。
「綺麗にしたよ」
「よくできたな、飴をあげよう」
 苦いと言われたので、正志は口直しに真那ちゃんに飴をあげました。
 さすがに、そろそろ家に帰さないと佳寿美が心配することです。
 送っていこうと玄関まで行く時に、ふと思いついたように正志は真那ちゃんのこう言いました。
「あのさ、パンツくれないかな」
「えっ、私のパンツ? いいけど……」
 怪訝そうな様子で正志の顔を見ていましたが、言われるままにすっと短い黄色のスカートの中に手を突っ込んで、飾り気のない白い小さなパンツを脱いで正志に手渡します。
「ありがとう、じゃあまたね」
「うん、またねー」
 真那ちゃんは、パタパタ靴を鳴らして、マンションの廊下をかけていきました。

 正志は独りで、部屋に座り込むとまだ暖かい真那ちゃんのパンツを手に握りしめて、オナニーを始めました。
 不思議と、勃起が収まらなかったのでしょうがなかったのです。
 自慰しなくても誰かが抜いてくれたから、本当に久しぶりのオナニーでした、真那ちゃんのクマのプリントが入ったパンツのゴムをいっぱいに指で伸ばして、裏返して股の部分を舐めます。
 暖かくて、少し黄色い筋の入ったそこを舐めながら、ティッシュを何枚かとってその中に射精しました。
「はぁ、何やってんだろう俺……」
 久しぶりに自慰の後の情けない感じを味わいながら、なんだかとても初々しい興奮が冷めやらない正志でした。

後日談15「平穏なる日々」
 六月、じとつく雨が煩わしい季節です。
 栗原綾子のリビングのカーテンは開いていますが、空に立ち込める暗雲のせいでまだ日も浅いのに薄暗いです。
 正志は外を見ながら「晴れていれば野外でやっても良かったのだがな」と呟きます。でも言うだけで、最近はそんな気も失せているのですが。

「あの、もうしてもよろしいんでしょうか」
 そう言って、綾子は正志に排尿の許可を出すように促します。

 もう一度場所を言いましょう。
 ここはトイレではなくリビングです。
 そして、紺のスーツに下は青いブラウスに紫のスカーフ、三年前まで綾子が現役で働いていたキャビンアテンダントの制服を着させられています。
 彼女はここで、肌色のストッキングと黒いショーツを脱ぎスカートをたくしあげて、板張りの床に置かれている大きなワイングラスにめがけてオシッコをするように命じられていたのです。
 排尿の指示を待ってオシッコを溜めている綾子。その涼し気な瞳には、かつての軽侮するような無愛想な色はありませんでした。
「よしやってみろ」
 正志の合図を待ちかねたというように綾子は、ガニ股の腰を突き出すようにしてワイングラスにめがけて黄金水を撒き散らしました。
 女のオシッコは、コントロールが難しいものですが、身体の柔らかい綾子は不恰好になるのも構わずにワイングラスに腰を接近させていますし、指でできる限りビラビラを開くようにしていますから、何とか床を汚さずワイングラスに波なみと、黄金色の液体を注ぎ切ることができました。
「オシッコ終わりました」
「じゃあ、そこに検査薬を指してみろ」
 正志がそう命じると、綾子は恐る恐るといった様子で妊娠検査薬のスティックを挿し込みます。
 生理が予定より二週間も遅れているし、心当たりもあるわけです。
 綾子はスティックを引きぬいて、それを祈るように目の前に掲げました。ほぼ確定とは言え、結果が出るほんの一分間がとても長く感じます。
「……判定に、赤紫色のラインが出てます」
 震える声で、綾子は言いました。
「懐妊おめでとう綾子」
 正志は、満面の笑みを浮かべました。綾子も、本当に嬉しそうにありがとうございますと何度も言いました。
 二年以上待ち続けた待望の懐妊でしたから、嬉しさも一入でしょう。

 今の綾子の喜びに満ち溢れた曇りもなく真っ直ぐな瞳を見つめていると、正志は野外調教なんかはもう必要ないと思いました。
 躍起になって綾子を貶めていた頃の凶暴な気持ちが、ポッカリと抜け落ちてしまったのです。きっとそれは、軽蔑されることへの強い反発だったのでしょう。
 俺はお前よりも強いんだぞ、自由にできるんだぞと綾子に主張するのに正志の方も一生懸命だったのでしょう。
 ですから、こうも綾子が柔和に従順になれば、ことさら彼女を虐げて地面に這いつくばらせる必要もなくなったと言うことなのです。
「でも綾子、本当にいいのか」
「なにがでしょうか」
「わかってるだろう、前回の排卵日に俺としかセックスしてないんだからお前が妊娠したその子供は……」
「はい、田中さんとの赤ちゃんができて私は幸せです。だから、ありがとうございます」
 嘘を言っているようには聞こえません。
 試しに抱き寄せてキスをしてみると、向こうから濃厚な口づけをかましてきます。綾子は、正志の唇を強く吸いながら、艶めかしい舌を中に伸ばしてきて率先して唾液を交換してきます。
 綾子の熱心で深いキスは、熱烈すぎて正志が引くぐらいでした。女から求められることに、未だに正志は慣れていないのです。
 正志は綾子と唇を重ねながら、なぜか茉莉香とキスしているみたいだと感じました。綾子の唇は、茉莉香に比べると薄くてツルンとしていますが、舌の絡ませ方までが似ていると感じました。
(やはり、茉莉香の影響かな)
 正志がこれまでずっと、綾子に自分に好意を持つように仕向けた行いはことごとく失敗に終わっていたのに、この短期間の間にこんなにも変わってしまったのは、茉莉香が綾子に何か吹き込んだとせいだとしか思えないのでした。
 いや、変わってしまったのは綾子だけではなく、正志の綾子に対する行いも当初とは全く違う結果になっています。
 正志は元から、どうやっても綾子を孕ませるつもりでしたが、その懐妊は夫の子供か正志の子供かわからない状態に誘い込んで、出産させてから親子関係を確認して正志の子供ならその事実を突きつけて絶望させる計画だったのです。
 そこまでやって、ハロウィンの悪戯を完成させるつもりでした。当初の計画とは全く違う形になっています。
 ある意味では、綾子も正志も茉莉香の手のひらのうえで踊らされたと言えるのかもしれない。そんなことに気がついて、正志は苦笑しました。

「妊娠したからといって、安心していてはダメからね。ちゃんと俺との愛を深めないと元気な赤ちゃんは産めないよ」
「はい、あの今日は、抱いて貰えるんでしょうか」
 まさか、あの綾子が積極的に求めてくるようになるとは思いませんでした。
 妊娠という目的を達して、本来なら正志は用済みのはずなのです。
 これでは、妊娠してからも綾子を抱く理由付けを用意してきたことが、まったく無駄になってしまいました。
 自分の空回りっぷりがおかしくて鼻で笑ってしまいます。
「フフフッ」
「あの何か私、おかしなこと言ったでしょうか」
 正志が急に笑い出したので、綾子は眼を丸くしてきょとんとした顔をしています。
「いや、今日はここまでにしておこう」
 綾子とキスをしただけで、正志は栗原の家をあとにしました。

     ※※※

 その足で、すぐ正志が向かったのは深谷家の部屋です。綾子のことがこうも順調に進んだのは茉莉香のおかげなのですから、報告に行くべきだと思ったのです。
 茉莉香は、自分を優先してくれと何度も言っていましたから、きっとその判断は正しいのでしょう。
「いらっしゃい正志さん」
 まるで茉莉香は、今日この時間に正志が来るのだと初めからわかっているかのようにさっと迎えました。
 オートセキュリティーマンションですから、だいたい玄関の呼び鈴で入ってくるのは正志だと茉莉香もわかっているのでしょう。だからそこまで不思議なことではないのですけど。行動を見透かされているなと感じます。
 やはり茉莉香には勝てないのかと思いますが、女の手のひらで踊るのも心地よいと感じる余裕がいまの正志にはあります。
「栗原さんのことだけど、やっぱり妊娠してたよ」
 そう報告しても、茉莉香はまったく驚きません。
「そうですよね。やっぱり妊娠してたんですね」
 茉莉香はしたり顔で、さもあらんと頷きました。
「ああ、茉莉香の言う通りだった」
 一ヶ月前の3Pの時に、綾子が今回こそ懐妊すると言った予言が当たったわけです。もしかすると女の勘は、ハロウィンの魔術より凄いのかもしれません。

 深谷家のリビングに通されると、正志はまるで自宅に帰ってきたような気がします。たった一人でいる自分の部屋のほうが、寒々として居心地が悪いぐらいです。
「ケーキありますけど、食べますか」
 昼食は済ませていた正志も、それなら入りそうだ。
 頷くとさっと綺麗なイチゴの乗ったショートケーキとコーヒーが出てきた。
「うっ」
 正志はさくっとフォークで切ったケーキを一口入れて、思わず呻いてしまいました。ケーキが舌がしびれるぐらい甘かったからです。
「あれ、もしかして砂糖入れ過ぎちゃいましたか。ゴメンナサイ」
「いや、美味しいんだけどちょっとビックリした」
 濃いコーヒーと一緒ならなんとか美味しく食べられます。お菓子作りは特に上手い茉莉香が砂糖の分量を間違えるなんて珍しいと思いました。
 もしかして、体の具合でも悪いのかと心配になりますが。
「あの私いま、つわりで……」
「ああそうか、味覚が変わってきてるのか」
 普段通りに元気な様子なので、つい忘れてしまいがちになりますが、茉莉香も妊娠三ヶ月を迎えています。

「二人目だから、もうだいぶ慣れてるんですけどね。感じる味がぜんぜん違うんですよ、食欲もそんなにわかないし、料理は失敗ばっかりしちゃって」
 そんな失敗でも、茉莉香の手料理をいつも食べさせてもらっている旦那は羨ましいなと正志は思うのです。
「気にすることはないさ、これでも美味しいからいけないことはない」
 甘味が強すぎるケーキを、正志はバクバクと全部食べてしまいました。
 そんな正志を、茉莉香はうっとりとした顔で見つめています。

「……ママ、ママ」
 そうしていると、隣の寝室から可愛らしい子供の声が聞こえてきます。
「どうしたのー起きちゃったのね」
 茉莉香は立ち上がって、隣の寝室へと歩いていきます。
「マンマ」
「はいはい、オッパイね」
 正志も立ち上がって、寝室を覗きこみましたが、その足は部屋の境界線のところで止まります。
 栗色の髪をした可愛らしい茉莉香の、そして本当は正志との間にできた娘。ベビーベットで寝ていたらしい彼女は、身を乗り出してクリクリとした大きな瞳で母親を見つめて、小さい手を伸ばして、オッパイを催促しています。
「あれ、どうしたんですか正志さん。パパだよって言わなくていいんですか」
「お、おい……」
 冗談ではありません、赤ん坊のくりくりっとした純真無垢な瞳で見つめられると、正志はたじろぎます。
 娘の茉悠(まゆ)も、もう一歳八ヶ月です。パパママとカタコトで言うだけではなく、生まれつき聡明な彼女は、すでに自我のようなものも芽生えて、物の道理が分かり始めているようなのです。
 この時期に、パパが二人現れて娘を混乱させるようなことがあってはいけないと正志は引いてしまっているのです。
 茉莉香はそんな正志の様子を面白がるように微笑むと、悠然とした仕草でさっと茉悠を抱き上げて、大きな乳房を出して娘に乳首を含ませます。
「オッパイさえ飲んでれば、大人しい子なんですけどね」
 大きすぎる乳房にしがみつき、一心不乱に乳首にむしゃぶりついている娘に母乳を与えながら、茉莉香は優しく娘の髪を撫でました。
「俺は、ここで眺めてるだけでいいよ」
 それが正志の出した一応の結論でした。
 今すぐ駆け寄って、茉悠と茉莉香を抱きしめてそのままどこかに連れ去ってしまいたい気持ちは今でもあります。
 正志がちょっと自分の胸の内を覗いてみれば、その渇望は変わらない熱を持ってグルグルと黒いとぐろを巻いているのが分かります。
 でもその欲望に一度負けてしまえば、きっと自分の命よりも大切な彼女たちの生活を傷つけてしまうのが分かっているのです。
 だから、その先は触れてはいけないのです。

「あっ、寝ちゃいましたね……」
 現金なもので、オッパイを飲みながら茉悠は寝てしまったようです。母親の胸に抱かれて、安心したのかもしれませんね。
「正志さん、抱いてみますか」
 正志は何も言わずに頷くと、そっと寝室に足を踏み入れて自分の娘を抱き上げます。子供というのは、どうしてこんなに可愛らしくて柔らかくて暖かいのでしょうか。
 正志のような男の手の中でも、無垢な天使の笑顔のままで眠りこけています。こうして自分が娘を抱けるのもあと何度機会があるだろうか、正志はそれを考えるだけで堪らない気持ちになります。
「正志さんが、その気になったらいいんですよ」
 正志の顔を見て茉莉香が、そう言いました。彼女が何を言っているのか、正志は分かっています。
「ありがとう」
 それだけいって、正志は茉悠を母親の手にそっと返しました。
 茉莉香は、娘を抱き上げてほっぺにチュッとキスをすると、ベットに寝かしつけてタオルケットをかけました。
 そんな母子の姿を眺める正志の眼は潤んでいます。
 きっと、正志の胸に渦巻いている渇望は愛情などではなく、嫉妬と独占欲なのです。それは愛情に形が似ているのに、きっと真逆のものです。
 茉莉香が、いつでも正志のものになってくれると言ってくれるからこそ、堪えることができるのでしょう。
 そこまで、正志の深い胸の内を茉莉香が理解して自らそのように言った……とまで考えるのは穿った見方すぎるかもしれませんが、そのようにギリギリのところで踏みとどまることができているのです。
 少なくとも今のところはですが。
「茉悠ちゃん、なぜか左の乳首ばっかり吸うんですよね」
「それはバランスが悪いな、じゃあ右は吸ってやろうか」
 正志は、そう言って茉莉香と笑い合いました。
 最初からどうせ吸うことは分かっているのだから、これは戯言というものです。
 リビングのソファーに腰掛けて、茉莉香は正志に授乳します。
 茉莉香の淡い茶褐色の乳首に吸い付くと、娘に負けないぐらいにチュウウウッと吸い上げました。親指大の大きな乳首から、ジワッと母乳が吹き出して正志の口に甘い味が広がっていきます。それはとても美味しいもので、茉悠がいつまでも乳離れできないで居るのも分かる気がします。
 茉莉香は、それを優しげな眼で見つめています。

「あんまりオッパイ吸って大丈夫かな」
 吸えば吸うほどに滲み出る母乳を一頻り味わってから、大きな胸の谷間に埋めてた正志は、ふいに顔を上げてそんなことを言い出します。
「えっ、どうしてですか」
「だって、母乳をあんまり飲むと胸の形が崩れるって言ってたぞ」
「ああ、綾子さんがそんなこと言ってましたねえ」
 茉莉香のボリューム感たっぷりのHカップの爆乳がいまさらどうにかなるとも思えないのですが、正志と茉悠とこれから生まれてくる赤ん坊が吸い過ぎたら、いつかは萎んでしまうかもしれません。
「逆に聴きますけど、正志さんは私のオッパイの形が崩れたらもう愛してくれないんですか」
「そんなわけないだろ、仮に垂れたとしても萎んだとしても一生吸い続けるよ」
 あんまり言われて嬉しいセリフではないと思うのですが、茉莉香はそれを聞いて嬉しそうです。
「じゃあ、私は平気ですよ。こうやって母乳が出てくれる限りは母乳で育てますし、正志さんに吸われすぎてオッパイがどんな形になっても、構いません」
「じゃあ、遠慮なく吸わせてもらうかな」
 そんなことをいいながら、両手に余るほどの大きさの乳房の柔らかさを手で楽しみ、また乳首に吸い付いて甘い母乳をたっぷりと味わいました。
 そして正志は一頻り吸って満足すると、茉莉香の上着を脱がせて、お腹にも手を這わせました。
「この中に、俺の子供が居るんだな」
 まだ三ヶ月ですからお腹も目立っていません。まだ子供が男の子か女の子かもわかりません。それでも、手で触れる柔らかい脂肪の内側にホワっとした暖かい命の膨らみが感じられます。
「大事な時期ですけど、つわりが酷くてあんまり食べられないんですよね」
「じゃあ、赤ちゃんに栄養が必要かな」
 そういってまた見つめ合ってから、堪え切れないと言ったように笑い合います。
「正志さんの、オチンポミルクなら不思議と飲めるんですよね」
「そうかー、フェラしてくれるのか。まあ、お返しはしないといけないからな」
 二人とも、笑いを堪えながらそんなことを言い合ってます。プレイのときは言わせたがるくせに、茉莉香が普段の会話であえてオチンポミルクなど違和感のある隠語を使うと、意外に正志が恥ずかしそうにするので、たまにふざけて言うのです。
 これも戯言の類、それとも睦言というべきでしょうか。

「じゃあ、ソファーに寝てください」
「おう……」
 正志はソファーに寝そべってから、指示されるまでもなくズボンとパンツを脱いで股間を露出します。栄養のある母乳を飲んだせいでしょうか、すでに股間の肉棒は元気に屹立していました。
 茉莉香が正志の上にまたがって、唾液を舌に溜めてから、ゆっくりと陰茎を飲み込む間に正志は茉莉香の下半身に手を伸ばしてスカートを剥ぎとってしまいます。
 そのままシックス・ナインでもしようかと思ったのでしょうが、茉莉香の暖かい口の中に陰茎が包まれてしまうと、あまりの気持ちよさに手を止めました。
「いいですよ、正志さんは寝てるだけで」
 妊娠してからは、茉莉香にこうして上に乗られて主導権を奪われることが多くなりました。茉莉香の口舌奉仕はとても丁寧で甘美な刺激で、それを楽しませてもらう誘惑に勝てないのです。
 お口で陰茎を刺激してくれるだけでなく、睾丸や蟻の門渡り(いわゆる陰部と肛門の間ですね)肛門のあたりまで舌を這わせてくれます。
 その奉仕っぷりは微に入り細に入り、正志をすぐに絶頂へと導いていきます。
「出そうなら出しちゃっていいんですよ」
 反り返った陰茎の震えから、正志が射精をジッと堪えているのが分かったのでしょう。茉莉香はそんなことを言いながら、ちょっと挑発的に裏筋を舐め回してきます。
 気を紛らわそうと、茉莉香のピンク色のパンティーを穿いた股間を引き寄せて、そこに鼻の頭を埋めたのですが、鼻の奥まで芳しいメスの匂いを吸い込んでしまって余計に興奮してしまいました。
「茉莉香にはかなわないな」
 これでは、正志に勝ち目はありません。
「もう降参ですか」
 口内の陰茎のビクッビクッという振動から、限界が近いのを悟ったのでしょう。チュルンと唇から外してそう聴きました。
「うん、もう降参だ」
 茉莉香はそう聞くと何も言わずに、出てくるオチンポミルクを飲み干そうと陰茎を咥えて、何度か上限にピストンします。そうして正志を限界まで導くと、深く喉の奥まで飲み込んで、その瞬間を待ちました。
 睾丸から陰茎の筒を通ってビュルルッとものすごい勢いで精液が駆け登って来るのが、茉莉香のお口の中で感じられます。
 正志の反り返った陰茎は、まるで発条仕掛けの玩具のように、ビクンッ、ビクンッと激しく脈打ちながら、茉莉香の喉の奥にビュルルーッと熱い精液の塊を発射してきます。
 茉莉香は恍惚とした表情で、そのドロッとした本来は飲みにくいであろう白濁色の体液を喉をゴクゴク鳴らして、いとも簡単に胃の腑へと落としてきます。
 そのまま呼吸も置かずに、チュルンと最後の一滴まで吸いつくします。
 全部飲み干すして綺麗に舐めて掃除すると、ニンマリと茉莉香は笑いました。一連の動作は、熟練の舌技。パーフェクトなフェラチオと言えました。
 精液をたっぷり飲み干して艶然と微笑む茉莉香のホッペタは、さっきよりツルンとしていて、本当に正志の精気を啜ったようです。

「じゃあ、今度は俺の番だな」
 正志は、スルッと茉莉香のパンティーを脱がせるとソファーに座って脚を開かせます。綺麗に剃られてパイパンになっているので、恥丘もオマンコも丸見えです。
「少し濡れてるぞ、興奮してたのか」
 正志がそう言うと、茉莉香は恥ずかしそうに笑いました。
「ちょっと期待してました」
「そうか、それは期待に答えてやらないとな」
 正志は、茉莉香の外陰唇を開いて、思いっきり舌で舐めまわしました。濡れやすい茉莉香は舐めてるうちに愛液を滲ませました。
「あっ……ふう……」
 くちゅ。ぴちゃ。まちゅ。ぴちゅ。
 ぶ厚い舌を縦横無尽に使って、茉莉香の穴の中を刺激します。どんどん愛液の匂いが強くなって、正志は鼻の奥に突き抜ける濃厚なメスの香りに頭がクラクラしてきそうです。それでも、舐める舌の根は休めずに続けます。
 くちゅ。ぬちゅ。まちゅ。ぴちゅ。
「あっ、あっ……正志さん」
 茉莉香が、切なそうに声を上げました。
 正志はそろそろだなと思い、あえて舌を伸ばさなかった茉莉香のクリトリスに舌を伸ばします。
 すでに興奮で中指の先ほどの大きさに勃起している陰核を思いっきり舐ってやると、茉莉香は脚を震わせるようにして叫び声を上げました。
「ひやぁっ」
 思わず茉莉香が太ももを閉じてしまって、正志の大きな顔が挟まれてしまいました。
「ははっ、そんなに気持ちよかったのか」
「ゴメンナサイ、痛くなかったですか」

「いや、ぜんぜん。茉莉香の太ももなんて柔らかいもんだよ」
 柔らかい太ももをそっと手で押しのけると、またクリトリスを舐め始めます。
「ひうっ、ふうっ、ひうっ……」
 今度は、なんとか耐えたものの茉莉香のホッペタは見る見る紅潮していきます。クリトリスを舐められて、興奮しているのでしょう。
 それをチラッとみて正志は今度は陰核の根本からチュウウウッと吸い上げました。
「ひやぁぁ」
 そして陰核の先っぽを舌で強く叩きます。
「ひうっ!」
 またチュウウウッと吸い上げます「ひやぁ」。舌で叩きます「ひうっ」。その繰り返しで茉莉香は腰がガクンと砕けてしまいました。
 ビクッビクッと肩から全身を震わせて、ホワっとした表情で、視線の定まらぬ瞳で正志を見て、クンニしている正志の頭を抱きしめました。
「そこまでで……」
 茉莉香にストップをかけられて、正志は含み笑いを漏らしてゆっくりと顔を上げました。茉莉香の股は、愛液を涎のように垂らして蕩けてしまいそうです。
「正志さん……」
 茉莉香は正志の頭を抱きしめたままで、唇を耳たぶを舐めるように近づけて甘ったるい声で囁きます。
「……おチンチン欲しいです」
「それは、さすがにマズいだろ……」
 まだ安定期に入っていないので、セックスは避けるべきです。激しいものではなければ平気だって意見もありますが、他ならぬ茉莉香のことですから正志はやりません。
「じゃあ、お尻でしてください」
「分かった、じゃあなるべく楽な姿勢でお尻を向けて」
 茉莉香は、起き上がると上半身でソファーの背にもたれかかるようにしてお尻を突き出して股を広げました。
 茉莉香のアヌスに、正志はまず舌を這わせて、唾液で濡らします。
 後ろの穴は、すぐに唾液だけでなく腸液が出てきてまるで前の穴と同じようにヌメってきました。
 これならローションもいらないぐらいです。

 これは正志にも内緒にしていますが、お尻の穴でする経験が長い茉莉香は、そういうことになるだろうと予測できたときは、正志がしやすいように事前にメンテナンスしているのです。
 鈍い正志はまったく気がついていませんが、茉莉香は今日はもうお尻でやるんじゃないかと思いながら誘っていたということになります。
 期待していただけあって、後ろの穴の濡れもいいってことなのでしょうか。
「じゃあ、挿れるぞ」
 正志のすぐ硬度を回復して反り返った陰茎を、お尻の穴に受け入れて茉莉香は感嘆の声をあげました。
「ああんっ……」
 正志がゆっくりとピストンするなかで、茉莉香はお尻の穴をすぼめて、締め付けに変化をつけるまでして見せます。
 この気持ちよさには、正志の方が思わず呻いてしまいました。
「お尻、気持ちいいです」
「そうか……」
 もうちょっと激しく動いても良さそうだなと、ピストンの速度を早める。もちろん、お腹に衝撃を与えないようにお尻の穴にはこすっても、叩きつけるような真似はしない。
「あっ、あっ、ああいいです……」
「気持ちいいのか」
 お尻の穴は、慣れるとオマンコより気持ちが良いとも言われています。しかし女性にはお尻の穴で刺激される前立腺がないわけで、気分の問題もあるのでしょうか。
「正志さんの太くてぇ、お尻の穴どうにかなっちゃいそうです!」
 茉莉香はそう言いながら、もっともっとと豊満なお尻を奮って正志の陰茎を求めます。思わず、激しくピストンしてしまいそうですが、安定期に入ってない妊婦にそれはまずいので、正志は気持ちを抑えてただ後ろの穴をじっくりと味わうのに集中します。
 アナルはマンコより、入口の窄み具合が強いのです。だから浅い挿入でも十分に気持ちよく達せます。

 また茉莉香が、正志の動きに合わせて括約筋を締めるので何度も正志はイカされそうになりました。
「ああっ、いく、いくっ……お尻イクゥゥ!」
 どうやら茉莉香より先にイッてしまうという不名誉は避けられたようです。茉莉香が絶頂に達したせいか、お尻の穴をギュンギュン収縮します。
 奥まで深く挿入して粘膜と粘膜を直接触れ合わせていた正志も、茉莉香の絶頂に導かれるように射精が耐えられなくなっています。
「ううっ、俺もそろそろイキそうだ」
「正志さんもイッてください……お尻の中に出してください!」
 茉莉香の声に誘われるように、正志は腰の動きを早めて「わあー」と声を上げて絶頂に達しました。
 二回目とは思えぬほどの激しい射精で、茉莉香の直腸めがけてドバドバ射精します。
「たくさん出しましたね」
 お尻の穴に正志の暖かい放精を感じて、茉莉香は満足気に呟きました。
「ああ……」
 正志も、暖かいお尻の穴に包まれて最後の一滴まで搾り取られて恍惚としています。
「こんなに中に出したら、お尻の穴でも妊娠しちゃうかもしれませんね」
「アハハ、だといいな」
 茉莉香がそんなことを言うので、正志は笑ってしまって気が抜けました。茉莉香の窄まったお尻の穴から、スルッと緩んだ陰茎を引きぬきます。
 お尻の穴はマンコよりも簡単に、中に出された精液をトロトロと吐き出してしまいます。もともとが出すための器官ですから当たり前なのですが、茉莉香はお尻の穴からあふれだす精液を恥ずかしそうに手で押さえていました。

 そうして後片付けをすると、茉莉香がもう一度茉悠の様子を見に行って、二人でさっとシャワーを浴びて帰宅です。
 茉莉香も普段の生活があるので、一日にはこれぐらいしか二人でいられる時間はもてません。
 それでも正志は、なるべく長く茉莉香との時間を持とうとしていました。
 その合間に、綾子のところにも通って、正志はこれでなかなか忙しい日々を過ごしているのです。
 そんなこんなで、平穏な日々は過ぎていくのでした。



プロフィール

ヤラナイカー

Author:ヤラナイカー
おかげさまでプロ作家になって五年目です。
ボツボツと頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします。
(プロフの画像、ヤキソバパンツさんに提供してもらいました)



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